昨日は日米ホスピタリティ関連の教育関係者のセミナーに出ました。日本人のスピーチは失言を恐れてか原稿に目を落としたままで、一方天性のショーマンなのか訓練をされているのか米国人のスピーチには人を引き込む力があります。日本人留学生もアメリカに行くとオープンな性格に変わるようで、おそらく日本の閉鎖的環境が棒読みスピーチの元凶でしょう。ホスピタリティ関連の職場が高いサラリーを期待できない事情はアメリカでも同じらしく、上級管理職になるマネジメントスキルを身に付けるとか、不動産や投資分野などより稼げるスキルを身につける、ライフスタイルとして割り切るなど、どこか歯切れが悪い印象でした。観光立国政策で4,000万人のインバウンドを呼べても民間企業が8兆円の売上を稼ぎ出すのは不可能というデービット・アトキンソン氏の指摘は関係者に耳の痛い話です。昨日のテーマはホスピタリティ産業の人材育成で、高度な教育を受けた人材の不足が指摘されていましたが、企業が魅力あるビジネスモデルで十分なサラリーを払える体質に変わらない限りホスピタリティ産業が人材を呼び込むことは難しく鶏と卵の因果のジレンマに陥りそうです。
偏差値と利権が生む不幸
経産相の辞任を受け「緊張感を持ち政権運営する」と首相が陳謝したばかりですが、「身の丈発言」に続く「雨男発言」といい緊張感のない雰囲気が漂います。失言の背景にあるのは傲慢さで、おそらく身の丈を知らないからだと思います。傲慢は人を見下すことでしか安心を得られない臆病な内面の裏返しで、共通するのは組織の看板や利権あるいはまぐれの成功にあぐらをかいていることです。自分ではなく組織の看板に人が頭を下げることに慣れると自分を過大評価し人として成長しませんから、あとは尊大な態度しか残りません。組織を離れた今は不快な人間を避けることができますが、組織人にはその自由がなく人間関係のストレスは次なる傲慢の温床になります。日本軍を無謀な作戦や無能な作戦で敗退させたのは、海軍のハンモックナンバーのような高偏差値思想により選ばれたリーダーです。米国国務省も1970年代に入るまで優秀な学生を採用すれば望ましい外交成果が残せるという誤解に気づきませんでした。政治の世界がいつまでも進歩しないのは偏差値至上主義が利権と結びついているからでしょう。
近代西洋医学という迷信
一昨日は喉が痛く風邪をひきそうでしたが、何も食べずに生姜をすったジンジャーティーを飲んで早めに眠れば一晩で体調は回復します。勤め人はちょっと体がだるいぐらいで会社を休むことに躊躇し症状が悪化してから休みがちですが、それはかえって仕事の効率を落とすと思います。風邪は季節の変わり目に体が適応するための一種の自然現象でもあり、適切に対処をすれば簡単に治り症状が悪化することはありません。無理をして働いて何日も体調不良で過ごすよりも最初に不調を感じたときに素早く対処して翌日から本調子で働いた方が生産性は高いはずです。風邪薬をはじめとした医薬品市場は世界最大で日本人ほど薬を信頼する国民はいませんが、風邪の治療に最も効くのは何も食べないことと眠ることです。スタミナをつけようと食事をしたり、薬や栄養ドリンクを飲むことは代謝を悪化させ逆効果になり、解熱剤もよほどの高熱が続かない限り有害です。医者は民間療法や伝統医療を非科学的と批判しますが、対症療法でしかない近代西洋医学という迷信に頼り切る方がむしろ問題だと思います。
ハードワークでは死なない?
世間では「時短」の風潮がはびこりますが、これは本来ホワイトカラーには適用されないと思います。忙しければ就業時間などお構いなしに頭は四六時中仕事のことを考えるので、工場の労働時間とは意味が違います。知的労働をしているはずの会社でも休日にPCで会社のネットワークに入ると休日出勤とみなされ会社から注意を受け、もちろん個人のメールを仕事に使うことも禁じられています。仕事こそが自分を成長させる最大の機会なのに、働くことを苦痛だと思っている企業では業務実態を無視した建前だけの勤怠管理をします。かつて在籍した会社の役員は「土日のどちらか休めば平日はどれだけ働いても人は死なない」と公言していて、その頃はよくタクシーで帰宅し翌朝は9時前に出勤しプレゼン前は週に1、2度徹夜するような働き方でした。現役時代に主体的なハードワークをしていた人は組織を離れてもアグレッシブでいつまでも元気です。一方60代で亡くなる人を見ていて気づくのは、現役時代に省エネモードで仕事をしていたことです。ハードワーカー=早死といったイメージが世間にはありますがある程度エネルギーを発散して生きて行かないとむしろ生命力は先細りしていくと思います。
絶対王者も自己と戦う
昨日の朝は体を動かしに高尾山に行きました。多くのルートが通行止めになり、小下沢の林道も山から沢が入り込み土砂で埋められ豪雨の凄さが分かります。帰路立ち寄った武蔵陵墓地は大正天皇が埋葬されて以降4陵が造営される46万平米の皇室墓地です。京都の北山杉150本が植栽される400mの参道には荘厳な雰囲気が漂います。夕方始まった1位と2位による世界最高レベルのラグビーの試合はどこか後味の悪いものでした。イングランドの早いテンポのパスまわしの連続攻撃により立ち上がり1分過ぎの先制トライで不意をつかれたニュージーランドに、本来の完璧さはなく余裕のない苦しい展開になりました。プレー中にドロップゴールを狙うなど予想がつかないイングランドの攻撃と鉄壁の守りに攻撃を封じられ、相手のサインミスで得たラインアウトからのトライでかろうじて完封負けを救われた印象があります。形勢不利が進むに連れて、除々にミスや反則が目立ち始めたオールブラックスを見ていると、世界トップのチームでさえメンタルの怖さを思わずにはいられません。相手のいるチーム競技であっても、結局は精神性など自己との戦いなのだと印象づけられた一戦でした。
聞く力の本当の凄さ
立教大学や日本工学院の授業で聞く力の本当の凄さに気づいたのは偶然です。聞く力というと、傾聴に代表されるように相手を尊重し非言語の背景を理解する能力と解釈されますが、聞く力の本当の凄さは発想力や問題解決にあると思います。授業はケーススタディ形式で、同じような状況にあったA社は成長したのになぜB社は低迷したのか、といった質問をします。学生の前で恥をかくわけにいかないので自分の考えをある程度まとめてから質問をしていたのですが、あるときその理由が自分でも分からないうちに不用意に学生に問いかけたことがあります。頭が真っ白になりかけたのですが学生が言うことを集中して聞くと数人の学生が意見を言ううちに自分ではたどり着けなかった考えが見えてきて、以来自分の考えがまとまらなくてもとりあえず質問を投げかけるようにしました。学生なんてロクにものを考えていないという思い込みを捨て相手を信頼して聞いてみると、自分では出せなかったアイデアがどこからともなく降ってくる共同作業が単なる偶然ではないことに気づきます。
裏取引文化の再評価
東京五輪のマラソン会場を東京から札幌に移す計画の発表は衝撃的でした。開催地としての妥当性よりもその意思決定プロセスが新鮮です。裏取引で事前に物事を決め、もっともらしい顔で平穏無事に議事が決まる根回し文化に慣れた日本人にとって、大会担当国務大臣や開催地の都知事さえ寝耳に水のIOC決定には違和感を覚えます。欧米企業においてはリーダーシップが重視され、日本経営品質賞の先祖であるマルコム・ボルドリッジ賞(米国国家経営品質賞)ではリーダーシップの評点に重きが置かれます。日本的な集団意思決定と欧米的なリーダーシップカルチャーの違いは一長一短ですが、少なくとも日本人同士ならこの時期に開催地を変更する決定は下せなかったはずです。アスリートファーストとは裏腹に放送権やスポンサーを軸にことが決まり、決定事項には従順に従う日本的風土の再評価が必要な時期かもしれません。一度だけ出たグアムマラソンのスタートは朝の3時ですがそれでもすぐに汗が吹き出し、7時には太陽がのぼりますのでサブ4でないランナーにとっては過酷なレースになります。酷暑の東京開催を決めた人たちのなかにフルマラソンを走った人はいないのではと疑いたくなります。
若くて当たり前の時代
先週NHKが「実年齢より“体力年齢”が若い、50代で大幅増加」というニュースを報道しました。新体力テストが始まった平成10年以降の20年間で、男女共に55歳から59歳は暦年齢より体力年齢が若い人が顕著に増え、男子の52.5%、女子の54.8%が該当します。アジア圏の国のなかで日本は若返り願望が際立って強い国とされますが、年々増加するスポーツ参加人口の増加も貢献しているはずです。多くの医師が若返り効果を強調するのは空腹(飢餓)状態で延命遺伝子サーチュインが働き全身の細胞や遺伝子を修復するメカニズムです。若返りを促進する成長ホルモンは睡眠が深い最初のノンレム状態で分泌されるために睡眠の重要性も指摘されます。興味深いのはハーバード大のカウンター・クロックワイズ(時計の針の巻き戻し)研究で、75歳の男性グループに当時の音楽やニュース、雑誌のある20年前の生活を1週間してもらうと全員の視力が平均して10%、知能テストが20%改善し被験者の写真を第三者に見せたところ若返ったと評価されました。これを聞いたからではありませんが、学生時代に聞いた曲を聞きながら四半世紀前にも乗っていたフィアットを走らせると心が晴れます。
高度情報化社会の欺瞞
かつて愛用したBlackBerryのサービスが終わりiPhone SEに交換したのは3年前ですが、その後iPhone 7、iPhone 8、iPhone XS、iPhone 11とすでに4世代も代替わりしたことになります。暴力的な計画的陳腐化により進化するICTは人の生活を便利にも幸せにもしていないと思います。スマホを肌身離さず持つことによる電磁波の本当の恐ろしさを人類は誰も経験していません。四六時中見られる動画やSNSはマインドレスネスの元凶です。迷惑メールやセキュリティ対策に要する時間もストレスになります。昔は霞が関の政府刊行物センターに行き1冊1,500円ほどした有価証券報告書を買いましたが今は無料でダウンロードできます。かつては半日つぶしてセミナーに行きましたが、今はユーチューブなどの画像を見てしまえば事足ります。昔は情報調査会社を利用しましたが無料の公開情報をつなぎあわせるとたいていの用事は済みます。経済的な負担なしに情報や知識を簡単に得られる時代が人間を賢くしたのかは疑問です。パソコンのない牧歌的な時代に社会に出た自分が高度情報化社会を素直に喜べないのは、社会の進歩をそこに実感できず他ならぬ人間自体を置き去りにしている気がしてならないからです。
陰謀論は好ましい?
即位礼正殿の儀の行われる今日は生憎の天気で、被災地にとっては非情の雨になってしまいました。深い爪痕を残す台風19号が気象兵器による陰謀だと一部の人は信じています。タイタニックの沈没に始まり、ケネディの暗殺、アポロの月面着陸、911テロ、マレーシア航空機の失踪、日本なら日航機墜落事故や311まで様々な陰謀説が流布されてきました。エスタブリッシュメントを自認する人にとって陰謀論など悪いジョークに過ぎませんが、半信半疑の娯楽だった陰謀説が本気で信じられるようになった背景には政府やマスコミ、大企業への不信感があると思います。遺伝子操作された農作物や農薬のようにどこまでが経済的、政治的な思惑でどこからが陰謀なのかは曖昧ですし、恐怖を煽る荒唐無稽な話も少なくありませんが、911テロのように残された状況が不自然で陰謀論を支持しない方が説明が難しいケースもあります。日航機事故当日のことはよく覚えていますがあれほどの巨体で地上からの目撃が相次いでいるのに、翌日まで墜落地点が特定できなかったとする対応の不自然さが陰謀説の入り込む余地を生みました。2020年首都直下人工地震説なども唱えられていますが、リスクマネジメントやクリティカルシンキングの観点からは、陰謀論はむしろ好ましい面を持つと思います。