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その人を知る手がかり

日本工学院の前期の成績をつけました。少人数の3年生以外の1、2年生88名の成績をつける際の手がかりは毎回提出する授業の感想とレポートです。期末にもレポートを書いてもらい全てに目を通しますが、コピペ時代のレポートの評価は厄介です。見るのは授業から気づきを得て自分なりに消化しようとした思考の痕跡です。自分の考えを毎回書く人もいますが、多くの学生はムラがありそれは授業への評価なのだと思います。「できない生徒など存在しない。存在するのはできない教師だけだ。」というピーター・ドラッカーの言葉を思い出します。

企業で働くことは高コスト

30年に及ぶサラリーマン生活を止めたのは2年前の今頃です。働くための出費が多かったことに気づきます。20着近くあったスーツは喪服になりそうな1着を残して処分し、6足あった革靴も1足に、冬用コートやシャツなど大半の衣類や鞄も処分し家が広くなり、クリーニング代も不要になりました。付き合いによる外食や喫茶、ストレス解消のレクリエーション、毎日のコンビニ、アマゾンでの無駄な買い物も無くなり、いつでも山に行けるのでスポーツクラブも止めました。仕事のついでの移動や情報収集と称した様々な出費も消え、生活コストは格段に下がりました。一方で、通勤時間や会社での拘束時間がなくなり使える時間は数倍に増え、人に管理されるストレスも消えました。企業で働くことは高コスト体質なのだと思います。

生きる価値を確認する旅

2年に一度の国内トレイルレースの最高峰Trans Japan Alps Race (TJAR)が今日の午前0時に富山県をスタートしました。北・中央・南アルプスの日本の屋根を縦断して太平洋に至る415km、累積標高27,000mは、100マイルレースが普及しつつあるトレラン界においても別格の過酷さです。完走するだけでも想像を絶するのに、このレースを4連覇し今年は食糧を背負い無補給で挑む望月選手に至っては超人的です。トレイルレースは旅にたとえられます。「一生に一度は行きたい」といった類の観光地を巡る旅はどれも事前情報の確認行為であって人生が変わることなどありません。しかしバックパックにすべてを詰め込み自分の足で日本を縦断するレースは、人生の生きる価値を確認する旅なのだと思います。

豊かな暮らしの嘘

夏山シーズンで外出の機会が増えると食事に困ります。ロードサイドの飲食店は身体に悪そうな食べ物が多く、何も食べないかせいぜいナッツを買うぐらいに落ち着きます。流通している食品は微生物の繁殖を防ぐ防腐剤が入り、外食店では調理器具の殺菌が過度に行われています。かつてサラリーマン時代は昼になれば義務的に惰性で食べていました。誰もが望むだけ栄養が摂れる飽食の時代は人類の夢でしたが、新たな問題をもたらしました。脳が欲するものと身体が必要とするものは違います。現代の経済はより高額でより大量に売れる脳への刺激を優先します。現代人は商品選択をしているようで、実は主体性なく無自覚に脳に操られ食べていると思います。

真夏の暑さの高尾山

今朝は高尾山に行きました。ハイカーは団扇で扇ぎながら喘ぐように登って行きます。先週末のラブラドールの熱中症の件もあり、エスケープルートのない北高尾をあきらめて南高尾ルートの17.14kmを歩きました。累積標高1,041m、消費カロリー915kcalと北高尾ルートの半分程度ですが、登り始めると汗が噴出し、服のままプールに落ちた感覚です。これほど汗をかくのも久しぶりで学生時代の夏合宿を思い出します。昨今スポーツ界の指導者の不祥事がクローズアップされますが、スポーツ界固有の問題とは思いません。スポーツが競技である以上そこには勝者と敗者が生まれヒエラルキー構造を作ります。こうした閉鎖環境の上下関係に不正の入り込む余地があると思います。下山後の楽しみは身体に悪いと思いながらもアイスクリームです。

大量高速輸送は善なのか

昨日は新幹線で新甲子温泉に行きました。日本唯一の新幹線停車駅を持つ村である西郷との間をこれほど往復しながら新幹線で行くのは初めてです。東京駅から1時間20分で着くとはいえ片道6,870円は多拠点居住の最大の障害で、車なら一人で行っても1,500円です。経済成長の象徴のような大量高速輸送がこれからの日本に必要とは思いません。世界最高の新幹線技術を誇らしく思う一方で、なぜ早く遠くに行く必要があるのか、進歩の概念自体に疑問を感じます。結局のところ技術革新は早く遠くへより多くという競争が背景にあり、それを体現するのが戦争です。人類史上これほど高速で人間が移動した時代はなく、生体リズムを狂わせるとぼくは考えています。

無自覚な労働

昨日の朝は通勤時間帯に大手町、丸の内に行きました。2年前まではよく通った地下街を同じような服を着たサラリーマンやOLが無表情に目当てのビルに向かいます。スターバックスにいると多くの人がテイクアウトしたコーヒーをもって足早にオフィスに向かいます。こうした日常を積み重ねた先に望む人生があるのでしょうか。たいした仕事が待っているわけでもないオフィスに毎朝行かなくてはならない不自由さは耐え難いものでした。働くことに生きがいを感じ、自覚的に働いている人は何割ぐらいいるのか考えてしまいます。「働き方」改革の議論は「働かせ方」改革の議論に終始していて主体性が感じられません。生きがいと才能は自分で引き出すしかないと今は思います。

豊かな暮らしとは無縁の嗜好品

昨日は青山に行きました。ポルシェは当たり前としてマイバッハやベントレーのクーペ、ロールスロイスのファントムなどの高級車をよく見かけます。これらの高級車は豊かさの象徴として、ハノイやジャカルタなど途上国の都市部でも、むしろ東京以上の頻度で見かけます。美しく磨かれた車に高そうな服を着て暮らしぶりの良さそうな人が乗る姿を見ると違和感を覚えます。豊かな暮らしという幻想と巧妙なプロモーションが生み出したニーズは虚構であり、人間性豊かな暮らしとは無縁の嗜好品にしか見えないのです。一方で青山のホンダで見た商用車のN-VANは欲しいと思いました。二人が車内に泊まれ、早朝から遠くの山に出かけることもできるし、これ1台があれば自分の生活が広がっていきそうです。幸せが足元にありながら、誘惑に満ちた現代社会で幸せな人生を送ることは簡単ではありません。

屋外活動に求められる慎重さ

山で熱中症になったラブラドールが病院から帰ってきました。尿が赤みがかっていたのは熱中症と脱水により筋細胞内の成分が血中に流出したことによるそうです。平ヶ岳への稜線が岩山と砂礫だった為に肉球には火傷を負っていました。都会のアスファルトは昼間歩かないようにしていたのですが、涼を求めて行くはずの山でも状況は同じです。人が鎖なしには登れない数メートルの岩壁を登る高い運動能力と、30km程度の山道なら問題なく走れるラブラドールの体力を過信した結果です。ぼくが初めてリタイアした一昨年のハセツネカップ日本山岳耐久レースも気温上昇と高い湿度を読み誤った為ですが、夏場の屋外活動にはより慎重な計画が求められることを痛感する週末でした。

夏場のスポーツのあり方

日が落ちると20度を切る新甲子温泉で過ごし、昨夜は熱中症で立つのもやっとだったラブラドールは元気を取り戻しました。念のため動物病院に預け経過観察をしてもらいます。平ヶ岳からの最後の数kmの下山道を倒れながらも必死について来てくれたこと、清流で体を十分に冷やせたこと、清流から駐車場までがわずか数百mだったことなど幸運が重なり事なきを得ました。日が昇りきらない早朝に出発すれば、後半は下りだから大丈夫と熱中症リスクを過小評価していました。毛皮を着て、発汗による冷却ができず、地表温度をまともに受けてしまう犬に対する見積もりの甘さは否めません。もはや人が健全な生活を送れない暑さの日本では、オリンピックへの心配もさることながら、夏場のスポーツのあり方を見直す必要があると思います。

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