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ゴーンの逃亡は緊急避難?

投資家のジム・ロジャーズは徹底的に調べれば推論の余地はなくなると述べ未来を断言します。他方われわれはたいして調べもせずに未来への備えを怠っていると思います。カルロス・ゴーンの逃亡が日本中を震撼させましたが、元外務省主任分析官の佐藤優氏が解説するように裁判に10年かかり8年の懲役が相場ならたとえわずかな成功確率でも逃亡を試みるのは当然の帰結です。特別背任事件の審理開始が検察側の意向で2021年か2022年になると聞き絶望したカルロス・ゴーンを責める気になれません。司法取引制度がある米国でも有罪率が99%超の事実はともかく、日本の司法制度が第三世界並と世界に映っていることは確かでしょう。ゴーンのレバノン会見を全て見たわけではありませんが、このプレゼンテーションは論点が定まっていません。強欲経営者への裁きと日本の司法制度の問題を同時に語る無理が混乱をさせます。日産や政府の陰謀説など唱えず、この裁判を続けて行けば自分は確実に獄中死することだけを訴えれば、明らかな違法行為が人生を賭けた緊急避難だったと好意的に解釈するお人好しの日本人もいたはずです。

いかに壊すか

昨日は気温1、2度の甲子高原に行ってから鬼怒川温泉に泊まりました。復興割引5,000円企画は6,000円ほどで泊まれるのに夕食の品数は旅行代理店指定の13品が揃い手抜きはありません。日本を代表する大企業が今でも夕食の品数勝負を信仰しているとは信じられませんが、旧態依然とした画一的な価値観の押し付けが国内観光をだめにしたと思います。国が全国に高級ホテル50軒の建設を後押しする政策も、日本の観光地がどこも場末の風情になってしまう発想も同根でしょう。明治維新からなのか戦後だったのか一夜にして宗旨変えすることが日本人は得意になりました。メイドインジャパンへの品質信仰とは裏腹に、安普請で適当にごまかすずるさを日本人は身につけてしまい、どこの観光地もみすぼらしい建物やサインで埋め尽くされます。世界が熱狂する禅的な美意識の総本山であるはずの日本らしさは、今やどこでも見られる廃墟に変わりました。空き家問題より深刻なのは景観を破壊する時代遅れの建物群を建て直す事業スキームで、建てることが優先された経済成長のツケとして、今求められるのはいかに壊すかだと思います。

幸せ追求は不幸の始まり

昨日は裏丹沢の姫次(1,433m)に登りました。駐車した場所からスノートレッキングが始まり、稜線に近づくと膝近くまである新雪を踏んでのラッセルは適度な運動になりTシャツに薄いアウターだけでも体は十分に温まります。降雪の翌日は小屋番の人でさえ道を見失うほどの雪に覆われ、青空に雪化粧した木々が映えます。山にいるときは概ね幸せですが、晴れた日に柔らかな新雪をリズミカルに踏んで下るトレイルに勝る幸せはありません。これは個人的な感覚ではなく、幸せと安らぎの神経伝達物質と言われるセロトニンの合成は太陽光など高照度の光とリズミカルな運動に集中することによって活性化します。さらに副産物としてメラトニンが合成されることから睡眠を促しうつや疲労からも開放されます。人に会わないこの季節の静かな山歩きは心を落ちつかせるのに最適で早朝の静寂さと冷気もセロトニン活性に申し分ない条件です。幸せを売り物にする商品は市場に多く出回りますが、中毒性のあるドーパミン的な快楽で不安や苦痛を麻痺させるものが中心です。セロトニン、オキシトシン系のほどほどの幸せこそが本来人間に与えられた分量であり、理想の生活を目指す貪欲な幸せ追求は不幸の始まりだと思います。

執着の権化ミシュラン

より良いものを追求する姿勢は人間の優れた資質ですが、良いものを無批判に盲信していると思わぬ弊害をもたらします。2018年1月に死去した著名シェフのポール・ボキューズ氏が1965年から維持してきた三つ星を二つ星に格下げするミシュランガイドの決定でフランス料理界に激震が走りました。星を奪われた複数のシェフが自殺したり、年末には審査員の評価方法をめぐり訴訟沙汰になるなど何かとお騒がせのミシュランですが、あまり興味はありません。星のついたレストランで食事をすると独特の世界観に魅せられることは確かですが、問題はミシュラン双六にはまることです。双六はいつかゴールにたどりつき、何度かゲームをすれば誰でも飽きます。そして熱中すればするほど執着という悪魔を自分のなかに育むことになります。旅館業を離れた今はあまり料理をしませんが、料理への興味は今も変わりません。料理を食べることも楽しいのですが、社会の役に立ってこそ価値があると思います。関心があるのはもっぱら調理工程の省力化です。短い時間で美味しく健康的で見た目にも魅力的な料理を作る自炊ノウハウこそが社会をより健全にすると思います。

外食業はスポーツと同じ

昨日は近所にある串カツ田中の創業店舗に行きました。小さな子供のいる家族連れとサラリーマンが同居する不思議な居酒屋は、先日見たロイヤルの店舗とは対照的に決済は現金のみで、スマートなロイヤルに対して昔ながらのハイテンションな接客です。複数の外食事業に失敗し最後にダメ元で出した14坪24席の居抜き店舗の設備投資額はヤフーオークションでそろえた厨房機器を含めても150万(一説では300万)とされます。倒産を目前にやぶれかぶれで始めた事業で復活して大企業に成長するケースは少なくありません。人間は追い込まれると本気になり火事場のバカ力が出ること、手元資金がないので必然的にイニシャルコストが下がること、最後ぐらい自分らしい仕事がしたいと本音で等身大のマーケティングをすることが市場の共感を呼ぶのだと思います。他社が選ばない小商圏立地というブルーオーシャンを見つけて上場した串カツ田中も既存店売上が芳しくないほど日本の外食は激戦地です。限られた消費者の胃袋を奪い合い、スポーツと同じように競合との戦いを楽しめるメンタリティがこの業界には必要なのでしょう。

迷惑電話は瞑想の合図

以前なら固定電話を止めて携帯電話だけにすることが珍しがられましたが、いまや一般家庭にとって固定電話は無用なお荷物でしかありません。わが家の固定電話にかかる電話はほぼすべてが迷惑電話で全く機能を果たしていません。メッセンジャーが普及した昨今は携帯電話も使う機会が減り、着信の半数は迷惑電話です。携帯電話は手軽な着信拒否機能があり救いがあるにせよ、不快なことは同じです。かけて来るのは恥知らずの不動産業者が多くさらに腹立たしいのはかけ方がワンパターンで工夫がないことです。電話をとった瞬間の背後のざわめきと軽薄な声で判断して、相手が会社名を名乗る前に切ることさえあります。IP電話を除く従来の固定電話はこの10年で半減しているといいますが、FAXと同じ運命を辿るのでしょう。迷惑メールといい、後先を考えない業者が存在する限り社会は常に無用なコストを払い続けることになります。不快な迷惑電話を瞑想の時間を思い出させる合図にすることでストレスは減りました。

厨房調理にこだわる不自然さ

昨日はロイヤルのGathering Table Pantry二子玉川店に行きました。店舗管理業務の効率化、調理工程の短縮、低投資型店舗を志向した次世代の店舗運営を探るR&D店舗です。提供される料理と同じものが買える冷凍ショーケースが店内に置かれ、ハラール、ヴィーガン認証の料理もあります。葉物野菜とワイン以外は冷凍される湯煎とオーブンレンジだけの鍋も油も使わない厨房は汚れず、2年前に開店した馬喰町の店は汚れが目立たないと言います。考えてみればロイヤルは1951年の創業時から機内食を手掛け1962年にはセントラルキッチンで業務用冷凍料理を作っているわけですから、そこから70年が過ぎても厨房調理にこだわる方が不自然に見えます。ウーバーイーツなど恐ろしい手間暇をかけてデリバリをすることなく、コワーキングスペースや火の使えない場所でも簡単なパントリー機能があれば本格的な料理を提供できることになります。電子レンジを使った料理教室が活況を呈するように、省力化の流れは外食、中食、内食のあり方をドラスティックに変える可能性を感じます。空前の人手不足が仇になり、職場から人を放逐する流れが加速度的に進む未来には複雑な思いがします。

起き上がって走り続ける

弁護士でありながら異国の地で囚われの身となり、部下は泥をかぶる出世の踏み台ぐらいにしか考えないゴーンに置き去りにされたグレッグ・ケリーは何を思うのでしょうか。平民国家の日本人が知らないプライベートジェットを使った手口で富裕ぶりを見せつけたレバノンでの嫌味な会見は、自身が経営する牧場で第二の人生を考えていたであろうその生活とは価値観が違ったのかもしれません。ゴーンはケリーが司法取引を拒んだことを褒めたたえ、尊敬に値する男と呼び忘れるべきではないと訴えましたが、その言葉は虚しいだけです。安倍首相が嘆くように一民間企業の問題が国際問題に発展した今、日本の面子をかけて、プライベートジェットの大きな荷物は検査されないという間抜けさをゴーンが見つけたように、彼が見落としている抜け穴を見つけて欲しいものです。重要な証人であったボスの裏切りに「私は起き上がって走り続ける。不満を漏らしているように思われたくはない」と語り、昼食はコンビニのサンドイッチかおにぎりというケリーには寛大な判決を望みます。

こここそが自分の居場所

昨日は夢からうなされて目が覚めました。営業を休止して2年弱の旅館の資金繰りに行き詰まる夢で、登場人物は見知らぬ人なのに妙に細かい数字のやり取りでリアリティがあります。めったに夢を見ませんが見るのはいつも気の重くなる内容で、起きたときに夢で良かったと感謝します。感謝の感情はドーパミンやエンドルフィンが分泌され海馬の機能を向上させ、ミトコンドリアを活性化し若返りや長寿に良い影響があるとされます。今自分が置かれた状況から最大の満足感を引き出す感謝は、欲のエスカレートを止めてくれます。最も貧しい大統領として知られるホセ・ムヒカは長年刑務所の床で眠り、マット一枚を与えられただけでその夜は幸せな気持ちになれたと述懐します。カルロス・ゴーンのような人たちが望む贅沢な暮らしは、無駄に時間を取られ、わずらわしさを呼び込み、しがらみに束縛されるだけだと思います。贅沢と対極の世界とも言える山にいる時はおにぎり一つ、煎餅一枚に感謝し美味しく食べることができます。世間には終わりのない消費ゲームに取り憑かれた貪欲さばかりが目に付きますが、こここそが自分の居場所と思えることが幸せなのでしょう。

消費者の気持ちが分からない

昨日は西岳(2,398m)に登りました。この季節の山頂往復では全く人に会いません。粉雪の舞う山頂付近のトレイルは雪に覆われ気分は小旅行ですがお金はかかりません。穏やかなペースで森を進むと前方を鹿の群れが渡っていきます。ひんやりした空気が漂う森で深呼吸するだけで五感が刺激され直感が冴え、静寂の森に鹿の鋭い鳴き声が響くとリラックスと集中が同時に起こります。一方一昨日登った入笠山は商業化され2人と犬でゴンドラを使っていたら往復4,000円かかり、山頂は絶景ですが人や犬が押し寄せる無粋な観光地です。これほど自然に恵まれているのに自然を編集して商品化するのが日本ほど下手な国はないと思います。内務省に管轄されるアメリカの国立公園は簡素で素朴ながら環境に溶け込んだ居心地の良いホテルが整備されますが、日本には悪夢のようなファンタジーリゾートか高過ぎて泊まれない宿しかありません。世を憚る深山での隠匿生活に憧れ、唯一の趣味が山歩きやトレイルランニングの自分の目下の悩みは、流行商品や娯楽を見ても欲しいと思えず消費者の気持ちが本音レベルで分からないことです。

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