昨日は西岳(2,398m)にラブラドールと登りました。富士見高原ゴルフコースからスピードハイクなら標高差1,100mを1時間半で登れる最も近い八ヶ岳の山です。八ヶ岳縦走路最初の山ですがこのルートを使うハイカーは少なく、早朝の森に癒やされます。スピードハイクの魅力は動と静の両面を楽しめることだと思います。登りは目覚める前の森の空気を取り入れながら規則正しい呼吸で一歩一歩静かに登り、帰りは小さなステップでスピードを殺しながら駆け下ります。車の運転よりスピード感があり、脳と脚の筋肉を使う全身運動の爽快さはフローを感じることもある一種の集中瞑想で、疲れた脳をデフォルトに戻します。交感神経と副交感神経のバランスが大切なように静だけの休養は不自然で、体を動かすアクティブレストが体内に蓄積された疲労物質を排出します。下山道では初対面の妻のFB友達の方にラブラドールが目印になってお会いしました。トレイルランニングというマイナースポーツ故の親近感なのか、共通の趣味は初対面でも話が弾みます。レースの話題は定番で、この共通体験がシンパシーを感じさせます。
節度はあるけど規律はない
南アルプス縦走で標高3,000m級の山の上で過ごした今年の夏は暑かった印象が希薄です。オリンピック競技の開始時刻が懸念されるほど東京の暑さは異常で、明治時代の外国人が酷暑の東京から避暑地に逃れたように、この時期の東京を離れることは合理的だと思います。猛暑や冷房による体への負担を減らし、気分転換や転地効果、自然によるストレス緩和など、生活拠点を移すことで体は喜び生産性が高まります。東京一極集中による様々な弊害を緩和するためにも、酷暑と花粉症の時期に東京を離れて暮らすことは地方の流入人口を増やす点でも有益です。ラブラドールと長野県に来ました。朝夕は20度以下に気温が下がり一足先に秋の雰囲気です。晴れれば山に登ったり森を歩いたり、雨なら本を読んだり仕事をすることは理想の暮らし方で、運動は体に良く、心は静寂な時間を必要とします。目覚めた時間に起き出しおなかが空けば食事をし、家族の反対で食べられない玄米など好きなものを食べ、夜はろうそくの明かりを灯すと、高級リゾートに行くばかりが贅沢ではないと思います。節度はあるけど規律はないゆるい生活こそ生産的だと感じます。
空気が読めなくなった日本人
あおり運転殴打事件の容疑者の行動は常軌を逸し正当化されないことは当然として、他方でストレスに満ちた日本の道路環境が事件の背景にあることも事実です。実態と乖離した制限速度など、海外に比べ日本の道路はストレスに満ちています。イギリスのモーターウェイの制限速度は70mile/h(112km/h)で、制限速度が守られマナーが良くストレスとは無縁です。日本人の感覚からするとむしろ怖いほどのスピードなのに、大半の車が整然と規律ある流れを維持します。ニュージーランドでも制限速度は実用的で、路肩のない一般道の割に怖くてそんなにスピードは出せないという感覚です。中国の高速道路の最高速度は120 km/hで、追い越し車線の最低速度は110km/h、乗用車レーンは90km/h、トラックレーンでも60km/hと現実的ですが日本は一律50km/hとありえない低さです。低速車が追い越し車線を塞ぎ流れを止めても、警察はスムーズに車を流すという発想が欠落しているので、取締は限定的です。マナーではなくルールなのにそれを守らず、車の流れを止めても気づかない空気の読めない日本人が増えたことにも原因があると思います。
悲しみと向き合う日本
インドでの研修から帰国した娘を迎えに昨日成田空港に行きました。娘いわく、停電が減り、物乞いが物売りに変わり、女性の社会進出が増え、児童婚がなくなり、貧しい子供の学ぶ機会が増え、環境対応が生活に根付き、2年前と比べて明確な進歩があると言います。翻って日本を見たとき、再開発地域やオリンピック関連施設はこの2年で新しくなったのですが、殺人的なラッシュアワーや渋滞などの交通インフラの脆弱さは相変わらずで、少子高齢化も財政赤字も世帯消費支出も好ましくない方向に着実に向かっています。加えて増税や景気減速が懸念される時代にあって、夢と目標を持ち、緊張感をもって貪欲に生きることは容易くありません。明るく前向きな気持ちで生きるべきと考えることには無理があり、その脆さは歪を蓄積します。平均年齢23歳のインドと49歳の日本では親子ほどの年の差があり、23歳が夢と希望にあふれる春なら、49歳は人生の悲しみと向き合う秋でしょう。日本は無理に自分を鼓舞することなく、人間の本質である悲しみを受け入れ若い頃とは異なる尺度で、知恵をもって生きる時期なのかもしれません。
体現された執着
ドライブレコーダーの衝撃的な映像が話題になり、捜査一課まで投入されたあおり運転殴打事件は社会現象になりました。覗き趣味は品がないと思いつつ、容疑者のインスタグラムを見てしまいます。いつの時代も他人の不幸は蜜の味で、「インスタ映え」ならぬ「インスタ萎え」などと酷評されたコメントは9,000に及びます。妬みは人間の一種の生存本能とも言われますが、ステレオタイプの見せびらかし趣味は格好のターゲットです。高級車、高級ブランドと並んで目を引くのは糖質です。相当な甘党らしく、砂糖や小麦粉製品への強い依存を思わせます。警察官に取り囲まれたときの態度と高速道路上の振る舞いは別人ですが、屈折した内面の弱さの裏返しと被害妄想が態度に現れるのは虚勢を張る人間の特徴でしょう。元来執着の強い人間が、執着を喚起する自動車の運転に加え、甘党やパン好きが災いしたグルコーススパイクが自律神経のバランスを乱し常軌を逸した行動を助長したと思います。ありふれた暴行・傷害の容疑者が日本中から非難されるのは、誰もが振り払いたい執着を分かりやすく体現していたからだと思います。
食事、運動、休息の調和
自分の体は100年に渡って使うものですから大切にする必要がありますが、乱暴に扱う人が多いことから生活習慣病の蔓延につながっています。自分へのご褒美は多くの場合体に悪く、世界の年間癌死亡者はのうち喫煙が原因の人は100万人、アルコールは60万人と推計され、甘いデザートや甘味飲料、シメのラーメンを含め嗜好品は全て有害です。のんびり過ごす静養でさえ、安静状態が長期に渡り続くと筋肉の廃用性萎縮が起こりさまざまな心身機能の低下につながります。人間のあらゆる生理機能は使わないと衰える性質があり、動かし続けることが必要です。週末に行った鳳凰三山はスピードハイクなら午前中に戻れる山ですが、標高差1,700mを一気に登るルートは適度にスパルタンで筋肉痛が残ります。この時期FB友達の多くが山に向かい、聞くだけで怖気づくような距離を走破しているように、ハイカーにとって山は楽しみの対象ですが、トレイルランナーにとっては挑む対象です。健康のためには運動が奨励されますが、一方で鍛え過ぎて肉体を酷使すれば健康を害します。重要なのは食事、運動、休息の調和を取ることに尽きると思います。
集団自殺に向かうGDPカルト
英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」元東京支局長デイヴィッド・ピリングの著書「幻想の経済成長」を読みました。誤った生活習慣を推奨して人を病気にさせ、医療費でも儲ける不合理な経済のあり方に疑問を感じていたので、経済貢献の避けられない副産物として社会悪や不幸を容認するGDPカルトを批判する本書は共感できます。売春や薬物、ギャンブルが合法化される国との統計に一貫性を持たせることができない実務的な問題もありますが、経済成長の本質的な欠点は収入について教えてくれても富については何も教えてくれないことです。豊かだったイースター島が文明の最後の砦である樹木を伐採したことで不毛の地となったように、GDPというプリズムを通じて政策立案を行うと、集団自殺に向かいます。GDPの尺度を使いながらレジャーの時間や無報酬の家事労働を指標に追加し、指標から除外されるべき公害、犯罪、長時間通勤、森林喪失などの要素を引く、米国メリーランド州が採用を宣言したGPI(Genuine Progress Indicator)は現実的に思えます。
いつ悔い改めるか
健康状態の良し悪しは生産性に直結すると思います。体調が良ければ集中力が高まり頭も回り意欲的で、悩みもなく幸福度も高いので自ずと生産性が上がります。トップの元気さが組織の元気度の上限を決めるので、職位が高い人ほど健康に留意すべきです。それでも多くの人が健康的な生活をしないのは、それが不自由だからです。食べすぎや飲みすぎはいけない、運動をしなくてはいけない、夜ふかしをしてはいけない、といったネガティブリストを見るだけで健康嫌いになります。健康的な生活をするには、未来に希望を持ち健康になりたい理由と意思を持つことだと思います。今年86歳で南米最高峰のアコンカグア登頂に挑んだ三浦雄一郎氏の話を、それは例外で自分とは関係ない話だと思うか、肉体の可能性を信じることができるかの違いです。もう一つはどれだけ早い時点で自らの誤りを悔い改めるかだと思います。自身49歳で肝炎になり10日ほど入院したことをきっかけに体重を減らし運動を始めました。糖尿病の合併症や癌が進行してから悔い改めても、多くの場合手遅れになります。
南アルプスは業界関係者の練習場?
今朝は南アルプスの鳳凰三山(観音岳2,841m)に日帰り登山しました。御座石鉱泉に車を停め青木鉱泉から稜線まではスピードハイクなら3時間ほどですからトレイルランナーも多く見かけます。先週の南アルプス縦走と違い荷物が格段に軽いので身軽さの有り難みを体感します。白砂の美しい稜線は日本離れした景色で南アルプスの主峰北岳が目前に見えます。ドンドコ沢を登っていくと高度を上げても水量の多い滝に驚かされ、鳳凰三山のもう一つの魅力は滝です。昨年平ヶ岳登山で熱中症になったラブラドールの息遣いを気にしながら、標高1,150mの青木鉱泉から観音岳まで標高差1,700mの急峻な山を登って行きます。稜線ではTJARのスタープレイヤーの朽見さんに会うなど、南アルプスは業界関係者の練習場と化した感があります。ハイカーとトレイルランナーの大きな違いは、前者が山頂を目指すのに対して後者はそのプロセスに重きを置く点です。トレイルランナーにとって地図上のコースタイムは、頂上へ着くまでの時間ではなく、あと何時間トレイニングができるかの目安です。
EBMは新手の作り話
医学の進歩を信奉する人は最新が最良と考え、最新医学のデータや高度化されたEBMを有難がります。しかし、巷で喧伝される主張の根拠は相関関係であって因果関係ではなく推測の域を出ません。その証拠に全ての主張は他の主張と矛盾していてどれを信じて良いのか分かりません。唯一信用できるのは誰もが知る口述伝承された知識ぐらいで、早起早寝、腹八分目、適度な運動を実践すれば健康になれると思います。重要なことは生体恒常性のデフォルトに忠実に生きることです。規則正しい食事や朝食を重視する主張は一見正しいように見えますがその信憑性は疑われます。人体はその歴史の大半を占める狩猟採集生活に適応していて、毎朝同じ時間に食事がある生活を始めたのはごく最近のことです。何km走っても獲物にありつけない日が多かったはずですから、決まった昼休みに短時間でかき込む昼食も人体にとって不自然です。必要がなければ狩りにも行きませんから、空腹時間が長かったはずで、冷蔵庫を開ければ食事がある生活が体に良いはずがありません。EBMという新手の作り話は肝心な点を見落としているように見えます。