
腰痛が改善して以来、体を動かすことに前向きになり、この一月ほど自転車に乗る機会が増えました。乗り始めると筋肉が慣れ、ペダルをこぐことが苦痛ではなくなります。8段ギアながら、幹線道路以外であれば車の流れに乗ることができ、自宅から半径5km程度なら車より早く目的地に到達します。エネルギーコストゼロの移動手段の魅力は、心と身体の両面に働きかけ、自己肯定感を高めることだと思います。心肺機能と筋力を強化する有酸素運動は、高揚をもたらす神経伝達物質の分泌を促します。自転車の大半がモーターのアシストを受けるハイブリッド構造ですが、モーターを持たない軽量の車体こそ、自分の体との一体感を高め、移動を身体化すると感じます。自分の力で前に進み風を受けるスピード感は爽快で、自己効力感を高め、坂を登り切ったときの達成感や、バランス感覚により高まる集中力は、最も安上がりな気分転換と言えそうです。
サウナは美肌の湯

夏が好きですが、汗をかく季節になると皮膚のトラブルが発生します。他方で汗をかくと、肌の表面に天然の保湿膜である皮脂膜が作られ、うるおいを保ち、肌の色つやが良くなります。頻繁に汗をかくことで、毛穴に詰まった古い角質や老廃物が排出されやすくなり、肌のターンオーバーが促されます。さらに、運動をすることによる汗をかくと血行が促進され、肌の隅々まで栄養や酸素が行き渡り、健康的な肌を保つことができます。発汗と美肌の関係に関する、科学的な検証は十分とは言えませんが、毎日サウナに入ると肌が瑞々しく保たれ、女性であれば化粧など不要になります。昨今のサウナブームを支えるのが若い女性であることは、当然の帰結のような気がします。サウナで汗をかくことによるデトックス効果には疑問の声もありますが、肌に関しては間違いなく効果があり、美肌の湯と同等以上の効能があると思います。
サウナブームの流れを変える

星野リゾートとして広島県初進出の「界 宮島」が2026年夏に開業予定と発表されました。施設の目玉は、瀬戸内沿岸に古くから伝わる石風呂です。海辺や川辺に石を積み上げて作られた蒸し風呂は、サウナの王様とされる北欧のスモークサウナと同様に、煙突を持たずサウナ室を暖めた後は、火を外に出します。スモークサウナがストーブのまわりのサウナストーンを加熱するのに対して、日本伝来の石風呂や韓国のスッカマは石室そのものに蓄熱させる、より原初的な方法です。床・壁・天井の石から放たれる輻射熱と、床に敷かれる海藻の湿度により、身体を芯から温め、サラサラとした汗が出て入浴後もべたつくことがありません。開発スタッフは全国の石風呂を見たと言い、海の近くに設置され、ゴザを用いた本格的な石風呂体験ができるようです。先を越されて残念ですが、石風呂の知名度が上がり、サウナブームの流れを変える気がします。
五感を通した対話

昨日は大月で授業の前に九鬼山(970m)に登りました。日の出前の森では、ひんやりとした空気が肌に触れ、ヒグラシが一斉に鳴き始め、漆黒の森がその姿を見せ始めます。五感の刺激を受けて感覚が鋭敏化する時間帯こそ、今この瞬間に集中できます。駐車場から50分弱で登れる里山の割に自然が豊かで、昨日も森へと去る熊かイノシシの姿を見ました。鹿が多い山域ですが、先月も山頂付近で熊を見ました。熊との遭遇を避けるために聴覚の感受性が最大限に高まり、突然目の前で鹿が藪をかき分ける音がして、全身が一気に緊張します。感覚に集中する没入感は、早朝の森でのみ感じる充足感であり、それは幸福感の源泉だと思います。一人でいることはむしろ自由と充満をもたらし、他者や社会から切り離された、自分との対話の時間になります。鋭敏になった五感を通して自己と対話する習慣を、毎朝持てる暮らしが理想です。
遺された土地

先月母が亡くなり、相続のなかで問題なのが、京都に所有している土地です。地目が畑(竹林)と山林で、京都市の山林課税5段階のうち上から二番目の評価をされ、固定資産税も発生しています。元々祖父から母が相続したものですが、売るに売れずに今日に至り、自分の代でこの問題に目途を付けておきたいと思います。市税事務所から始まり、地元のタケノコ生産者、農業振興センター、京都市の農業委員会と渡り歩くうちに、少しづつ土地の事情が見えてきましたが、この用事のために先月と今月は京都に来ました。竹林は藪蚊が多く、竹林から車に戻ると、体についていた蚊10匹ほどが車内を飛んでいます。国庫帰属制度などもありますが、京都市では土地の受け取りは一切していません。未だにバブル末期のように高騰する土地もあれば、相続放棄せざるを得ないケースもあり、遺された土地は深刻な問題です。
昭和のストロングサウナ


昨夜はサウナーの聖地として知られる大垣サウナに行きました。東のしきじ、西の大垣として、全国や地元から今も熱烈な支持を受ける理由は、天然地下水の水風呂とされます。年間を通して15℃前後の絶妙な冷たさは、120℃近くで湿度も保たれる、昭和のストロングサウナがあって、初めて体感する気持ち良さかもしれません。一見すると時代遅れの老朽化した施設ですが、1960年代開業の老舗には、サウナの本質を突き詰めた風格すら感じます。リネン類の補充も含めて、最高のコンディションを提供し続ける運営姿勢と、レベルの高い食堂はもう一方の主役です。カウンターに総菜が並ぶ13席の食堂の割には、メニューの品数が多く、常連に愛されていることを感じます。昨今の流行など気にせず、昭和のビジネス戦士を癒したサウナを守る姿勢は、高度成長期の自信を失った今の日本人にこそ必要な気がします。
N-VAN嫌いは食わず嫌い

用事があり今朝京都に来ました。自動車が公共交通より優れるのは、好きな時間に移動できることです。運転席以外がフルフラットになるN-VANは、車内で十分な睡眠がとれ、道が空く深夜の長距離移動に最適です。短眠は健康上の悩みですが、2時間も仮眠を取れば普通に生活できる体質は、自動車旅行においては美点に変わります。N-VANがここまで好きなのは、自動車界のヒエラルキー構造から完全に離脱した乗り物であり、他の車の存在が気にならなくなるからです。坂道で遅いとか、燃費が悪いとか、助手席でさえ30分以上座るのは無理という自動車評論家も、N-VANの本質が分かっていないと思います。先日長野県から4人乗車で東京に戻る時、妻と娘は直角のリアシートでほとんど寝ていて、クレームは出ませんでした。人間は他に選択肢があると贅沢を言い始めますが、それしかなければ不満もなく、多くの人は食わず嫌いなだけのような気がします。
消費を増やすオークション

昨日はヤクオフで落札した有田焼の火鉢を引き取りに行きました。白河の古民家サウナで使う備品で、インテリアを兼ねた暖房器具として機能しながら、一種のアクティビティとしても魅力があります。古民家に似合う、風情のある年代物を探すのに、シェアリングエコノミーは最適ですが、入札者は3人だけで言うのが憚られる値段で落札したのが申し訳なく感じます。ある人にとっては不要でも、他の誰かが必要とする取引は、利益を出す前提の市場では成立しません。加えてネットオークションやフリマサイトには、蚤の市で掘り出し物を見つける楽しさと、オークションならではのスリリングさがあります。眺めているだけで、ここで売られている古材をベースにインテリアを構想するのも楽しくなります。モノ余りが深刻な日本ほどシェアエコが必要で、こうした中古品市場がある安心感により、消費も増えるのかもしれません。
オフビート・ラグジュアリ

昨日は久しぶりに赤岳(2,899m)に登りました。真教寺尾根から上がり、県界尾根を下る最短ルートは、赤岳=遠い山というイメージを覆し、美しの森を日の出前に出れば、まだ朝のうちに戻れる気軽さです。それでいて標高2,300mを超えたあたりから山頂までの600mの標高差を、一気に登るスパルタンな岩壁は山登りの醍醐味を味わえます。鎖場が多いことで敬遠されるのか、ハイカーが少ないこともこのルートが好きな理由です。日本の大半の山は信仰の対象であり、八ヶ岳もその色彩を強く帯びます。自然と文化という二大観光コンテンツに冒険が融合する登山こそ、インバウンドを呼ぶ最強のコンテンツになるはずで、星野リゾートが山小屋を新たな商品ラインに加えるのは必然だと思います。日本の山岳地域こそ、オフビート・ラグジュアリのメッカとして、世界に売り出せるポテンシャルを秘めているのかもしれません。
人になったAI

先週行ったウェルネスツーリズムEXPOのような展示会に行くと、業界の今のトレンドが分かります。観光展示会の常連は自治体ですが、民間企業の顔ぶれは頻繁に入れ替わります。今回で言えば外国人労働者を派遣する企業の出展が目を引き、前回で言えばAIチャットボット関連のサービスです。料金体系はかなり高いと感じましたが、AIコンシェルジュなどと称するこれらのサービスが有効だと思ったことはありません。生成AIの完成度が急速に進むなか、こうしたサービスが生き残りの難しさは素人考えにも感じましたが、今年は全く見かけませんでした。生成AIは半年前より一段完成度が上がり、このまま進歩を続けるなら、AIどころか本物のコンシェルジュでさえ追いやりかねません。人を介した対人サービスがホスピタリティビジネスの根幹ですが、AIはもはや人になってしまった感があります。