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選手自身が動かすチーム

ラグビーワールドカップが世間の耳目を集めるのは4年に1度という希少性によるところが大きいと思います。ショービジネスである点において他のプロスポーツと違いがないのにこれほど多くの人を魅了する理由は、選手生命にとってはまさに一生に一度の大舞台ならではのプレーに対する執念や集中力を感じるからです。甲子園や箱根駅伝が国民的人気を誇るのもオリンピックの理念であるアマチュアリズムによるところが大きいはずです。安倍政権の成長戦略のなかでスポーツ産業は重点分野ですが、過去20年でアメリカのスポーツ産業が3倍に成長したのに対して日本ではむしろ減少しています。相次ぐスポーツ指導者による不祥事など、日本のスポーツ界にはいつも陰影がつきまといます。初めて外国出身選手を主将に任命した平尾誠二元日本代表監督の命日に開催された初めての準々決勝を戦ったのは多国籍チームで、海外出身の選手が日本の国歌を斉唱する姿が印象的でした。指揮官の上意下達が当たり前の日本スポーツ界にあってリーダーシップを共有した選手自身が動かすチームの強さをラグビーが教えてくれたと思います。

偏狭な発想を壊す多国籍集団

日本中にラグビーファンを増やし今年放送された全番組中最高の視聴率を連発するワールドカップの盛り上がりは、3連覇4度目の優勝のかかるニュージーランド代表チーム「オールブラックス」によるところが大きいと思います。125年の歴史で77.3%の勝率を誇り、あらゆるスポーツの代表チームを上回る最強チームのブランド力は抜群です。スポーツ史上最も成功したチームの原動力は素早くトライを挙げる多様な攻撃スタイルなど、ニュージーランド国民のアイデンティティを形成するラグビーそのものの強さにあります。加えてラフプレーの少なさや創設以来の黒いユニフォーム、試合前に演じるハカなど”ALL BLACKS”がニュージーランドラグビー協会の登録商標であるように、自国以外の海外でのファン層拡大を狙うブランド構築は巧みです。今夜注目される日本チームの特徴は多国籍集団にあり、日本企業の強みであり致命傷でもある純血主義や学閥偏重といったプロパー重視の偏狭な発想にとらわれないチームは望外の成果を上げています。赤いオールブラックスは経済成長が止まり劣化が懸念される日本社会のあるべき姿を示しているように思えます。

リピーターという病

世の中にはちょっとした違いがあふれていると思います。ちょっと便利、ちょっと上質など、本質とは無縁の微細な違いで商品を陳腐化させないと経済が回りません。昔は差別化と呼び、差別はいけないので差異化と呼んだりもしますが、同質化する競合商品との違いにより競争優位を築こうとするのは世の常です。ブルーオーシャンのつもりがすぐに血の海に変わり共食いが始まる競争環境では、その差異もわずかな違いでしかありません。違いが微小化するに従い計画的陳腐化が難しくなりマーケティングの手口はより巧妙に進化します。心理学を抱き込んだ行動経済学では物足りず脳科学と融合した神経経済学へと発展したのはそのためでしょう。消費者の報酬系を活性化させドーパミンを分泌させ続けることが必要です。飲食店の主人は報酬系刺激とかドーパミンマネジメントという言葉は知らなくても、なかなか食べられない裏メニューを出すことでリピーターという依存症を作る脳内麻薬を心得ています。そして不要不急の消費の結果がお腹の脂肪に現れることになります。

生理的快楽と自己実現は同じ?

数日前からモバイルWi-Fiが不調になり、以前ならストレスを感じたのですがデジタルデトックスはむしろ好都合です。四六時中つながるインターネットなど身の回りにはあれば便利という商品があふれ、便利であることは他方で無用なストレスを抱え込みます。科学技術の進歩は人間や自然をいつも置き去りにしてきたと思います。Tech企業は依存のメカニズムを使ってスマホの利用時間を伸ばそうとし、かつてテレビに費やされた無為な時間がインターネットやSNSに変わり、自分自身や自然と向き合う機会は増々希薄になっています。五感を研ぎ澄ますことなく生物的な単一欲求を満たすために生きる人生は虚しいと思います。快適か不快か、美味しいか不味いかなど、単一の感覚器に頼る生理的な快楽が厄介なのは、脳がより高次な快を感じるときに分泌される神経伝達物質と同じということです。つまり刹那的な快楽と人生における自己実現といったより高次の快には同じ脳内物質が関わっているために両者の見分けがつきにくくなります。そのため人は手っ取り早い快楽を追求することと人生の目的を混同してしまうのだと思います。

自分人体実験

健康に関連する本を読みますが、その知識は仮説に過ぎず自分で実験をします。これが玉石混交の健康情報に翻弄されない最良の方法だと思います。あっけないほど簡単に体重が落ちた糖質制限の衝撃は自分の健康感の基盤になっていて、糖質過多社会こそが生活習慣病を蔓延させた主犯だと考えるようになりました。過去の栄養常識が一度崩れると自分のなかでパラダイム転換が起こり、思考が回らないからチョコレートとか、ハンガーノックには糖分、レース前はカーボローディングといった旧来の常識が偽りだったことが分かります。よくやる自分人体実験は水分以外無補給で何キロ行動できるかで、血中ケトン体濃度が上がっていれば山岳路なら40キロ程度までは全く問題がないことは何度も確認しています。従来の常識とは逆に糖質を摂らないほうがハンガーノックにならず、運動により低下した消化機能が原因で吐くのも炭水化物のせいだと疑っています。人間が生きるのに必要なのは水、アミノ酸、脂肪酸、ビタミン、ミネラルでエネルギーにしかならない糖質が三大栄養素に含まれる理由は商売の都合だと思います。

自然の力を取り込む暮らし

首都圏をはじめ広域の47河川が決壊し、阿武隈川流域でも水害による被害が広がりました。旅館のある阿武隈源流は年間降水量が多く付近には土砂災害危険箇所もありますので、無関心ではいられません。311の津波被害の際は、言い伝えによりかつては住むことを忌避されていた地域での被害も深刻でした。沿岸部と山岳地帯が多く、川が一気に水を運んでしまう災害国日本で自然との共生は大きな問題です。米国で「自然欠乏症候群」が話題になったのは2005年のことですが、ヒポクラテスは2400年前に自然から遠ざかるほど人は病気に近づくと指摘しています。便利さが優先される都市では安楽な生活が送れる反面、五感を集中させる機会が乏しく注意力が散漫になると思います。危険に会う可能性がある自然のなかでは感覚を研ぎ澄ましますが、安全な人工空間である都会では次第に注意力も衰え人は鈍感になります。年々拡大するスマホ依存が無意識の注意ともいうべき感応的集中力を奪う昨今、自然の力を取り込む暮らしとは何かを考える機会にしたいと思います。

最強の動機づけ

台風に見舞われた週末は9月末で41期が終わった会社の決算作業をしました。旅館が営業を休止している今は個人事業に過ぎませんが、飽和する市場環境ではパーソナルビジネスは大企業より有利な側面もあります。スティーブ・ジョブズはアイデアを殺すプロセスを敵と考え、大企業ならではの複雑なプロセスが作品から生命を奪っていくことを恐れていたと言います。個人事業の最大の魅力は自分の興味の赴くままに「自分プロジェクト」を自由に描き始められることだと思います。働くことを主体化できる自発的な目標こそがやる気の源泉です。巨大化した大企業でも国策企業以外はすべて自分プロジェクトから始まっているはずです。理屈が通らないルールに縛られる企業で働くより、自分の得意なことでビジネスを始めたほうが有利と考える人は増えている気がします。数年前から自分が接する学生の2、3割は起業を目指していて、大企業にタレントが入って来ない時代に入ったのかもしれません。人生の価値がフローになれる時間の総量で決まるなら、自分だけの面白そうという動機づけこそ最強だと思います。

封印された身体能力

自然は神が語りかける最も強力な道具と言われますが、都会の暮らしで自然に意識が向くのは災害のときだけかもしれません。台風、地震、火山と壊滅的な被害をもたらす自然災害が起こる日本では古来より自然を恐れ一種神聖なものと考えてきたと思います。人は自然に従い生きるものであって都市と言えどもその例外ではないのでしょう。自然を征服対象と捉えハリケーンや台風、地震・津波などの気象兵器を実用化しているとされる米国ですが、その反面で人が本来持つ身体能力を取り戻す再野生化(Rewilding)が注目されます。人類の歴史を250万年としてもわれわれはその99.99%を自然と同調する生活をしてきました。自然を断絶することで成立する都市が提供する快適性は生活環境や単一感覚器が感じる生理現象に限定されます。本来の快適さとは人々が週末に自然の元でのレジャーを目指すように、遺伝的に備わった直感により感じるものだと思います。人は自然と同調する生理的機能を持ちながら都市化された人工環境下に生きているために多くの身体能力を封印しているはずです。

不健康を蔓延させる社会

ヤフーは「揚げ物税」と称して社員食堂で提供する唐揚げやトンカツなどの揚げ物を100円値上げし、一方煮魚や焼き魚定食は150円値下げすると伝えられます。悪玉コレステロールの問題については様々な見解がありますが、分かりやすい健康経営施策として評価できます。将来病に伏せることを人は恐れますが、加齢による免疫や代謝、生体恒常性の衰えは一般に考えられているほど深刻ではなく、身体は殊の外丈夫にできていると思います。食べ物を選び適切に鍛え日々休息を取ればいくつになっても日常生活や習慣的なスポーツを楽しむ上では支障がないはずです。年のせいにしていることの多くは間違った習慣が招いた人災です。最近でこそ嗜好品や清涼飲料の害が知られるようになりましたが、社会への浸透には時間がかかります。昼食時に飲食店街を歩いても、スーパーに行っても身体を蝕む食品や飲料が溢れています。生活習慣病の危険性に警鐘が鳴らされ始めたのは1950年代初頭の朝鮮戦争の頃ですがソーダ税の導入などは最近の話です。自殺行為とも言える食習慣を放置し不健康を蔓延させる社会は不気味です。

不健康のスパイラル

天の邪鬼ではないのですが、感じていることと真実の世界は実は違うのではないか?と空想します。この思考習慣があると自分が現実世界と認識する知覚や常識が歪んでいて、真実はそことは別の所にあることに気づきます。糖質制限で体重を20kg落としたことを契機に、味覚が大きく変わりました。グルコーススパイクが起きにくくなったことによる影響だと思うのですが、それまで感じていた味覚のかなりの部分は糖を欲する脳の報酬回路により増幅されていたことが分かります。以来食欲を無条件に受け入れることがなくなり、無性に何かを食べたいという衝動が起きなくなりました。エネルギーの最大消費臓器である脳は簡単に依存や中毒症状を起こし、人が感じる食欲のかなりの部分を支配します。何が美味しいといった世間に溢れるグルメ情報さえ今はノイズに思えます。お腹が空いたというのは錯覚で、人は食べるほどに食べたくなり、持つほどに欲しくなります。自制の効かない感覚の麻痺が人を不健康のスパイラルに陥れると思います。

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