
近所の図書館に行くと、接客に問題のある男性職員がいます。自分と同年配で、身ぎれいにしていて、いかにも一流企業を最近退職したという雰囲気ですが、態度と要領が悪く、いつもため息をついています。「俺は部長で〇億動かしていたんだ」とか言いそうなタイプで、短時間接するだけで不快になります。自由になれるはずの第二の人生を、いやいや仕事をして過ごすのは不幸ですし、まわりも迷惑です。長年言われるままに働いてきた人は仕事が嫌いで、ライフシフトを理解できず、仕事の主体性を放棄します。問題は、人生の切り替えには一定の時間と準備を要することで、老後はのんびりなどと悠長に構えていると、体も心も錆びついてしまいます。自分のように、第一の人生でたいした成功も達成感もない人間はむしろ有利で、失うものに執着することなく、そのコンプレックスと復讐心が第二の人生を生きる原動力になる気がします。
社員が辞めない会社

新社会人を見かける新年度が始まると、職業と人生について考えます。夢に胸を膨らませて、社会人生活をスタートする人がどの程度の割合か分かりませんが、他方で退職代行サービスの「モームリ」は盛況のようです。この会社だけで、年度末の3/31は150名、新卒初日は134名の退職が確定したといいます。労働組合法適合の労働環境改善組合と提携する当社は、団体交渉権を持って、組合に加入した依頼者に代わり交渉を行うため、会社側はこれを拒否することができません。正社員・契約・派遣は22,000円、パート・アルバイトは12,000円の成功報酬で、退職成功率100%を継続中と言います。無料で転職支援を行い、メンタルクリニックの紹介、企業に対しては「社員が辞めない会社」への助言をしています。企業と従業員双方を消耗させる雇用のミスマッチを防ぐには、最初からお互いが誠実に向き合うしかないのでしょう。
インフラの整備された日本

先日伊豆に行った目的の一つは、オフグリッド・キャビンを見るためです。隔絶された自然環境に、公共インフラから独立するラグジュアリーな宿は、テクノロジーが実現したさらに豪華なグランピングです。沼津市戸田にあるWEAZER 西伊豆は、76㎡の客室面積で、駿河湾を望む露天風呂やテラスがあります。テスラのバッテリーシステムと、控えめな屋根のソーラーパネルは多少未来的ですが、いずれ量産化されるはずです。建築コストは2億前後とされ、あくまでも実験施設でありショールームだと思います。この施設がインフラのある集落に立地するのはやや興ざめですが、南伊豆町にガラス張りのモダンな別荘として1971年に建てられたIzu Cliff Houseは、まさに絶景の隔絶されたロケーションにあります。隅々までインフラの整備された日本で、現代的なテクノロジーを使う必要があるのか考えさせられます。
少し親しい同居人

娘が就職し、肌寒い昨日は初出勤日でした。互いにあまり干渉をしない家族で、娘は海外にいた時間が長く、そのためか感慨深いこともありません。思い返すと娘は手を煩わせることがなく、子供の頃にぐずって親を困らせた記憶もありません。女子校を退学して自分で区立中学に転校を決め、海外留学先などの進路も親に相談することはなく、親よりはるかに世渡り上手で、就職先も事後報告です。お互いの誕生日に家族が揃うことはほとんどなく、35年目の結婚記念日も過ぎてから思い出す程度です。つかず離れずの、少し親しい同居人といった感覚で、それぞれが好きなように過ごす距離感は悪くない気がします。家族という呪縛にとらわれ過ぎればかえって摩擦が生じ、一人一人が自立し尊重することが先で、結局は結束力を強いものにするのかもしれません。
コストプッシュのあだ花




週末は伊豆・雲見温泉の民宿に泊まりました。充実した刺身の付いた夕食、夜通し入れる2つの貸切温泉、清潔な客室と寝具が揃って、土曜日に二食付き9千円少々で泊まれ、しかも部屋の売り止めをしているのかほぼ貸切状態でくつろげます。リーマンショックの頃は今では考えられないほど安かった高級ホテルに行きましたが、当時の4、5倍の値札をつける今は、高級ホテルや旅館にお金を使う気がしません。商品性の評価において価格は外せない要素であり、「金はいいから最高のものを持って来い」という考え方は、マーケット感覚をマヒさせビジネス人として不適格だと思います。インバウンドで賑わう一部の観光地は相変わらず物価高騰中ですが、そこで売り抜けて儲けられる事業者はわずかだと思います。夕食なら4、5万円、室料なら10万円が当たり前というコストプッシュ型の高額宿泊施設は、あだ花に見えます。
N-VANは日本の水道水

週末は家族と伊豆に行きました。娘は高校以来海外にいることが多く、日本にいてもバイトか友人と出かけ、家族と旅行に行くことはまれです。運転席以外は30分以上座れないと酷評されるN-VANですが、3人で伊豆半島の先端まで走ってもパッセンジャーから目立ったクレームはありません。自分では運転席以外に座ることがないので正当な評価はできませんが、最小排気量の商用車でも過不足がなく、むしろ細い路地に迷い込んでその小ささに助けられたことは何度もあります。NVHが抑え込まれた乗り味は商用車然とした安っぽさがなく、オーディオを含む機能にも不満はなく、この車が100万円台半ばで買える日本のものづくりには驚きを禁じえません。結局N-VANは水道水のようなもので、高価な浄水器を付ける人からすれば水道水を飲むなど狂気の沙汰に見えて、これだけクオリティの高い水道水が飲める国は、世界的に極めて希少なのと同じだと思います。
読書習慣を変えるAI

最近読書量が減ったのはYouTubeに費やす時間が侵食を始めたからです。YouTubeの人気コンテンツの一つに本の要約があります。書籍を要約して有料で配信するサービスもありましたが、個人的にはこれらのサービスに利用価値を感じません。とくにYouTubeの本の要約は、再生時間を稼ぐためかムダに長い反面、凡庸な内容で頭に入りません。これらのコンテンツが本の価値を奪うことはないと思いますが、AIに本を要約させると、オーダーメイドで自分の関心や疑問点をピンポイントで解説してくれて、もはや本を読む必要はなくなるかもしれないと思わせます。良書なのですがやや難解で挫折した管理会計の本をAIにかけると、的確に分かりやすく解説してくれます。著者と対話をしながら読み進める楽しみとしての読書は残るでしょうが、仕事に使うために答えだけが欲しい書籍は、AIとの対話が代替してしまう気がします。
脳の運動不足

現代のホワイトカラーにとって、ChatGPTを使わないことは大きなハンディになります。毎日ChatGPTを使いますが、無料版のためにすぐに利用制限に達します。有料版のChatGPT Plusへの登録も考えますが、無料版を使い続ける理由は22ドルが惜しいだけではありません。高度なAIが毎月22ドルで使えることは驚異であり、投資価値は十分にあります。それでも無料版を使うのは脳を守るためです。Plusでも利用制限はかかりますが、AIに依存し頭を使わなくなるのは確実です。毎朝400字未満の文書を書く習慣も、脳の機能維持が目的です。3時間の時間制限は脳を守るデジタルデトックスになり、直前の回答を引用して簡潔に質問するなど、効果的なプロンプトを考えることも脳トレになります。狩りに行かなくなった現代人が健康維持のためにトレッドミルの上を走るように、強制的に頭を使う時間を持つことは、脳の運動不足を防ぐために必要でしょう。
不都合な真実

アンデシュ・ハンセンの「運動脳」を読みました。本書が、人口1,000万のスウェーデンで70万部近いベストセラーとなったことは、運動が脳を育むことが常識になった証左と言えそうです。この分野の古典と言える名著「脳を鍛えるには運動しかない!」(ジョン・レイティ著)ほどの具体的な検証データは示されていませんが、脳細胞を増やす最高のエクササイズが体を動かすことに疑いの余地はありません。人類の長い歴史の大半は、体を動かさなければ食料を手に入れることも生き延びることもできなかったために、われわれは安楽な生活と昔ながらの肉体の乖離に苦しめられます。抗うつ剤より運動の方がはるかに有効なことは、四半世紀前なら非常識でした。こうした事実が陰謀論扱いされてきたのは、不都合な真実が広がることで不利益を被る勢力があるからですが、それは今も未来も続くのでしょう。
安住は人類の退化

先週末丹沢に行ったときは山が雪を被り冬の装いでしたが、今週は一転して初夏の陽気です。花粉症の季節をスキップできるなら個人的には歓迎ですが、熱帯地域の暑さと雪国並みの寒さの二極化は、四季を慈しむことで情緒を形成してきた日本人にとっては問題です。今の日本で四季を感じる方法は、移動することだけかもしれません。植物に脳が無いように、脳は生物が移動するために発達してきました。600万年前に人類が猿から分離したとされる頃から、人類の脳容量が3倍に拡大してきたことは、移動と無関係ではないでしょう。人類が農耕・定住生活を始めたのは人類史全体からみればわずかな期間ですが、近年、脳が縮小していることはその裏付けのような気がします。人は安住する穏やかな暮らしを望みますが、食べ物を求めて歩き続けてきた人類を、退化させることなのかもしれません。