東京五輪の延期判断が焦点となりますが世界が注目した日本の危機管理能力は及第点以上だったと思います。多くの人が不安に感じた中国との全面的な渡航制限を遅らせた対応も問題を起こさず経済とのバランスを取った格好です。韓国がスクリーニング検査で偽陽性を増やし医療崩壊のスパイラルに向かったのに対して確定検査に絞った判断も日本に味方しました。例年よりインフルエンザが激減しコロナウィルスの死亡確率を考慮しても生命への危険はむしろ例年より減じたと言えます。何より世界一薬を消費する日本が医療介入を最小限にすることで危機を回避したことは朗報でしょう。多くの人は今でも病気は薬で治すと誤解していますが、自殺する30代、40代の100%が向精神薬を飲み、大腸癌は刺激性下剤の使用が要因とされます。鬱だから自殺のするのでも便秘だから大腸癌になるのでもなく第三の因子としての薬の存在は見逃されています。同様に健康食品やサプリメントも血中濃度を一定に保つ恒常性が人体には備わるので無駄だと思います。
解糖系がもたらす災い
昨日は八ヶ岳の三ツ頭(2,580m)に登りました。鼻うがいで花粉症の症状が消え、雪の残るこの季節に山に行くことは念願でした。山に行くときは朝食を食べず行動食などの補給もしません。トレイルランニングを始めたのはそう昔のことではありませんが、欧米では迷信扱いのカーボローディング(糖質補給)が当時の日本ではまだ信じられていました。糖質を減らせば簡単に正常体重に戻ることを経験していたので、欧米の常識が正しいことは最初から分かりました。福島にいた頃は糖質を補給せず山を4、50km行動してもエネルギー切れすることはなく、遭難防止のために携行している行動食を使うこともありません。エネルギー源は1gあたり9kcalと燃費の良い脂肪を使うので、お腹やお尻の贅肉も自然と落ちます。対照実験のために糖質を摂って運動すると1gあたり4kcalと燃費が悪く途中でエネルギー切れを起こし補給をし続ける必要があります。従来の栄養学が神格化してき解糖系エネルギーシステムは、抗生物質による感染症治療が人々の寿命を劇的に伸ばした一方でアレルギーや自己免疫疾患を発生させたのと同じように、世界に蔓延する肥満という災いをもたらしています。
心身のバランスを取り戻す山への巡礼
昨日は編笠山の肩にある青年小屋まで往復しました。冬型の気圧配置で雨は夜半に雪に変わり一気に冬に逆戻りです。西岳山頂を越えて北斜面に入ると、5月の連休まで積雪が残る豪雪地帯だけに一気に積雪が増え、踏み抜くと腰まで雪があります。雪のない季節なら穏やかな山域ですが、冬に見せる表情は人を近づけない厳しさがあります。前日には同じ八ヶ岳の赤岳で滑落した男性が、唐松岳ではテントごと飛ばされた男性がそれぞれ死亡しています。不可思議な魅力に包まれると同時に山は魔界です。人々が山に引き寄せられるのは自己を霊的エネルギーが高い場所に置くパワースポットめぐりと同じ理由です。この時期の厳しい自然環境は精神性を高める効果があり山への巡礼は一層の高揚感を伴います。弘法大師は都の世俗生活のむなしさを説き大自然を相手に山中で暮らす生活の素晴らしさを伝えたとされます。国土の7割が山の日本では古来より山を神霊の宿る聖地としてきましたが、現代人が山へ向かうのも普段の生活で失った心身のバランスを取り戻すためだと思います。
老後は存在しない
卒業旅行で娘が滞在していたルワンダが「アフリカ随一のICT立国」というのはマーケティング上の枕詞らしく実際には貧しさが目立つと言います。ボランティアをしていた小学校や幼稚園では栄養失調の子供が多いそうです。食べられない生活が不幸なら、嗜好性に任せて好きなだけ食べる生活も不幸です。お金に窮すれば不幸ですが、いくら稼いでも足りない欠乏感も不幸です。お金に対する考えが変わったのは第二の人生を始めてからです。終身雇用が続いた日本では第二の人生は長らく「老後」を指しましたが、脱サラや転職、リタイア、余生とも異なります。第一の人生が衣食住の充足と子供を育てることなら、第二の人生は群れ(社会)への貢献と自己の興味の探求でしょう。まわりには第二の人生のロールモデルになる人がいますが、多くは第一の人生とは違う仕事を持ちます。稼ぐことのプライオリティは下がりますので、やりたいことをやりたい人とやり自由に働きます。肩書を使って威張る必要もありませんから年代性別を問わず友人が多いことも特長でしょう。50歳前後で更年期を迎え人体が変わるように生き方も改める必要があると思います。天下りや名誉職で第一の人生の価値観を引きずって生きる老害が哀れに見える時代が来るのでしょう。
客は検死官?
昨日は家の洗濯機を交換してもらいました。ショールームにあった型遅れ機ですが、見た感じは新品と変わりません。交換作業を見ていて感心したのは、20年以上前に大工さんに作ってもらった木製のカウンターの洗濯機を固定する箱が天地左右とも1mmの隙間もない精度で作られていたことです。そこで思い出したのはピーター・ドラッカーを診ていた歯科医の話で、ドラッカーが「あなたはどのような仕事人として記憶されたいか?」と聞いたときの答えです。その歯科医は私が診た患者が検死されたとして、検死官が治療された歯を見て、「生前この人は相当腕の良い歯科医にかかっていた」と言われたいと答えたことです。つまりプロの仕事とはお客さんには気づかれることのないレベルへのこだわりだと思います。旅館を発つときに宿の人が客の車が見えなくなってからお辞儀をするのにも少し似ています。昨今は当たり前のこともできずノリだけでいい加減な仕事をする企業も見受けられます。先輩世代が丁寧な仕事を誠実に行うことでメイドインジャパン神話を産み出してくれたことを心に留めるべきだと思います。
老大国の生き残る道
卒業旅行でルワンダに行っていた娘を迎えに成田に行きました。高校の卒業式がキャンセルになりビザ有効期限まで滞在を延ばし1ヶ月ぶりの帰国です。赤道に近い人口1,200万人の小国がアフリカの奇跡と呼ばれる経済成長を続けICT分野で投資家から注目を集めていると言います。ルワンダといえばわずか100日の間に人口の1割に当たる80万人~100万人が殺害されたジェノサイドの悲劇を思い出しますが、AI、IoT、GISなど最先端テクノロジーを駆使したスタートアップのメッカとは知りませんでした。アフリカのシンガポールと呼ばれるポール・カガメ大統領の独裁政治は、マスク転売が問題になると翌日には罰則が適用されるスピード感だそうです。一方で成田空港のWi-Fiは人がほとんどいないのに実用にならず今でも未開国のままです。地下資源に恵まれず港を持たない内陸国を逆手に取るルワンダの躍進を見ていると、十分に恵まれながら大半の国民が抵抗勢力にまわり国ごとゆでガエルになりつつある極東の老大国にも生き残る道があると思えてきます。
健康のための野生
例年この時期は花粉症で身体は常に風邪のような症状でだるく思考も止まりくしゃみが止まらなくなるので車の運転もできません。しかし、灯台下暗しで鼻うがいをするだけで症状が消えました。水道さえあればどこでもできて日に2、3度の鼻うがいだけでハノイや沖縄に避難する必要がなくなりました。花粉症の原因は腸内細菌説、乳製品説、ビタミンD不足説、pm2.5説など諸説ありますが決定的なのは東西ドイツの意図せぬ対照試験だと思います。東ドイツの子供の花粉症は西ドイツの3分の1で、アレルギー疾患は衛生環境が整い生活水準が上がるほど発症します。農耕や牧畜によって自給自足生活をするアーミッシュの子供の花粉症は米国平均の20分の1とされます。狩猟採集だった人類は元来野生動物だったわけですが、人間の脳と筋肉組織は7万年~1万年前の最終氷期にピークを迎え農耕中心の共同体で人口が増えるに従い体力が衰え頭も鈍くなったとされます。野生環境で生き抜く能力を取り戻す野生システム復活の気運が高まるのかもしれません。
欲を浄化するスノートレイル
昨日は八ヶ岳南端の西岳(2,398m)に登りました。登山口で氷点下7度ですが無風で八ヶ岳の主峰赤岳、富士山、南アルプス、中央アルプス、御岳、北アルプスの南端まで望むことができます。往復3時間弱の散歩感覚で、行きは歩く瞑想、帰りは走る瞑想になります。雪のトレイルを一歩一歩登っていくと直感が冴えてきて自分が何をしたいのか本当の姿が見えてきます。十分に満たされていてこれ以上の欲求は無用と思えてきます。平和な日本で不自由なく生かされているのに何を悩み何に不安を感じる必要があるのかと思い至る頃に山頂に着きます。身体を使って心を修める一般人のための実践的な宗教が修験道だと思います。高尚な宗教哲学ではなく修験によって体を変えれば心も変わります。登山そのものを教義の中心に据えて人間の感覚を研ぎ澄ませて行く宗教は日本の修験道だけです。千数百年前から修行の場である山中を素早く移動していた修験者はトレイルランナーの元相と言えます。雪で整地された下り道は走るのに最適で、9時前に下山すると心も体も浄化され、スノートレイルから始まる一日は理想的です。
フィアットとラブが同志
一昨日フィアットのオドメーターに1が並びました。最初の車に13年で14万キロ乗って以来、10年10万キロ乗る主義で10万キロ超4台目の今の車が5年と最速で到達しました。1.2Lディーゼルの大衆車なのに以前乗っていた大型車より気に入っています。以前の車の方が出せるスピードも車格も上ですが、いつもストレスを抱えていました。高級な車ほど細かな不具合が気になりますが、フィアットは正確すぎる警告灯が過敏に反応するぐらいです。小さい車は全開で運転できる楽しさがあり日本の道でもストレスがたまりません。登山道にアクセスするための林道は路面状態が悪く高級車なら躊躇しますし、狭いので大型車では入れません。大型車が停められない駐車場の小さな隙間に入り込むこともでき、燃費も良いので給油のたびに憂鬱な思いをしなくて済みます。車に限らず高価格の商品は良くて当たり前ですが、知的な消費者はお金をかけずに満足を得るものだと思います。雪に閉ざされる甲子高原の厳冬期を一人で乗り切れたのもこのフィアットとラブラドールがいたからで、自分にとっては同志のような存在です。
文化財級の奇跡
昨夜は酒田近郊の湯の田温泉に泊まりました。ビジネストリップのついでに行く小旅行が好きです。じゃらんで安い順にソートをかけて前の夜に5分ほどで見つけた宿ですが、歓迎看板が出される玄関からして只者ではない趣があります。明治元年創業、建物は大正時代と事も無げに五代目の主人は言います。波打ち際まで十数メートルの客室でこたつから雪見障子越しに海を眺めていると、荒天だった昨夜などは2階にいても波にのまれるような錯覚を覚えます。生業としていかにも真面目に営まれる宿という雰囲気で、錆びついた冷蔵庫にはジュースとビールが入りあらゆるところに非効率が見られます。大量に観光客が押し寄せる時代には合理的だったやり方を時代が許さないのでしょう。生産性の概念を導入したときから旅館情緒も一緒に失われたと思います。Wi-Fiもつながりませんからデジタルデトックスにもなります。魚づくしの夕食は絶品で糖質制限なのにご飯を3杯も食べてしまいました。昭和の風情を愛し星野リゾートには馴染めない世代にとって、文化財級のこの懐かしい旅館は奇跡だと思います。水平線に沈む夕日を眺めに来たい宿です。