文化財級の奇跡

昨夜は酒田近郊の湯の田温泉に泊まりました。ビジネストリップのついでに行く小旅行が好きです。じゃらんで安い順にソートをかけて前の夜に5分ほどで見つけた宿ですが、歓迎看板が出される玄関からして只者ではない趣があります。明治元年創業、建物は大正時代と事も無げに五代目の主人は言います。波打ち際まで十数メートルの客室でこたつから雪見障子越しに海を眺めていると、荒天だった昨夜などは2階にいても波にのまれるような錯覚を覚えます。生業としていかにも真面目に営まれる宿という雰囲気で、錆びついた冷蔵庫にはジュースとビールが入りあらゆるところに非効率が見られます。大量に観光客が押し寄せる時代には合理的だったやり方を時代が許さないのでしょう。生産性の概念を導入したときから旅館情緒も一緒に失われたと思います。Wi-Fiもつながりませんからデジタルデトックスにもなります。魚づくしの夕食は絶品で糖質制限なのにご飯を3杯も食べてしまいました。昭和の風情を愛し星野リゾートには馴染めない世代にとって、文化財級のこの懐かしい旅館は奇跡だと思います。水平線に沈む夕日を眺めに来たい宿です。

Translate »