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実需の本音

昨夜は弘前のドーミーインに泊まりました。ドーミーインの戦略は1.5流の立地にそこそこの客室、卓越した大浴場、そこそこ以上の朝食を組み合わせて、駅前の東横、アパ、ルートインのプラスアルファの値段を取る戦略です。出張ついでに温泉でリフレッシュして朝から仕事をするときの前泊に利用します。夜通し入れる天然温泉と朝5時から営業するサウナが選択の理由です。5時や6時から大浴場を営業するところが多いのですが、3~4時には起きてしまう自分にとって通し営業は大きな意味を持ちます。今どき稼働も低く夜間に浴場で事故が起きると困るので、夜中の営業を止めたいところが大半なのに夜通し営業する潔さがあるために競合ホテルがこのニッチに参入しないのだと思います。大浴場を利用する男性客が多く水道料が10%程度減るとの試算もあり、客室をシャワーにすることで清掃時間を効率化できます。スタイリッシュな世界とは無縁ですが、手堅い寮ビジネスをしてきただけに実需の本音を知っているホテルと言えそうです。

住まないと分からない地域の魅力

昨日、30年ぶりに弘前に来ました。弘前は趣のある美しい街ですが、1ヶ月半滞在したのに街の印象が記憶に残っていません。乳頭、玉川、酸ヶ湯、蔦、恐山など近隣の温泉には時々来るのに、弘前に関わりのある自分のような人間さえ関係人口に取り込めないのは魅力の伝え方に問題があると思います。どの地域でも通り一遍の観光案内を作るだけで、「伝えたい」という発信側の情熱を感じません。弘前城公園の前にあるスターバックスのリージョナルランドマークストアは陸軍第8師団の師団長官舎として1917年に建設された和洋折衷の建物で登録有形文化財に指定されます。近代登山史における世界最大の山岳遭難事故である八甲田雪中行軍に関係したのも弘前歩兵第31連隊です。この官舎は遭難事件の15年後に完成していますので時間的な接点はないのですが、当時の光景を想像します。優れたコンテンツは日本中に眠っているのに、ユーチューバーやブロガーに丸投げしてもブームは一過性で終わります。地域創生にはよそ者、馬鹿者、若者と言われますが、その土地に住まないと分からない地域に根付いた魅力の再発見こそ観光客にとって魅力的なはずです。

重いテーマが軽薄に消費される時代

ウィルス騒動で霞む国家存亡の大惨事から9年が経ちました。そして今は消費増税で10-12月GDP が-7.1%となり、武漢ウィルスが追い打ちをかけ、戦争で3回中止されたオリンピック開催の可否が注目されます。生命への危険が回避されると心配事は経済に移ります。この1ヶ月ほどインターネットに接続する時間が増え、つい見てしまう識者の解説は心配事を増やし、人間の欲や保身への憤りが身体を不健康にします。遠い祖先は自然現象を神の意思と捉えて恐れましたが、現代人は人智を超えたものへの畏敬の念を失い唯一の拠り所は金銭欲です。気候変動問題を熱弁したアル・ゴアの自宅の電気代が問題視されたように、理想を掲げる人のなかには言行不一致のご都合主義者が少なくありません。環境活動家の背後にはそれをプロデュースしてマネタイズする仕組みがあり、幸せを語る識者が裏では法外なギャラを要求する姿はタバコ臭い健康食品店のようなものです。重いテーマが軽薄に消費される時代こそ、真贋を見抜く洞察力が必要だと思います。

宿泊業界こそチャイナデカップリング

レバノンがデフォルトを宣言しドミノが危惧されるなか韓国ではアジア通貨危機の悪夢が蘇ります。2月の中国製造業PMIがリーマン・ショックを上回り過去最低を示したように世界のGDPの低下は必至で、パンデミックが収束しても経済損失は2兆7,000億ドルとされます。これまでの経済危機と異なるのは人の動きが制限されることであらゆる産業で日銭が止まり始めたことです。年度末に向かい急な動きで経済が失速することを多くの人が実感することは過去にはありませんでした。宿泊業界はその最大の被害者ですが、即効性を狙ったアベノミクスの生み出したインバウンドバブルの責任とも言えそうです。安普請の店が増えて風情を失った京都は24ヶ月連続で日本人客が減り、上質な国内マーケットが敬遠するようになったのは銀座も同じです。宿泊業界はバブルの後始末でリセットすべきところをインバウンドバブルで延命させた格好です。世界はチャイナデカップリングの動きを強めていますが、観光宿泊業界は国内需要を諦めずに活性化すべきなのかもしれません。

気の利いた助言などできない

週末に娘の高校の卒業式ならぬ卒業証書授与式がありました。大半の生徒が出席しましたが滞在を延ばして今もルワンダにいる娘は欠席しました。中学に入った頃から我が家では娘は放任状態ですが、直感に従い行動することの重要性が増す時代には旧人類の親は気の利いた助言などできず、見守るしかありません。社会の価値観に従う右肩上がり経済、終身雇用世代と、自分の価値観を貫けるポストバブル世代では生き方は大きく異なります。端的に言えばリンダ・グラットンの言う3ステージからマルチステージへのパラダイムシフトです。マルチステージ時代は誰も考えなかった発想と、それを検証するサイクルからビジネスが生み出され、行動力とスピードが全てだと思います。ウィルス騒動は金融危機から世界同時不況を引き起こす時代の潮目を象徴する出来事になる気がします。世間の常識的価値観に囚われ一見安定した仕事につく生き方こそ危険であり、他人の常識から離れ自分の使命を見つけ心の奥底から満足と喜びがわく仕事を軸にする生き方こそが環境変化に柔軟に適応できるのだと思います。

不誠実を洗い流すパラダイム転換

不気味な広がりを見せる新型ウィルスは、3割近くの人類が感染したとされるスペイン風邪に似た感染力や致死率と指摘されます。IOC幹部によるオリンピック開催判断期限の言及もあり経済や社会生活への影響は計り知れません。リーマンショックを超える激震の震源地である中国は「他の国と同様、中国もウィルスの被害者だ」と公言するなど問題が起こるたびに利己的な人間の醜さが現れます。日本人客が多い理由で横浜に係留されたクルーズ船はイギリス船籍、米国運営なのに「浮かぶ武漢」と米英からの日本批判に利用されました。権力対峙を気取る国内のマスコミも日本の感染者数を増やすためにクルーズ船の感染者をカウントして世界に発信します。ビジネスの世界でも信義や誠実さよりも利己的な儲けのみを優先する短絡的な思考が広がっているように思えます。勝ち負けや儲けを追求するあまり、世界は人としての正しい道を見失ったと思います。米国で小学生1,500人を80年間観察したスタンフォード大学の研究によると長寿に最も関係する性格は誠実性でした。誠実性が感じられないオールドメディアが遠からず淘汰されるように、誠実さを失った企業や政治が洗い流されるパラダイム転換が始まる予感がします。

日本人の都会への執着

フィアットの警告灯がエンジンの異常を示し整備工場に行きました。氷点下10度の長野県と東京の始動時の気温差20度をセンサーがエンジンの異常と認識したようです。5年で11万km走って生じた不具合は過敏な警告灯だけで、手をかけるのはよほど汚いときに洗車機にかけるぐらいです。以前乗った車はよく自分で磨きましたが、きれいにしないと気が済まなくなり精神衛生上良くありません。手をかけないのに健気に走るフィアットには愛着を感じます。人間関係もモノとの関係も適度な距離感が心の平安のためには必要だと思います。こだわりと執着は双子の兄弟で、過剰な期待をすれば裏切られたときに失望します。こだわりがなければ自分らしさを失うと昔は思いましたが、今は食べ物、洋服、車や持ち物にもこだわりはなく、あるとすれば機能性に対するコストパフォーマンスだけです。先進国に限れば都市的なものに強いこだわりを持つのは日本人だけのような気がします。海外に比べて洗練された暮らしが地方に少ないのは、都会への強い執着があるからだと思います。

オールドメディアの終焉

武漢ウィルス騒動で決定的になったのはオールドメディアに接しなくなったことです。騒ぎを煽って視聴率を上げる低俗さや無責任な報道姿勢が目立ちます。普段から膨大なジャンクメールを送りつけてくる新聞社系サイトは有料記事に誘いますが、今どき偏向報道にお金を払う人などいません。オールドメディアの権威が通じるのはデジタルデバイドの一部の年配者ぐらいでしょう。一方でYou Tubeやブログは主張とスタンスが明確ですからバイアスに騙されるリスクが下がり複数の識者の話をつなぐと妥当な見解が見えてきます。オールドメディアと同様に問題なのが国民の関心の無さだと思います。民度が上がらない限り国家の哲学や国のあり方を根幹から決める議論は進みません。何かと言えばすぐに戦争に結びつけて騒ぐような左翼のバカバカしさも明らかになりました。軍事衝突よりリーズナブルな細菌兵器への備えのなさを世界は身を以て証明したのかもしれません。

武漢騒動の功名

卒業旅行でルワンダを訪れている娘は高校の卒業式が中止になったことを幸いに滞在を10日間延ばしてボランティアをするとラインをしてきました。中国からの入国禁止を躊躇しているうちに今度は中国が日本からの入国を制限するという逆転現象が起きウィルス発生源は中国とは限らないと言い始めました。媚中政治家は中国にお礼に行きたいと言い、中国に振り回された日本は共犯にされかねません。お上や権威に従うことに慣らされた日本はこれまでは米国追従で自分の頭で判断する必要がなかったのですが、日本の渡航制限に言及するトランプはそこまで親切にするつもりはなさそうです。WHOに入れてもらえない台湾が1月初旬の総統選の頃には早くも武漢ウィルス対策を始めて矢継ぎ早に打つ対策で発症数を抑えてきたのとは対象的です。重要なことはこの試練からいかに学びそれを活かすかだと思います。

貨幣経済を離れる野生システム

昨日は「GO WILD 野生の体を取り戻せ!」を読みました。純粋に楽しみとして読み返す本のうちの一冊です。この本の真骨頂は「野性的な先住民は現代人よりはるかに賢い」という主張です。世界的なウィルス感染拡大が未知の領域に進む今、「文明以前の人間が持っていた野生を今こそわれわれは必要としている」と断言する著者の言葉に重みを感じます。現代人を万物の王者とみなす考え方に真っ向から対立するその主張は、最初に読んだ5年前とは違い今は強く賛同できます。進化生物学者は、人体はこの4、5万年の間に生物的な進化をしていないと指摘します。農業文明が定着して1万年が過ぎてやっとわれわれは小麦の悪魔性に気づきましたが文明病は世界に蔓延した後です。「再野生化」は文明病を克服すると同時に幸せに近づく道でもあります。幸せの三要素は時間の自由、健康の自由、お金の自由です。われわれが誤解して来たのはお金の自由とは、お金に不自由しないことではなく、執着と束縛の元凶である貨幣経済を離れることだということです。

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