極限で知る直感

健康になるのが難しい理由は、人体が矛盾の間にバランスを取ることで成立しているからです。生きるのに不可欠な酸素は活性酸素を生み有用であり有害です。食べ過ぎると生活習慣病になりますし、ビタミンDなどの体内合成に必要な太陽光は皮膚がんの原因になります。健康の収支計算で絶妙なバランスを保つことが必要になり、最終的には野生動物としての人間が持つ直感がその判断に役立つと思います。しかし、本能的な欲求と生物としての直感を見分けることは厄介です。人は欠乏感を埋めたい本能的な欲求から快楽を求め、一方で不快を避ける安楽な生活を求めます。前者は中毒になり後者は生きる力を失います。欲求と生理機能の間に生じるずれをなくす手がかりは極限状態の運動にあると思います。エクストリーム・スポーツが魅力的なのは、いわゆるフロー状態でつきものが落ちるような爽快感をもたらすからです。こうした経験から人は、自分本来の身体能力を知ると思います。

自作自演の夏バテ

夏バテ対策ならスタミナメニュー、年をとったら肉食が良いという主張は間違った思い込みだと思います。国際がん研究組織IARCは加工肉の発がん性を喫煙やアスベストと同等レベルのGroup1と判定し、牛・豚・羊などの肉については発症メカニズムを裏付ける相応の証拠に基づく発がん性があるGroup2Aと判定しています。肉を食べた時の便の変化を見ると発酵と腐敗の違いは明らかで、体に良かれと思い肉を摂取する誤解は危険です。体に負担をかける肉を消化できるのは元気だからであって、肉を食べるから元気なのではありません。健康常識には、このような因果が逆転しているケースが少なくありませんが、知ってか知らずか間違った常識は放置されます。夏バテ対策メニューが消化、吸収、代謝を悪化させ、夏が終わる頃には自作自演の夏バテがやってきます。

金で買う健康

複雑に見えることが実はシンプルな方法で解決できると気づくとき、目から鱗が落ちると言うのでしょう。年初から腰痛に悩まされていましたが、テニスボールで腿の外側を押すと翌日には目に見えて症状が改善しました。30年来の胃の不調を治したのは水分を減らすだけですし、何度も挫折したダイエットは朝食から糖質を抜くだけで20kg減りリバウンドとも無縁です。体の不調は簡単に治らないという思い込みが自ら健康になる機会を遠ざけていると思います。誰もが昔から知っている言い伝えを守るだけで人は健康になれるのに、欲望を優先する生活習慣で自分を傷つけ高い医療費を払い健康産業に貢献します。若い肌と言えばコラーゲン、膝の痛みにはグルコサミンやコンドロイチンといった連想で健康を買う人は後を断ちませんが、その投資に見合う効果は見込めないと思います。健康を買う発想はそれが手軽だからです。家計調査によると2000年からの19年間で消費支出全体が12.4%のマイナスに対して、医薬品は20%、健康保持用摂取品は93%増加しています。洗脳しやすく権威に弱い消費者がいる限り産業は安泰でしょう。

欠乏がもたらす豊かさ

「こんまりメソッド」の広がりなどミニマルな生活は依然人気です。清貧の思想や断捨離が話題を集めた時期もあり、豊かな暮らし一辺倒だった社会は昭和が終わる頃から変わったと思います。ある種のミニマリズムに人々が魅せられるのは、豊かさを目指すことの弊害が無視できなくなったからでしょう。気がついたのは、豊かになると信じて買ったものが、むしろ欠乏感を増長させるという不都合な事実です。35㎡に3人とラブラドールが暮らす仮住まい生活は1年以上続いていますが、35㎡を与件として受け入れてしまえば何も困らないことに気づきます。倍の面積の家から引っ越す際に大量のゴミを処分したように、豊かさの中身は無駄によりかさ上げされています。狭いながら今の住まいは3ヶ所のワーキングスペースがあり、考えをまとめたいときはバランスボール+ダイニングテーブル、集中的に作業をするときは二段ベッド下の固定椅子+ライティングデスク、リラックスして資料を読みたいときはベッドと使い分けが可能です。欠乏がもたらす良い面を、豊かさという幻想が過小評価させていると思います。

移動の価値

情報流通量が増えると人の移動も増えると言われてきましたが、最近は疑問を感じます。行かないと分からないこと、伝わらない臨場感がある一方でSkype、Zoomを使うようになると初対面でも仕事に使えますから、打ち合わせに行くことは割に合わないと思えます。東京に住むメリットは多くのセミナーや会合に行けることだと思っていましたが、半日も拘束される上に聞きたくない話も聞かされます。大勢の人を集めるセミナーに行くよりも多少のタイムラグがあっても膨大なユーチューブ動画から優良コンテンツを探した方が勉強になります。実車が展示されるモーターショーでさえその見直しが議論されるのも時代の流れでしょう。サラリーマンを苦しめる通勤など、日常的な移動が減り、転地効果を狙った非日常の移動が増えていくと思います。旅館業で考えると、自然の懐深く入り普段は取れない静かな時間を過ごしたり、旅の余韻に浸る静寂さのなかで自分と向き合うなどのニーズが今以上に重視されると思います。

限界効用逓減の法則を隠す消費社会

日本工学院に行く木曜日は自動車を運転します。当時は誰もがそうだったように16歳から原付きに乗り始め、40年ほど運転をしていますが、今乗るフィアットがエポックメイキングなのは初めて車を小さくしたことです。排気量は4分の1になり、燃料費は6分の1になりました。車が小さくなると自分が主体的に動かす身体感覚が蘇り、乗せられている感じの大型車より楽しめます。最初の車は叔父からもらったすでに10年落ちになっていた1970年代初期の三菱初代コルトギャランのベーシックモデルです。最初の車がクーラーもないスパルタンな車だったから運転に集中でき、今でもプリミティブな運転の魅力を求めます。その後排気量を上げていき、500ccのバイクや4,500ccの車に代わっても、初めて原付きや車を運転した爽快さを超えることはありません。誰もが感覚的に本音の部分では分かっている限界効用逓減の法則がバレることを産業側は恐れ、消費者もその事実を認めたくないのだと思います。

友好親善の幻想

隣の国では日本製品の排斥が盛り上がっているようですが、困るのは韓国の事業者だと思います。訪日旅行を取りやめると困るのは日本国内の企業ですが、損害を被るエアラインや代理店は韓国ですから痛み分けです。日本統治下の話をしたお年寄りを殴り殺したり、レクサスをパンクさせるほどに国民を劣化させた反日教育の愚かさに気づかない思考回路は日本人には理解できません。人が抱えるストレスの大半は人間関係に起因しますから、対策は悪い関係を断つことです。感情の起伏が激しく、嘘でも主張を曲げず、ときどき攻撃的になる厄介な友人と良い関係など築けるはずもなく、関わり合いを持たないことも選択肢だと思います。韓国の無分別さが利したのは、戦後レジームから脱却し日本を取り戻す、と唱えていた安倍政権かもしれません。写真はソウルの戦争記念館の朝鮮戦争の展示で、釜山まで追いやられた韓国を国連側の補給基地だった日本が助けたことが分かります。

未来は生きる力を育む

物騒な話ですが来年のオリンピックが終わると死ぬ人が増えると思います。21世紀をこの目で見たいと思っていた人は、21世紀の幕開けを見届けて亡くなったといいます。まだ見ぬ未来は生きる力を育みます。残念なことに日本の未来はバラ色とは言えず、今の社会に生きる原動力と言えるほどの力はありません。生きる力が健康や幸福を支配しますから、人生を人任せにせず主体化することが大切だと思います。恵まれていても、未来に展望もなくただ今を消耗するような生き方は虚しく、情熱と生命力は先細っていきます。情熱を生むには挑戦が必要ですが、必要に迫られないと人は挑戦をしません。誰もが安楽で苦労のない人生に魅力を感じますが、恵まれることの罠は生きる必然を見失うことです。未来に向けて自分のスキルにレバレッジをかける努力をしなくなれば、いつかは終わりを迎える残りの人生の恐怖とともに生きることになると思います。

エネルギー消費は豊かさの象徴?

唯一無二の普遍的通貨であるエネルギーを軸に人類史を遡る「エネルギーの人類史(上・下)」を昨日読みました。人間の筋肉が唯一の原動力であった時代から、より高い効率を生み出す家畜が使われるにようになり、筋肉の力学的効率によって決められていたエネルギーはやがて水力、風力、非生物原動力の蒸気機関へと発展しながら労働生産性を高めてきました。いまや経済的に恵まれた上位4分の1と下位4分の1の人が直接利用するエネルギー量の差は40倍とされます。19世紀のイギリスの刑務所で懲罰手段として導入されたトレッドミルを、現代人はスポーツクラブでお金を払って踏みます。歩くか走るという2つの移動様式で個人の移動の全てが占められていた時代ははるか彼方ですが、現代人を夢中にさせるトレイルランニング競技はあたかもその時代に回帰するトレンドに見えます。世界中を震撼させたアメリカ同時テロのハイジャック犯が持っていた武器は数本のカッターナイフだけでした。後期旧石器時代から3万数千年の隔たりで定住生活様式に移行するに従い足の骨の曲げ強度が低下していること以外、人体は以前とさほど変わっていないと言います。40倍のエネルギーを消費するようになった日本人の今の生活が、本当に進歩の結果得た豊かさだったのか考えさせられました。

人は遺伝子の乗り物に過ぎない

健康本の大半は医師や治療家によって書かれたもので、医師免許という権威を背景に各々自説を唱えます。しかし医療費も医者も増えているのに、病気は減るどころか増え続け、いまや2人に一人が癌になる時代です。理由は明らかで病気を患者が作り出しているから、本人が生活を改めない限り病気は減りません。生活習慣病が主題となる21世紀には、医学の役割は発症メカニズムの究明に向けられるべきだと思います。もうひとつの問題は一分野の専門家が、複雑な人体というエコシステムを扱うことの弊害です。ホリスティックな観点から関連する全ての分野を結びつけて考える必要がありますが、現在の縦割り医療システムはそれに適合していません。あらゆる知識を関連させてつなぐ輪が必要で、そうした信念なしに21世紀の医療は成立しないと思います。それは太古の昔から人体に刻まれた記憶である恒常性を知り、そのデフォルトに忠実に生きることに他なりません。なぜならわれわれ生物の個体は、遺伝子を後世に伝える乗り物に過ぎず、その目的のための仕様書である遺伝子に支配されて生きているからです。

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