欠乏がもたらす豊かさ

「こんまりメソッド」の広がりなどミニマルな生活は依然人気です。清貧の思想や断捨離が話題を集めた時期もあり、豊かな暮らし一辺倒だった社会は昭和が終わる頃から変わったと思います。ある種のミニマリズムに人々が魅せられるのは、豊かさを目指すことの弊害が無視できなくなったからでしょう。気がついたのは、豊かになると信じて買ったものが、むしろ欠乏感を増長させるという不都合な事実です。35㎡に3人とラブラドールが暮らす仮住まい生活は1年以上続いていますが、35㎡を与件として受け入れてしまえば何も困らないことに気づきます。倍の面積の家から引っ越す際に大量のゴミを処分したように、豊かさの中身は無駄によりかさ上げされています。狭いながら今の住まいは3ヶ所のワーキングスペースがあり、考えをまとめたいときはバランスボール+ダイニングテーブル、集中的に作業をするときは二段ベッド下の固定椅子+ライティングデスク、リラックスして資料を読みたいときはベッドと使い分けが可能です。欠乏がもたらす良い面を、豊かさという幻想が過小評価させていると思います。

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