以前はビジネス書をよく読みましたが今はあまり手にしません。ビジネススキルやノウハウ、戦略や組織論も数ページめくれば退屈します。久しぶりに読んだ「効率を超える力-GREAT@WORK」は成果を出す人は一生懸命働くのではなくより少ない時間で効率よく賢く働くことを主張します。「やることを減らして重点化し徹底する」、「自分の情熱と目的意識を一致させる」というメッセージは目新しくありません。1911年に南極点到達競争に勝ったノルウェーはライバルであるイギリスの半分の遠征予算で犬ぞりだけを使い唯一の輸送手段を完璧に機能させたのに対し、倍の予算を使い犬ぞり、雪上車、シベリ産ポニー、スキー、人力ソリと5種類の輸送手段を使い補給地点18km手前で全滅したイギリスを対比します。印象に残ったのはデトロイト郊外の閉鎖対象だった学力の低い高校を再生する話で、生徒が家やアルバイト先、通学途中に動画で授業を見て、学校では宿題をやるという従来と学習プロセスを逆にする反転授業です。一方的に教える教師の役割は宿題を手伝うコーチに変わり成績が飛躍的に伸びたように、長年の常識を反転させて良くなるものはたくさんありそうです。
陰陽循環の2020年
2020年が中国にとって歴史的な転換点となると感じるのは、陰陽の循環によって森羅万象が営まれるとする60年周期説があるからです。自然界に存在する人間とその集団は自然界の摂理と波動に支配されると考える中国には、十二支と十干を組み合わせた60年を周期とする六十干支(ろくじっかんし)が古くから伝わります。中国現代史を振り返ると1840年の阿片戦争、1900年の義和団の乱、1960年は数千万人の餓死者を出した大躍進政策による大飢饉、と歴史的な大事件は60年周期の不気味な符合を見せます。循環の思想が根付く日本を含む東洋世界では国家の盛衰を予測する長期波動の代表が60年周期です。六十干支理論の根拠は天体の運行にあり、木星の12年周期と土星の30年周期の最小公倍数が60年であることを古代の先祖は知っていたようです。現代の気象学も北半球の平均気温が60年周期で高低することを示します。日本にとっても特別な意味を持つ2020年は想像を超える一年になるのかもしれません。
マスク着用禁止条例の皮肉
武漢市の邦人とアメリカ人にも死者が出た新型コロナウィルスは、特効薬が早い時点で開発されたSARSと異なり封じ込めは困難との悲観論が聞かれます。習近平国家主席の来日を絶望視する論調も増えてきました。共産党政権による情報操作と初動対応の遅れに対して内外からの批判が高まり、2003年のSARSに続き疫病の発生源となった中国をサプライチェーンから外す動きが広がるかもしれません。パンデミックの隔離政策は世界的なアンチグローバリズムの流れを加速するでしょう。リーマンショック後のインフラ投資や不動産開発による中国企業の過剰債務問題が一気に噴出し、共産党と関連企業の利権構造が限界を迎え、市場規模の大きさ故に世界が大目に見てきた共産党一党支配体制の崩壊シナリオも現実的に見えます。都市封鎖が拡大し3月末まで中国での生産が止まるとされ、米中貿易戦争の休戦に世界が安堵したのも束の間、史上最大のデフォルトと世界恐慌を世界が心配し始めました。今や中国主要都市ではマスクなしに外出することはできませんが、中国の意を受けた香港政府がデモを牽制するためにマスク着用を禁止する覆面禁止法を昨年10月に制定したことは何とも皮肉です。
1億総中流は歴史的出来事
昨日予約したレンタカーは一日(10時間)借りてわずか2,000円でした。4年以内の車を使い(先日はほぼ新車のトヨタ・C-HR)、清掃費用、空港送迎、減価償却、保険代、予約手数料、事務所経費、固定資産関係費用、本社間接費、支払利息などを引くと人を雇えるお金など残らないはずです。デフレ経済を暮らしやすいなどと喜んでいられなくなってきました。大都市のビジネスホテルでさえ1,000円台で泊まれる今は異常です。日本経済壊滅、中産階級消滅といったマスコミが好む過激な表現が大げさとも言えなくなりました。消費面でも納税面でも日本経済を支えてきた正社員層が年々減少し、勤勉に働けば幸せになれる1億総中流時代は今や過去の出来事です。70歳まで働く社会を受け入れざるを得ないと多くの人が考えるようになりましたが、自分のパッションとリンクした仕事で生き生きと働ける人はごく少数です。こうした閉塞感は現実ですが、変化をどのように受け入れるかは個人の判断に委ねられています。何もせずに身を縮めることも、無闇に行動することも危険でしょう。いつの時代においても高い成果を上げる人は、やるべきことを減らし仕事を再設計し自らを成長させることで情熱と人生の目的を一致させていると思います。
山川異域 風月同天
昨年末にSARSの再来を警告し警察に拘束された34歳の医師が、昨夜死亡したニュースを一部の中国メディアが報道しました。暗いニュースの一方で日本から送られた支援物資の段ボール箱に貼られた「山川異域 風月同天」のラベルが中国で好意的に受け止められていると伝えられます。中国・唐の時代に日本が中国に送った袈裟に刺繍された「山川異域 風月同天 寄諸仏子 共結来縁」(違う場所に暮らしても自然の風物はつながっている)に心を動かされた鑑真和上が11年に渡る決死の日本行きを決めたとされる言葉に由来します。現代人が知る日中間には不幸な歴史が横たわりますが、両国には永い友好の歴史が続いてきました。日本人こそこの言葉を心に刻むべきかもしれません。原発事故のあと多くの外国人が日本を脱出し、われわれが感じた先が見えない不安を今の中国の人も感じているはずです。自然災害に襲われる日本では相互扶助の精神が養われているとされますが、思いやりと冷静な対応が人々に希望を与えると思います。欧米ではアジア人への根深い偏見が表面化しているように非常時こそ人間の本性が現れます。至る場所において深刻な対立が残る世界で、誤解や不信を癒やす唯一の手段は親切の励行でしょう。親切に伴う感謝という相互連鎖は自分のストレスまで軽減し精神の健康度を高める波及効果を生むと思います。
不況期に真価を発揮するリーダー

新型ウィルスショック以来景気の失速を印象づけるニュースが目につくようになり、昨日都心の繁華街を歩いても普段は行列を作る店には人影すらなく、呼び込みをする店もありますが通りを歩く人もまばらな印象です。乱高下した新型ウィルス関連株のように人は過剰反応をしがちで、相次ぐリストラのニュースを聞けば個人消費は一気に冷え込みます。日本の重要施策の一つでありインバウンドで盛り上がっていた観光産業は日韓関係の悪化以降下方修正を与儀なくされていたところに大きな打撃を受け、供給量が増えたホテル業界では投げ売りが始まりました。日本にとっての不幸はオリンピック開催国が不況になるというジンクスです。使い道のないオリンピック関連施設は過剰投資となり、世界からの来客を見込んでいた民間投資にもその反動が現れます。デフレ不況下の日本では何をやっても損をするように思えてしまい、目の前にあるビジネスチャンスを見落とします。嵐が過ぎ去るのを待とうと考えると思考は停止しますが、独創的な業態開発など新たなイノベーションは不況期に生まれます。優れたリーダーとは困難な時期にこそ真価を発揮するものでしょう。
腰痛は典型的な生活習慣病
昨日は1年ほど不調の続く腰を診てみらいました。この一年間病院や治療家にかかりましたが、呼吸、歩き方、座り方など体の使い方のアンバランスで腰に負担がかかるという説明は納得できます。治療や施術により一時的に症状が改善しても普段の体の動かし方が変わらなければ再発します。日頃バランスボールに座っていると姿勢を安定させるために深く座りがちで、その結果骨盤が寝てしまうという説明は身に覚えがあります。レントゲン写真を見ると背骨が片側に湾曲していますが腰痛の原因は複合要因だと思います。人を診ずに検査数値や画像を見る現代医学は、症状が起きた原因を探求せずに標準治療を施そうとしますが治療法は一つではないはずです。金槌を持てばすべてが釘に見えるように専門家の多くは、目の前にいる患者が普段どのように体を使っているかを見ていません。都市的なライフスタイルにより現代人は人体の設計仕様にあった正しい体の使い方をしておらず、座り方など日常的な体の使い方が原因になる腰痛こそ典型的な生活習慣病でしょう。一方で人に依存して治療に参加しようとしない患者の側にも問題があり、海外の病院では医療の専門書を集めた図書館を併設するところもあります。海外のオフィスではスタンディングデスクや浅く腰掛けるカウンターチェアーが目立ちますが、日本人は今でもイスに安楽さを求める傾向があり腰痛を増やしていると思います。
労働市場をボーダーレス化するAI
先週iPhoneをSEから8に交換して音声認識の精度が格段に向上したことに気づきます。メモが取れないときなどに音声入力を重宝しています。音声認識技術は発音の個人差などにも対応し始め、500億語にのぼる日本語データとAIを組み合わせた機械翻訳は恐ろしい進歩を遂げ、街中で見かける機会が増えました。高度なスキルが必要な同時通訳が実用化されるのも時間の問題でしょう。生産人口の減少が日本経済の弱点でしたが、AIの急速な発展により言葉の問題を気にせずに外国人労働者が働く時代が来るかもしれません。もっともその頃に日本が外国人にとって魅力的な労働市場であるか疑問もあります。日本でも様々な国の出身者が普通に働く時代になり平均的な日本人より能力も意欲も高い印象があります。唯一弱点があるなら言葉のハンデだけで、人材競争のボーダーレス化が実現するのはそう遠い未来ではないと思います。自分の人生に対して不真面目で努力を怠った日本人はそのときになって後悔するのでしょう。
自然に埋もれるストイックな暮らし
昨日乗った飛行機は日曜日の始発便ということもありますが、搭乗率は2割ほどの最近見ない光景でした。あまりに人が少ない搭乗口を見て、すでに搭乗が始まったと勘違いしたほどです。増税後冷え込むように見えた消費マインドの流れを新型ウィルスの世界的な感染拡大が決定づけてしまったのかもしれません。社会人になった頃の会社は対前年売上を下回る時期が続き言い知れぬ不安の後にバブル経済の狂乱が日本中を覆い、ITバブルやリーマンショックを受け、方向感のない時代だった平成が終わりました。リーマンショックの頃は今では考えられないような手頃な価格だった高級ホテルに泊まっていたのを思い出します。不安は自己が作り出した幻想でありその実態は起こりもしない悲観的な未来ですが、原因は失いたくない執着でしょう。普段と変わらぬ新しい一日が始まる空港で多くの人が働く姿を見ていると、不安な時代こそ今日一日に全力を尽くして未来に備えるべきだと思います。失うものが少なければ自ずと不安も少なくなり、自然に埋もれるストイックな暮らしに憧れる理由はそこにあるのかもしれません。
都市の憂鬱
飲食店に行くのは仕事の関係か昨日のように家族や友人と会うときぐらいで、食べることを目的に外食をする機会はほとんどありません。以前は人並みに外食し、旅行に行き、車を買いましたが、年々その意欲を失っています。消費者は存在しない効用を勝手に期待してモノを買っていると思います。その幻想から覚めぬように企業は夢を見させて消費者の欲望を引き出します。フェラーリを運転すればその官能に満ちた世界が日頃のうさが晴らしてくれるとか、キャンピングカーがあれば生活が非日常に変わり旅行が日常化するとか、4WDがあればどんな雪道でも走れる的な幻想を抱かせます。しかし実際にはそれほど刺激的でも楽しくも走破性もなく、頭のなかで膨らませた理想と実際の消費経験は異なります。自分の選択を正当化したい消費者はその乖離を問題にしませんが、旅行や食事も終わってみれば最初の期待は消え、体と財布への負担だけが残ります。自然に囲まれて暮らすと欲望が薄れていきます。刹那的消費が世間にあふれるのは、自然の恩恵を受けられない都市の憂鬱を晴らすために手軽な夢を見たい消費者と、多く売りたい事業者の利害が一致するからだと思います。都市が労働力を確保するために消費というアメが必要なのでしょう。