山川異域 風月同天

昨年末にSARSの再来を警告し警察に拘束された34歳の医師が、昨夜死亡したニュースを一部の中国メディアが報道しました。暗いニュースの一方で日本から送られた支援物資の段ボール箱に貼られた「山川異域 風月同天」のラベルが中国で好意的に受け止められていると伝えられます。中国・唐の時代に日本が中国に送った袈裟に刺繍された「山川異域 風月同天 寄諸仏子 共結来縁」(違う場所に暮らしても自然の風物はつながっている)に心を動かされた鑑真和上が11年に渡る決死の日本行きを決めたとされる言葉に由来します。現代人が知る日中間には不幸な歴史が横たわりますが、両国には永い友好の歴史が続いてきました。日本人こそこの言葉を心に刻むべきかもしれません。原発事故のあと多くの外国人が日本を脱出し、われわれが感じた先が見えない不安を今の中国の人も感じているはずです。自然災害に襲われる日本では相互扶助の精神が養われているとされますが、思いやりと冷静な対応が人々に希望を与えると思います。欧米ではアジア人への根深い偏見が表面化しているように非常時こそ人間の本性が現れます。至る場所において深刻な対立が残る世界で、誤解や不信を癒やす唯一の手段は親切の励行でしょう。親切に伴う感謝という相互連鎖は自分のストレスまで軽減し精神の健康度を高める波及効果を生むと思います。

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