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都市生活は通過儀礼

昨日は久しぶりに都心に出かけ、以前の職場に近いホテルオークラに行きました。かつての本館と南館の意匠と雰囲気を忠実に踏襲したロビー以外に見るべきものはなく、年々都市不感症になっていく自分にとっては何の感慨もありません。都市に魅力を感じないのは路面店に空き家とテナント募集の張り紙が目立つからだけではないと思います。ストレッチされたファントムやマクラーレンを見ても同じで、あれほど熱中したホテルや車も魅力を伝えません。都市の消費はハロウィンの仮装パーティーのようなもので、本来の自分の内面とは無関係なものを身にまとう割り切ったゲームです。高額な消費をしなければ贅沢な暮らしができないと思い込んでいる消費者は集金装置である都市にとって好都合です。都市生活は人間として成熟する際の通過儀礼かもしれませんが、留まり続ける場所ではないと思います。Go To Eatキャンペーンを悪用したトリキの錬金術や無限くら寿司が起きる背景と同じで、消費にこそ意味を見出す貧しさの裏返しだと思います。時間とお金の浪費で得た感情の高まりが一瞬で蒸発するヘドニック・トレッドミルなのでしょう。

食生活を変えられない人の健康法

月に何度か間欠断食(Intermittent fasting)を行います。流行のダイエット手法と捉える向きもあるように数kgの体重は容易に落ち、先週は2日間の絶食時間で成人以降最軽量の56kg代に入りました。筋肉を落とさないためには運動を併用すべきで、土日は北アルプスと八ヶ岳に登りましたが、普段とペースは変わりません。長期的な効果に関する科学的根拠が不充分との指摘がある一方で、米国のハーバード大学やジョンズホプキンズ大学の近頃の研究によれば、間欠断食はサーチュイン遺伝子を活性化する健康的な生活習慣になることが分かっています。絶食と摂食を交互に繰り返すことで細胞が急速にアクセス可能な糖質系燃料を枯渇させ、より代謝プロセスの遅い脂肪を燃料にする際に長寿遺伝子が目を覚まします。この結果、血糖制御の改善、炎症の抑制、血圧と血中脂質レベルと休息時心拍数の低下、インスリン感受性の改善と肥満・糖尿病関連リスク因子の改善、脳の健康にも役立つとのエビデンスがあります。断食というと眉をひそめる人もいますが、間欠断食は一日三食の食生活を変えられない人でも取り入れやすい最良の健康法だと思います。

バーチャルなフィジカルスポーツ

昨日は八ヶ岳の編笠山(2,524m)に登りました。気楽なハイキングコースですが、タイムを意識すれば立派なスポーツになります。この週末は多くのFB友達が各々のペースで100マイルを走るVirtual UTMFに参加しました。日本屈指の大会だけに参加者は1万人を超え、ウルトラエンデュランス系競技の根強い人気を感じます。トレイルランニングのような自然のなかで行う個人競技の場合、GPSウォッチやGPSランニングアプリの長足の進歩により、タイム計測を行いバーチャルな大会により順位を競うことが可能です。特定のトレイルコースの最速タイムを競うFKT(Fastest Known Time)は高精度のGPSを使い世界中のランナーと疑似的に競技を行うことができます。バーチャルといってもフィジカルスポーツであることには変わりがなく、eスポーツとも異なるポストコロナの第三の競技カテゴリーを築いていくと思います。集客力こそが収益化の基礎であるスポーツビジネスにとっての致命的な欠陥を持ち、他の競技者との実際の競り合いはないものの、己との戦いというスポーツの持つストイックな面がクローズアップされるはずです。

自分軸の贅沢

昨日は北アルプスの爺ヶ岳(2,669.8m)南峰に登りました。1,350mの扇沢から石畳のように良く整備された登山道が続く山頂までは2時間半ほどで、おそらく北アルプスの稜線に上がる最短ルートです。雪まじりの強風とはいえ秋と冬が交差する荘厳な景色を誰もいない稜線で独り占めにする贅沢は得難いものです。山が時折見せる神々しい表情以上に生きる価値を見いだせるものはありません。雪が積もり始める季節は多くのハイカーにとってオフシーズンですが、山が最も霊的なエネルギーを高めてくれる季節だと思います。下山して小淵沢のリゾナーレの前を通ると駐車場には相変わらず車があふれ、星野リゾートの巧みな集客術は尊敬に値します。ある種のゲームと割り切る都市型の消費を自然のなかに持ち込むことに昔は違和感を覚えませんでした。長年ストレスの多い都市で働いてきた理由は金で手に入れる気楽な娯楽と贅沢のためでしたが、今となってはお金を払うこと自体に意義を見出す消費に見えます。贅沢品は合理性と言う点では意味を持たず、持ち物を減らしすでに持っているもので暮らすことこそ自分軸の贅沢だと思います。

食欲は自らが生み出すストレス

一昨日から2日間断食をしましたが、慣れると苦痛ではなくなり人生における食欲の優先順位は下がっていきます。猿人から人類に至る進化の歴史の大半は狩猟採集生活で、いつでも食べられる飽食社会に人体は適応していません。プラトンやソクラテス、ヒポクラテスを始め多くの賢人が節食の習慣を最良の薬として生きたように、古より言い伝えられる教訓に勝るものはないと思います。現代の最先端医学とてそれを後追いで確認しているに過ぎません。飽食社会の異常さに気づいてもそれを改める人はわずかです。欲望を解放する衝動は人間の自然な反応であり、我慢をするぐらいなら、太く短く生きると言う人もいます。しかし、それは人生を乱暴に生き、与えられた命を粗末にしているに過ぎません。一人のときに断食をすると食欲に悩まされることはなく、嗅覚や視覚などちょっとした外部刺激で食欲は瞬時に戻ってきます。空腹は自明であり多くの人は食欲の正体を深くは考えませんが、食欲の正体は自らが生み出すストレス反応です。外部刺激のない隔絶された環境であれば断食は誰にとっても容易で最も強力な健康増進法になります。

学位の形骸化という歪

昨日は日本工学院に行きましたが、一限リモート、二限対面の授業はポストコロナ時代の授業を考えるのに役立ちます。学生から積極的なリアクションが得られないとしても、対面授業はチャットだけのリアクションよりはるかにましです。ディスタンス・ラーニングは衛星放送の時代から普及しますが、一部の学生が布団のなかで授業を受けるなど、惰性で受講する学生にとっては授業から遠ざかるきっかけになります。学位の形骸化という社会の歪が解消さない限りこの矛盾は続きます。学びが本来的な意味を取り戻すなら、対面授業の重要性は増し今より少人数の対話形式のものへと変わっていくはずです。知識以上の熱量を伝える場でなければ対面授業は意味を失い、学ぶ意味を伝え学びたいと思わせる重要性が増すならリモート授業には限界があります。アリストテレスは風光明媚な森に自らの学校リュケイオンを開きその散歩道を歩きながら少人数の講義や議論をしたと言われ、学びの場としてゆらぎのある屋外は理想的です。生涯学ぶ時代には旅行をしながらの集中講義などその形態は多様化していくはずです。

人生のドル・コスト平均法

M&Aを手掛けるレコフによると1~9月の会社売却金額は5兆1,645億円と2009年以来のハイペースで前年同期の5倍の金額に当たると報じられます。上場企業が非中核事業や子会社を投資ファンドなどに売却する動きが活発になり、体力のある大企業でさえ生き残りが正念場を迎えているようです。政府支援による中小零細企業の延命措置にも限りがあり、年末から来年にかけて大量廃業が進むと見られます。脳は人類が生き延びるために危険を回避するバイアスが組み込まれていて、人は必要以上に不安や恐怖を感じます。湧き上がる感情をわれわれは止められませんが、選択理論心理学が主張するように、どのように受け止め行動するかは自らの意思により選択できます。この反応選択の自由こそが人類の持つ最強の生き残り策だと思います。値動きの大きいハイリスクの金融商品でも定期的に定額を買うドル・コスト平均法なら長期的にはリスクを分散しながら資産を形成することができます。山高ければ谷深しは人生も同じで、目先の状況に一喜一憂せずコツコツと積み重ねることが大切なのでしょう。

悠々自適という欠乏

高級車、広い家、豪華な料理、海外旅行といった良い暮らしを以前は人間のごく自然な欲求だと思っていました。しかし、これらは巧妙に操作された大衆扇動の幻想であり、人を欠乏マインドで支配します。話題の書「FIRE 最強の早期リタイア術」は「金持ち父さん」シリーズと同様のエッセンスを持ちながら、生活のための支出額から人生を見直す点が新鮮で投資額の4%以内で生活することを奨励します。凡人は良い生活をするために稼ぐことに心を奪われますが、収入起点の発想は満たされることを知らず、支出も増加するのでいつまでも働き続ける必要があります。支出額から逆算して30年後も変わらぬ元本を維持する投資戦略は金融商品の増えた現在では容易になりました。年を重ねるほどお金より時間の重要さが増すはずですが、滅私奉公してきた日本のサラリーマンのリタイア後はとくにしたいこともありません。何不自由ない悠々自適な暮らしなのに、気持ちの満たされない退屈な日常は自律神経のバランスを崩し睡眠の質も低下させます。せっかく寿命が伸びてもその時間が充実しないのは、欠乏マインドの生き方を変えることができないからかもしれません。

生き方を変える機会

2ヶ月以上を残す2020年は世界史の3つの出来事をまとめて経験する稀代な年として記憶されるかもしれません。19世紀後半に中国から広がったペスト大流行、20世紀前半の世界大恐慌、20世紀後半の中国の文化大革命(大躍進政策)、とわれわれが目撃している現実の世界は近代史・現代史の大事件を辿っているように見えます。戦後未曾有の経済危機がわれわれを襲うとすればこれからです。菅政権のブレーンのなかには数百兆の資金投入の余力があると考える経済学者もいて、最小限の被害で乗り切れる可能性もあります。安倍さんのような華やかさとは無縁の菅さんですが、着実に手を打つその方向感は好ましく感じます。一方で7月以降3ヶ月連続して自殺者が対前年で増加に転じました。雇用統計と自殺者に相関があることは知られ、強いストレスを感じた人の8年後の死亡リスクが43%高まるという米国の調査もあります。ただしこの調査で死亡したのは、ストレスは健康に悪いと考えていた人たちだけでした。重要なことは人生を人任せにしない主体性であり、生き方を変える機会だと肯定的に受け止める考え方なのでしょう。

衝動のままに行動させる報酬

昨日は妻が通うケーキ教室について行きました。予想していたとは言え糖質制限派から見ると卒倒するほどの砂糖を入れる場面を間近にすると、製造工程を知らずに食べることの恐ろしさを感じます。地方に行くと塩辛すぎて食べられない漬物やおぞましいほどの砂糖を入れるきのこ汁など、食べることをはばかられる食品が今も存在しますが、様々なスィーツが売られる都会も事情は同じです。栄養やエネルギー摂取より美味しさや満腹になることが優先される外食は害食になります。食料が乏しい時代は体脂肪を蓄えることが生存機会を増やし、糖分や塩分、脂肪を求める太古からの本能が現代人の脳を支配します。沖縄の男性が戦後若くして死ぬようになったように、現代人の食生活は人体が環境適応する時間を与えないほど急激に変化し肥満や生活習慣病を増やしました。美味しいものを食べ欲求が満たされたときに感じる幸福感の正体は、遠い祖先が食料を獲得するための原始的モチベーションとなるドーパミンで、この報酬システムは衝動のままに人を行動させて中毒にします。現代の生き残り戦略は脳の欲求を行動につなげない習慣でしょう。

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