集団自殺に向かうGDPカルト

英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」元東京支局長デイヴィッド・ピリングの著書「幻想の経済成長」を読みました。誤った生活習慣を推奨して人を病気にさせ、医療費でも儲ける不合理な経済のあり方に疑問を感じていたので、経済貢献の避けられない副産物として社会悪や不幸を容認するGDPカルトを批判する本書は共感できます。売春や薬物、ギャンブルが合法化される国との統計に一貫性を持たせることができない実務的な問題もありますが、経済成長の本質的な欠点は収入について教えてくれても富については何も教えてくれないことです。豊かだったイースター島が文明の最後の砦である樹木を伐採したことで不毛の地となったように、GDPというプリズムを通じて政策立案を行うと、集団自殺に向かいます。GDPの尺度を使いながらレジャーの時間や無報酬の家事労働を指標に追加し、指標から除外されるべき公害、犯罪、長時間通勤、森林喪失などの要素を引く、米国メリーランド州が採用を宣言したGPI(Genuine Progress Indicator)は現実的に思えます。

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