バブリーダンスで火がつき昨年の紅白歌合戦に出場した大阪府立登美丘高校ダンス部の事例を昨日の授業で取り上げました。レコード大賞、バラエティ番組出演のほかハリウッド映画「グレイテスト・ショーマン」のPV、卒業生が女優デビューするなど話題に事欠かない登美丘高校ですが、450校以上が出場する全国大会で2年連続優勝したのは部になって5年、23歳のコーチが率いるチームでした。短期間で強豪校に押し上げたのは圧倒的な練習量です。チーム運営は生徒の自主性に任され生徒が話し合ってルールや年度の目標を決め、コーチは生徒が叶えたいゴールをフォローするために作品のクオリティを高める演技指導に徹します。生徒たちのレベルに応える作品が作れなければコーチも切られる緊張関係があると言います。優れた作品を作る目標を両者が共有し本音で議論することで、信頼関係が生まれる好事例です。本気でダンスに臨む生徒は自分から意見を言うので、意見が言いやすい環境を作る必要もありません。共通の目標も本音も信頼も緊張感にも乏しい普通の企業にとって、高校生に学ぶことはたくさんあります。
お知らせ
集団競技のようなスカイマーク
火曜日の新千歳行きは、民事再生法適用後の経営改善が進むスカイマークに乗りました。スカイマークの定時運航率は経営再建1年目の2015年度が7位、2016年度3位、今年は2位の日本航空を3ポイント以上離す93.06%で国内航空会社首位に躍り出ました。羽田混雑の影響とはいえ、毎度遅れるソラシドエアとは違い往復とも早着します。収益性が見込めるビジネス客を取り込むために定時運行は至上命題です。後部座席から案内するソラシドに対しスカイマークは窓側席から乗せます。同じ737で一昨日もほぼ満席でしたが何の混乱もなく吸い込まれるように乗客が誘導され間髪を入れずにドアが閉まり飛行機が動き始めます。全ての作業が流れるようにスムーズでかつ早くて正確です。地上職員、整備スタッフ、客室乗務員、パイロットの一糸乱れぬ仕事ぶりは集団競技のファインプレーを見るようで感動的です。
食べない心地よさ
昨日は登別温泉に日帰りしました。出張は気分と思考モードが変わるので好きです。新千歳から車で1時間ほどの登別温泉はインバウンド客が相変わらず堅調です。昔は北海道に来ると食べたいものがたくさんありましたが、最近は出張の日は基本的に断食をします。味わいながらゆっくり食べる瞑想的な食事を習慣にすると、普段の食事に満足できるようになり食欲に対して冷静になれます。食べると消化に大量のエネルギーが使われ体に負担をかけます。外食は食材を自分で確認できない上に、殺菌消毒された器具で調理された料理は腸内細菌を殺します。他方で断食には様々なメリットがあります。長寿ホルモンが活性化するのは空腹状態です。食欲を満たす満足より、食べない心地よさを楽しむ方が心は落ち着きます。
好きと欲しいの違い
人生は目標を追いかける努力の旅だと思います。以前読んだ本によると良い努力と悪い努力があり、前者は平穏な心でその過程を楽しみ好きになること、後者は目標に執着して欲しがることだと言います。同じような向上心に見えて、好きと欲しいは分かりやすい違いです。自分にとって山で体を鍛えることや今の働き方は好きなことであって欲しいではありません。他方で以前の自分にとっての車や外食、お金や肩書き、権力などは欲しいであって好きではなかったと思います。人生のスピードを落とし、雑音を遮断し、自分の居場所と思える場所に身を置き、本当に必要なものだけがそばにあると自分の本音が見えてきます。
生存本能は変えられる
自称健康オタクの自分は頻繁に健康本を読みます。他方で健康法とされるものはどれ一つとして厳密な意味で実証されたものはなく、健康食品やサプリメントの類は、ネズミにさえ試していません。健康食品が一大産業になる理由はプラシーボ効果だけだと思います。仮に効果があるとしても、摂取によりホルモンバランスを崩したり、体が順応してホルモン分泌をしなくなる危険性の方が問題です。何かが健康に良いとメディアが伝えると翌日には店から商品が消えます。健康を安易に買えると考える日本人の思考停止は健康産業にとって好都合です。健康になる道は実はシンプルだと思います。生活習慣病の主因であり老化を促進する、身体を動かさない安楽な生活、華美な食事、体内時計無視の利便性という現代文明がもたらした生活をやめるだけです。シンプルなのに実行が難しいのは人間の生存本能をしつけなおす方法を多くの人が知らないからだと思います。
太古の昔から最良の友
昨日は川場村から武尊山に登りました。上州武尊山スカイビュートレイルレース129kmの前半のハイライトであるこのルートは手軽に縦走気分が味わえます。予定していた身延山のトレイルレースが中止になり今年のレースシーズンは終わり、気楽なハイキングです。山頂付近の森は積雪が多くすでに冬山の装いです。帰路落葉の敷き詰められたトレイルをラブラドールと走るのはこの季節の特権です。先日読んだ「ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた」によると、現生人類は大型イヌ科動物を3万5千年前には狩猟に利用していたようです。太古の昔からこうして犬と一緒に走っていたことを思うと感慨深いものがあります。ヤギや牛などが家畜化されたのは9千年前とされますが、それよりはるか昔から犬と人は最良の友だったのだと思います。
ゲームとしてのイリュージョン
昨日は人気下降気味のスカイツリーの近くの会社に行きました。ターミナルに向かう通勤電車に乗るのは今やたまのイベントです。30年以上この非人間的な装置に乗ってきたことは正気と思えません。鉄道会社に入社した30年前、誰かが「通勤は格闘技だ」と言いました。人の心を荒ませる通勤光景は今も変わりません。都市の豊かさは意図的に生み出されたゲームとしてのイリュージョンだと思います。誰もが経済成長の恩恵を受けた時代は、その光の眩しさで欲望増殖の罠が見えませんでした。経済の発展を自分の夢と重ねられなくなった人が都市との距離を置き始め、自分もその一人です。都市的な豊かさの夢はうつろいやすく、すぐに次の夢が必要になります。比較対象を増やしながら享楽追及の夢を見続けるとやがて心は蝕まれていくと思います。
ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた
読書は仕事の一部であり、トレイルランニング以外の唯一の趣味です。メモを作らない流し読みも含めれば年間300冊前後の本を読みます。AIの時代になると読書の必要性はますます高まると思います。居ながらにして様々な世界を知ることができ、思考を補強し、何より楽しませてくれます。週末に5、6冊をまとめて読みますが、出張には普段読まない厚めの本を持参します。今週阿蘇に行ったときは「ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた」を読みました。搭乗口で飛行機を待つ間や、離陸後水平飛行に移るまでの時間を読書にあてますが、ネアンデルタール人の絶滅という人類史最大のミステリーに大胆な仮説で迫る本書は短時間で読めます。狼が生きた道具である犬になったのはネアンデルタール人の絶滅以前だったという通説を覆す発見から物語は始まります。最新のゲノム解析は4万5千年以上前の出来事を昨日の事件のように解き明かしていきます。犬を狩猟に使うことで獲物を仕留める時間が57%短縮できるとされ、われわれの祖先はより多くの肉を持ち帰り生き延びることができたようです。
山一破たんが原点
毎年11月になると思い出すのは1997年の山一證券の経営破たんです。この出来事は自分の人生に少なからぬ影響を与えました。妻が勤めていた山一證券が不正会計問題から自主廃業に追い込まれたのは、奇しくも会社創立から100年の節目の年です。勤労感謝の日の振替休日の朝、自主廃業が報道されたときは八ヶ岳にいて、予定を切り上げて東京に戻りました。このときからぼくの企業への不信感と少しリスキーな人生観は芽生えたと思います。妻とはつまらないことでよく喧嘩をします。しかし、不思議と自分が転職をしたり、会社を辞めたり、旅館を買ったりと無謀なことをするとき妻は反対をしません。娘が中高一貫校の中学3年の夏休みを前に、突然区立中学校に転校したいと言い出したときも我が家では誰も反対をしませんでした。それぞれが好き勝手に生きていると家族は似てくるのかもしれません。
一期一会の働き方
一期一会という言葉はどこか堅苦しく、実態の伴わない精神論を説くようであまり好きではありませんでした。しかし、今の自分の仕事観は一期一会です。旅館の営業を止めている現在はプロジェクト単位の業務受託と非常勤講師の非正規雇用で収入を得ていて、将来への保証はありません。日本では非正規雇用が問題視されますが、欧米の労働力人口の約3割が個別契約に基づくIndependent Contractorとされ、日本でも束縛の多い正規雇用を嫌う一定層が存在します。互いに緊張感のある関係は悪くないと思います。いつでも関係を解消できるからこそ目の前の仕事に集中でき、逃げ場のないストレスにさらされることもありません。期限の定めのない雇用は、やがて緊張感が薄れ仕事は惰性になり、仕事以外のことに目が行き、そして人生も惰性になりがちです。非正規雇用の問題を抱える日本ですが、他方で正規雇用が幸せな生き方とも思えないのです。正規か非正規か、雇用されるかされないかに関わらず、重要なのは仕事への姿勢だけでしょう。