ハノイに滞在して思考の枠組みが変わり始めました。生命力のみなぎる街を歩きながら、停滞する日本との違いを考えます。それは人々の生きる力のような気がします。社会の発展や進歩の概念そのものが人間の持っていた生きる能力を奪っていると思います。洗練された制度や安全思想は人間を萎縮させます。みなが信号を無視するハノイでは無謀運転を見かけません。ルールがない世界ではお互いが相手の行動に注意をするので、自ずと節度を持った秩序が生み出されます。人間は使わなくなった機能を退化させます。管理が過度に進んだ日本の社会は、他人の行動に無関心になり自ら秩序を生み出す力を失ったと思います。
リアリティのある戦争博物館

ハノイは活気にあふれる都市です。朝5時には街が動き始め、通りには香辛料の香りが漂います。その活力の源は生きる必要性だと思います。日本の朝の通勤風景には生命力が感じられません。
昨日はBRTに乗って郊外にある軍の基地に併設されたホーチミントレイル博物館(Ho Chi Minh Trail Museum)に行きました。入場者のいない静かな博物館は、ベトナム戦争時の南ベトナム解放民族戦線への陸上兵站補給路であるホーチミン・ルートに関する世界的にも珍しいロジスティックスを扱った戦争博物館です。戦車などの派手な展示はないものの、より兵士の生活が身近に感じられるリアリティがあります。
ハノイでは衣装を持参して写真を取るカップルや若い女性を随所で見かけます。
内向きになった日本人

昨日はベトナム国家大学ハノイ・社会科学人文科学大学Vietnam National University- Ha Noi・University of Social Sciences and Humanities(VNU-USSH)を訪問しました。ハノイ中心部のフレンチ・クオーターとは異なるソ連的な雰囲気の建物ですが、研究室内部は日本の大学と変わりません。
午後は巨大ショッピングセンターを備える超高層のサービスアパートメントを見学させていただきました。日本並みかそれ以上の頻度で見かける高級車、日本以上に洗練されたホテルやゲストハウスを見ていると、日本とベトナムはどちらが先進国なのか混乱します。バスのドライバーはスマホをかけながら運転をしますし、ほとんどの人や車が信号を無視します。しかしそれでも特段問題は起きません。社会が発展し制度やインフラが整う管理社会が日本人を内向きにし、日本から活力を奪ったと思います。
特別な思いのある戦跡

ハノイの街で不思議に思うのは北爆を受けながらフランス統治下のコロニアル建築や整然とした美しい街路樹が随所に残っていることです。
昨日はバラク・オバマと大統領選を争ったジョン・マケインが1967年10月に乗っていたA-4が撃墜され、捕虜として5年半を過ごしたハノイ・ヒルトンことホアロー捕虜収容所を見ました。近くにはマケインの攻撃機を撃墜したS-75地対空ミサイル、撃墜されたB52の残骸が湖面に残る湖などがあります。観光スポットには興味がわかないのですがベトナム戦争は記憶にある生きた現代史なので戦跡に対しては特別な思いがあります。
脳を活性化する街

昔ほど旅に出たいと思わなくなりました。飛行機による長時間の移動や空港での待ち時間を考えると、むしろ行きたくないと考えていました。しかし、ハノイに来て5日を過ごしてみると、その考えが変わります。旧市街とその周辺部の街並みはフレンチコロニアルの魅力にあふれ、けたたましいクラクションとともに縦横無尽に突っ込んで来るバイクと車を避けながら、圧縮陳列のような商店街を歩くと脳が活性化されます。絶え間ない新鮮な刺激を受けることで身体が若返る感覚です。日本から近く、治安も気候もよく、食べ物が美味しく、買いたくなるものが多いハノイの街には、時々充電に来たいと思います。
早朝のカフェでは起業家らしき若者がアイフォンでテレビ会議をしていました。
旅の本質は何か
海外でホテルに泊まるとホテルの未来を考えます。産業化の過程でステレオタイプが行きすぎた結果、ホテルの商品計画と現代の市場が求めるものとの間に乖離ができたと思います。ライフスタイルホテルなど新手の商品は開発されますが、ホテルの文脈からは自由になれません。他方で民泊やゲストハウス側は洗練の道具としてホテルのエッセンスを使おうとします。異なる両者の業際に新たな商品カテゴリーが生まれる気がします。つまるところ旅行者が感じる旅の本質は何かという命題に対して商品を切り開く力が求められると思います。
街中がドンキホーテの店内

ハノイに来て2日を過ごしましたが、ぼくの知る限りアジアでもっとも魅力的な街だと思います。路線バスは35円、食事は150円といった感じで生活費が安く、ホテルも変に高級なところに泊まらなければ4,000円から6,000円です。露天で食べる食事はどれも美味しく、この価格帯で泊まれるホテルとしては洗練され先端的な施設が集積しています。
巨大な街なのに街並みが美しく、至るところにフランス統治下の風情が残ります。連日2万歩以上歩いても地形が頭に入らないのは、道が微妙な角度で交差したり曲がっていて、あたかも街中がドンキホーテの店内のように猥雑だからだと思います。
周回遅れの日本

昨日は25,000歩ほど歩きハノイで車列を渡るコツがわかりました。道路を信号で埋め尽くす国とは違い、信号がなくても交通は機能します。ここにいると日本人がつまらないことに神経をとがらせ過ぎているように見えます。
ハノイは先端的で豊かな生活とベトナム戦争当時と変わらない貧しい暮らしが混在する不思議な街です。中心街は働く人たちの生きる活力に満ち溢れています。海外に出ると人々の生命の息吹に触れる新鮮さや、格差の少ない日本の良さを感じます。ことホテルに関しては日本がいつか通ってきた道をアジアの発展途上国は通らずに進化していて、あたかも日本が周回遅れになった印象があります。
日本のプレゼンスを感じるベトナム

昨夜、気温26度の初夏のようなハノイに来ました。日本に導入されていないエアバスA350で着いた日本のODA空港に度肝を抜かれます。宿泊したハノイ駅付近はフランス時代のコロニアル建築あり、市場ありの猥雑な活気に満ち溢れ、異国風情が漂います。
地震がない地域ゆえにできることでしょうが、宿泊したホテルは狭い間口で12層というブティックホテルです。日本人客に特化しているわけではないのですが、最上階に大浴場があるところは日本人経営のなせる業です。他のアジアの国に比べると日本のプレゼンスが強いことを感じます。
スポーツこそが本質を教えてくれる

今年は東京で過ごしたために、新甲子温泉で過ごした昨年と違い、先週末から花粉症が始まりました。今月まで15年に渡り講師をした立教大学を離れ、来月からは日本工学院のスポーツカレッジで6科目ほどの授業を担当させていただく予定です。糖質制限による20kgのダイエットのあと、50歳で運動の楽しさに目覚め体質改善した経験をもとに、スポーツがもたらすウェルビーイングなど社会改善の意義を考えて行きたいと思います。
これまでは心の時代と言われてきましたが、心は嘘をつきます。体は正直で、自分を騙して無理をすれば悲鳴をあげます。体と対話するスポーツこそが本質を教えてくれると感じています。