明日から日の出時刻が早くなります。先月中旬から遅くなり始めた日没時刻とともに、早くも夏に向かう不思議な感覚ですが、少なかった雪はこれから本格的に降り始めます。寒い冬が昔は好きではありませんでしたが、雪に閉ざされる山は、荘厳な美しさを見せる魅惑の季節を迎えます。世界では冬季オリンピックを開催できる北半球の地域が年々減少するなか、日本の豪雪地帯や雪国の希少価値はむしろ高まると思います。オーストラリアからホームステイをしていた留学生も、福島の旅館に来たときに初めて雪を見たと言っていました。日本に近い中国や東南アジアでは、日本で斜陽化するウィンタースポーツは、むしろプレミアムなレジャーとして注目されます。昔は夜行バスでシーズン中に何度もスキーに行ったものですが、再びウィンタースポーツ全盛時代がやってくるのかもしれません。
お知らせ
美味しく食べるという可能性
この季節に常備する野菜は大根とサツマイモです。ブランド化が進むサツマイモですが不揃いのものは安く、どちらも物価の優等生です。大根はおでんの具材になり、サツマイモは焼き芋にしますが、身近な絶品で調理の手間もかかりません。美味しいものが簡単に手に入るため、外食に行きたいというモチベーションは上がりません。コロナ禍による外食産業の苦境が伝えられますが、ステイホームにより自炊をする人が増えると、美味しいモノを食べたいという普遍的な欲求は、美味しく食べるという可能性を見過ごしていただけと気づくかもしれません。自炊はお金と時間の節約になり、料理を楽しめ、好みの味付けにでき、食材等に起因する健康リスクを下げ、落ち着いた環境で食事ができる利点があります。節約の文脈で語られる自炊ですが、最大のメリットは必要な栄養素を意識して摂れることでしょう。
お年寄りは強い
日本を襲った悲惨な災害や事故の中にも、明るい話題がありました。石川県珠洲市で6日夜に倒壊家屋の下敷きになっていた2人が救助され、40代の女性は残念ながら心肺停止状態でしたが、90代の女性は救助時に手が温かく、脈があり、会話ができたと言います。生存率が下がる72時間をはるかに超え、最も寒い季節のなか124時間が経過していたことは驚異です。われわれはお年寄りを弱い存在だと考えますが、むしろ更年期以降は生き延びる力が強化されるのかもしれません。更年期は加齢に伴い体が変化する自然なプロセスですが、一般にはホルモン分泌の低下や代謝への悪影響など負の側面で語られます。しかし、もう一つの変化はエネルギー産生プロセスが解糖系からミトコンドリア系に変わることで、より効率的にエネルギーを生み出すことができるようになります。この特性を活かすか殺すかによって、第二の人生のQOLは大きく変わると思います。
無神経なぐらいに鷹揚
昨日は妻の実家に行き夏ミカンなどの柑橘類をもらいました。腰を痛めたばかりなので、高所にある夏ミカンを取ることをあきらめると、91歳の父は平気で高い脚立に上がります。無謀とも言える挑戦的な性格も、この年齢で一人普通に暮らせる元気の秘訣かもしれません。健康オタクが忌み嫌う食パンを朝から食べ、賞味期限にも無頓着です。タバコも長年吸っていましたし、起きる時間は昼前です。人類史上最長寿とされるジャンヌ・カルマンの生活も決して健康的なものではありませんでした。日本の百寿者にショートスリーパーが多いなど、本当の健康長寿の秘訣はわれわれが有難がる科学的な常識ではないのかもしれません。むしろ健康長寿の秘訣を探ろうとするほど、本質から遠ざかるような気さえします。本当の健康とは無暗に追いかけるものではなく、「○〇せねばならぬ」的な執着をせず、無神経なぐらいに鷹揚でいることなのでしょう。
健康的不眠症
中途覚醒、早期覚醒は立派な不眠症ですが、それでも自分を不眠症だと思わないのは、あえて寝ようとしないからです。一方で同じ時間に床に入りますが、毎晩2分以内には寝落ちしますので入眠障害とは無縁です。世間で言われる不眠症の多くは睡眠に対する囚われ、すなわち自分は眠れないという思い込みが原因でしょう。ショートスリーパーと不眠症の違いは、眠らないことをどう捉えるかの差しかありません。不眠の原因はストレスや睡眠環境、カフェイン、病気などがありますが、病気以外は比較的簡単に取り除くことができ、それでも眠れないのであれば、頭をフルに使い、クタクタになるまで身体を動かすことが有効かもしれません。世間では7時間以上眠らなくてならぬ的な強迫観念が横行しますが、赤ちゃんと高齢者では眠る時間が違うのは当然で、流布される健康常識よりも自分の身体の声を聞くべきだと思います。
仕事の内発的な可能性
年初の相次ぐ災害と事故により自粛ムードが広がっているようです。SNSのキラーコンテンツである旅行や食事などの投稿もあまり見かけない気がします。消費マインドの冷え込みは経済にマイナスですが、年初に普段の生活の有難さを見直し、死を意識することは良いことかもしれません。人生に必要なものは、お金と時間と生きがいだと思います。大半の経験はお金と時間で手に入れることができますが、問題はそれが所詮他人軸の娯楽であり、思ったほどには楽しくないことです。過ぎてしまえば刹那的な消費の虚しさを正当化し、納得させている自分に気づきます。お金で買う楽しみは否定すべきものでもありませんし、魅力も感じますが、内発的なものではありません。消費であれ、仕事であれ、それが生きがいとつながることなしには充足感は得られない気がします。生涯働くべきだと思うのはそこに内発的な可能性を感じるからです。
今年こそ運動
「今年こそ運動をする」と新年の誓いを立てる人が多いようで、フィットネスクラブは1月に新規会員が増えると言われます。同時にいきなり運動することによる突然死も多いと聞きます。食事、運動、睡眠(回復)が健康の三大要素であることは知られますが、前者2つの実行が難しい理由は、脳のアップデートが必要だからだと思います。食べないことや体を鍛えることはどちらも苦痛で、寒い季節に戸外に出て運動するなど避けたい事態です。「人は食べなければ死ぬ」、「加齢により肉体は衰える」という常識が間違いと言えないところにパラドックスが生じます。つまり一定量超えると死に至るストレスが、間欠的、軽度なストレッサーである限り、ミトコンドリアを活性化してエネルギー産生を劇的に促進し、長寿遺伝子を目覚めさせるホルミシス効果です。その効能を確信する人だけが恩恵に浴せるのでしょう。
飽食が空腹を加速する
昔は年末年始に太ることを心配しましたが、今年は一日一食を守り、ジャンクフードも排除したので、体はむしろスリムになりました。食べる量を決めておけばゆっくりと味わうようになり、不思議とお腹がすく感覚が薄らいでいきます。食べるほどに食べたくなり、逆に食を節すると食欲は穏やかなものになります。空腹で食べると味覚は鮮明に美味しさを伝え、薪ストーブでじっくり焼いたやき芋や湯豆腐は、贅沢とは無縁の食べ物ですが、絶品と言うしかありません。食糧生産が工業的に行われる飽食の時代が始まるまでは、人類は現代ほど空腹を感じなかったと思います。少食を実行すると食欲と冷静に向き合うことができ、腹八分が実行できます。次々に刺激的な食べ物が現れる現代は、人々に味わう余裕を与えず、常に次の食べ物を求めるように洗脳をしている気がします。
日本人は神経質過ぎる?
長野県で過ごすこの時期最大の楽しみは薪ストーブです。やさしい暖かさが眠気を誘います。クッキングストーブではないものの、豆を煮たり、やき芋を焼いたりと何かと重宝します。最初は炉が痛むから針葉樹は使わない方が良いとアドバイスされ、広葉樹だけを燃やしましたが、その後は簡単に入手できる倒木の針葉樹を燃やすようになりました。以前は薪割をして十分に乾燥をさせていましたが、だんだん横着になり、薪割をせずに丸太のまま投入していますが、それでも温度は上がります。乾燥が不十分だと火のつきが悪く、煙が多く出ると言われますが、隣接する人家はないのでとくに問題は感じません。煙突は毎年掃除をするように言われましたが、30年以上掃除をしていないにも関わらず、昔と変わらず調子よく燃えます。単に運が良いだけかもしれませんが、日本人は少々神経質過ぎるのかもしれません。
個人もBCP
元旦に能登半島地震が発生し、2日には日航機と救援物資を運ぶ海上保安庁機が衝突しました。2024年を占う凶兆とは思いたくありませんが、日航機の全員が避難できたことはせめてもの救いです。世界に類を見ない複雑な地殻の上にのり、海と急峻な山に囲まれた日本列島は常に災害リスクと隣り合わせです。ミュンヘン再保険会社のデータによると、東京・横浜のリスクは世界主要都市と比べてけた違いに高く、東日本大震災と原発事故によって、多くの人が不自由な生活を強いられました。震災を契機に、車には常に燃料を満たすように心がけ、水とガスボンベの備蓄も始めました。缶詰などの食品備蓄は多くありませんが、少ない食事でエネルギーをつくり出せるように日頃から体を慣らしています。企業が作る事業継続計画(BCP)に事業拠点の分散があるように、個人も生活のバックアップ拠点を持つなど、生活を続ける体制構築が今年は必要かもしれません。