本格的な寒さはこれからですが、今シーズンはエアコンの暖房を使っていません。夏涼しく冬暖かい地下住戸の特長もあって、消費電力の少ないホットカーペットにYogiboを乗せて布団を掛ける即席のこたつは、最安にして最強の暖房だと思います。日本の住宅から和室がなくなり、こたつはもはや非日常の暖房器具ですが、頭寒足熱の懐かしい暖かさについウトウトします。夏は扇風機で過ごし、冬もエアコンを使わず、便利だけど過剰な生活を見直すと、むしろ寒暖を楽しむ気持ちになります。便利さのためにエネルギーが浪費され、一時的な欲望を満たす人工環境は、生きる力を弱めると思います。便利さは暮らしから伝統文化を奪うばかりでなく、かつては存在しなかった新たな危険を生み出すのかもしれません。最大の脅威だった寒さに対抗するために人体が手に入れた、深部体温を上げるために内蔵脂肪を燃やすメカニズムを活性化すべきでしょう。
お知らせ
日常に溶け込む旅行者
わが家に滞在する、娘と同い年の留学生を見ていると、スマホを駆使するZ世代が旅のエキスパートであることが分かります。「東京駅に着いた」とLINEが入った後、重いスーツケースを持っているのに最短時間で最寄り駅までやって来ます。大半の日本人が知らない瀬戸内の島の旅館に泊まり、下北沢の地理は地元住民並に把握しています。かつて主流だった、有名観光地を団体で移動する旅行など、この世代には無縁でしょう。6年前に3ヶ月下宿をしていた気安さもありますが、オーストラリアという異なる文化圏から来たのに、受け入れる側としては何の違和感もストレスもなく、日本人の日常に溶け込みます。初めて訪れる場所でもストレスを感じないZ世代が、世界の旅行市場をけん引する時代が始まると、贅沢で充実した旅行の意味は変わり、世界を自由に旅するライフスタイルに合わせた新しい提案が必要になるのでしょう。
時間の密度を上げる方法
年末が近づくと、一年が去るという一抹の寂しさを感じます。年を重ねるほどに経験量が増え、これまでに生きた時間の分母と比べて、一年の分子が小さくなるために、時間の流れを早く感じると言われます。しかし寂しさの原因は、時間の流れの早さではなく、時間密度の希薄化だと思います。今という時間を精一杯生きず、無為に時間が過ぎるほどに残りが気になります。環境を変えて新しいことに取組むとき、時間はあっという間に過ぎても、充実した時になります。旅館を買った後の記憶が妙に美化されるのは、必死だったからのような気がします。歳を重ねるほどに新しい挑戦を避け、同じ環境で似通った経験を繰り返すから時間の記憶が希薄化するのかもしれません。時間の密度を上げる方法は、人生のイベントにおけるオーナーシップであり、誰かに時間を支配されることなく、自分がすべきことに集中できる環境を自ら作ることだと思います。
ピュアな自分と出会う旅
かつてホームステイをしていたオーストラリアの留学生が、昨夜から滞在しています。日本、韓国、台湾を旅して、東京で9日間を過ごします。娘の高校に留学していた6年前から、わが家は東京の定宿です。土地の日常に触れることが旅の価値であるなら、滞在場所は商業的な宿泊施設からAirbnbなどを介したバケーションレンタルが主流になります。街に入り込み、飲食店やスーパーを旅行者の目で観察し、路地裏の生活に触れる刺激を得るには家庭への滞在が最適でしょう。バーチャル空間で何事も済ませる時代になっても旅の魅力が色あせないのは、異国の生活がインスピレーションを得て、クリエイティブなネタを仕入れる最良のプロセスだからかもしれません。自分が持てる範囲で生活をする旅は、背負い込んだものを人生から削ぎ落とす視点をもたらします。旅の最大の効用は、自分の内側を深く旅して、ピュアな自分と出会うことだと思います。
甘いもの好きの救世主
ブランド芋による高級化が浸透するサツマイモですが、大袋に入った不揃いのものなら200円程とリーズナブルで、とくにブランド表記がなくても焼き芋にすると上品なデザートになります。無暗に甘い市販のデザートに辟易していたので、自然の甘味で、かつ重要な栄養素を供給し、食物繊維が多くグリセミック指数が低いために血糖値をそれほどあげない焼き芋は、甘いもの好きの救世主です。オリゴ糖の増した黒バナナと同様に、マクロファージを活性化させるLPS含有量が多く免疫力を向上させます。食べ始めると止まらなくなるスナック菓子やジャンクフードと違い、腹持ちが良い焼き芋は、食べる量を自制できるメリットもあります。食材価格の高騰により、もはや高嶺の花となりつつある洋菓子を買う機会は減りましたが、子供の頃に落ち葉を集めた焚火で焼いた記憶のある焼き芋は、今でも飽きの来ないデザートの定番です。
移動販売ビジネスの可能性
肉や魚、野菜など生鮮食品が入手困難になる「フードデザート=食の砂漠」が地方のみならず、東京都心にも広がっていると日経新聞が伝えます。東京圏における買い物難民の増加が顕著で、手ごろな価格で買えるスーパーや個人商店が撤退し、港区などの高級住宅街では、商品価格が概ね5割ほど高い高級スーパーばかりで買い物がしづらくなったと言います。こうした地域では住民の栄養状態が悪化し、健康を損ねる恐れがありますが、米国でも人口の17%に相当する5,300万人以上が食料品店へのアクセスが困難となり、肥満問題も生じています。自宅から徒歩圏にスーパーは数店ありますが、そのうちの一つが夏に撤退しただけでも不便を感じますので、選択肢を断たれた住民の買い物問題は深刻です。過疎地に限らず、移動販売ビジネスの可能性が今後広がるのかもしれません。
市中の山居?
南会津の敷地にある柿の木は渋柿ですが、いくつか持ち帰りました。渋抜きの方法は一般に干し柿ですが、酒に浸したり、冷凍する方法もあります。最も簡単な方法は常温保存により完熟させることで、柔らかくなった柿は甘柿に変貌します。自宅のドライエリアに干すと、わずかながらも冬の風物詩となり、大げさに言えば市中の山居といった風情が漂います。田舎に行くと軒先にはよく大根が干され、こうした光景がなぜか豊かに感じるのは、食料保存こそが人類文明の発展を支えたからでしょう。一方で工業化された保存料は微生物の増殖を抑制し、腸内細菌に悪影響を及ぼし肝臓に負荷をかけます。世界の都市では保存がきく高密度のデンプンにより肥満が問題になりますが、日本人は保存性の高い醗酵食品を食べてきました。殺菌剤や保存料、食品添加物を減らす理想の生活は、伝統を守る田舎の暮らしにあるのでしょう。
自然と融合し人々が助け合う時代
昨日は栃木県の鹿沼で古民家を見てから、南会津町に行きました。目的は、先週伐採しようとした立木の重さで抜けなくなったチェーンソーの救出ですが、最近のレジャーは古民家を見ることと、藪を払い、雑木を切ることです。自然の地形のなかに置かれた古民家が専ら興味の対象で、街中に残る古民家にはそれほど関心がありません。自然に溶け込むように佇む住まいを見ていると、自然と共存して暮らしていた戦前の日本人の美的感覚に思いをはせることができます。暖かい昨日でも、朝の気温が0度まで下がる南会津に来ると、厳しい自然と対峙する経験を通じて、住まいが洗練されてきたと感じます。集落の中心に集会所があるのは、人々が助け合うことがなしに生き残ることができなかったからでしょう。都市という快適な人工環境により失われた、自然と融合し人々が助け合う時代が再び来るような気がします。
重要なのはネガティブリスト
インフルエンザの流行期に入り、周りでは体調を崩す人が少なくありません。他方で感染しても無症状のまま発症しない人もいます。昨年出版された「新型コロナ発症した人 しなかった人」は、発症リスクの高さと相関関係のある食品の成分データをAI解析し、すでに発表されている膨大な研究報告と照合して因果関係の裏付けを取ったと言います。発症リスクの高いリストには、①甘いもの、②悪い油(酸化)、③乳製品、④小麦製品、⑤添加物、と誰もが知る健康に悪い食品が並びます。これらは体内で炎症を起こし、あらゆる病気と老化を引き起こすと同時に自己免疫力を奪います。データの取り方によりますが、それぞれの発症リスクは6倍から10倍とされます。何が健康に良いと聞けば、世間ではあっという間に品薄になりますが、重要なのは何を食べないか、というネガティブリストだと思います。
新しい自然との関わり方
最近の趣味は庭仕事です。よく行く南会津町の土地は、大半がしばらく放置されていた農地で、雑木を切り藪を払うと起伏のある地形が現れ、日の光が差し込む明るい林になります。人間が関わり自然に最小限の手を加えることで生まれる空間は美しく、改変されて作られた庭に負けず劣らず癒される場所になります。手つかずの自然も魅力的ですが、程よく人の手の入った自然に近い庭を持つことは、都市の猥雑さを避けたい人間にとって理想の暮らしに見えます。自然の素晴らしさに大小、濃淡の違いはなく、遠く海外や山の奥地まで行かなくても、自分の家の小さな庭にも同様に感動がある気がします。日本では日々限界集落が消えゆき、廃村化しています。こうした土地が再野生化し自然に埋もれて行くのも悪くありませんが、コンパクトシティ化する都市部に対し、オフグリッド化することで新しい自然との関わり方に可能性を感じます。