自然の恵みがもたらす奇跡

昨日は北高尾の小下沢で沢登りをしました。酷暑の今は東京近郊の山は暑すぎて登山に適しませんが、高速を使えば自宅からわずか60分で沢に浸かることができ、透明で清らかな水が流れる美しい沢は、自然の恵みがもたらす奇跡です。直射日光の当たらない谷筋は、自然のクーラーで冷やされる清涼な別世界で、水流が作った天然の登山道を登っていきます。沢登りと言えば水難や滑落事故が心配ですが、ここではファミリーでも穏やかな沢歩きが楽しめます。これが旅館のある阿武隈源流や南会津の湯ノ岐川だと、この季節でも長時間浸かっていることが難しいほどの冷たい水温のため、沢登りは蒸し暑い季節の東京近郊で行ってこそ最高のアクティビティです。風光明媚な避暑地に行かずとも、身近な自然のなかに、風情あふれる涼を感じることはできるのでしょう。

古民家を次の時代につなぐ

昨日は白河の古民家改修の現場に行きました。自宅の近所では古い家が数日で更地になり、気が付くと新築されているのに対し、古いモノを活用するリノベーション工事には時間も手間暇もお金もかかります。日本で伝統的に建てられてきた木造住宅は、直しながら使えば理論上永遠に住めますが、スクラップアンドビルドの対象になるのは、日本人の新しもの好きだけが原因ではないのでしょう。その結果日本の風景は、一貫性がなく無機的な猥雑さを感じる貧しいものになりました。メーカーの論理優先で次々と建てられ次々と壊すために、家への愛着は薄れ、代々使われてきた古民家にもその波は襲ってきます。人口が減る地方に行くほど古民家は大きくなりその活用を困難にしています。インバウンドが存在感を示すこの数年のうちに収益化し、日本らしい風景の古民家を次の時代につなぐことが必要だと感じます。

急がば回れ

この1か月ほど腰痛がひどく、その原因はおそらく関節運動学的アプローチ(AKA)の施術です。仙骨、仙腸関節を動かすことで関節機能の障害を治す手技療法ですが、むしろ症状が悪化し、日常生活にも支障をきたすようになりました。それでもAKAを否定する気になれないのは、施術後に足の付け根の可動域が広がることを実感するからです。この数年、様々な医者や治療家を巡りましたが、悪いのは、85%が原因を特定できない非特異的腰痛の治療を、他者に依存したことです。一方でドクターショッピングが必ずしも無駄とも言えないのは、医者を信頼する受け身の考えを改め、主体的に治療に取り組むには、医療機関への絶望も必要だからです。一生治らないと言い切る医者もいましたが、今の目標はトレランレースに復帰できる体を取り戻すことです。急がば回れで基本に返り、多くの時間を過ごすバランスボール上での腹筋などを始めました。

関心が冷めるオリンピック

7月31日に強行されたパリ五輪の男女トライアスロン競技の水泳会場であるセーヌ川は、泳げる状態には見えません。2,400億円を投じて水質改善を図ってきたと言いますが、連日の降雨もあって水質悪化は明らかです。評判の悪い開会式といい、競技以外のネガティブな話題が多いことは、オリンピックの形骸化を示す兆候のような気がします。史上初めて利益を上げることに成功した1984年のロサンゼルスオリンピック以降、オリンピックは商業的に魅力がある国際イベントとしての地位を確立し、競技よりもショービジネスとしての性格を帯びてきたと思います。前回の東京開催も、コロナ禍の影響もあって後味の悪い大会となり、利権や選手村のグレーな土地売却問題などが注目されました。平和の祭典のはずが、強権国家の国威発揚に使われ薬物問題を引き起こすなど、人々の関心が冷めていくのは避けられないのかもしれません。

21世紀の冒険

K2に挑んだ平出和也氏と中島健郎氏がなぜ遭難したのかを考えます。世界で最も難易度の高い魔の山K2西壁の、未踏ルートのアタックのために6年の準備期間を重ねて来た本人たちが、誰よりも危険を知っていたはずです。あまりの難易度の高さから誰も手を付けなかったルートに命を賭した挑戦を、表層的な美談で片付けることには抵抗があります。山は古来より人類が直面してきた圧倒的な存在であり、命のはかなさと無力感を教えてくれました。冒険家と呼ばれる英雄は、極限まで危険を冒す存在であり、その結末はあまりにも冷酷な必然なのかもしれません。誰よりも自然に対する畏怖の念を抱いたはずの二人が、それでも挑むことを常識的に説明することは困難です。20世紀までの冒険は、世界を縮め人類の進歩に貢献してきた側面があったことは確かです。われわれから英雄を奪った21世紀の冒険のあり方は、見直される時期に来ているのかもしれません。

生きる意味

K2(8,611m)で滑落した平出和也氏、中島健郎氏の救助活動打ち切りが発表されました。事故から4日目の苦渋の決断ですが、ヘリコプターのパイロットが2人の位置を確認していただけに悔しさが残ります。崩落による二重遭難の恐れなどから、救助活動の終了を決めたと言います。2022年の8月8日の朝4時半頃、北アルプスの北ノ俣岳山頂でTJARの取材をしていた平出氏にお会いしました。太郎平から登ってくるトップグループの選手を待つ間にK2の話を聞き、以来無事に偉業を遂げてほしいと願っていました。このときは大きなザックを背負いながら軽い足取りで先行していき、黒部五郎小舎での食事中の姿を見かけたのが最後となりました。周囲は危険な冒険を避けて欲しかったと思いますが、生きる意味、生きる大義とは人生の冒険にあったような気がします。群れの先頭に立たなければ、見える世界はいつも同じなのでしょう。

半非日常のリゾート地

昨日は卒業式を終え、トルコ経由で帰国した娘を迎えに成田空港に行き、ついでに飛行機の撮影スポットとして知られる東峰神社に寄りました。成田空港の34R滑走路(2,500m)の端からわずか60mの位置にある東峰神社から見る着陸シーンは、標準レンズでも画面から飛行機があふれるほどの迫力です。見られるのは北風運用の日に限られますが、flightrader24で着陸態勢に入った飛行機を確認して待ち構えていると、やがて金属音をあたりに響かせ、視界を遮る塀から巨大な物体が突然姿を現すさまは、航空ファンならずとも魅せられます。社会人になった頃は、なぜか今の季節になると成田空港周辺のホテルに泊まりプールを使っていました。渋滞さえ避けられるのであれば、都心から程よい距離にあり外国人クルーが滞在する成田空港周辺は、少し日本離れした半非日常のリゾート地と言えるかもしれません。

山を走るために生まれてきた

世界第2の高峰K2(8,611m)でのアルピニスト滑落の一報を受け、日本の山岳界に衝撃が走りました。最も名誉とされるピオレドール賞を日本人最多の3度受賞した平出和也氏と、2度受賞した中島健郎氏による世界最強コンビです。測量番号がそのまま山名に残ったK2は、エベレストよりも厳しい気象条件、急峻な山容により世界一登頂の難しい山とされます。K2の一般的なルートでさえ、エベレストのバリエーションルートに匹敵する難しさと言われますが、事故が起きたK2西壁は未踏ルートです。平出氏とは不思議な縁で、南アルプスで二度、北アルプスで一度出会い同宿したこともあります。妻はネパールの空港で中島氏にも会ったそうです。滑落地点をヘリコプターが確認したものの、着陸困難で地上からの救出を試みると伝えられます。山を走るために生まれてきたようなしなやかな肉体が印象的で、気さくなお二人の無事を願うばかりです。

アンチエイジングはありえない?

「老いない人生の作り方-サクセスフル・エイジング」を読みました。老いない人生は人類共通の願いですが、特効薬は脳由来の神経栄養成長因子BDNFの産生を刺激する断食と激しい運動しかないようです。アンチエイジングはありえないと断言する科学者もいますが、肥満していた30代のコースタイムの半分で八ヶ岳を周回できる四半世紀後の今の自分の方が肉体的に若いと強弁することは可能な気がします。運動も断食も自然に始めることが重要で、食欲がない日や仕事が忙しい日に食事をスキップするだけで断食は達成でき、その心地よさと次の食事の美味しさがモチベーションになります。運動は楽しくかつハードルの低いものから始めるのがよく、ハイキングからスピードハイク、トレイルランニングへとステップアップする方法が現実的だと思います。一度気持ち良さを味わうと脳が発する偽りの欲求に惑わされず習慣化が可能でしょう。

最強の健康法

今週は家人が不在なので、一人健康週間を実施しています。飽食社会を謳歌する現代人にとって、毒素を抜くためのリトリートは有益でしょう。健康に影響を及ぼす要素は人によって見解が異なりますが、睡眠、食事、運動あたりは有力候補です。睡眠に良いとされることは大概試しましたが、それでもショートスリーパーは変わらず、専ら食事と運動に注力をします。長野県に来て連日山に登り、毎朝2,000kcal程度消費していますが、一日一食600kcalも摂取すればエネルギー産生には十分で、少なくとも中高年以上の必要カロリー数値は見直す必要があると思います。このような生活を続けていると身体が引き締まるだけではなく、活力がわき気分まで前向きになります。小食と運動こそがミトコンドリアを強化する最強の健康法だと信じるのは、身体のパフォーマンスと気分の向上を体感できる上に、味覚が繊細になり食事が美味しいからです。

Translate »