先週NHKが「実年齢より“体力年齢”が若い、50代で大幅増加」というニュースを報道しました。新体力テストが始まった平成10年以降の20年間で、男女共に55歳から59歳は暦年齢より体力年齢が若い人が顕著に増え、男子の52.5%、女子の54.8%が該当します。アジア圏の国のなかで日本は若返り願望が際立って強い国とされますが、年々増加するスポーツ参加人口の増加も貢献しているはずです。多くの医師が若返り効果を強調するのは空腹(飢餓)状態で延命遺伝子サーチュインが働き全身の細胞や遺伝子を修復するメカニズムです。若返りを促進する成長ホルモンは睡眠が深い最初のノンレム状態で分泌されるために睡眠の重要性も指摘されます。興味深いのはハーバード大のカウンター・クロックワイズ(時計の針の巻き戻し)研究で、75歳の男性グループに当時の音楽やニュース、雑誌のある20年前の生活を1週間してもらうと全員の視力が平均して10%、知能テストが20%改善し被験者の写真を第三者に見せたところ若返ったと評価されました。これを聞いたからではありませんが、学生時代に聞いた曲を聞きながら四半世紀前にも乗っていたフィアットを走らせると心が晴れます。
お知らせ
高度情報化社会の欺瞞
かつて愛用したBlackBerryのサービスが終わりiPhone SEに交換したのは3年前ですが、その後iPhone 7、iPhone 8、iPhone XS、iPhone 11とすでに4世代も代替わりしたことになります。暴力的な計画的陳腐化により進化するICTは人の生活を便利にも幸せにもしていないと思います。スマホを肌身離さず持つことによる電磁波の本当の恐ろしさを人類は誰も経験していません。四六時中見られる動画やSNSはマインドレスネスの元凶です。迷惑メールやセキュリティ対策に要する時間もストレスになります。昔は霞が関の政府刊行物センターに行き1冊1,500円ほどした有価証券報告書を買いましたが今は無料でダウンロードできます。かつては半日つぶしてセミナーに行きましたが、今はユーチューブなどの画像を見てしまえば事足ります。昔は情報調査会社を利用しましたが無料の公開情報をつなぎあわせるとたいていの用事は済みます。経済的な負担なしに情報や知識を簡単に得られる時代が人間を賢くしたのかは疑問です。パソコンのない牧歌的な時代に社会に出た自分が高度情報化社会を素直に喜べないのは、社会の進歩をそこに実感できず他ならぬ人間自体を置き去りにしている気がしてならないからです。
陰謀論は好ましい?
即位礼正殿の儀の行われる今日は生憎の天気で、被災地にとっては非情の雨になってしまいました。深い爪痕を残す台風19号が気象兵器による陰謀だと一部の人は信じています。タイタニックの沈没に始まり、ケネディの暗殺、アポロの月面着陸、911テロ、マレーシア航空機の失踪、日本なら日航機墜落事故や311まで様々な陰謀説が流布されてきました。エスタブリッシュメントを自認する人にとって陰謀論など悪いジョークに過ぎませんが、半信半疑の娯楽だった陰謀説が本気で信じられるようになった背景には政府やマスコミ、大企業への不信感があると思います。遺伝子操作された農作物や農薬のようにどこまでが経済的、政治的な思惑でどこからが陰謀なのかは曖昧ですし、恐怖を煽る荒唐無稽な話も少なくありませんが、911テロのように残された状況が不自然で陰謀論を支持しない方が説明が難しいケースもあります。日航機事故当日のことはよく覚えていますがあれほどの巨体で地上からの目撃が相次いでいるのに、翌日まで墜落地点が特定できなかったとする対応の不自然さが陰謀説の入り込む余地を生みました。2020年首都直下人工地震説なども唱えられていますが、リスクマネジメントやクリティカルシンキングの観点からは、陰謀論はむしろ好ましい面を持つと思います。
選手自身が動かすチーム
ラグビーワールドカップが世間の耳目を集めるのは4年に1度という希少性によるところが大きいと思います。ショービジネスである点において他のプロスポーツと違いがないのにこれほど多くの人を魅了する理由は、選手生命にとってはまさに一生に一度の大舞台ならではのプレーに対する執念や集中力を感じるからです。甲子園や箱根駅伝が国民的人気を誇るのもオリンピックの理念であるアマチュアリズムによるところが大きいはずです。安倍政権の成長戦略のなかでスポーツ産業は重点分野ですが、過去20年でアメリカのスポーツ産業が3倍に成長したのに対して日本ではむしろ減少しています。相次ぐスポーツ指導者による不祥事など、日本のスポーツ界にはいつも陰影がつきまといます。初めて外国出身選手を主将に任命した平尾誠二元日本代表監督の命日に開催された初めての準々決勝を戦ったのは多国籍チームで、海外出身の選手が日本の国歌を斉唱する姿が印象的でした。指揮官の上意下達が当たり前の日本スポーツ界にあってリーダーシップを共有した選手自身が動かすチームの強さをラグビーが教えてくれたと思います。
偏狭な発想を壊す多国籍集団
日本中にラグビーファンを増やし今年放送された全番組中最高の視聴率を連発するワールドカップの盛り上がりは、3連覇4度目の優勝のかかるニュージーランド代表チーム「オールブラックス」によるところが大きいと思います。125年の歴史で77.3%の勝率を誇り、あらゆるスポーツの代表チームを上回る最強チームのブランド力は抜群です。スポーツ史上最も成功したチームの原動力は素早くトライを挙げる多様な攻撃スタイルなど、ニュージーランド国民のアイデンティティを形成するラグビーそのものの強さにあります。加えてラフプレーの少なさや創設以来の黒いユニフォーム、試合前に演じるハカなど”ALL BLACKS”がニュージーランドラグビー協会の登録商標であるように、自国以外の海外でのファン層拡大を狙うブランド構築は巧みです。今夜注目される日本チームの特徴は多国籍集団にあり、日本企業の強みであり致命傷でもある純血主義や学閥偏重といったプロパー重視の偏狭な発想にとらわれないチームは望外の成果を上げています。赤いオールブラックスは経済成長が止まり劣化が懸念される日本社会のあるべき姿を示しているように思えます。
リピーターという病
世の中にはちょっとした違いがあふれていると思います。ちょっと便利、ちょっと上質など、本質とは無縁の微細な違いで商品を陳腐化させないと経済が回りません。昔は差別化と呼び、差別はいけないので差異化と呼んだりもしますが、同質化する競合商品との違いにより競争優位を築こうとするのは世の常です。ブルーオーシャンのつもりがすぐに血の海に変わり共食いが始まる競争環境では、その差異もわずかな違いでしかありません。違いが微小化するに従い計画的陳腐化が難しくなりマーケティングの手口はより巧妙に進化します。心理学を抱き込んだ行動経済学では物足りず脳科学と融合した神経経済学へと発展したのはそのためでしょう。消費者の報酬系を活性化させドーパミンを分泌させ続けることが必要です。飲食店の主人は報酬系刺激とかドーパミンマネジメントという言葉は知らなくても、なかなか食べられない裏メニューを出すことでリピーターという依存症を作る脳内麻薬を心得ています。そして不要不急の消費の結果がお腹の脂肪に現れることになります。
生理的快楽と自己実現は同じ?
数日前からモバイルWi-Fiが不調になり、以前ならストレスを感じたのですがデジタルデトックスはむしろ好都合です。四六時中つながるインターネットなど身の回りにはあれば便利という商品があふれ、便利であることは他方で無用なストレスを抱え込みます。科学技術の進歩は人間や自然をいつも置き去りにしてきたと思います。Tech企業は依存のメカニズムを使ってスマホの利用時間を伸ばそうとし、かつてテレビに費やされた無為な時間がインターネットやSNSに変わり、自分自身や自然と向き合う機会は増々希薄になっています。五感を研ぎ澄ますことなく生物的な単一欲求を満たすために生きる人生は虚しいと思います。快適か不快か、美味しいか不味いかなど、単一の感覚器に頼る生理的な快楽が厄介なのは、脳がより高次な快を感じるときに分泌される神経伝達物質と同じということです。つまり刹那的な快楽と人生における自己実現といったより高次の快には同じ脳内物質が関わっているために両者の見分けがつきにくくなります。そのため人は手っ取り早い快楽を追求することと人生の目的を混同してしまうのだと思います。
自分人体実験
健康に関連する本を読みますが、その知識は仮説に過ぎず自分で実験をします。これが玉石混交の健康情報に翻弄されない最良の方法だと思います。あっけないほど簡単に体重が落ちた糖質制限の衝撃は自分の健康感の基盤になっていて、糖質過多社会こそが生活習慣病を蔓延させた主犯だと考えるようになりました。過去の栄養常識が一度崩れると自分のなかでパラダイム転換が起こり、思考が回らないからチョコレートとか、ハンガーノックには糖分、レース前はカーボローディングといった旧来の常識が偽りだったことが分かります。よくやる自分人体実験は水分以外無補給で何キロ行動できるかで、血中ケトン体濃度が上がっていれば山岳路なら40キロ程度までは全く問題がないことは何度も確認しています。従来の常識とは逆に糖質を摂らないほうがハンガーノックにならず、運動により低下した消化機能が原因で吐くのも炭水化物のせいだと疑っています。人間が生きるのに必要なのは水、アミノ酸、脂肪酸、ビタミン、ミネラルでエネルギーにしかならない糖質が三大栄養素に含まれる理由は商売の都合だと思います。
自然の力を取り込む暮らし
首都圏をはじめ広域の47河川が決壊し、阿武隈川流域でも水害による被害が広がりました。旅館のある阿武隈源流は年間降水量が多く付近には土砂災害危険箇所もありますので、無関心ではいられません。311の津波被害の際は、言い伝えによりかつては住むことを忌避されていた地域での被害も深刻でした。沿岸部と山岳地帯が多く、川が一気に水を運んでしまう災害国日本で自然との共生は大きな問題です。米国で「自然欠乏症候群」が話題になったのは2005年のことですが、ヒポクラテスは2400年前に自然から遠ざかるほど人は病気に近づくと指摘しています。便利さが優先される都市では安楽な生活が送れる反面、五感を集中させる機会が乏しく注意力が散漫になると思います。危険に会う可能性がある自然のなかでは感覚を研ぎ澄ましますが、安全な人工空間である都会では次第に注意力も衰え人は鈍感になります。年々拡大するスマホ依存が無意識の注意ともいうべき感応的集中力を奪う昨今、自然の力を取り込む暮らしとは何かを考える機会にしたいと思います。
最強の動機づけ
台風に見舞われた週末は9月末で41期が終わった会社の決算作業をしました。旅館が営業を休止している今は個人事業に過ぎませんが、飽和する市場環境ではパーソナルビジネスは大企業より有利な側面もあります。スティーブ・ジョブズはアイデアを殺すプロセスを敵と考え、大企業ならではの複雑なプロセスが作品から生命を奪っていくことを恐れていたと言います。個人事業の最大の魅力は自分の興味の赴くままに「自分プロジェクト」を自由に描き始められることだと思います。働くことを主体化できる自発的な目標こそがやる気の源泉です。巨大化した大企業でも国策企業以外はすべて自分プロジェクトから始まっているはずです。理屈が通らないルールに縛られる企業で働くより、自分の得意なことでビジネスを始めたほうが有利と考える人は増えている気がします。数年前から自分が接する学生の2、3割は起業を目指していて、大企業にタレントが入って来ない時代に入ったのかもしれません。人生の価値がフローになれる時間の総量で決まるなら、自分だけの面白そうという動機づけこそ最強だと思います。