気温が下がると自ずと睡眠時間が伸びます。日本人が短眠とされる理由のひとつは、夏の厳しい暑さがあると思います。日本において睡眠を阻害するもう一つの理由は、家が明る過ぎることで、その悪影響はスマホやパソコンのブルーライト同様かもしれません。自宅は地下にあるのですが、照明器具が最小限なために、家人には不評で親戚が来ても暗いと言います。しかし、欧米と比較すると戦後の日本の住宅は明る過ぎて、工場のような蛍光灯が好まれた結果、風情も失われたと思います。おそらく戦前の人々は、最小限の明かりを頼りに太陽とともに生活リズムを刻み、陰影を楽しむような自然に近い暮らしをしていたと想像します。戦時中の灯火管制のトラウマなのか、戦後の住宅は明るさばかりを求めるようになりましたが、人体の摂理であるサーカディアンリズムに沿った暮らしに戻すべきだと思います。
日常と切り離された移動
昨日は大月短大に出講する日で、80kmの運転は、遠すぎず近すぎず気晴らしに最適です。人は本質的に移動が好きな生物だと思います。同じ場所に毎日通う通勤とは異なり、日常と切り離された移動は、感覚が研ぎ澄まされ、見えなかったものが見え、感じられるようになる気がします。旅の効用を説く人は、インスピレーションを得るには移動が必要であり、世界的な偉業は旅から生まれたと主張します。新しい景色は脳に刺激を与え、移動が内省の時間となり、自己との対話が深まり、インスピレーションが湧きやすくなるのかもしれません。移動はマニュアル車に限ると考えるのは、両手でハンドルとシフトノブを、左足でクラッチ、右足でアクセルとブレーキを操作することで脳が集中力を高め、軽い運動になり、スムーズに走らせることで自己効力感も高まるからです。今いる場所から離れることでしか未来は開けないのでしょう。
腰痛を治すのはストレッチ
腰痛治療のためにドクターストレッチに通うようになって1か月が経ち、その間5回の施術を受けました。施術後は関節の可動域が広がり、しなやかに動く印象で快方に向かっている感じがします。その効果はゆるやかで、そう言えば最近はあまり腰が痛くないと気づく程度です。これまでにAKA-博田法など異なる主張をするクリニック3か所、整体、カイロプラクティック、鍼灸、スポーツマッサージなどを試しましたが、着実な改善効果を実感できるのがストレッチです。全体の85%とされる非特異的腰痛の主因は、固まった筋肉による神経圧迫とする説が、個人的には最も納得できます。トレーナーが変わっても前回の施術内容などのゲストヒストリーが蓄積され、オーダーメイドの施術が受けられることも安心です。腰痛を治すのはストレッチ、が世間の常識になるのはそう遠い先の話ではないと思います。
リピートの決め手
1839年創業の老舗茶農家、吉田茶園内に先月開業したSAUNA NAYAに行きました。築80年の納屋をサウナにしたもので、茶室をイメージしたサウナ室の扉はにじり口のように小さく、8平米ほどの室内は10人が座れて室温は80℃に保たれます。チェーンの毎日サウナなどにも導入される、長野県のケンズメタルワークの薪ストーブはガラス面が大きく、美しい炎を見ることができます。出荷に適さない茶葉を焙煎して抽出したほうじ茶ロウリュはアロマオイルよりリラックスできる印象です。ハイライトは栃木市の老舗味噌業者から譲られた高さ約2mの樽の水風呂です。通年16℃とされる地下水は体感20℃位ありますが、水深があるために浮遊感を味わえます。隣接する東北本線が頻繁に通るので気は散りますが、高木の森を眺める外気浴にも癒されます。体がサウナに順応して年々調いにくくなるなかで、リピートの決め手になるトリガーが何かを常に考えさせられます。
政治は妥協の芸術
政治は妥協の芸術と言われますが、大半の公約を覆す石破氏は、政治への信頼が失墜した今、ふさわしくないリーダーに見えます。総裁選で石破氏に投票した議員リストが出回る一方、旧安倍派を非公認にする二重処分に自民党内では激震が走りました。自民が下野した民主党政権誕生の時は、非自民勢力をまとめる小沢氏がいましたが、今の野党にはそのような存在も時間もありません。立憲民主党の野田党首と、体形も年も、ヘビースモーカーであることも、財務省フレンドリーな政策も同じ石破政権と、野党との間には選択肢がなく、岩盤保守層がどれだけ政権を見限るのかに注目が集まります。反主流を歩んできたトップが国を導き、党内の勢力図が大きく変わり対立が深刻化したあと、何が起きるのかという政界の社会実験から目が離せません。
昭和的な旅

娘はK-POPの推し旅で台湾に行きました。この半年でシンガポール、インドネシア、韓国、台湾に行き、国内旅行より海外のライブに行く回数の方が多く、LCCの存在は旅行市場を変容させたと思います。若者が旅行をしない理由の一つは運賃の高さで、国内市場を寡占化してきたJRは、国際線の航空運賃が法外に高かった時代の戦略を、見直す必要があるのかもしれません。マスマーケティングの代表例といえる、「そうだ 京都、行こう。」的なアプローチは早晩通用しなくなりそうです。推し活に代表されるニッチでマニアックなマーケットは、旅へのモチベーションが高く、国際線に乗ることへのハードルが下がります。JRの豪華列車人気にどこか違和感を覚えるのは、若い世代の先鋭化した旅のニーズに対して、昭和的な旅の発想から進歩していないように見えるからです。
写真修正の波紋

YouTube界隈では、発足したばかりの石破政権をネタにするエンタメ化が盛んで、「だらし内閣」という流行語を生んだ組閣後の官邸写真が拡散しました。政治への関心が高まるのは良い傾向ですが、官邸が写真を修整したのは問題だと思います。ルッキズム以前の問題として国の信頼に関わり、首相官邸による公式写真の加工は独裁国家が使うフェイク写真と同じです。今年3月キャサリン英皇太子妃が子ども3人と一緒に写った家族写真が加工されていたことが発覚し、主要な通信社がこの写真を一斉に削除しました。プライベートとして撮られた写真ながら、王室がXに投稿した画像は歴史的な記録であり、完全な信頼を得る必要があります。価値観に基づく人為的修正は事実を伝えるジャーナリズムにおいては許されず、効果的に嘘をつける写真を偽れば誰も信じなくなるのでしょう。
総裁選より興味深い
国民人気不動の一位だった石破氏ですが、政権支持率は自民党が下野した麻生内閣より低い51%で、21世紀に発足した内閣としては最低との調査もあります。組閣後の官邸でのひな壇写真も、着こなしや姿勢が問題視され「だらし内閣」がトレンド入りし、官邸は写真を加工しました。せっかくの晴れ舞台なのに、本人すら総理になれるとは思っていなかったのかもしれません。派閥の暗躍により生まれた政権は、言われた通りに踊るしかなく、政策通との前評判とは裏腹に、正論を吐くばかりの外交防衛政策も米中から警戒されます。その変節は右派左派どちらからも批判され、お目こぼしをしてきたマスコミも言行不一致を問題視し始めました。5日目にして満身創痍の長老傀儡政権は、身体検査もなく入閣した閣僚のスキャンダルが噂され、自公で40議席を失うとの観測もあります。総選挙は総裁選より興味深いドラマになりそうです。
生活習慣に課税を

健康保険組合連合会は、高齢者の窓口負担や高額医療費補助の患者負担を引き上げる、医療制度改革の要望を公表しました。70〜74歳は所得に関係なく、現役世代と同じ一律3割、75〜79歳は原則1割から2割に引き上げるものです。半年に一度歯科医に行く程度ですから3割負担はそれほど気になりませんが、頻度の高いお年寄りにとっては死活問題でしょう。高級飲食店の顧客で目立つのは、かつては製薬会社で、医師への接待費用も加算された薬を生涯飲み続ける薬漬け大国を見直すことが先だと思います。降圧剤など、日本が世界の市場シェアの握る疾患は、恣意的な基準次第で増やすことができます。世界に誇る国民皆保険によって、自分の体を医師任せにする風潮の改善や、ソーダ税のようにリスクの高い嗜好品などの生活習慣に課税をする方が、誰もが幸せになれる気がします。
最高もなければ最低もない
ご祝儀相場の無い異例の船出となる石破政権が始まりました。周囲の評判は芳しくありませんが、最高もなければ最低もないのが民主主義の宿命と受け入れざるを得ません。良くも悪くも自民党の総裁選以降、ビジネス界の空気も変わり始める気がします。コロナ禍によってプチバブルのはじけた宿泊・観光業界ですが、その後のインバウンドの回復が予想外に順調だったために、その恩恵に浴するエリアでは再びバブルに向かっていると思います。バブル経済を実体験している人間の強みは、バブルの空気の匂いをかぎ分けられることで、グランピングやサウナの熱狂にも比較的冷静でいられます。自分の肌感覚とはかけ離れた、高額のリゾート物件が飛ぶように売れる昨今の動きは、80年代の既視感を覚えます。結局、ビジネスの世界においても、最高もなければ最低もないのかもしれません。