
N-VANがリコールになりディーラーに行きました。旅館の軽トラを除くと、N-VANは初めて買う国産車で、国産車ディーラーに行くのも親の車に乗っていた学生時代以来です。CIでデザインされた今時の店舗とは違い、ホンダの店は庶民的ですが、車寄せに停めれば、あとはフリードリンクとWi-Fi完備の席で待つだけで、時々スタッフが構いに来てくれるのもポルシェのディーラーと同じです。軽の商用車なのに、室内外がきれいに清掃、洗車されて戻ってくるのは過剰品質にさえ思えます。自動車好きを自負する自分にとって、唯一の存在理由は国産車には乗らないという偏狭なこだわりでしたが、ポルシェの工業製品としての信頼性にはがっかりすることが多く、現実はN-VAN以下だと思います。日本の公道ではストレスをためるだけの性能や、人に自慢できるステイタス性を悪趣味と思えるなら、両者の違いは夢を見させ続ける演出だけなのかもしれません。
最後のフロンティア山小屋

星野リゾートが山岳観光に特化した、6番目となる新ブランド「LUCY」を立ち上げました。9月1日に開業する尾瀬鳩待を皮切りに、立山を含む全国の山岳観光地に展開する予定です。世界有数の山岳地域を擁する日本は、豊かな自然環境を活用した観光で出遅れていると思います。ヨーロッパのアルプスには、洗練されたサービスとデザインの山小屋があるようですが、貧しい時代を色濃く残す日本とは異なります。初めて山小屋に泊まったのは中学生の時ですが、当時は布団1枚に3人が寝る劣悪な環境でした。コロナ禍を経て宿泊定員が減らされ幾分快適にはなりましたが、それでも山小屋の宿泊機能は快適とは言えず、テント場があればテントを選びます。年間スキー滑走日数80日のKPIを掲げる星野佳路氏が最もやりたいのは、おそらく山岳ホテルであり、最後のフロンティアである山小屋に、イノベーションを持ち込んでほしいものです。
外付けの脳

毎朝400字未満の文章を書く習慣は、2017年の元旦に始めました。知能を超える勢いの生成系AIが洗練された文章を書く時代になると、書くことは人に伝えるだけではなく、脳を守る習慣になると思います。かつて走る行為は狩猟のための必然でしたが、現代人は健康のためにトレッドミルの上を走ります。脳を守るためにデジタルデトックスが必要なように、文章を書くことはAIデトックスとして意味を持つはずです。いくつかの文章をChatGPTに採点してもらうと、構成力:B+、表現力・言葉選び:A-、思考の深さ・独自性:A、総合評価:A-、と評価し、これが自分の文章スタイルのようで、具体的な改善点も分かります。TEDが世界の賢人の声を届け、Duolingoが言語能力を高めるのは、機械が農業の生産性を飛躍的に高め、車により遠くへ行けるようになったのと同じです。外付けの脳を最大限生かすことなしに、ビジネスで生き残ることは難しいのかもしれません。
都市と地方のすれ違い

連休中に外出し自宅に戻ると、生ものの配達の不在通知が届いており、インターフォンには配達員が訪れた2度の画像が残っていました。ゴールデンウィークという行楽シーズン真っ只中に、生ものを人の家へ送るべきではない、と考えてしまうのは、ある種の“都会的な感覚”なのかもしれません。都市部では、普段から時間に追われ、週末くらいは遠出したいと考えるのが自然です。しかし地方に目を向けると、事情は異なります。白河で古民家サウナの工事を始める際、近隣の約20世帯に土曜日の昼間に挨拶へ伺いましたが、ほとんどの家で在宅されており、休日の過ごし方でも、都会の感覚が通用しないことを実感しました。私たちはつい、自分の常識を絶対視し、他人を判断しがちです。しかし、相手を思いやるのであれば、自分とは全く異なる価値観で暮らす人々が大勢いることを、常に心に留めておく必要があるでしょう。
人間らしい暮らしに目を向ける知恵

ゴールデンウィークという国家的イベントでは、消費者の財布の紐が緩みます。それを見越した事業者は、スペシャルメニューなどと称して値段を吊り上げます。連休中の高速は休日割引が使えませんが、渋滞を避けるため夜中に移動するので、より有利な深夜割引が使えます。連休中は2度八ヶ岳に登り、白州に家を買った友人宅と見たかった古民家カフェに行っただけですので、使ったお金はわずかです。お金を使うことに抵抗があるのは、将来を悲観しているからではなく、騙されているような気がするからです。人混みの商業施設でお金を使うより、明け方の山に登る方がはるかに刺激的で心穏やかになれます。昔の人は「贅沢をすると罰があたる」といって行動を戒めましたが、それは単に節約をせよという訓えではなく、人間らしい暮らしに目を向ける知恵だったのだと思います。
10年前の体を取り戻す

連休は2日連続で西岳(2,398m)に登りました。金曜日に達人のストレッチを受け、ドクターストレッチが4か月かけて治せなかった腰痛が40分で消えたからです。2019年の上州武尊山スカイビュートレイルレースの48km地点でリタイアした後、山に行くと常に腰痛に悩まされて来ました。腰痛の症状はそれ以前からありましたので、もはや人生の一部になっていた痛みが消えたことは、今でも半信半疑です。普段は歩く下山道でペースを上げても、関節と筋肉は腰痛以前と同じように動きます。運動から遠ざかり筋肉も心肺機能も低下しており、最盛期のスピードは出ませんが、痛みが生じないことは奇跡です。6年間出ていないトレランレースに復帰するのは夢でしたが、痛みのない人生によってQOLが一気に上昇し、年間15のレースに出ていた10年前の体を取り戻すことが次の目標です。
普通は命とり?


連休初日は白州にある古民家カフェに行きました。古民家と名の付くところはとりあえず行く主義で、見れば概略どの程度お金をかけたかは想像がつきます。何の変哲もない古民家ですが、明治30年頃に建てられ130年の時を経た貴重な存在です。2年ほど前に購入したそうで、その時に屋根瓦を換え、薪ストーブをつけた以外は、お金はかけてないように見えます。客は入っていますが、開業後日が浅いこともあり、連休の入込状況は参考になりません。店の真価は数年が過ぎた時に分かりますが、2度3度と行きたいという気持ちにはなりません。デザートや飲み物のクオリティは月並みで、内装にも粗が目立ち、文句を言うほどではないにせよ、小規模事業者にとって普通は命とりだと思います。しかしながら、人を雇わず日々の生活費が入ればよいと考えるなら、これで十分なのでしょう。
達人のストレッチ

4か月ほどドクターストレッチに通った腰痛は完治せず、たまたま見つけた近所の個人経営のストレッチに行きました。最初に足湯につかり、正味施術時間は40分ほどですが、パワーとスピードがドクターストレッチとは桁違いで、朝はだるかった腰から痛みが消えました。過去に受けた施術のなかでトップクラスに痛いものの、あそこまで思い切りよく体を動かすのは、よほど施術に自信があるからだと思います。素人を短期養成してトレーナーにするチェーン店とは異次元の施術は、翌日になってもみ返しが出ないのが不思議なぐらいです。犬が起きたときにストレッチをするように、トイレに行くたびなど、日に何度もストレッチをすることが肝要で、前屈、腰を伸ばして反るなどの簡単な動きが奨励されます。もう恐れずに運動をして良いと言われましたので、連休は八ヶ岳で山に入りたいと思います。
思考の身体性

昨日は出講の日でした。コンサル時代から研修は比較的好きな仕事で、同様に授業も好きです。準備で自身が能動的に勉強をすることと、頭と体を同時に使う思考の身体性がもたらす気づきがあるからです。「学ぶための最良の方法は教えること」と言われるのは、誰かに教えることを想定すると、意味の理解・構造の把握を意識するようになり、自らの学習理解が深まるからとされます。授業中に自分の声を聞きながら思考するという新鮮な体験が貴重なのは、自分の発言を客観的に聞くメタ認知による自己理解が進み、考えを言語化することで、初めて思考が整理されるからだと思います。自分の話なのに、新たな気づきがあり、アイデアが発展して思わず膝を打ちたくなることもあります。典型的なのは自分が知らないことを学生との対話のなかから見つけるときで、答えを知らないスリリングさも加わり、これこそ授業の醍醐味のような気がします。
サクラに弱い日本人

近所の商店街に、ソウル東大門にある人気のベーグルベーカリー、eun bakery(イウンベーカリー)」ができたのは昨年末です。テイクアウトのみ、現金のみで、ひとり5個までの購入制限がある8種類のベーグルは、11時に開店して昼過ぎには完売するようです。380円から570円という高額なベーグルを買う気にはなりませんが、開店の30分前には行列ができるのを見ると興味を引かれます。伝統的なプロモーション手法にサクラがありますが、そうではないでしょう。商品の売れ行きが良いように偽装するサクラは、Amazonや宿泊予約のOTAサイトのレビューなどそこかしこに見られます。桜の花見はタダで見られて、その場限りで盛り上がる様子からサクラという隠語が生まれたようですが、周囲にあわせて自分の意思決定をする習性がある日本人は、サクラに弱いのかもしれません。