最新情報

Information

限界費用ゼロのニュー・ノーマル

昨日発売されたユニクロのマスクはどの店でも三密が発生するほどの行列で完売し、ウェッブサイトにもアクセスできません。普段使っている手荒れのしにくいハンドソープを買おうとアマゾンで検索すると以前の倍ほどの値段に高騰していました。一方ステイホームの影響で400リットルクラスの大型冷蔵庫が売れているといいます。米国では小売業の業績回復が著しく国内でも6月は前年に近い売上を見込むところが出始め、経済の先行きを悲観する必要はないかもしれません。他方でもとの大量消費社会に戻ることを手放しで喜べない気持ちもあります。限界効用逓減の法則なのか、満たされるほど人は消費をしなくなりデフレ社会は経済発展の結末かもしれません。昨夜娘が開いたオンラインイベントには各地から150人ほどが集まったようですが、お金はかかっていません。ニュー・ノーマルの本当の意味は限界費用ゼロ社会を急加速で実現させることなのだと思います。

会う必要ありましたっけ?

コロナ禍が生み出したリモートワークは、マイクロマネジメントによる頻繁な監視や無用な打ち合わせ、はては個人の生活を覗き見するリモートハラスメント(リモハラ)まで起きていると言います。一方で、ほとんど質問の出ない授業を遠隔化してもメリットを超えるデメリットは今の所見つかりません。移動時間やコストなど人と会うことの代償をこれほど意識したことはありませんでした。非接触のSNSが時空を超えて擬似的に人間関係を維持してきたように、新たな働き方は生活を豊かにする可能性があります。年間60日のスキーをKPIにする星野リゾートの星野代表がスキー場からiPadで会議する姿をうらやましく思いましたが、誰でも森でハンモックに揺られながら会議に参加できる時代です。学校や職場に行かないことで4月の自殺者が過去5年で最低だったことも象徴的です。ワークスタイルを変えれば自殺も過労死も減少し、その選択肢ができることで主体的に働く自分を発見する人が増えるはずです。専門職としての自分のスキルを意識すれば、組織の内外という境界線なしに仕事を進めていく時代が始まると思います。

iPhoneは捨てよ

最近のストレスはiPhoneがもたらします。勝手に電話をかけたりシャッターチャンスにカメラがフリーズするのは個体の問題としても、音声アシスタントのSiriは時間を聞いても答えない割に、静かにしてほしいときに突然話し始め、人間を困らせるためにいたずらをしているとしか思えない邪魔な機能です。写真を撮るだけなのに無駄にプルダウンメニューを表示してセルフタイマーを起動するなど、人の意に反して動く設計思想にかつてのアップルの姿はありません。ベンチャー経営者でウィンドウズマシンを使っている人を探すのが難しいほど成功したアップルですが、アップルはジョブズと共に死んだと思います。ウィンドウズマシンを使っていても常に一台はマックブックを持つほどアップルに愛着がありますが、それは直感的に動かせてウィンドウズより一工程少ない生産性の高さ故です。今のアップルはAI時代のデバイスについて大きな思い違いをしていると思います。人間らしい葛藤の中で禅に傾斜したジョブズなら、人間を飼いならそうとする今のアップルを嘆くことでしょう。そんなiPhoneは捨てよ、とジョブズが言っているように思えます。

人体が生み出す価値

シンギュラリティが来ても来なくてもAIが人間の仕事を奪うことは現実問題です。答えのある反復作業はやがて限界費用ゼロで行われ、残る仕事は人間が持ちうる身体性だと思います。クリエイターと呼ばれる人たちが手書きのノートを使い続けるのもそこに理由があるのでしょう。人体を通して生み出される価値に焦点が当たると、ビジネスの世界にも人間性回復が求められます。過密人口、過剰消費、運動不足という都市のビジネス環境はより人間らしい自然重視、節度ある消費、運動による健康増進へと転換していくと思います。トップアスリートが試合でフローに入るルーティーンが必要なように、ビジネスで最良のパフォーマンスを発揮する環境が必要です。運動と断食は自分の身体を知る最良の手がかりになります。断食をすると本当の食欲が明らかになり自分が何を消化できるかが分かり、運動をすれば身体を最高の状態にするのに必要な栄養素が判明し、山道を走って下ると警策で叩かれなくても心の乱れが分かります。自然環境豊かな場所で働くワークスタイルは、単に気持ちが良いという感覚を超えて競争優位の条件になると思います。

人は光で生きられる?

PayPalを設立したピーター・ティールが採用面接で必ず聞く質問は「賛成する人がほとんどいない大切な真実とは何か?」だそうです。答えのある知識を学び常識に囚われる人にとってハードルの高い質問でしょう。自分なら、「人は食べずに生きられる」とか、「人は生まれ変わる」といった答えをすると思います。信仰として後者を信じる人は少なくありませんが、超微小体のソマチッドで転生輪廻の説明を試みる人もいます。前者に関してはそれほど信者がいないためか科学的な解明は進んでいませんが、不食を主張する人は複数存在します。人間が固形物なしに1ヶ月程度生きられるのは事実ですし、飢餓などあらゆる悪条件を生き抜いた個体の子孫であるわれわれは最小のエネルギーで生きるように作られています。人体が糖質やビタミンDをはじめ多くの必須栄養素を体内で合成できることを考えれば、太陽光のみで生きるという可能性を排除するのは不当にも思えます。人体光合成仮説が科学的に証明されないのは、誰もこの仮説を信じようとしないからです。コロナショックがもたらす非接触社会がトリガーとなって社会変革が一気に進む時代には、常識外れの発想の受け入れが求められるのでしょう。

森に暮らし、都会のように働く

昨日はラブラドールと霧深い森に行きました。雉が突然目の前の藪から静寂を破って飛び立ちます。原始の昔から続くはずの森の静けさを感じると本来の自分を取り戻す感覚が訪れます。森に引き寄せられるのは普段と真逆の生活でバランスを取る必要があるからだと思います。欲望の赴くままに好きなだけ消費する日頃の不健全さを中和するために、森に来るときは食事を抜き、早朝の清涼な空気を感じながら、長時間の有酸素運動をすることで傾きかけていた身体のバランスを整えます。都市を離れる手段となるリモートワークが高い生産性を実現できるかはまだ分かりませんが、在宅勤務によりいらない仕事が可視化されたことは重要です。森に暮らしながら都会的に働くというライフスタイルは倍速で浸透していくような気がします。森のなかにいるとわざわざマインドフルネスを唱えなくても同じような心の静寂がもたらされると思います。平穏のなかに感じる幸せは決して平凡なものではなく、内面の繊細さを伴い鮮やかな感動を伝えます。

人生の選択肢は広がる

多くの企業で3月決算が発表され業績見通しを未定とする会社が続出しています。先行きが見えなければ消費者は生活を縮小し経済回復はさらに遅れます。生活を小さくする最適な方法は消費を誘惑する都市を離れることです。他方で、一極集中が進む日本で都市を離れることは組織を離れることと同義語で、住む場所にフリーハンドの選択肢を持つ現役などわずかです。あらゆるものが集積しあらゆる欲望にアクセスできる都市には魅力を感じません。ダイエットの基本は手の届く場所から食べ物を遠ざけることですが、誘惑に囲まれて執着を増やすライフスタイルには心の平安が訪れないと思います。森に暮らし、山に登り、温泉に浸かる阿武隈源流での暮らしは、うしろめたい喜びにお金を費やすことがなくても幸せでした。人間の脳は、大脳新皮質が人間を支配するという欠陥を抱えていて、食欲を抑えられないのも、社会の支配構造を守ろうとするのも、必要のない恐怖で自殺に追い込まれるのも大脳新皮質が作り出した幻想のためです。執着に焦点を当てる脳の性格さえ理解すれば人生の選択肢は広がると思います。

10万も数千万も変わらない

予定外のお金が入ると人は衝動買いをするもので、入金されるはずの定額給付金と同額の自転車を買いました。物持ちが良い方で自動車は1010万キロ以上乗る主義ですが、自転車に至っては結婚祝にもらった2台を30年以上過ぎた今でも日常的に使っています。空気を入れる以外のメンテナンスなどしないのに、ブリジストンのベルトドライブは圧倒的な信頼感です。買ったのは娘の自転車の代替車でベルトドライブ、ディスクブレーキ、内装8段変速のついた10万円を切る軽量のクロスバイクは理想のスペックでデザインも悪くありません。2,000万を超えるフェラリーを買ったわけでもないのに気分が高揚するのは久しぶりです。自転車を受け取り帰宅する途中の爽快さは初めて原付に乗ったとき以来かもしれません。自転車を評論する知識はありませんが、剛性やブレーキのタッチ、加速感や直進安定性など30年前の兄弟車とは別ものです。高級商材を扱う企業が知られたくない不都合な真実は、10万円を切るクロスバイクと数千万の高級車がもたらす高揚感はさして変わらないことだと思います。執着が少ない分だけむしろ幸せかもしれません。

束縛されない心地よさ

全国的に梅雨に入った今が一年で一番日の出が早い時期です。暑くもなく寒くもなく、早朝の清涼な森の空気を感じながらの山登りに最適な時期です。雲海越しに残雪の南アルプスを眺めていると、人生に必要なものがそれほど多くないことを感じます。静かな森で雑音を消すと本当に必要なものが見え、社会や他人の評価を自分の本音に置き換えると本質が姿を現します。生活を小さくして生きれば執着の対象が減り心は満たされ、他方で消費に翻弄され心を操られるうちに人生の意味を見失うこともありません。晴れた山頂で日常を隔絶すると、楽しむために消費し、執着を増やすために金を使い、そのために働くことの虚しさを思います。人生を謳歌するという風潮が危険なのは楽しむもうとするほど執着を増やし純粋さを失うからです。結局のところ最小でき生きる心地よさは何者にも束縛されない自由から来るのでしょう。

もし手元に一冊だけ置くとしたら

新居に来て手元にあった紙の本を処分しました。それらの書籍は長年手元にありましたが参照したのは数えるほどです。もし手元に一冊だけ本を置くとしたらどんな本だろうと思っていたところ、図書館のリサイクルコーナー(抹消資料)でその本を見つけました。普段は足を止めないのに一冊の本が目に止まり手に取りました。その本を書棚に戻して帰ろうとしたとき背表紙が日に焼けてほとんど読めない隣の本が目に入りました。著者の名前は栗林忠道で、激戦地硫黄島の最高指揮官です。栗林中将(のちに大将)に関する書籍はこの本も含めてほとんど読みましたが迷わず持ち帰りました。もし手元に一冊だけ本を置くとしたら辛いときに読み返す本だと思います。小笠原兵団の最高指揮官でありながら良き夫であり、優しい父であった栗林中将が戦地から出した手紙をまとめたもので、逃げ場のない絶海の孤島、耐え難い気候や乏しい食料と水、度重なる空襲と迫りくる多勢の敵という限界を超える過酷な環境にありながら家族を思うその筆跡は胸に迫ります。講和に望みをかけ、一日でも本土空襲を遅らせたいという使命感こそ今の日本人が失ったものでしょう。

Translate »