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選択集中ではなく取捨選択

国際情勢が目まぐるしく動く2020年は、昭和天皇が崩御し、天安門事件、ベルリンの壁崩壊が起きた1989年と同等以上の現代史の転換点になると思います。米中対立は戦後レジームを突き崩し世界秩序のありようを変えます。国内政治は政権の起死回生策なのか消費税減税が議題にのぼり始め、いつの間にか4隻の空母を持ち、改修されるF15には長射程の巡航ミサイルを搭載することが決まり、気がつけばファイブ・アイズに加わる動きもあります。以前は経済一流、政治二流と言われましたが、今や政官が先行して日本のプレゼンスを高めている印象です。世界最大級の企業がたちまち倒産したリーマンショックを超えると言われるかつて経験のない赤字、底知れない市場環境の悪化に対して多くの企業経営者は手をこまねいているように見えます。村八分を恐れる日本人は伝統的に和を重んじ、衝突を避け群れから離れることを嫌います。孤独への不安から自分を押し殺す癖のついた日本人の脳は欧米人と異なりセロトニン受容体の機能が低く強い不安を感じるとされます。激動の時代に危険な選択は不作為ですが、固定観念に縛られいつも答えを教えてもらっていた日本人は無限の可能性を発掘することに不慣れです。選択と集中ではなく、悲観的に準備し楽観的に実行する取捨選択が必要なのだと思います。

今を生きる旅

夏は旅に出る人が増えますが今年ばかりは盛り上がりません。「人はなぜ旅に出るのか」など考えることもなくそういうものだと思っていました。その理由を汎地球規模に移動してきた人類進化の歴史に求める人もいれば、狩猟採集のDNAが人を旅に駆り立てるとの主張もあります。お伊勢参りや各地の講などの宗教、転地療法、行商、教育旅行としての近世ヨーロッパのグランドツーリング、そして現代のマスツーリズムへと発展する一方で旅に出ることを頑なに拒む層も少なくありません。旅に出る代償は大きく、経済的、肉体的負担と旅から戻ったあとの仕事への身の入らなさを考えると、今は旅に熱狂する気になりません。数年前からグランピングの次のトレンドとしてリュクスペディション(Luxpeditions)が取りざたされます。Luxury Expeditionの造語であるこのトレンドは軟派のグランピングに対して、高いアメニティと刺激的な冒険を組み合わせる旅です。いま最も魅かれるのは長距離を自分の足で移動する山旅です。温泉にも美味しい料理にも清潔な寝具にも無縁で自分の肉体に挑むスパルタンな旅以上に今を生きる高揚感を与えてくれるものはないと思います。

加齢が原因の嘘

昨年の今頃は南アルプス縦走をしたのですが、山旅に必要な準備は体調を整えることです。昨年は腰痛に悩まされましたが、かがむ姿勢を減らし骨盤を立てるように意識することや運動のあとテニスボールを背中にあてるなどで治りました。何人かの治療家に診てもらいましたが通ったのは一度で、指摘を参考にしながら自分の身体は自分で治すものだと思います。疲れに効くと言えば何にでも飛びつくような風潮は気休めにもなりません。年だから仕方ないと自分を納得させることは最も危険だと思います。自分は老化していくというトリックにかかると本当の老化が始まります。50歳までほとんど運動をしませんでしたが、今は20kg減量して学生時代の体重に戻り、山岳レースのタイムは早くなり、視力は0.4から1.2に改善し若返りと言わないまでも身体がある時点から進化したことは確かです。不調の原因は間違った身体の使い方にあり、正常な使い方をしていればいずれ元に戻り、その間に肥満、アトピー、花粉症、胃痛、腰痛などは自然治癒しました。人間は死ぬまで発達できると考えるなら、あるときを境に老化が始まり人生の後半につきまとう身体の衰えというイメージも払拭されます。健康と利益相反の医者が言う「加齢が原因だからつきあうしかない」に騙されている人は少なくないと思います。

1,000キロカロリーも動けない!?

昨日は八ヶ岳の権現岳に登りました。長時間全身を動かし、上りと下りでは違う筋肉を使い、山の冷気に触れる高所での運動ですから健康状態を良好に保つ上で登山は最適です。運動が健康に良い影響を与えることは衆目の一致するところで一般には散歩が良いとされ一日1万歩などと言われます。しかしエビデンスらしきものを探すと脂肪を燃焼し最高の健康状態になるには1週間に3,500から6,500キロカロリーを燃焼させる運動が必要とされます。5,000キロカロリーだとして週5日運動すると一日1,000キロカロリーとハードルの高い数値になります。昨日は登山口からの標高差が1,300mほどあり3つのピークを越える5時間ほどの運動ですが、おそらく消費カロリーは1,000キロカロリーに満たないはずです。家事労働等の消費エネルギーを加えるにしても常に動いていないといけないことになります。この数値に信憑性があるのは、夏休みなどでこの数値に近い運動をしているときの身体は絶好調でお腹の脂肪もほとんど気にならなくなるからです。健康志向の広がりに伴い肉体を酷使するエンデュランス系スポーツはさらに裾野を広げる気がします。

身軽に暮らす贅沢

昨日は西岳に登りました。快晴の登山は久しぶりで普段なら足早に通過する山頂で小一時間過ごすと、見落としていた花の種類の多さに気づきます。運動目的の登山はピークハントに意識が向かい、足元の草花を見る余裕がなくなります。人生も同様で目標に執着するほど余裕がなくなり、やがて怒りや悲しみに転化されます。執着を手放し日々満足して生きるのに都市ほど不似合いな場所はないと思います。昨今都市と自然のバランスを取る多拠点居住が盛り上がりますが、その先駆者は米国作家のヘンリー・デイビッド・ソローかもしれません。自然とつながるためにウォールデン湖のほとりで暮らし、今この一瞬を大切に生きる人生の意味について名著「森の生活」を書き記しました。余計なものをそぎ落としできる限り自然に近づくことでシンプルを極めた上質な生活ができると思います。意図的な持たない暮らしで選択肢を減らせば執着や悩みから開放され生活は物質中心主義からより思慮深いものになります。シンプルと上質は相反するものではなく、自然と一体になった身軽な暮らし以上の贅沢はないと思います。

悲壮感を消す妄想

企業の倒産や廃業・解散は国が支えている今年ではなく来年顕著になると予測されます。新型ウィルスの収束も見えず、世界情勢も不透明さを増し、オリンピックへの期待も聞かれなくなりました。社会不安が広がると給与所得者は保証された身分に安堵し、嫌なことも受け入れ宮仕えをしてきた判断の正しさに満足します。職業はアリとキリギリス、保証を取るか自由を取るかのトレードオフだと思います。終身雇用的慣行と価値観に根ざす日本ではなるべくリスクを取らず地道に働くことが重要でした。しかし売上が3割4割落ちる事態になるとローリスクだと思っていた職業がハイリスクになるケースも増えると思います。リスクは受け入れることで人生を強化する性質があります。昨今の企業経営者が資金燃焼率を念頭に置くように、自営業者は無収入生存月数を考えます。生活の保証がなければ常に前進を迫られますが、要はセーフティネットをどこに置くかだと思います。比較的温暖な日本では自由があり健康である限りどうやっても楽しく生きていける気がします。南の島にでも行って雨露をしのげる小屋に暮らす人生も悪くないと妄想するなら悲壮感は消えます。

日清、日露の再来?

台湾民主化の父であり日本とのゆかりの深い李登輝元総統が中共崩壊を見ることなく死去しました。世界はベルリンの壁とそれに続くソ連の崩壊と同様の歴史的転換点に立っています。ソ連が70年間嘘をつき続けたように、中共の恐怖政治がどれほど社会と経済を破壊して来たのか遠からず明らかになるはずです。脱党が検索上位に上がり自国民にさえ嘲笑され、ヒューストンの領事館員の亡命などエリートが寝返るのは体制崩壊の前兆と言えます。金以外の道徳的価値観を持たない故に道徳心を高める法輪功を弾圧してきました。長年に渡り中共の嘘に悩まされた日本も自虐史観から開放される日が来るかもしれません。中共崩壊の後に来るのは中共に取り込まれ汚染された日本の大手メディアの衰退です。トランプ大統領や安倍首相への個人攻撃や沖縄の反基地運動を扇動した背景が明かされるでしょう。中共のなかでも腐敗が進むとされる軍隊と軍事産業では、兵士が信用できないだけではなく武器にも欠陥品が多く、横流しで武器が揃っていない可能性すらあります。日清、日露の戦争は相手国の弱体化にも救われましたが、腐敗の進んだ中共は自滅の道を歩んだ王朝末期の清の再来に見えます。

遠い夏の記憶

今年は異例に遅い梅雨明けにより夏らしくありません。一方で台風がなく、扇風機だけで過ごすことができ身体は楽です。自然と親しむようになるとどの季節も好きになります。雪に閉ざされる真冬の無音の世界も、可憐な花が顔をのぞかせる雪どけの季節も、生命力にあふれる初夏の新緑もそれぞれに印象的ですが、とりわけ感傷的になるのが夏の終わりの風情です。夏の強い太陽によりセロトニンが分泌されることと関係があるのかもしれません。遠い過去の記憶を呼び覚ます匂いや音楽があるように、季節ごとの印象が特定の場所の記憶と紐付けられます。夏の終わりの蝉しぐれを聞くと思い出すのは日光中禅寺湖畔であったり、澄み渡る秋の空を感じると思い出すのが箱根の仙石原といった具合です。自粛生活でオンとオフが渾然となり夏休みが縮小される若い人たちが、遠い夏の記憶を失うなら気の毒なことです。

型破りを殺す民度?

在宅勤務率7割要請のためか都心に向かう電車は空いています。暑い時期に全員がマスクをする日本は民度が高いのか同調圧力に弱いのか、北朝鮮並の統制社会です。青山、赤坂界隈を歩くと表通りの路面店には長く閉店したままの店、閉店予告を出す店、取り壊している店が目立ちます。25兆円規模で500万人を雇用する外食産業は年内に3割が減少するとされます。3割減少経済は未曾有の事態でありその対策を知る人はいません。平成の時代にデフレが常態化したのは、不採算部門の撤退や効率化など自明のことしか行わなかった結果だと思います。企業社会に蔓延する管理強化は秩序と効率性を生む反面、独創性とイノベーションは殺されます。3割減少経済に必要なのは洞察力や直感、発明、独創性と情熱に支えられた画期的なアイデアのはずです。自粛要求やマスクに従順に従う日本人の民度が高いなどと喜ぶ気にはなれません。産業革命の模範生だった日本は戦後の大量消費社会においては大きな成功を収めましたが、高度化された産業で必要なのは、最初に海に飛び込む勇気や臨機応変の独創性といった型破りの才能だと思います。

問題はときめきが少ないこと

人手不足に悩むスーパー大手のサミットが雇用年齢を75歳に引き上げたのに続き、7月1日に社内規定を改定した家電量販店ノジマは3,000人いる全社員を対象に80歳まで従業員の雇用を延長する制度を設け、80歳を超える雇用延長も検討すると報道されます。70歳までの就業機会の確保を努力義務とする改正高年齢者雇用安定法が来年4月に施行され70歳現役社会が本格的に始まります。この分野で先行しているのは定年という概念をなくし、全国に4万2千人いるビューティーディレクターのうち500人が90歳以上というポーラです。現役で活躍する99歳がギネス世界記録に認定されたこともあります。商品の委託販売契約を交わし個人事業主として活躍する働き方は労働市場の主流になるかもしれません。定年制度は作業スピードが要求される生産ラインで働くことを前提とした前世紀の遺物です。自然界では生殖機能を失った生物は淘汰される運命にありますが、例外的に長生きする人間には生きがいにもなり、運動量も増える仕事が必要だと思います。問題はときめきを覚える仕事があまりにも少ないことでしょう。

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