新居に来て手元にあった紙の本を処分しました。それらの書籍は長年手元にありましたが参照したのは数えるほどです。もし手元に一冊だけ本を置くとしたらどんな本だろうと思っていたところ、図書館のリサイクルコーナー(抹消資料)でその本を見つけました。普段は足を止めないのに一冊の本が目に止まり手に取りました。その本を書棚に戻して帰ろうとしたとき背表紙が日に焼けてほとんど読めない隣の本が目に入りました。著者の名前は栗林忠道で、激戦地硫黄島の最高指揮官です。栗林中将(のちに大将)に関する書籍はこの本も含めてほとんど読みましたが迷わず持ち帰りました。もし手元に一冊だけ本を置くとしたら辛いときに読み返す本だと思います。小笠原兵団の最高指揮官でありながら良き夫であり、優しい父であった栗林中将が戦地から出した手紙をまとめたもので、逃げ場のない絶海の孤島、耐え難い気候や乏しい食料と水、度重なる空襲と迫りくる多勢の敵という限界を超える過酷な環境にありながら家族を思うその筆跡は胸に迫ります。講和に望みをかけ、一日でも本土空襲を遅らせたいという使命感こそ今の日本人が失ったものでしょう。