あっという間に一日が過ぎる巨岩

養生園から帰って以来視点が変わり、マルセル・プルースト(Marcel Proust)の言う通り「新しい目で見ること」ができるようになりました。自分の足元に広がる小宇宙に目が行くようになると、これまで見えなかった景色が見えてきます。爪の先ほどの小さな草花が愛おしく感じられます。

雪が消えると屋外でのティーブレイクや朝食など楽しみが増えます。写真はトレイルから外れる場所ですが、源流に突き出したお気に入りの巨岩です。天然のベンチになっていて、この岩に腰かけ阿武隈源流の流れを眺めていると、あっという間に一日が過ぎてしまいそうです。

本当の自分に戻れる場所

穂高養生園に2泊して、雑音にかき消され本当に自分がやりたいことを見失っていたことに気づかされました。養生園はストイックでスパルタンなために、僕と波長の合わない人には勧めませんが、本当の自分に戻れる場所です。そして何が一番大切なのかがわかる場所です。これがリゾートのあり方なのでしょう。

フランスの作家マルセル・プルースト(Marcel Proust)は旅の真髄について「新しい景色を探すことではなく、新しい目で見ることなのだ」と述べています。2泊の養生園滞在で視点が変わり、自分の足元に広がる小宇宙に目が行くようになりました。スーパーに行かずとも山には食べ物が豊富にあることを知りました。今日の朝食は養生園のお土産のふき味噌のスコーンを阿武隈源流で食べました。フキノトウは宿の回りの至るところに自生していますし、ゆきのしたやつくしなど食べ物は自分の足元に豊富にあります。

僕もそんな気づきを得られる宿を作りたいと思います。

悩みが人生に彩りをそえる

昨夜も穂高養生園に宿泊しました。来訪の目的は、最大の課題である料理のコンセプトを固めることです。この施設に来ると、自分本来のあるべき状態に戻ることができます。これこそが私が宿で目指していることです。現実の問題に頭を悩ますうちに遠ざかってしまった、心の奥底からやりたいことが何かを明確にしてくれます。目の前の現実と理想との間を行ったり来たりする日々ですが、そうした悩みが人生における生きがいや働きがいに彩りをそえてくれるのだと思います。

湧水の清流が流れる桜満開の川岸で、ハーブティーのティーブレイクをしていると、何でもない日常にこそ、忘れてしまった贅沢があるのだと再認識します。私以外の同宿者はみな女性で、口々に「幸せ」を連発します。普段の満たされた暮らしのなかでは幸せを感じにくくなっているのかもしれません。

昨夜も布団一枚だけの寝具なのによく眠れました。布団に入った記憶もないほどあっという間に眠りにつき、夜中起きることもありません。食事、運動、回復が健康の要であり、乱れがちな日常生活をリセットできる魅力は、私が目指している宿の姿です。養生園がリピーターを引きつけているのは、一見スパルタンなセルフケアというコンセプトと米国のスパ的な洗練が融合しているからだと思います。

山ならではの贅沢

昨日は安曇野にある穂高養生園に来ました。この施設に通うようになり25年が経ち、その間に新棟が建つなど施設は洗練されていますが、この施設が持つ独特の空気は昔のままです。

テラスに出て初夏を思わせる森を抜ける気持ちの良い風に吹かれていると、自分が宿でやりたいことは「これなんだ」と思います。小川のせせらぎを聞きながらハーブティーを飲み読書をしていると、いつの間にか意識が遠ざかっていきます。副交感神経が優位になり、睡魔に身をゆだねウトウトするのも贅沢なひとときです。朝食は今朝の散歩で自分たちが摘んだ野草を天ぷらにしました。摘みたて野草の天ぷらは都会では食べられない山ならではの贅沢です。

河原に勝るカフェはない

連休前なので、昨日は雪の消えた阿武隈源流のトレイルで下草刈りをしました。太い笹でも根元に草刈り機の歯をうまくあてると低い回転数でも気持ち良く刈れます。気に入っている楢の大木の下の河原で持参したクッキーと紅茶で一息いれました。この贅沢な時間こそがこの場所が持つ価値で、ここに勝るカフェはないと思います。今の僕にあるのは事業資金枯渇への不安だけですが、阿武隈源流の豊かな流れが轟音とともにその不安を洗い流してくれるようです。

別に疲れるほど働いたわけではないのですが、那須湯本温泉の鹿の湯に行きました。高温浴槽の一見客は行動で分かるので皆が注目します。判でついたように同じリアクションをするからつい見てしまいます。浴室に何か所か貼り紙がしてあるのに先客が入っていても構わずに浴槽に入る。皆の白い視線を浴びてすぐに出るわけにもいかず1分ほど苦痛に表情をゆがめたあげく風呂から凄い勢いで飛び出る、というパターンです。48度の浴槽でこれをされると入っている人が火傷をしますので、咎める常連もいます。今日の48度の浴槽は47.6度、46度の浴槽は46.1度です。47度を超えると足が火傷したように痛いのですが、46度の浴槽は慣れると爽快です。

昨日はスカイランニング・トレイルランニングを通じた友人が那須岳の帰りに来てくれました。共通の趣味を持つ者として知人も少なくなく話しが尽きません。

春真っ盛りの白河

雪どけの沢音が日増しに高まる早春の新甲子温泉と春真っ盛りの白河は車ならわずか20分の距離です。気候の異なる二つの地域を短時間で行き来できることは12月から住んでいても不思議な感覚です。白河方面から上がって来る人も異口同音に気候の違いを口にします。

昨日は白河に二往復しましたが、それもさほど苦になりません。お城の桜はまだのようですが、樹齢400年とされる妙関寺の境内にある紅しだれ桜の「乙姫桜」は見頃を迎えていました。

上着二枚で過ごせる陽気に

雪がとけて宿の前を走る国道289号線でレジャーに向かう車の数も増えました。日帰り温泉にいらしていただける方や電話での問い合わせも増えています。ただ未だに運営体制が固まらず、来るもの拒まずの消極的な営業状態です。自分で料理を勉強する一方、料飲施設を運営してくれる人を探しています。

今朝は4時過ぎから剣桂神社に行き、阿武隈源流沿いのほとんど雪の消えた遊歩道を通って宿に戻ってきました。冬の間は4枚の重ね着をしていましたが、今朝は温泉で体が火照っていることもあり、上着2枚で外を歩けます。小鳥のさえずりが心地よい清々しい朝です。

途中で半分以上の根が宙に浮いた不思議な大木を見つけました。

混乱の?初日

昨夜は10名の団体にお泊まりいただきました。これまでは友人の宿泊が中心でしたので、初めての一般のお客様の受け入れです。この地で長年営業してきた旅館だけに、地の利もあって先方より指名で予約を入れていただけることは有難い限りです。

さすがに10名同時の食事提供は一人では時間がかかってしまい、お客様に配膳を手伝っていただきました。ありがちな話ですが初日からトラブル続きです。お客様をお迎えするのに薪ストーブに火をつけたところ、煙突が煙を吸わず、煙がロビー中に充満したり、温泉浴場を清掃した際に湯量が減った結果循環するお湯が逆流し浴槽を洗いなおしたり、ノンオイルフライヤー2台を同時に動かしたところブレーカーが落ち復旧できずに他の場所で焼いたりなど、落ち着く暇のない一日でした。

バスのドライバーとガイドさんが仕事でいらしているので朝食時間を遅らせることはできません。最初は余裕をもって準備をしていたのですが、予想外に時間がかかりあと15分という段階でもまだ盛り付けは半分程度という状態です。それでもガイドさんに配膳を手伝ってもらい、なんとか7時ちょうどに朝食を出し終えました。連休には15人以上の団体を二組お迎えするので、厨房動線の見直しなど作業効率を改善しないといけません。

宿の付近では至るところでフキノトウが顔をのぞかせています。

再び一人の生活

ラブラドールが東京に帰ってしまい、また一人の生活に戻りました。犬を飼うと心臓病にならないとか、長生きをするとか言われますけど、多分それは正しいと思います。一日の歩数は1万歩から3千歩程度に急低下しました。運動量だけではなく、いつも一緒に買い物に出かけていた車の後部にラブラドールがいないと何とも喪失感があります。

昼間風が強かったためか昨夜は美しい星空でした。今日は10人の小団体をお迎えします。といっても現在のワンオペ体制では20人以上をお受けするのは難しいのが実情です。

朝晩の冷え込みは冬並みですが、宿のまわりからは雪が消え、温泉から見る今朝の江森山には雪がありません。

ついに遭遇!!

朝起きるのは決まって4時頃なのですが、今朝は珍しく5時になって日がさし込むまで目を覚ましませんでした。体には気だるい疲労感が残っています。わずか一日東京で仕事らしきことをしただけなのですが、都会生活はそれだけ体に負担がかかるのでしょうか。こちらの若い人と話しても東京に行っても疲れるから泊まらないで帰るという話を聞きます。

春真っ盛りの東京から新甲子温泉に昨日戻りましたが、東京に行っても花粉症の症状は全く出ません。花粉症歴30年で去年までは肋骨が折れそうなくしゃみをしていたので、そう簡単に治るとは思えません。考えられる理由は標高800メートルの広葉樹林帯に住んでいることでしょうけど、都会でのサラリーマン生活を止めたことも無視できない理由だと思います。花粉症がない春が来るならどんなに素晴らしいだろうと夢見ていましたが、いとも簡単に実現しました。鼻づまりもないので夜もぐっすり眠れます。

今朝は快晴ながら氷点下の寒さで温泉の横には氷柱ができています。浴室の清掃をするために循環バルブを閉めにボイラ室に行くと、100kg以上をあろうかと思われる巨体のイノシシが文字通り地響きを立てて阿武隈源流の谷に向かって駆け降りて行きました。これほど大きな野生動物が建物のすぐ横まで来るのは驚きです。写真はイノシシがいた今朝の温泉浴室の前です。那須連山はまだ冬山のままです。

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