歴然とするプロの技

今日は朝6時に那須の峠の茶屋駐車場を出発し、朝日岳、三本槍岳、茶臼岳の那須三山を回り、同行していただいたカメラマンに写真を撮ってもらいました。高性能なカメラが手頃な価格になり、素人写真とプロの境界があいまいになると思っていましたが、こうした人間の入る写真を撮ってもらうと差は歴然とします。自分と思えないほどの上出来で、写真の持つメッセージ性や背景、構図なども完ぺきです。デジタル化やAIなど技術が進歩するほどプロのプロたる所以が求められる社会になるのだと思います。

マインドフルネスなラブラドール

念願だったGPSウォッチを入手し、早速毎日の散歩コースを計測してみました。ほとんどがトレイルのこの道は全長が5.17km、高度は713mから939m、累積標高は336m、消費カロリーは253kcalのようです。東京から戻ってきたラブラドールも一緒ですが、先日の甲武信ヶ岳で足にダメージを受け本調子ではありません。ラブラドールは悩みなど全くないようで、取り乱すこともなく、いつももくもくと人間について来て、そしていつもご機嫌です。多くを手に入れた人間はそれだけ悩みも増えていきます。常にマインドフルネスなラブラドールには教えられることばかりです。

不調の原因はいつもシンプル

今朝の新甲子温泉は穏やかな曇天ですが、何とも気が重い朝です。その理由は明らかで、朝納税通知書を開封してしまったことと、この数日の糖質摂取過多でインスリンが大量分泌され代謝と自律神経が乱れたことにより睡眠が不足しているからです。昔の自分なら眠気を覚ますためにコーヒーを飲んだり、動かない脳にブドウ糖を与えるために糖質を摂ったのでしょうが、それがさらなる自律神経の乱れを招きます。原因が分かれば対策は簡単で、糖質を絶ち運動により血流量を増やすことです。人体は複雑なメカニズムですが大半の不調は自律神経と血流の問題で説明がつきます。自分の体をある程度客観視することができれば悩みの大半は消えていきます。不調の原因の多くは食べ過ぎと運動不足という都市生活者の典型的なライフスタイルにありますので対処はシンプルで、体調が改善するまで食事を抜いて運動をすればよいのです。人間の体は人類のその長い歴史から飢餓対応型に作られていますので、体にあった生活をすれば本来の健康を取り戻すことができます。理由がわかってしまえば悩むこともなくなります。禅やマインドフルネスブームは結構なことですが、それ以前にやるべきことがあると思います。

最高のリモートワーク

今日は千葉の浜金谷駅近くのお宅に伺い、アウトドアでリモートワークをする実験に参加しました。電源とワイファイがあればどこでも仕事ができるのですが、屋外での仕事はまた格別です。敷地内に緑豊かな山と近くの鋸山の石を使ったピザ釜を持つ海に近いロケーションはちょっと日本離れしています。心地よい自然の風を受けながら、鶯の奏でる声とアイフォンのBGM、淹れたてのコーヒーとそろえば仕事がはかどらないわけがありません。面倒でなかなか着手ができなかった仕事のほとんどが短時間で終わりました。今度は新甲子温泉でも阿武隈源流のブナ林でこのリモートワークツアーを企画したいと思います。

聖地と俗世界をつなぐ

昨日、甲武信岳(標高2,475m)から下山したあと最後にアスファルトの道を3、4km歩いているときラブラドールが足を引きずっていました。見ると肉球が薄くなり血が流れています。現代人なら悲鳴をあげて動けなくなるところですが、ラブラドールは不平ひとつ言わずに平気な顔で人間についてきます。野生動物の生命力は凄いと思います。ジョンJ.レイティとリチャード・マニングが著書「GO WILD 野生の体を取り戻せ!」で主張した「野性的に暮らすすべての動物は人間よりはるかに賢い」という見解は正しいと思います。本来野生動物として設計されているはずの人間も、都市生活で飼い慣らされた結果文明病とよばれる病気や不幸がもたらされたのでしょう。

4、5年前までのぼくはBMIが28を超え、全く運動をしない典型的な生活習慣病患者でした。糖質制限を始めたことでぼくの人生は大きく変わり始めました。体重は数か月で20kg落ち節々の痛みも消え50歳を過ぎて体からあらゆる不調が消え突然運動を始めました。糖質制限は体をスリムにしただけではなく、物欲など地位財への執着が減る心のダイエットもしてくれたのです。必要以上を求めないミニマリズムには昔からどこか魅かれていたのですが、新甲子温泉に来てからは、大自然の中に身を置くことで出逢うことができる、ありのままの自分の身一つで生きていくことこそが理想だとうようになりました。温泉街の最も奥に位置するこの宿は、いわば山という聖地と俗世界をつなぐ結節点にあります。この宿を通じて素の自分に戻れる山や森の魅力を伝えていきたいと思います。阿武隈源流は初夏の風情です。

移動時間とコストを減らす方法

今日は日本100名山の甲武信岳(標高2,475m)に登り雁坂峠から下る約23kmを回りました。普段愛用している西郷村4peaksと同じ距離ですが、初めてのルートは長く感じます。標高の割には、ホームグラウンドの裏那須や会津の山ほどの高山気分は味わえないものの、雲取山からから野辺山に至る長大な縦走路は魅力的です。

東京にいるときはこうした週末のレジャーのあり方に何の疑問も感じなかったのですが、新甲子温泉に暮らし始めて、那須連山の登山口まで1分の生活をしてみると観光地までの移動時間とコストは大きな問題だと思うようになりました。たとえば週末に温泉に行くとして行きは旅行への期待もあってそれほど苦痛はないのでしょうけど、帰路日曜日の夕方東北自動車道が渋滞でもすれば旅行の余韻は吹き飛び「サザエさん症候群」に襲われることは必至です。いずれ自動運転の普及などでその負担が軽減されるにしても苦痛が消えるわけではありません。移動コストも東京一極集中の歪によって高止まりしたままです。

これを解決する方法は、職住近接や多拠点居住のライフスタイルだと思います。今週休3日の議論が進んでいますが、たとえば1カ月などまとまった期間を観光地や自然のもとで仕事をしながらゆったり暮らすライフスタイルが浸透することがこの問題の解決策になると考えています。

心地よい風

昨日は1916年創業の料亭「金沢園」を保存・活用した「旅館 喜多屋」(KITAYA Ryokan)を見せていただきました。かつては与謝野晶子が歌会を、高浜虚子が日本探勝会を開いた建物は国登録有形文化財に指定されています。東京・品川にあった明治期の建築とされる木造二階建ての日本家屋を1930年に移築したものだそうです。現行法規のもと再生することの難しさは身をもって理解していますので、リアリティをもってお話を聞くことができました。豊かな緑に包まれる歴史的文化財の二階の和室でお話を伺っていると心地よい風が海に抜け、子供の頃見慣れていた祖父の家を思い出します。快適さを追求した今の住まいがとても無機質に感じられます。

現代の山岳信仰

マインドフルネスという言葉が一般に広がる以前から瞑想に関心がありました。おそらく読んだ関連書籍は100冊を下らないでしょう。残念ながら一度たりとも瞑想の境地に至ったことはありませんでした。よほどの修行が必要な瞑想ゆえに多くの人が引きつけられるのだと思っていました。しかし、瞑想を狭くとらえる必要はなく、自分はすでに瞑想を経験していることをあるとき理解しました。

糖質制限で20kgの減量に成功したあと始めたトレイルランニングは今では自分の人生の一部です。トレイルランニングになぜこれほどまでひきつけられるのか、いつも考えています。とくに、楽しみを超えてある意味自分を追い込むレースの魅力は、おそらく瞑想の境地に至ることが理由だと思います。ぼくの場合はレース中盤の30kmぐらいの距離を超えたあと、βエンドルフィンなど脳内麻薬の影響なのか、マインドフルネスの言う「今を生きている」という感覚になります。その感覚はゴールまで持続し、それまでの辛さは直感的な心地良さとして美化されていきます。

しかし長距離レースに出なくても那須連山の山々を日々駆け降りるとき、それに近い感覚が訪れます。トレイルランニングやスカイランニングに多くの人が魅せられるのは、それが現代の山伏修行であり山岳信仰だからだと思います。

木は死なない

古代の広葉樹の森が徒歩10分圏に広がるこの宿のロケーションは、巨樹に魅せられているぼくにとっては幸せな日々を送るのに最適な場所です。車を使うとさらにその数は増え、土曜日に行った宿から25分の那須温泉神社の「生きる」と名づけられた御神木のミズナラ(写真)は樹高18メートル、胸高周囲4メートルで、樹齢は800年とされます。白河関跡にある従二位の杉は樹齢800年、会津側に30分ほど行った八幡のケヤキは樹齢950年、さらに足を伸ばすと会津若松の高瀬の大木(高瀬の大ケヤキ)は樹齢500年、新潟県東蒲原郡阿賀町の将軍杉は樹齢1,400年の日本一で、これらの巨大さはもはや生物とは思えないものです。木は死なないとする新説がぼくには妥当に思えます。

御神木のオーラ

新甲子温泉で暮らす以前から、ぼくは巨樹のもつ魅力にひきつけられていました。大木の下にただ佇むだけで心が落ち着き、何かの力を与えられるようで元気になれます。その力はおそらく巨樹が持つ生命力だと思います。宿から徒歩7分の剣桂はその代表です。樹齢390年と言われるこの巨木はその佇まいの美しさ、樹高45mの圧倒的な存在感、那須おろしと呼ばれる突風の厳しい風雪に耐えてきた力強さなど、毎日見ていても畏敬の念を払わずにはいられません。雷の多いこの地域で、江戸時代初期から400年もの時間の流れのなかで、雷にあたることもなくこの国の歴史を見守ってきた御神木の発するオーラを感じます。ちなみに宿の飲料水はこの有数のパワースポットとして知られる剣桂神社の沢から取水しています。神社の近くは岩に抱きつくナラなど強い生命力を感じる巨木の森になっています。

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