大手町の森

昨日は大手町でクラウドファンディングの打ち合わせをしました。投資安全性や利回りよりも事業への共感が投資判断となる時代が訪れたことは好ましい社会の変化だと思います。再開発工事で槌音の響く大手町を歩いていると、ぼくが東京で仕事をしていた時から1年しか経過していないのに、ビルが解体され広大な土地が現れるなど見違える景色です。

大手町の風土や植生から本来の森の姿を再現した「大手町の森」は以前よりも本物の森らしくなり、ほのかに森の香りがします。しかしそれでも排気ガスの充満する都心では深呼吸をする気になりません。副交感神経を優位にする深呼吸ができない東京に住み続けることは、今のぼくには考えられなくなりました。郊外からの都心回帰の人の流れは、遠からず森の清涼な空気を求めて逆転すると思います。

自然から遠ざかるほど病に近づく

インスリンを発見しノーベル生理学・医学賞を受賞したカナダの医学者フレデリック・バンティング(Frederick Grant Banting)の誕生日である今日は世界糖尿病デイです。世界の成人人口のおよそ8.8%が抱え6秒に1人の命を奪う糖尿病は生活習慣病の代名詞です。

ぼくは誤った生活習慣の最大要因は都市化だと考えています。世界最大の都市圏である東京は3,000万人が暮らし、その結果ありとあらゆる商品、サービスが提供され人間の欲望を加速させます。都市的な消費を繰り返していると限界効用逓減の法則により財から得られる単位あたりの満足度は低下し、より多くの消費を欲するようになります。

他方で自然環境に身を置くとそこにあるのは自分が身に付けられるものだけです。自ずと自分自身との対話の機会が増えますし、ものの有り難味も増します。古来より自然から遠ざかるほど病に近づくといわれる格言は現代にこそ生きると思います。

健康常識は矛盾に満ちている

宿から見る那須連山はすっかり雪をかぶり冬景色になりました。昨日はオーストラリアと韓国の方に宿泊していただきました。料理はヴィーガン対応にして、普段作っているバターチキンカレーは油麩と豆のカレーに変えました。ぼく自身は菜食主義ではありませんが、基本的に肉は避けるべきだと考えています。

他方で肉食が必要と主張する人の示す根拠はもっともなものです。しかしこの一見もっともな主張こそが混乱を招きます。健康常識はいつも矛盾に満ちています。たとえば皮膚がんのリスクがある日光浴をしないと骨がもろくなることもそのひとつです。すべての健康常識には相反する性質があり、情報弱者は断片的な情報に振り回されます。生活習慣病の主犯は飽食による未消化物の腐敗と代謝への悪影響と考えられますが、他方で何も食べずに人は生きていくことはできません。

断片的な情報を見極めるためには、健康な身体、ウェル・ビーイングを俯瞰することが必要です。そのヒントは身体の恒常性の維持(ホメオスタシス)にあります。つまり人類進化の歴史で築かれた人間の身体のデフォルトが何かを知ることが重要です。具体的には人間の身体は農業革命以降の食生活の変化には適応していません。他方で人間の身体は飢餓対応できるようにつくられているので、飢餓状態で生きる力が強くなります。ぼくは宿を通して健康になるための方法論を確立したいと思います。

AI時代の脳の発達

昨夜から今朝にかけて新甲子温泉では満天の星空が見られます。温泉から星空を眺めていると、昨年12月からこの宿で暮らし始めた頃を思い出します。東京暮らしの長かったぼくにとって、葉を落とした背丈の高いブナの先に見る美しい星空は、きわめて印象的なものでした。

昨日は美しい虹を見ることができました。東京にいると虹を見る機会は1年に1度ほどですが、ここ新甲子温泉では月に数度、間近で虹を見ることができます。2000年代に入ってからアメリカなどの研究で、自然環境の豊かさが脳を発達させ創造性が高まることが認められています。AI時代のクリエイティブクラスは、今後自然のなかで過ごす時間が増えていくと思います。

森での仕事が最高の生産性を生む

今朝の新甲子温泉は暖かく太陽が雨に濡れた森を照らします。昨日は郡山市にある「福島県よろず支援拠点」に行きました。ぼくが必要とする関係先は西郷村、白河市、いわき市、郡山市、福島市などに分散されていて、郡山市街へは往復100km以上の距離があります。一見不便なようですが、自分の部屋である車のまま、渋滞もなく移動できるので苦になりません。東京では大半の場所にアクセスできる地下鉄が便利でしたが、車社会の福島では道路が重要な理由が分かります。

昨日で決算の入力作業が終わりました。社会的通念にしたがって働く時間を決める必要がなくなったために、仕事の生産性は飛躍的に上がりました。労働には命令監督される不愉快な労働と、自発的に考えて動く楽しい労働があると思います。ぼくは阿武隈源流の森で自発的に働くことが最高の生産性を生むと実感しています。

自然こそが美しい

今朝の新甲子温泉も初冬らしい穏やかな晴天です。昨日はいわき駅前にある産業創造館での中小企業起業経営相談に行きました。いわきまでは往復200km以上の距離がありますが、快適なドライブルートで一部は高速の無料区間もあり、全くストレスのない距離です。サラリーマン時代は勝手にネットワークが広がることもあり、自分から人的ネットワークを広げる努力をしてきませんでした。自営業となった今は人のネットワークと情報こそがビジネスの生命線です。

昨日は那須おろしが吹き荒れ、その影響なのか玄関先で東京では見かけない美しい鳥が死んでいました。羽の美しさは自然の作り出した芸術です。自然こそが美しく人間の作り出したものには、ぼく自身はあまり感動することがありません。

自然のなかでの運動とリラクゼーションが生産性を高める

昨日は会社の決算作業をしました。個人の確定申告はしていましたが、伝票量は桁違いで、支払い口座が複数あり、アマゾンなども使っているので書類整理だけで丸一日を要しました。こんなときは阿武隈源流にいることをありがたく感じます。屋外に出て冷涼な山の空気を胸いっぱいに吸い込むだけで身体が蘇ります。

午前は10時頃、午後は3時頃に自律神経バランスが整うとされていて、この時間をピークに仕事を行うと効率が上がります。労働時間の短縮が叫ばれますが、生産性と労働時間は単純労働の場合は反比例すると思います。一方でクリエイティブクラスと呼ばれる人々のように新しいアイデアを生み出す仕事にはオンとオフを設けずに、どれだけフローな状態を作り出せるかにかかっています。これには自然のなかでの運動と瞑想などによるリラクゼーションが最適だと感じています。

自分に出会えるトレイルレース

新甲子温泉はさほど寒くなく、風もない穏やかな朝です。鳥のさえずりが乾いた森の空気に心地よく響きます。旭岳の北斜面の谷筋には雪が残り、おそらく来春まで消えないでしょう。阿武隈源流にはたくさんの魚影が見られます。天国のような阿武隈源流の散策路を歩いていると何か後ろめたい気持ちになります。

もう山岳レースから遠ざかり1年が過ぎます。この宿で出会うアスリートと話していると日々安穏と暮らす生活を改めねばと思います。ぼくがこれまでに出たレースはKobo Trail(弘法大師の道)の55.7kmが最長ですが、いまやトレイルレース界は100マイルレースが主流になりつつあります。短距離のレースでさえいつも走りながらリタイアする理由ばかり考えます。しかし自分の弱さに向き合うことで自分自身との対話ができます。山を走りながらいろいろな自分に出会い、本当の自分に近づける気がします。それは自分の性格がどこかに集約されていくような感覚です。宿の前の阿武隈源流のトレイルが雪で覆われる季節も目の前です。

異質が融合する空間

新甲子温泉は今朝も秋晴れです。那須を通ったとき、あまりの山日和に山に行く用意はしていなかったのですが、峰の茶屋までラブラドールと登りました。稜線までは20分ほどと百名山の稜線としてはもっともアクセスが楽なルートです。

昨日は宿の再生に助言をもらっている方に、業界慣行をひっくりかえす意見をいただきました。宿で守られるはずの匿名性を覆し、来た人の属性や考え、嗜好を公表するというものです。これは海外のコワーキングスペースが交流を促すために採用している方式です。ぼくは宿対客という一方的な関係を壊し、両者がそして宿泊者同士が共振する場を作りたいと思っています。身元や考え方が分かる知り合いしか泊めない、フェイスブック二親等戦略もその一環です。当初は1グループの貸切を想定していましたが、コラボレーションの観点からはむしろ異質な属性のグループをひとつにして交流すれば新しいものが生まれる可能性が高いと思います。

日々の生活で身体に付着した無用な執着を浄化するのは、自然のなかでのリラックスや運動だと思います。阿武隈源流の美しい自然に身を委ね、異質なものが融合して新しい世界を切り開くアイデアを生む場を作りたいのです。初対面の人とでもパエリアの焚き火を囲むと、なぜか本音の話ができます。

先進国で最低の生産性

この週末に宿泊した方々は属性の異なる二つのグループでしたが、「充実した人生と新たな働き方を模索する」問題意識において恐ろしいほどの共通点があります。短い時間ではありましたが皆さんとお話をさせていただき、ぼくがこの宿で実現したいと思っていることは、あながち独りよがりではないことを感じることができました。

AIが人類を超えるといわれる「2045年問題」を悲観する意見がありますが、ぼくは違うと思います。人類は肉体と直結した脳のパフォーマンスをまだまだ上げていくことができます。むしろ喫緊の課題として、先進国最低といわれる日本の生産性を改善する働き方が必要です。身動きの取れない満員電車に揺られてから仕事を始めるのと、自然のなかでの適度な運動で脳の血流をあげて仕事を始めるのでは雲泥の差があると思います。写真は昨日歩いた戊辰戦争の悲しい歴史も残る会津中街道の沢です。

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