イノベーションを阻む利権

4月の自殺者数が前年比で20%減少し2015年以降4月の自殺者数としては最も少ないことが警察庁から公表されました。経済死が懸念されるご時世に良いニュースですが、一斉休校や在宅勤務により対人接触が減ったことが原因なら問題です。現代の職場と学校には20%かそれ以上も多くの人を自殺に追い込む原因が潜んでいることになります。ストレス原因の大半は人間関係とされ、人間関係を選べない学校や職場は残酷です。心の病はそのときどきの時代背景や社会情勢に影響を受けますが、会社に関して言えば短期収益を求める傾向が強まりパワハラ系上司が重宝された結果でしょう。人柄の悪い人間が組織内で幅を利かせる原因は人事権やポスト、仕事の割り振りといった社内利権にあります。企業も役所も利権を手放そうとしませんが、利権が渦巻く世界ではイノベーションは生まれません。多くの組織人は疑いもなく利権の獲得と支配のために働くと言っても過言ではないでしょう。前回の大恐慌のあとには政治体制が変わり20世紀を戦争の世紀にしてしまいましたが、今回も社会を大きく転換させないといけない時期なのでしょう。

政策転換は評価すべきか?

欧米が都市封鎖を緩和するなか死者数が二桁少なく収束傾向が明確な日本で緊急事態宣言を続けることに疑問が呈されます。マスメディアが未知のウィルスを喧伝し情報弱者の恐怖を煽り世論が形成された結果でしょう。われわれが日々車に乗ることも、健康に悪い生活を続けるのもリスクを勘案しながら生きることで日々の生活が成立するのに、この病気だけは根絶しないと気がすまないようです。コンプライアンスが実効性の乏しい責任回避の道具にされたように、一流企業にも同じ傾向があります。国も企業もリスクを取ることで営まれるはずなのに、偏差値エリートほど答えのないリスクとリワードに折り合いをつけることが苦手です。階層を昇っていく組織では人の指示を待つ癖がつき、重要な決断に際して明確な目標がありませんから何もしないか人に非難されない選択肢を選びます。困難で複雑な決定になるほど決定を先送りする傾向になり、政治決断の遅さを今回も印象付けられました。10万円の全世帯配布など政策転換が評価される面もありますが、国民の気持ちが分からないからブレるのだと思います。

お金を稼ぐ手段が一変する

緊急事態宣言延長と言う実質的な緩和により通勤電車に人が戻っているようですが、一方近所ではサラリーマンが平日の日中から子供と遊ぶ光景が普通になりました。在宅勤務や在宅授業の良い点は通勤や付き合いによる支出が減り自由時間が増えることです。ウィルスと共生する時代は三密の機会が多い都心に通勤して密閉したオフィスで働くことが敬遠され在宅勤務は普通の働き方になると思います。テレワークになって、ほとんど働いていない夫の仕事ぶりを見て怒った妻と夫婦喧嘩になったという話も聞きます。会社という箱に人々が集まる弊害は、仕事をしている感が演出され本質と関係ない業務が次々生み出されることでしょう。なくても困らない会議や無駄な説明のための資料づくりが大半を占めるような会社は少なくないと思います。定年が近づいた管理職は仕事がなく管理して指示することぐらいしかやることがありませんが、実質的には不要な業務です。都市への過密を前提にしていたビジネスが影響を受けるだけでなく、会社や学校が人の接触を排除した巨大なシステムに置き換わることで生まれる世界ではお金を稼ぐ手段が一変すると思います。

安全マージンを取り過ぎる大企業病

引っ越しで出た不用品を処分するために2、3年ぶりにメルカリにログインをしました。パスワードの桁数が変わっていてメールを送ってもらい更新して再度ログインをしようとしても承認されずFAQを読めと表示されます。FAQに自分の求める情報はなく面倒なのであきらめました。人と接触をしない世界では重要になるWEBサイトのユーザーインターフェースと操作性は、それ自体が企業の姿勢を示しブランド価値を決めると思います。引っ越しによる電気の開通のためにアクセスした東京電力のWEB申し込みでも供給地点が不明と返信があり、結局連休中はつながらない電話をかけるはめになり、連休明けに30分待ってやっと電話が通じました。銀行口座の住所変更をWEBサイトでしたときも同様で結局店舗に行くはめになりました。日々使っているアマゾンや海外で払う税金や大学の授業料などでもストレスを感じることはないのに、日本では大企業ほど悲惨な印象があります。一方で、本を売るためにアクセスした専門書買取のサイトは使いやすく対応も迅速です。大企業病に冒されるほどリスク回避のために安全マージンを取り過ぎ、自分たちを守るために顧客の利便性を踏みにじっていると思います。

住みにくい都市

人口94万人の世田谷区に長年住んでいてたいした不満も感じなかったのですが、昨日粗大ゴミを申し込んでみて、以前暮らしていた人口2万人の西郷村との大きな違いを感じました。懲罰的なお金を取るところまでは許せても回収が1ヶ月先、持ち込む場合は2ヶ月先まで予約が埋まっています。西郷村の場合クリーンセンターに持ち込めば予約など不要で不燃粗大ごみの場合90円/10㎏と安価で処分してくれます。いつも軽トラックで持ち込んでいましたが、車ごと秤に乗り廃棄前と廃棄後の重量差を払う寛容な仕組みがどれほど恵まれていたかと思います。安易にモノを捨てる風潮は良くありませんが、人口過密な地域では不要物の処理さえ満足にできません。ゴミ集積所に粗大ごみが放置されるのを見かけると不愉快でしたが、その原因を作り出しているのは脆弱なごみ処理体制です。アフターコロナの世界で東京に住む必然性が薄れて行けば、都市の住みにくさがクローズアップされ始めると思います。

惨事便乗型資本主義

もともとテレビを見ることはまれでしたが、引っ越しを契機に全く見なくなりました。マスメディアを一律批判するのは間違いにしても、低俗なワイドショーやニュース番組が高齢者を中心とした情報弱者をミスリードする危険が今回ほど明らかになったことはないと思います。望遠レンズで三密を演出する手口や、PCR検査を煽った罪は重いはずです。PCR検査の感度71%に対し、CTの感度は98%と高い精度を示す研究もあり、人口あたり世界最大のCT台数を誇り、OECD加盟国平均の4倍強を保有する日本で死亡者が少ないことはその強みが生かされたのかもしれません。現代の医学が最も力を発揮するのが疫病対策ですが、医療体制が整っているはずの欧米諸国においておびただしい死者を出し、医療崩壊が世界的に進行していることを印象づけました。インフルエンザの検査に30数万円もかかる米国では医療崩壊以前に病院に行けませんから、医療保険に入れない層から爆発的に感染するリスクがあります。儲かる医療を優先すれば、ベッド数や人工呼吸器が削られパンデミックへの備えは後回しになります。利益追求のために恐怖を煽るマスコミ同様、医療分野のさらなる市場原理導入など惨事便乗型資本主義への警戒が必要だと思います。

成長はいつも辛さのあと

トランプ大統領がパールハーバーや911を超える米国への攻撃と述べたように、今世界で起きていることは多くの人にとって未知の出来事です。米国4月の失業率は戦後最悪の14.7%になりました。失業率と男性の自殺は統計的に有意な正の相関関係にあり、失業率が1%上がると日本では10万人あたり25人が自殺すると分析されます。未知の事態にこれまでの経験は役に立たずむしろ有害です。ウィルスと共生する社会では仕事のやり方を変えざるを得ませんが、ひとつのやり方しか知らなければ絶望します。娘がインターンをしている会社のZoom会議は背後で小さな子供の声がしたりいつもなごやかな雰囲気です。しかし会社は新たな産業領域を開拓して急速に成長し、目標もやり方も明確だった昭和の時代の年功序列的なやり方とは異質です。自分が知る会社組織は退屈で窮屈でつまらなく悲惨なまでに愚かな組織に成り下がったのに、そこでのし上がった経営層はそれを改めることができません。人は必要に迫られないと変化ができない生き物で、成長はいつも辛さのあとにやって来ると思います。新たなやり方を発明した企業だけが未来を手にすることができるのでしょう。

令和の維新?

戦後の世界が礼賛してきたグローバリズムの趨勢は大きく転換し始めたようです。トランプ大統領の自国中心主義どころか、イタリアでは健康維持のための散歩でさえ自宅から半径200m以内を一人で歩くことしか許されないと言います。世界は150年以上昔の鎖国の時代に逆戻りですが、政府対応の遅さは黒船来航時の徳川幕府のようです。未開国だった日本は明治維新以降2つの戦争に勝利し40年を待たずに国際舞台の主要な勢力として台頭しました。少子高齢化と国の借金で将来がないと洗脳され続けた今の日本にはあきらめムードが漂いますが、「シン・ニホン」が主張する仮説が正しいなら日本には大きな可能性があります。偏差値エリートが巣食う霞が関や利権にまみれた政界、中共政権に毒された財界、害を撒き散らすマスメディアなどこの国を貶める構造を根本から作り直すことが必要でしょう。明治維新が江戸から遠く離れた薩長から始まったように全国的な注目と称賛が広がる大阪市から令和の維新が始まるのかもしれません。

ステイホームの功罪

ステイホームが延長されたことによる社会、経済への最も大きな影響はデータやコンテンツをやり取りするデジタルシフト、サイバーシフトによる遠隔化の流れだと思います。若者を中心に広がるダイエット法「ハンドクラップダンス」を昨夜娘と少しだけやったのですが、スポーツクラブのスタジオに行っていた一定需要はYou Tube動画で満足するはずです。テレワークの普及により移動、準備、付き合い時間が減るだけではなく、一人で集中できる仕事環境と人的ストレスが減ることによる生産性向上が見込めます。企業にとっては仕事のアウトプットが明確になり同一労働同一賃金への移行が容易になります。一方でオフィス賃料の問題から契約更新をしないか賃借面積を減らす企業も増えると思います。消費者目線では支出が減り自由時間が増えるデジタルシフトの流れは、一部の業種にとっては打撃となり給与所得という形で家計に戻ってきます。しかしパラレルワークが普及すれば所得を落とさずに自由時間を増やす可能性が生まれ、個々人がより主体的に仕事に取り組むことで社会全体の生産性も高まります。デジタルシフトの流れはアナログ文化で巧妙に隠されていた形骸化した仕事を露見するのでしょう。

大量消費や大量所有がわれわれを苦しめる

新居に引っ越し3日経ち、ダンボールの山がなくなってきました。今の家は70㎡超ですが、35㎡の仮住まいのどこにこれほどの荷物が収納されていたのかと思う量です。35㎡に3人とラブラドールが2年暮らし、昨年末はホームステイまで受け入れていたことが今となっては信じられません。以前の家ではよくモノが無くなりましたが、あまりに過密になり溢れたモノで肝心なものが消える現象がよく起きました。ステイホームの今、世間では断捨離ブームのようですが、モノを捨てるにはきっかけと勢いが必要だと思います。廃棄や売却でダンボール箱が消えていくと清々しい気持ちになり、さらにモノを減らしたくなります。サラリーマンを辞めてスーツや靴の類いがなくなった今は、プリンターとデジタル化していないアルバム、寝具を除けばスーツケース一つに納まる量まで減らすことができました。過食も同じですが、現代人は今よりはるかに少ない物質で生きていけるはずです。経済を循環させなくてはならない一方で、大量消費や大量所有が結局はわれわれを苦しめているのだと思います。

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