


ダナンで印象に残ったカフェは、ジェフリー・バワ的なトロピカルモダン建築です。Cuckoo House Caféと呼ばれるカフェ兼住宅は、家族4人が暮らす住居とカフェを一体化した、いわばショップハウスの現代的解釈で、2018年に完成しました。1階部分をカフェと庭とし、その上に3つの台形型居住ブロックをテラスでつなぐ構造を持ち、地元の焼成レンガを用いた独特の建築美で知られます。バッファースペースと呼ばれるテラス・中庭・吹き抜けなどの半屋外空間で各機能を接続することにより、風や光を通しながら屋内外の境界をあいまいにし、プライベート性と開放感を両立させます。実際に訪れると、竣工時の写真を見たときの開放的な印象とあまりに違うことに驚かされます。壁ではなく植栽により階層的な配置を仕切る設計は、熱帯特有の強い光を柔らかく受け止め、竣工から8年が経ち、木々の成長とともに完成形に近づいているようです。









K20革命基地地区と呼ばれるベトコンの地下活動拠点跡に行きました。ベトコンの地下壕のあったマーブルマウンテンとともに、ダナンを代表する戦跡です。小さな村に20台ほどの観光バスが押し寄せ、小学生が見学に訪れていました。この村のハイライトは民家のステップを開けて入る地下トンネルです。内部は澄んだ井戸水で満たされますが、痩せた人でないと入れない小さな入り口です。マーブルマウンテンの周辺は今も石屋さんが多いのですが、この同業者ネットワークが夜間はベトコンとして活動をしたとされます。米軍最大級の補給基地と空軍基地までわずか数百メートルの村が革命拠点であったことは、意外です。昼は南ベトナム側に協力し、夜は解放戦線として働く二重構造は、住民を苦しめたと思います。ベトナムがフランス、アメリカ、中国のいずれも退けた強さは、このグレーなゲリラ戦にあった気がします。
ベトナムは車優先社会ですから日本では考えられない歩行者の注意義務が生じます。歩行者優先などないに等しいとは思っていましたが、昨日目の前で起きた事故を見て考えを改めました。観光客でごった返すダナン一の繁華街であるダナン大聖堂前の大通りから、小さな路地に左折をしようとした車がほぼ減速せずに突っ込み、私の目の前を歩いていたおそらく韓国人観光客と思われる女性を1メートルほどはじき飛ばしました。日本なら救急車を呼ぶレベルで大騒ぎになりますが、運転手は車がへこんだと騒ぎ、周りの人も運転手に同情的に見えました。女性は歩きスマホをしていましたが、仮にしていなくても事故に巻き込まれた可能性があったと思います。目に見える外傷でもない限り、この程度では事故とはみなされず、歩行者は周囲に対する相応の注意を払い、自分がそこにいることをドライバーに知らせながら行動することが前提のようです。