本当の歴史


近衛文麿の邸宅であった荻外荘(てきがいそう)に行きました。自転車なら家から20分ほどと気軽に行ける距離です。1927年(昭和2年)に建てられた邸宅は、終戦の年に、巣鴨拘置所に出頭を命じられた近衛が、最終期限日の12月16日未明に青酸カリを服毒して自殺した場所として知られます。家具や備品類を含め可能な限り往時を再現され、応接間の床タイルの多くはオリジナル(左側)を似せレプリカです。元々は目白の別邸として使われる予定だった荻外荘ですが、近衛はここに住み始めると本邸へは戻らなかったとされます。その死には諸説囁かれますが、亡くなった書斎を見られることには価値があります。近衛ほどその評価に幅のあるミステリアスな政治家も珍しく、歴史で習ってきた平和主義者というイメージは作られたものとする説が主流になりつつあります。戦後80年を経て、初めて本当の歴史に近づくことができるのかもしれません。

サウナの効用


ウェルネスツーリズムEXPOに行きました。自治体と外国人の人材派遣企業の出展が目立ち、往復2時間をかけて行く内容とは言えませんでした。東京ビッグサイトを使った商談自体が双方にとってコストに見合わないものになっているのか、業界企業が営業費を削減しているのか分かりませんが、華もなければ見どころもない印象です。多少の収穫はあったものの、期待していたサウナ関連の展示は1社のみで、以前のホテル・レストラン・ショーなどと比べてもサウナブームの終焉を印象づけるものでした。サウナのコアな愛好者は今でもいますし、メディアなどへの露出も相変わらずですが、事業者側から見たときには、一時のサウナへの熱狂に踊らされた不採算事業だけが残された気がします。サウナと健康に関する研究は発展の途上にあり、深部体温を効率的に上げることができるサウナの効用は、ブームに関係なく続くと思います。

眠いときに眠る


今は一年で一番日没時刻が遅く、数日前の東京は日中時間が最も長い日でした。最近よく眠れる気がするのは、起きた時間が完全な暗闇ではないからのような気がします。睡眠時間を気にしないのは、寝つきが良く、体調も良好だからです。一部の学者が、〇時間眠れといった強迫観念を植え付けようとするのはビジネスのためでしょう。眠りは個人的かつ体調や気候、疲労度によって変動するものだと思います。頭も体もくたくたになるまで使った日は良く眠れ、他方で食事を減らした日は消化に要する時間が短いためか短眠傾向です。布団から出たくない冬場なら一瞬で寝落ちしてよく眠れます。不眠の問題は受け止め方次第であり、眠る必要がないことによる必然だと思います。日野原重明氏など、元気な百寿者は概してショートスリーパーが多く、世間の健康ブームなど気にせず、体の声を信じ、眠いときに眠ることが自然であり、健康の秘訣でしょう。

幸せの礎


ウェルネスに特化した観光展示会の国際ウェルネスツーリズムEXPOが、昨日から始まりました。予定もあり行くのは難しそうですが、セミナーや株主総会もリアルとオンラインの併用が一般的ですから、オンラインエキスポがあればより多くの人にリーチできます。VRやチャット機能などを使えば展示場に足を運ばなくても、ホテル・レストラン・ショーのような試食は無理にしても、商品説明は事足りると感じます。独立した展示会を開くほどにウェルネス市場が巨大化するのは当然に思えます。ウェルネスとは広義の健康であり、その派生語であり持続的な幸せを示すウェルビーイングとほぼ同じ意味と考えて良いでしょう。ウェルビーイングがハッピーと違うのは持続性があることで、人の幸福にとって金や名誉が持続しないのに対して、健康であることの価値は消えることも執着することもなく、幸せの礎だと思います。

睡眠ブームは産業による欺瞞


健康問題から解放されQOLが一気に高まるのは、長年悩まされた腰痛の改善で実感します。痛みは人間を危機から守る大切な機能であり、巧妙にコントロールされ、自分の意識により生み出される点でも神秘的です。腰痛にストレッチが効くことは昨今の通説ですが、効果がなかったのは、強度が不十分で頻度も少なかったからです。次の健康問題は不眠ですが、これは人為的に作り出されたトラブルのような気がします。睡眠不足による経済損失や健康への深刻な影響を言い始めたのは最近のことで、最新の研究をたてに、7時間以上寝ろと言います。最新の研究ほど不確かなこともなく、多くの健康常識同様、遠からず書き換えられるはずです。睡眠時間が短くても日常生活に不便はなく、唯一重要なのは最初のノンレム睡眠における深度だけだと思います。時間だけを強調する昨今の睡眠ブームは乱暴な議論であり、産業による欺瞞を感じます。

お金に興味のないAIによる政治


参院選の前哨戦として注目された東京都議会議員選挙が終わりました。ハイライトは一人区の千代田区で、選挙カーもない、無所属新人が都民ファースト、自民を制して当選したことでしょう。投票率が5.2%も上がると、新興勢力が存在感を示し、時代の変化を感じます。対して第一党だった自民は、小泉人気も及ばず歴史的な敗退をしました。一方でスタートアップ政党の賞味期限も短くなっているようで、政治をエンタメ化しハイクラス人材を集めた石丸新党、再生の道は、上から目線の自画自賛に有権者は飽きたのか、42人を擁立しながら全敗しました。それでも得票数では一定の存在感を示し、魑魅魍魎の政治の世界に、一般人を参画させる道を拓いた貢献は評価すべきと思います。虚飾に満ちた政治の世界を作りだすのは、人間の欲であり、お金がかからず、お金に興味のないAIによる政治こそ理想かもしれません。

人間でいることが難しい時代


生成AIが普及すると、人々の反応は楽観と悲観に分かれる気がします。それは働くことへの主体性の違いかもしれません。中途半端なホワイトカラーは生き残れないと思いましたが、今や専門家をも駆逐する勢いです。個人の才能を収益化できるプラットフォームが年々拡大し、AIによる一人ユニコーンの実現は現実味を帯びます。欧米富裕層が喜びそうな、白河の古民家サウナの送迎車は何が良いか聞くと、三菱自動車のデリカD:5という想像もしない回答でした。欧米にはオフロードに振ったミニバンがなく、その希少性がウケるとの回答です。しかもタイヤの銘柄や外装のペイント色、プラスティック部品の塗装、内装の材質変更と色まで指定します。これらのカスタマイズが趣味良く上品に思える点は驚異です。人間にしかできないと思われた創造性・発想力さえ奪われ、人間でいることが難しい時代に入ったのかもしれません。

自分の言葉で話せるか


久しぶりに株主総会に出ました。新しく株を買った企業の総会には、一度は行くようにしています。長期保有が前提ですから、気になるのは直近の業績よりもマネジメントチームの力量です。トップマネジメントの経営感覚とリーダーシップ、組織としての環境変化への適応能力を知りたいと思います。昨今はIR資料を充実させる企業が多く、事前に目を通しておけば大概のことは理解できますが、質問に立つ人のなかには、質問が目的ではなく自分の意見を述べたいだけで、不得要領な主張を延々と行う人もいます。オンライン総会も併用していますが、一度は経営者を間近で見て、そのパッションなりを感じたいものです。経営者が自分の頭のなかに入っている事柄や本音を、自分の言葉で話せるかは最低限のラインですが、建前文化の伝統的大企業の経営層は、失礼ながら一部をのぞいて大半が失格に思えます。

食わず嫌いのこだわり


麦飯100%生活に切り替えて1か月が過ぎると、少量でも満足できます。独特の食感があり、よく噛むことは理由の一つだと思います。あれほど白米にこだわっていた家人から、クレームが出ないことは不思議です。想像するに、玄米は見た目からして米への未練を残すのに対し、麦はご飯とパスタほどの違いがあるので、別のカテゴリーの食べ物と認識し白米への執着をあきらめるのかもしれません。他方でカテゴリーが違うと思えば許せないものもあります。先日兄が車を買う話をしていて、基準は普通に高速を走れる車と言います。N-VANでも普通に走れるし、長崎まで走っても快適だと話すと、彼のカテゴリーに、中央高速の談合坂を2速シフトダウンしないと登れない車は含まれないようです。別段たいした不便もないのに、選択肢から排除する食わず嫌いのこだわりが、大量消費社会の原動力のような気がします。

内省を促すロングトレイル


久しぶりに熊と遭遇しました。北アルプスや福島の山では何度か見ましたが、見たのは大月駅から近い九鬼山と久美山の中間の鞍部です。15mほど先でこちらを伺う熊の体長は1.4mほどあり、山中で見る黒い塊は迫力があります。そして短距離選手より早い速力を活かして、急峻な深い谷を勢いよく駆け降りていきます。付近は人里に近い植林の森ですが、栗の木も多く、熊が生息する環境にも見えます。大月駅と上野原駅を結ぶこの稜線を歩く人は少なく、適度なアップダウンもあり、おなかの脂肪を落とすには好都合です。この日は22.3km歩き、累積標高は2,700m、消費カロリーもフルマラソンを超えますが、腰痛以前なら無補給で歩けた距離です。腰痛で山に行く機会が減り、エネルギー産生システムが変わったのか、後半は低血糖になりペースが落ちます。ロングトレイルが好きなのは、それが内省を促し、体との対話の時間となるからのような気がします。

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