
長野県に来ると、朝はストーブが欲しいほど冷え込み、体が楽になると同時に転地効果により脳のモードが切り替わるのか仕事もはかどります。自然のなかで仕事をするリゾートオフィスは、昔からその構想があり、社会人になった1980年代はバブル景気を反映して、盛んに作られた時代です。結局それらの施設の多くは使われることなく廃れて行きましたが、コロナ禍を契機に働き方の潮流は大きく変わり、全国でサブスクの宿泊施設が生まれ、人々が自然のなかでリモートワークをすることが日常になりました。今朝は日の出とともに西岳に登りましたが、2時間程度の登山は最高の気晴らしになり、仕事の効率も高まります。ビル・ゲイツのように湖畔の山荘に水上機で行かずとも、手近な森に入り体を動かし仕事をする週末こそ、知的で最高のレジャーかもしれません。
お知らせ
痛みや老化の正体

ストレッチの施術を受け腰痛が改善したものの、自分で行う日々のセルフケアを怠ると痛みが戻ってきます。長年酷使した体が臨界点を超えることで悲鳴を上げるのは、適切なメンテナンスにより元に戻る点で不可逆的な老化とは異なると思います。健康とは廃用性萎縮との戦いとも言い換えることができ、使わなくなれば中高年以降の体をすぐに錆びついてしまいます。体を正常に維持するには、アクティブであり続ける必要がありそうです。人間は必要に迫られないと行動しませんので、痛みや老化の正体とは、自分の体とアクティブに向き合い続けるためのモチベーションのような気がします。アンチエイジングと言うと、若返りなどありえないと言われますが、0.2程度まで落ちた視力が、福島の自然のなかで生活するようになり1.5まで戻りましたし、本来あるべき生活習慣により生じる、局所的な若返りはいくらでも起こりうるはずです。
多幸感をもたらす寺社仏閣

参政党が掲げた、神社国有化政策が波紋を呼びました。明治から戦前まで神社が国有化されたことから、一部にアレルギーがあるのはやむを得ないのかもしれません。批判を受け今は政策から外されますが、日本の精神文化の象徴である神社や、伝統儀式の維持保存に関する問題提起には共感します。占領政策によって、日本独自の文化遺産は軍国主義と紐づけられ、先祖を敬う神社参拝すら政治問題化されてきました。現在84,000以上の神道系宗教法人があるとされますが、守る人がいなくなればその伝統は断絶します。神社が日本人の生活に定着させた「祈り」が、心身の健康や幸福感に良い影響を与える可能性が示唆されたのは比較的最近です。ポジティブな内容の祈りは、多幸感をもたらすβ-エンドルフィン、ドーパミン、オキシトシンの分泌を促すとされ、先祖が大切にしてきた寺社仏閣は、健やかで満たされた人生を送る一助となると思います。
選択肢を絶たれた有権者

自公の地滑り的大敗が固まり、20年国債利回りは2000年以来の水準に上昇します。日銀のアンケートでは生活にゆとりがない国民が6割を超え、16年ぶりの危険水準に達します。5年後の暮らしが良くなると回答した5%に対して、40%超は未来を悲観しています。左傾化した自民党は許容できませんが、他方で悪夢の政権交代ものぞみません。選択肢を絶たれた有権者は、正しいと思える投票行動をするしかなく、政党政治の歪は限界を迎えたように感じます。住民投票や首相公選制などの直接民主制や、政治資金規正法の改正など、ゆるやかな改革が効果を生むには時間がかかり過ぎると思います。政治という特殊な世界に風穴を開けようとする、再生の道の試みは有益ですが、スタートアップ政党に過度な期待もできません。これほど合意形成を複雑にしているのは、正しく合意されては困る利権構造があるからのような気がします。
すでに起こった限界費用ゼロ社会

「限界費用ゼロ社会」が日本で出版されたのは7、8年前ですが、そのときは、産業革命による未来図に衝撃を受け、バラ色の未来に期待を持ちました。しかし、現実はエネルギーコストの高騰にあえぎ、理想の社会は遠ざかる印象がありました。当時はAIの発達がここまで急速とは予想できませんでしたが、AIを手にした現代人は、まぎれもなく限界費用ゼロ社会を生きていると思います。多くの相談業務がAIに置き換わるだけではなく、人間の創造性が到達しえなかった領域まで、われわれを連れて行ってくれることを日々実感します。以前はAIの苦手分野はクリエイティビティとされましたが、クリエイティブクラスはAIとの共同作業なしに、もはや創造をなしうることができなくなりました。これからの時代に必要なのは、人並外れたセンスではなく、創造にかける強い意志だと感じます。
移動を身体化する

腰痛が改善して以来、体を動かすことに前向きになり、この一月ほど自転車に乗る機会が増えました。乗り始めると筋肉が慣れ、ペダルをこぐことが苦痛ではなくなります。8段ギアながら、幹線道路以外であれば車の流れに乗ることができ、自宅から半径5km程度なら車より早く目的地に到達します。エネルギーコストゼロの移動手段の魅力は、心と身体の両面に働きかけ、自己肯定感を高めることだと思います。心肺機能と筋力を強化する有酸素運動は、高揚をもたらす神経伝達物質の分泌を促します。自転車の大半がモーターのアシストを受けるハイブリッド構造ですが、モーターを持たない軽量の車体こそ、自分の体との一体感を高め、移動を身体化すると感じます。自分の力で前に進み風を受けるスピード感は爽快で、自己効力感を高め、坂を登り切ったときの達成感や、バランス感覚により高まる集中力は、最も安上がりな気分転換と言えそうです。
サウナは美肌の湯

夏が好きですが、汗をかく季節になると皮膚のトラブルが発生します。他方で汗をかくと、肌の表面に天然の保湿膜である皮脂膜が作られ、うるおいを保ち、肌の色つやが良くなります。頻繁に汗をかくことで、毛穴に詰まった古い角質や老廃物が排出されやすくなり、肌のターンオーバーが促されます。さらに、運動をすることによる汗をかくと血行が促進され、肌の隅々まで栄養や酸素が行き渡り、健康的な肌を保つことができます。発汗と美肌の関係に関する、科学的な検証は十分とは言えませんが、毎日サウナに入ると肌が瑞々しく保たれ、女性であれば化粧など不要になります。昨今のサウナブームを支えるのが若い女性であることは、当然の帰結のような気がします。サウナで汗をかくことによるデトックス効果には疑問の声もありますが、肌に関しては間違いなく効果があり、美肌の湯と同等以上の効能があると思います。
サウナブームの流れを変える

星野リゾートとして広島県初進出の「界 宮島」が2026年夏に開業予定と発表されました。施設の目玉は、瀬戸内沿岸に古くから伝わる石風呂です。海辺や川辺に石を積み上げて作られた蒸し風呂は、サウナの王様とされる北欧のスモークサウナと同様に、煙突を持たずサウナ室を暖めた後は、火を外に出します。スモークサウナがストーブのまわりのサウナストーンを加熱するのに対して、日本伝来の石風呂や韓国のスッカマは石室そのものに蓄熱させる、より原初的な方法です。床・壁・天井の石から放たれる輻射熱と、床に敷かれる海藻の湿度により、身体を芯から温め、サラサラとした汗が出て入浴後もべたつくことがありません。開発スタッフは全国の石風呂を見たと言い、海の近くに設置され、ゴザを用いた本格的な石風呂体験ができるようです。先を越されて残念ですが、石風呂の知名度が上がり、サウナブームの流れを変える気がします。
五感を通した対話

昨日は大月で授業の前に九鬼山(970m)に登りました。日の出前の森では、ひんやりとした空気が肌に触れ、ヒグラシが一斉に鳴き始め、漆黒の森がその姿を見せ始めます。五感の刺激を受けて感覚が鋭敏化する時間帯こそ、今この瞬間に集中できます。駐車場から50分弱で登れる里山の割に自然が豊かで、昨日も森へと去る熊かイノシシの姿を見ました。鹿が多い山域ですが、先月も山頂付近で熊を見ました。熊との遭遇を避けるために聴覚の感受性が最大限に高まり、突然目の前で鹿が藪をかき分ける音がして、全身が一気に緊張します。感覚に集中する没入感は、早朝の森でのみ感じる充足感であり、それは幸福感の源泉だと思います。一人でいることはむしろ自由と充満をもたらし、他者や社会から切り離された、自分との対話の時間になります。鋭敏になった五感を通して自己と対話する習慣を、毎朝持てる暮らしが理想です。
遺された土地

先月母が亡くなり、相続のなかで問題なのが、京都に所有している土地です。地目が畑(竹林)と山林で、京都市の山林課税5段階のうち上から二番目の評価をされ、固定資産税も発生しています。元々祖父から母が相続したものですが、売るに売れずに今日に至り、自分の代でこの問題に目途を付けておきたいと思います。市税事務所から始まり、地元のタケノコ生産者、農業振興センター、京都市の農業委員会と渡り歩くうちに、少しづつ土地の事情が見えてきましたが、この用事のために先月と今月は京都に来ました。竹林は藪蚊が多く、竹林から車に戻ると、体についていた蚊10匹ほどが車内を飛んでいます。国庫帰属制度などもありますが、京都市では土地の受け取りは一切していません。未だにバブル末期のように高騰する土地もあれば、相続放棄せざるを得ないケースもあり、遺された土地は深刻な問題です。