「幸せ」ではなく「最高」

昨日は南会津町の斎藤山(1,278.3m)に登りました。夏山と言えば北アルプスに代表される高山の縦走ですが、初冬の今行くべきは雪化粧した里山だと思います。適度に締まった雪を踏みしめて下るトレイルでは思わず「最高!」という言葉が漏れます。人は幸せだと自らを慰めたいときに「幸せ」と言い、本当に幸せなときは「最高」と言うのかもしれません。お金で買う幸せはいつも条件つきですが、山での幸せは無条件です。花鳥風月を愛でる至福の時間にはたいしたお金はかからず、稼いでは使う現代社会が虚構に見えます。産業化された幸せは執着を生み続け、いつまでたっても心の奥底にある自己とつながることができない気がします。往復2時間半ほどの里山ながらその眺望は侮れず、山頂直下のヘリポートからは南北34kmにわたる会津盆地の全容を把握できます。自然のなかでの運動は最高の健康法であり、余計な欲望や執着を手放すことを教えてくれる最高のメンタルケアであり、最高の喜びを教えてくれるリフレッシュ法でしょう。

抑制された満ちた今

昨日は豪雪地帯で知られる奥会津の金山町にある民宿に泊まりました。福島県の観光特典クーポンに加え町独自のクーポンが出るために、これが平日であれば宿泊すると2千円弱の金券が手元に残る計算になります。ここまでして旅行需要を喚起されなくとも、人の少ない今の季節は旅の風情を感じるベストシーズンだと思います。日照時間の短いこの時期はセロトニンの分泌が減少しウィンターブルーになりがちで、本来脂肪を溜め込む時期のために、体を動かさないでいると筋肉量が減り基礎代謝が低下し肥満しやすくなります。一方で澄んだ冷気を体に取り込める冬の山なら、セロトニン活性に申し分なく、現代の便利な生活のなかで失った心の奥底にある静寂を取り戻せそうです。静寂な時間を持つことで本当の自分とのつながりを回復し、お金で幸せを買う都市生活の真逆に、抑制された満ちた今を感じます。

脳をハッキングするスマホ

階段を登って自分の部屋に行く間に、何を取りに来たのか忘れることがあります。これはスマホ認知症の一種だと思います。スマホ認知症は情報過多による脳疲労が原因とされる物忘れ、集中力、発想力の衰え、意欲が低下します。加えてAIが勧める広告を見ているうちにそのイメージを刷り込まれ、潜在意識が行動を支配するようになります。脳が疲れている状況下ではサブリミナル効果による暗示を受けやすく、ビッグテックがスマホに送りつける情報によりマインドコントロールされます。脳をハッキングされ、作り出された幸せな光景を、いつしか自分の幸せだと錯覚するようになり、人生を振り回されます。人は一日2,600回スマホを手に取ると言われますが、われわれの脳はこのようなライフスタイルに適応していません。スティーブ・ジョブズが子供に触らせなかったのは、危険性を知っていたからでしょう。

[メンタルモンスター]になる。

日本人にとってのワールドカップは終わってしまった印象があります。1982年大会以降、PK戦に突入した決勝トーナメントの試合(20.3%)におけるPK成功確率70.3%に対して日本は25%と悪い成績です。概ね日本のメディアはこの問題に触れず、外国メディアの日本特派員が指摘する程度です。日本では終わってしまったことはしょうがない、といった個人を責めない空気がありますが、問題は原因追及を疎かにすることです。学生と話しても120分の試合で勝てないことが問題でありPKを問題にしなくてよい、これから徹底してPKを練習すると言っているから良いのではないか、といった意見が過半数です。PKの成功確率は1番手が最も高く2番、3番と進むほどに低下していくことが知られ、おそらくその理由はプレッシャーです。日本人最多出場となる長友が「[メンタルモンスター]になる。」のなかで書いた、重圧の捉え方を自分のなかで変換する認知的再評価が必要なのでしょう。

昔の知恵こそが明るい未来

寒さが本格化し、日没が一年で最も早い時期になりました。半地下住居の我が家は外気温の影響を受けにくいことで、夏場のエアコンが不要なのと同様、冬場も稼働させる必要がありません。ホットカーペットにyogiboを乗せて、寒ければ上から布団をかけると即席コタツになり、元々電力消費が少ない上に、省エネモードで運転しても汗をかくほどの温かさです。エネルギーのひっ迫が叫ばれる昨今、部屋ごと暖める空調は非効率で、昔から伝わる祖先の知恵こそが明るい未来を開くと思います。ついでに風情のある火鉢が欲しいのですが、これ以上モノを増やしたくないので、東京暮らしには不要でしょう。多拠点居住が広がるポストコロナの時代には、都市ではミニマルに暮らし、田舎では動植物や昔からある生活道具に囲まれて、身体を動かしながら生きることが可能であり、都会と田舎を行き来することで人間本来のバランスを取り戻せると思います。

EV全体主義と闘うトヨタ

クラウンに続いて次期プリウスも気になる車です。先代比40mm低いプロポーションは、デザイナーが描いたスケッチそのままのエモーションを与え、全社一丸体制を伺わせます。0-100km/h加速6.7秒という動力性能といい、近年のトヨタは期待をはるかに超える車を作ります。ハイブリッドが市場に投入されてから四半世紀、採算化は不可能とされた車が乗用車販売台数ナンバーワンを記録してきたことは奇跡です。日本人が勝つたびに変更されるオリンピックルールのように、欧州を中心に進むEV政策ですが、電力ひっ迫からスイスではEVの使用制限を検討し、中国で暴動のきっかけになった火災はバッテリーのあがったEVが原因で消防車が近づけなかったとも言われます。遠くで燃やすかその場で燃やすかの違いで、送電ロスがあり危険なバッテリーを積むEVがエコだと言う主張は破綻していると思います。EV全体主義と果敢に闘うトヨタを応援したいものです。

非凡に見えないところが非凡

日本中を寝不足にした史上初のベストエイトをかけたW杯決勝トーナメントが終わりました。前回準優勝のクロアチアを相手に、今大会初の先制点を鮮やかに取った以外、スペイン、ドイツを破った非凡さを見ることはできませんでした。PK戦に至っては、本番に弱いと揶揄された時代の日本を思い起こさせます。しかしこれは素人的な印象で、これまでのゲームにおける日本のボール支配率は18%と、1966年大会以降の勝利チームとしては最低とされます。つまり日本は粘り強く守り、一瞬のチャンスをものにしてスピード勝負の瞬間芸により効率よく逆転勝利を収めてきたと言えます。日本企業が経営にスポーツを取り入れるようになったのは、戦後復興を果たし国威発揚の場となった1964年の東京オリンピックとされます。ドイツ、スペインに逆転勝利して日本の空気を一つにしたこと自体が非凡であることは間違いないのでしょう。

サウナの先祖返り

最近の関心事は世間でも過熱気味の北欧式サウナです。全室にプライベートサウナを持つ宿泊施設は珍しくなく、サウナ付きの賃貸物件だけを扱う不動産会社もあります。他方で意外なのはサウナ関連書籍の少なさです。サウナビルダーのバイブルとされる「サウナをつくろう:設計と入浴法の全て」が出版されたのは1992年ですが、いまだこれを超える良書はありません。コモディティ化が進むサウナにおいて差別化をはかるには、その原点に戻ることが有効だと思います。伝統的なフィンランドサウナは煙突のないスモークサウナで、原初的なものは地中に掘られたとされます。フィンランドでは電気式ストーブの手軽さが人々をサウナに引き戻したと言われますが、電気式ストーブが普及してきた日本では、逆に薪ストーブを屋外で楽しむ先祖返りが主流になる気がします。

スピリチュアルと経営の統合

ソニーの上席常務であった天外伺朗こと土井利忠氏の著書「実存的変容」を読みました。フレデリック・ラルーの書いた「ティール組織」の解説本の形態をとり、ラルーが本当は書きたかったけれども、学者としては書けなかった「人類の目覚め」というスピリチュアル領域から語られます。意識レベルが進化し、エゴを客観的に相対化して眺めるメタ認知状態が実存的変容であり、創業期のソニーは、実存的変容を遂げた上司の下で社員が思う存分に力を発揮して独創的な仕事を成し遂げたと指摘します。ガンが自然に消えるのも、Tears in Heavenを作ったエリック・クラプトンも、宮崎駿作品も、そして戦後日本企業が世界を席巻したのも実存的変容だとすれば、米国流の経営が尊ばれ、地位、名誉、収入などのエゴを追い求めた人々により失われた30年がもたらされたことにも納得が行きます。根源的な内面を追求し自分の人生を取り戻すことが必要なのかもしれません。

もはや不可欠な北欧式サウナ

昨日はグッドルーム㈱が経営するグッドサウナ日本橋を見学しました。製薬会社が一棟使用していた1992年竣工の9階建てSRCのオフィスビルの1階をコワーキングスペース併設型のサウナに改修したものです。首都高速の日本橋区間地下化事業により取り壊される予定のビルを、2025年2月末までの短期借り上げします。2階から8階をオフィスとして使い、「サウナブレイク」という働き方を提案します。4千万の投資額の半分がサウナ施設に充てられ、サウナストーブは世界シェア首位のHARVIA社製の電気式を使い、セルフロウリュが可能で、水風呂はチラーにより17℃に設定されます。フランスのアウトドア用品メーカーLafumaのインフィニティチェアが置かれる外気浴スペースからは、手の届きそうな場所に首都高速が走ります。今後同社ではサウナ併設型シェアハウスなども開発する予定で、もはや北欧式サウナは日本人の生活に不可欠な設備になりつつあります。

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