


普段は信心深くない人でもこの時期は神社に参拝します。戸隠は大都会長野の中心部から30分ほどの距離とは思えないほど深山幽谷の趣があり、ことに深い雪に閉ざされるこの時期にこそ訪れる価値があります。昨日は戸隠神社の奥社まで歩き、ここでも多くはインバウンド客ですが、この厳かさの魅力に魅かれるのは古今東西、老若男女を問わないのでしょう。トレイルランニングが最も幸せなのもパウダースノーの絨毯を走ることができる季節ですが、雪の美しさは人を幸せにする力を持つのかもしれません。もはや冬季オリンピックを開催できる国は、日本を含めてごく少数です。雪国という世界的にも稀有な卓越性こそ、世界に誇る観光資源だと思います。日本では当たり前だったことの価値に、多くのインバウンド客が訪れることで、初めてわれわれが認識するのかもしれません。

【知恵の詰まった古民家】



サツマイモの値段がこなれてくると、本格的な焼き芋の季節になります。これからの時期の焼き芋と、熟してオリゴ糖が増えたバナナは最高の甘味だと思います。最も簡単に幸せになる方法が甘いものを食べることなのは、われわれの遠い祖先が、生き延びる上で不可欠な糖質を、果実が実る季節に得たときの衝撃的な幸福感から続く記憶だからだと思います。さらに幸せなのは焼き芋やバナナが、日常的に買える食べ物としては最も安く手にできることです。人が身近にある幸せにそれほど感動しないのは、自ら幸福のハードルを上げているからかもしれません。希少なもの、得難いもの、豪華なもの、非日常的なもの、高額なもの、すなわち贅沢に幸せを見出そうとします。むしろ逆で、贅沢が不幸を呼び込むのは、やがて自制が利かなくなるからだと思います。今を幸福と感じることができるなら、金銭的野心は影を潜め平穏な生活を送れる気がします。
