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家庭に回帰する食事

昨日は近江八幡に行きました。身を寄せ合うように木造家屋が美しく建ち並び立派な寺社が目立つ湖岸の街は往時の発展をしのばせます。日本で数多くの西洋建築を手懸けたウィリアム・メレル・ヴォーリズが住み、多くの近代建築作品を遺した地としても知られます。1905年に滋賀県立商業学校の英語科教師として来日したヴォーリズはキリスト教伝道のかたわら生活の糧を得るために建築設計の仕事をスタートし、副業とは思えないほどの建築作品を残しました。1910年に米国へ帰国した折にメンソレータム社の創業者と出会い日本でのメンソレータム販売代理店となりそれが今日の近江兄弟社に発展します。日本でキリスト教伝道に尽くすヴォーリズを資金面で助けるための一種の副業とも言えます。昨夜は東京への帰路、友人宅で夕食をご馳走になりましたが、日本離れした居心地の良い部屋で食べる食事は格別で、贅を尽くしたレストランがどうしても超えられない一線がそこにあります。シェアリング・エコノミーの発展とともに副業の時代は本格化し、産業が一度家庭から切り離した食事は再び家庭に回帰すると思います。

蘇る420年前

昨日は関ヶ原の古戦場に行きました。先日沖縄戦の激戦地の嘉数や前田高地を見ましたが、新都心としてビルが建ってしまったシュガーローフと違い今でも当時の様子を想像することができます。420年前の古戦場ながら、関ヶ原の地形も当時と大きく変わっていないと思われます。石田三成の陣地となった笹尾山に立つと東西で15万とされる軍勢が衝突したとは思えないほど両軍の配置は近く激しい戦闘だったことを想像させます。兵力においても、東軍を取り囲む西軍の布陣を見ても、戦いの結果を知らなければ西軍の勝利を確信すると思います。東軍への内通や戦況を傍観する西軍武将の日和見がなければ徳川の治世はなかったはずです。幕末の長州が決死の覚悟で徳川幕府に立ち向かったのは、関ヶ原で毛利が一丸となっていたなら家康に勝てたと言う苦い反省があったからとされます。西軍が壊滅し総崩れとなるなか関ヶ原を埋め尽くす東軍諸隊は石田、島津の軍勢に押し寄せたと言われます。専守防衛の島津は敵味方構わず討ち払い、家康本陣を横切る敵中突破により大きな被害を出しながら薩摩に戻ったとされますが、268年後に長州と薩摩が倒幕の原動力となったことは歴史の必然だったのでしょう。

家畜化される消費者

いつ頃からか一日三食食べることが負担になり、食間を16時間あける一日二食が今の自分に合っていると感じます。一日一食で24時間開けると胸焼け気味になり、食間が16時間以下だと健全な空腹を感じられません。単に朝食を抜くだけですから誰でもやっていることですが、体調が維持され中年太りとはもう何年も無縁です。空腹と運動の重要さはどれほど強調しても誇張にならないように、肥満と運動不足は健康リスクを指数関数的に増加させます。人生における最大のリスクは健康を害することですが、健康を維持する方法はきわめて簡単でお金もかかりません。皆が実践してしまえば外食、医療、健康産業が困りますので、生活習慣病患者と介護が必要な高齢者を生み出すための世論形成が必要になります。医者が増えると生活習慣病も増えるという不都合な事実は陰謀論として消されマスメディアが伝えることはなく、被爆を増やす様々な検査が奨励され、お年寄りにやさしいふりをして運動不足にさせます。ビジネスを安定化させるために消費者を家畜化していると言っても過言ではないのかもしれません。

マーケティングのための幻想

ホンダが世界初の自動運転レベル3のレジェンドを発売しました。オリンピックが決まった頃は2020年には自動運転車が街を走ると期待されましたが、一年遅れてオリンピックに間に合った印象です。自動運転ができるのは渋滞路など一定条件下に限られますが、ドライバーが不要になるレベル5も遠からず実用化されることでしょう。高級車ブランドのジャガーが2025年以降電気自動車のみの生産に移行すると発表しましたが、レシプロエンジンとマニュアルトランスミッションを失えばもはや自動車は熱狂の対象ではありません。まだ豊かでない時代の自動車は消費者の間に自発的な熱狂を生じさせましたが、今日の消費者を熱狂させるのはマーケティングのために作り出された幻想だと思います。豊かな時代のさらなる豊かさより貧しい時代の素朴な豊かさのほうがより幸せになれる気がします。若者誰もが車に熱狂していた時代の車を見ると、今でも直感的なエネルギーを感じるのは単なる懐古趣味ではなく、虚飾にまみれた暖衣飽食の生活が人間から原初的で肝心な感情を奪うからだと思います。自転車や自分の足によるミニマムな人力移動がむしろ人気なのは、鈍ったセンサーの感度を取り戻す動きなのでしょう。

頭と心の二重支配

昨年12月から今年1月までに韓国や米国、中国、フランス、タイの5カ国で行った新聞通信調査委員会の世論調査によると、「日本に行きたいと思うか」という質問に韓国の51.0%、米国51.8%、中国40.3%、フランス60.2%、タイ77.8%が「行きたい」と答え、とくに韓国と中国では直前の調査と比べて16.8%、19.4%上昇しました。抑圧された需要がポストコロナで爆発的に反発するのかもしれません。一方で国境の再開に複雑な気持ちを持つのは、コロナ禍ほど国境線で国が守られていることを有り難く感じたことがないからです。グローバリズムを無批判に礼賛し国境を開けば、ウィルスばかりでなくサイレント・インベージョンやテロの流入という好ましくない心配も増えます。様々な葛藤を感じるのも、あるいは経営者が投資判断に悩むのも人間が頭と心の二重支配に置かれているからだと思います。本能や感性を抑圧する理性的な大脳新皮質はときに幻想を作り出し、恐れる必要のないものに恐怖心を感じさせます。大きく変化する時代には理性的な頭だけではなく、自分の内なる声をバランスよく聞く必要があるのでしょう。

野生の身体を取り戻す

テレビは見ないのですが、それでもポータルサイトの記事が嫌でも目に入り、売却、閉店、急落といった昨今の暗いニュースの文字に引き込まれます。恣意的に選ばれた記事ですから世の中に明るい話題もあるはずですが、人の脳が反応するのは決まって悪い話です。人の脳は取り戻せない過去の失敗を後悔し、起こりもしない未来の不安に恐怖を覚えます。これは生存本能とも言える脳の癖ですが、一方で将来への不安がない人にも悩みはあります。平穏な生活は単調で、惰性的な人生の時間はあっという間に経過して行きます。心身にトラブルを抱える人が多いのは脳のこうした性癖を理解せずに悲しみ依存するからだと思います。食べることを抑えられないのも食糧が足りない時代の名残で、健康的に生きるためには自分の奥底に眠り、控えめな欲求しか伝えて来ない本来の自分が発する声を聞く余裕が必要です。贅沢な大量消費を促し食事や人生の意味を変え、身体の変化でしかない加齢をネガティブに誇張する集団洗脳から離れ野性的に生きるなら、元々与えられたしなやかで力強い身体を取り戻せるのでしょう。

手軽に生命力を高める方法

豆苗という耳慣れない若菜の植物工場を見たのは20年以上前で、当時は今より高級な食材として売られていました。今ではどこでも買えるサヤエンドウの若菜は一度収穫して食べた後に根元を残すと数日で脇芽が伸びて再度収穫できます。3度目以降は収穫量が落ちますが、次はサヤエンドウの苗として土に植え替えて育てればサヤエンドウとして収穫でき、採取した種から再び豆苗を育てることができます。これを繰り返していけば理論上豆苗を永久に収穫できることになります。家族が食べる程度でさえ自給自足は困難ですが、今の食生活を見直し生きていくための最低限の食を前提にするならハードルは下がります。ポストコロナの時代は半農半X的にドラスティックに暮らしを見直す人が増えると思います。50%程度の自給自足が可能なら人はもっと自由に生き一日のなかに自己を振り返る時間を持つことができるでしょう。日々成長する植物の生命力には不思議な力があり、そんな妄想をさせます。ホテル業界では造花を置くホテルはつぶれるという都市伝説がありますが、最も手軽に生命力を高める方法は身近に植物を置くことでしょう。

お金と快楽が人を愚かにする

東京オリンピック・パラリンピックの海外観客の受け入れ断念に対し海外の報道は批判的とされます。現実を受け入れた判断ですがコロナ禍の世界に忘れられ、日本にとっては後味の悪い五輪開催になるのかもしれません。インバウンド・バブルを見込んで収支を計算したホテル業界とその出資者は最大の被害者と言えそうで悪夢の日々は続きます。市場環境が元に戻るまで数年を要するとも言われ巨額のイニシャルコストを回収する手立てはありません。1991年のバブル崩壊、2001年の米国テロ、2011年の東日本大震災に続く、2021年のオリンピックの番狂わせは10年おきに100年に一度の想定外が起こる環境下での意思決定やリスクマネジメントの難しさを考えさせられます。せいぜい100年しか生きない人間にとって未知のリスクを正当に評価することは難しく、オリンピック開催決定時の高揚は脳のセンサーを狂わせ人の感情を暴走させたと思います。お金を儲けたあとに破産する人が少なくないのも、手にしたお金と快楽がもたらす高揚感で麻痺した脳が愚かな判断をするからでしょう。

ひと手間が病を防ぐ

この一年の外出自粛でステイホームの時間が延び自炊の機会が増えました。昔ならサラダのドレッシングを買いましたが、オリーブオイルがあればその時の気分で味付けを変えて楽しむことができ、精製されたコーンシロップなど健康リスクの高い成分を排除できます。アイスクリームも作るのは面倒だと思い込み買っていたのですが、呆気ないほど簡単に作れます。子供の頃に母がふきんでこしながら作っていた記憶があり面倒だと思いましたが、昨今の手抜きレシピなら冷蔵庫を開けてから4、5分で作ることができ、健康リスクの高い砂糖の分量を減らして自分好みのアイスクリームを作れます。調理を仕事にする人なら農家が農薬を使うのと同じ罪悪感をいつも覚えると思います。健康のためには砂糖や塩を控えたいと思っても、多くの消費者は美味しさのみを求めますのでその期待に応えざるを得ません。料理を難しく考えずひと手間かける感覚を持つだけで、将来病に伏せるリスクをかなり下げられるはずです。空腹ならすべてのものは美味しいのですが、空腹を避けて刹那的快楽を求めるなら五感の感度が狂い病気に近づくと思います。

止まれば老いる

東証一部上場のワタベウェディングが事業再生ADRにより経営再建を目指すことが報じられました。コロナ禍の自然の成り行きに見えますが、理由はそれだけではないと思います。1973年にはハワイに出店するなど先見の明を持つリーディングカンパニーとして偉大な成長を遂げた故の手痛い復讐を受けた気がします。近年開業した直営のチャペルを見ると20世紀のまま時代感覚が止まったようで、そこには時代を切り開くかつての気概が感じられません。失われた30年の隘路に日本経済を導いた原因は先人の成功とその資産に安住した惰性の経営にあると思います。自戒の念を込めて言うなら自覚的に自分を律することなしに仕事を創り出すことも仕事を楽しむこともできないのでしょう。かつてプロ経営者がもてはやされる時代もありましたが、日清戦争で日本が超大国の清に勝った時、清の軍艦を指揮していたのは高給で雇われた西洋人で、一方の貧しい小国の日本は全員が日本人で自国を守る気概に溢れていました。未来を切り開こうとする気概を失えば国も企業も人も老いるのでしょう。

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