マーケティングのための幻想

ホンダが世界初の自動運転レベル3のレジェンドを発売しました。オリンピックが決まった頃は2020年には自動運転車が街を走ると期待されましたが、一年遅れてオリンピックに間に合った印象です。自動運転ができるのは渋滞路など一定条件下に限られますが、ドライバーが不要になるレベル5も遠からず実用化されることでしょう。高級車ブランドのジャガーが2025年以降電気自動車のみの生産に移行すると発表しましたが、レシプロエンジンとマニュアルトランスミッションを失えばもはや自動車は熱狂の対象ではありません。まだ豊かでない時代の自動車は消費者の間に自発的な熱狂を生じさせましたが、今日の消費者を熱狂させるのはマーケティングのために作り出された幻想だと思います。豊かな時代のさらなる豊かさより貧しい時代の素朴な豊かさのほうがより幸せになれる気がします。若者誰もが車に熱狂していた時代の車を見ると、今でも直感的なエネルギーを感じるのは単なる懐古趣味ではなく、虚飾にまみれた暖衣飽食の生活が人間から原初的で肝心な感情を奪うからだと思います。自転車や自分の足によるミニマムな人力移動がむしろ人気なのは、鈍ったセンサーの感度を取り戻す動きなのでしょう。

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