生きるための最小限のエネルギーと消費

昨日は八ヶ岳山麓のオフグリッドキャビンを見せてもらいました。井戸水を引きトイレはコンポストで、ソーラー発電はプラグインハイブリッド車をバッテリーにするV2Hです。赤松林のために発電量はスペックの10分の1程度とわずかですが、それに適応した生活スタイルを提案します。オーナーは仕事道具とキャンプ道具一式をザック2つに収納し、これだけを持って世界と日本をアドレスホッピングします。ファスティングや一日一食生活など共感することが多く、その潔い生活スタイルこそが環境を真剣に考える暮らし方だと思います。今や環境問題はファッションの一つで、環境意識高い系を装う割に贅沢な生活に明け暮れる人は少なくありません。生きるための最小限のエネルギーと消費、という本質から環境問題を語る時期に来ているのかもしれません。

もっと早く知りたかった

人生において、もっと早く知りたかった、ということはたくさんあります。例えば人体のエネルギー産生における三大栄養素とケトン体の関係や、最善観によるストレス反応のあり方などです。知っていれば肥満や胃の不調、人間関係のストレスに悩むことがはるかに少なかったはずです。最近聞いた話では、他人に対する印象を好き嫌いではなく、好き、普通、大嫌いの3つに分類する方法で、今まで自分が嫌いだと思っていた人の大半は普通に分類され、対人関係のストレスは軽減されます。言うまでもなくストレスとは、自分の偏見が勝手に生み出す反応であって、この3分類法を使うと、他人の行動や言動への過剰反応による無用なトラブルを避けることができ、他のストレスにも応用できそうです。それに対して知らなければよかったと思うことも多々ありますが、だから今があると思えばそれは人生の必然なのでしょう。

持たない暮らし

英国に戻った娘から、経由地のヘルシンキなどの写真が送られてきました。フィンランドを筆頭とする北欧5カ国は国連の世界幸福度調査上位の常連ですが、その理由は高負担・高福祉による貧困率の少ない非階層的な社会とされます。他方で、高福祉が機能するためには、政治への国民の高い関心と政治のクリーンさが必要で、電子政府ランキングでも上位を北欧勢が占めます。自分の時間を大切にしながら、世界競争力ランキングの上位に入り込む北欧の秘訣を探る研究は少なくありませんが、結局のところそれはシンプルな暮らしのような気がします。機内食のイングリッシュマフィンは質素ながら、マリメッコのナプキンや木製のナイフとフォークが付くだけでちょっとした幸せを感じます。なるべくシンプルな持たない暮らしは人生もシンプルになり、選択肢と物欲が減れば関心は豊かな人間関係に向かう気がします。

英国病再び

留学先の英国に戻る娘を送りに羽田に行きました。憧れていた英国生活ですが、今は戻りたくないと言います。大学の教員はストばかりして、最終学年が始まるのに前年度の成績すら返されず、卒業生も同様だそうです。今や世界の覇権国の面影はなく、残されたのは人々のプライドだけと揶揄されます。近年のエネルギー問題や金融界の競争力低下、先進国で最も深刻なインフレと主要国最低の成長率、加えてインフレ抑制の利上げによるローン金利上昇が国民生活を苦しめ、先月には大手小売りチェーンのウィルコが経営破綻しました。来年の総選挙では労働党が勝利すると見られ、財政収支がさらに悪化することは歴史が証明しています。スーパーでは納豆が英国の10分の1の値段で買え、街中ではスリに会う心配もなく、高尾山だけでイギリス全土を上回る多様な植物が生息する日本は、紛うことなき地上の楽園でしょう。

どこにいても自然を感じることができる

朝晩はやっと涼しくなり、入浴後の外気浴を楽しめる季節が始まります。地下にある我が家は、浴室からドライエリアに出られるため、シャワーの水温が下がるとサウナ同様にととのう効果を期待できます。早朝まだ空の暗い時間にインフィニティチェアに横たわると、昨日は北東方向に移動する人工衛星がはっきりと見えました。長野県ではよく見かける人工衛星ですが、澄み始めた東京の空でもその軌跡は明瞭です。ととのう効果とは、単に水風呂を出て約2分のアドレナリン半減期を指すばかりではなく、屋外で空を見上げた瞬間に副交感神経が高まり、自律神経のバランスが整う効果が大きいと思います。小さく切り取られた都会の空だとしても、五感をフルに使えば宇宙を感じることができます。都会に自然がないというのは思い込みで、感覚を研ぎ澄ませればどこにいても自然を感じることができるのでしょう。

1年でも長く生きて燃え尽きたい

昨年末で閉店したオテル・ドゥ・ミクニの跡地に、来秋8席の店が開業します。三国清三シェフの成功は、オテル・ドゥ・ミクニが、1億総グルメのバブル景気に乗った1985年の開業であるにせよ、一流となる人には覚悟があります。料理人として全うしたいという思いが常に強く、70歳を迎える来年は初心に戻り、1年でも長く生きて仕事をして燃え尽きたいと言います。第一の人生が事業拡大であるなら、70歳からスタートする第二の人生は、より自分らしく本音で生きる時間であり、8席という店は最適なのでしょう。敬老の日の昨日は、マクドナルド最高齢90歳の女性クルーの記事が報道されました。国内3,000店舗で最高齢のクルーは95歳の男性だそうですが、この女性は仕事をすることで元気を保てる、と年齢不問のマクドナルドに採用されて勤続23年と言います。人生の後半から始める主体的なキャリアはわれわれを勇気づけます。

ゾーンを求めて山に行く

昨日は編笠山と西岳に行きました。2,000mを超えると秋らしい空気が心地よく、晴れた週末に山に行かないなどありえない選択です。日本人にとっての山は神に近づくための聖域であり、人に会わない早朝の八ヶ岳では神妙な気持ちになります。昨日とは違い、足の関節がスムーズに動き下りのスピードが上がります。このままスピードが上がって行くと、リラックスしながら集中力が極限まで高まり、パフォーマンスが限界を超えていくゾーンに入ります。自分の身体と思えないほど早く体が動き、あっという間に下山してしまうことがまれにあります。ゾーン体験のメカニズムは最新の脳科学でも説明が困難ですが、ノルアドレナリン、セロトニン、ドーパミンの3つの脳内物質がバランスよく存在した状態を言い、体調と気分が良く、体力が充実する早朝一人の時の下山道で起こります。ゾーンを求めて山に行くのかもしれません。

最もふさわしくない理想郷

昨日はラブラドールと西岳に登りました。8月で山に行ったのは玉川温泉の湯治のついでに登った秋田焼山ぐらいで、多少ペースを上げると体がバテ、下山道を走ると固まった関節がスムーズに動かず悲鳴をあげます。普段から努めて歩くようにしていますが、その程度の運動など足慣らしにはなりません。都会の暮らしは関節の可動域が狭くなり、ちょっとしたことで怪我をします。人類は自然の地形で毎日体を動かすように進化を遂げており、体を動かさない安楽な環境が人を弱らせるのは、使わない機能を肉体が封印するからです。下山後は近所でほぼ自給自足生活をする友人宅に伺い、ミニトマトを収穫させてもらいました。畑で野性味あふれる野菜や果物を収穫しながら食べる豊かさに勝るものはなく、安楽に贅沢を楽しむ都市生活という人類が想い描いてきた理想郷が、進化した人体に最もふさわしくない場所とは何とも皮肉なものです。

きれいごとに流される風潮

内憂外患の中国は混乱を極め、世界最大級のウラン鉱山から核汚染物質が中国北部に広がったという真偽不明の情報まで拡散されます。政治、外交、経済と良いところがなく、自然災害にまで祟られ、正当性を失った政権による台湾進攻という暴発は最も避けるべきシナリオです。不良債権の規模からして、日本の失われた30年より深刻な景気低迷期に入るはずで、狂い始めた歯車が第二の文化大革命の引き金になるかもしれません。異例の3期目に入った独裁者が考えるのは自らの地位の保全だけで、時代錯誤の個人崇拝が苦境から立ち直る道を遠ざけます。汚職と巨万の富が結びつく共産主義という偽善は、われわれとは無縁に見えますが、社会に根深く浸透したポリティカル・コレクトネスが、第二の共産主義を生まないとも限りません。深く考えることなく、安易にきれいごとに流される風潮が国を亡ぼすのでしょう。

究極の消去法

東大生の就職先で3年連続の首位だったのは楽天グループです。世間はモバイル事業の赤字と社債償還に苦しむ楽天の行く末に懐疑的ですが、若者の視点はいつの時代も新鮮です。膨大なデータを扱うインターネットサービスは、世界を相手に今すぐ闘いたい野心的な若者にとって魅力的で、GAFAMより規模が小さいことも評価の理由と言います。世界に挑む気概を失った大半の大企業など、緩やかな自滅を待つ退屈な場所に見えるのかもしれません。入社即戦力で面白そうな仕事ができる楽天は、究極の消去法で選ばれる企業と言えそうです。自分の能力に自信のある人は概して楽天的で、同じ会社に留まる気などないでしょうから、モバイル事業問題など取るに足らない問題とも言えます。戦後の経済界で成功を収めたソニーにせよホンダにせよ、厳しい現実よりも空想を優先した楽天主義者の会社だった気がします。

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