「若返る高齢者、男性5歳・女性10歳以上?」と日経新聞が伝えます。国民生活基礎調査によると、腰痛や物忘れを訴える高齢者の割合が年々低下し、歩く速度も速くなっているそうです。今年の春には世界唯一の80歳以上の公式サッカーリーグが誕生し、最年長は94歳とされ、80代、90代のアスリートは今や珍しいものではありません。80歳の選手は「まだまだ若手」と話しますが、70歳以上のリーグが発足したのは2012年です。高齢者が体力的に若返っている理由はいくつか考えられますが、運動やストレス管理の重要性と、過食のリスクといったヘルスリテラシーが、エビデンスベースで浸透したことが大きいと思います。65歳以上を高齢者と呼ぶ定義を再考し、科学的な見地から年齢の引き上げが提言されます。健康に良い生涯スポーツを楽しむことの難しさは、それが運動をしないことには始まらないという矛盾にあるのでしょう。
お知らせ
犬は最も人に近い動物
白馬岩岳Trail Raceにラブラドールと出場しました。人間なら後期高齢者のはずのラブのデビュー戦としては、50頭中11位は順当でしょう。周囲の犬に興奮してスタートダッシュが鋭かった前半は犬が人を引っ張り、途中から疲れた犬を人が引っ張るチーム戦らしい展開です。犬好き×トレイルランナーのアットホームな大会は、犬と一緒にゴールできることが魅力で、わずか10kmでも共に苦労を乗り越えてこそ絆が深まる気がします。世界中の文化圏で、副葬品とともに丁寧に埋葬されてきた動物は犬だけでしょう。人間を恐れない狼を選別的に交配した結果生まれた犬は、人間同様のオキシトシン・システムを持つとされます。毎日160kmを5日連続で走るアラスカの犬ぞりレースでは、犬に低糖質食を食べさせても筋肉のグリコーゲンが減らないことも人と同じです。犬は最も人に近い動物であり、いずれ犬と走る100マイルレースが実現するかもしれません。
できは人間次第
今朝はラブラドールとトレラン大会に出るために白馬に来ました。下り基調の10kmですから練習の必要もありませんが、昨日は足慣らしのために西岳に登りました。都会で生活をしていると足の関節の可動域が狭まり、不整地を走ると捻挫をするリスクがあり、文字通り足慣らしが必要です。西岳は登山口から標高差1,000mほどですが、充実した朝の散歩になります。いずれ体力の低下を感じる日が来るとすれば、西岳が散歩と思えなくなる時でしょう。トレランとランニングの最大の違いは、下りの着地に集中する必要があることだと思います。雑念が入った瞬間に躓いたり足をひねったりしますので、集中力も養うことができます。人間の歳なら後期高齢者のはずのラブラドールは元気で、人を追い越しこそしないものの、ぴったりと影のように寄り添い、こちらが走ってもたいては早歩きでついてきます。レースのできは人間次第でしょう。
大衆消費社会の本質
立冬を過ぎても妙に暖かい長野県に来ました。過ごしやすい気温で文句を言う筋合いもありませんが、寒さを期待していたので拍子抜けします。人は祖先を苦しめて来た寒さと飢餓、疫病を嫌い恐れますが、避けようのないことには楽しみを見出すべきだと思います。寒ければ火の暖かさに癒されますし、空腹なら何を食べても美味しく、コロナ禍によって感染症対策と免疫力を高める生活を心がけ、むしろ健康は増進されます。人生において重要なのは、今をありがたいと思う気持ちであって、これは自分の意思によって今すぐに実現できます。一方でお金という社会の評価によって人生を満たそうとすると、地位財の収集という罠にはまり、生涯ヘドニックトレッドミルを走り続けることになります。大衆消費社会の本質は他人軸の生き方を強要されることであり、結果として人に依存し自由を奪われていく気がします。
人の行く裏
沖縄県の宮古島で地価が急上昇し、今年の基準地価は前年比16.6%上がり、都道府県別で全国一位の上昇率だった沖縄県全体の4.9%を上回ります。新空港の開業や相次ぐリゾートホテル建設による宮古島バブルは、住宅価格や賃貸相場にも及びます。いずれブームが去ると分かっていても、需給ひっ迫によるビジネスチャンスが目の前にあると、人は冷静さを失い、それはニセコも同じでしょう。バブル当時の海外投資であれほど失敗しても懲りないのは、それが人間の性分だからかもしれません。バブル崩壊でもっとも成功したのは、資産のすべてを預金していた金融リテラシーの低い人と、安値で日本人から不動産を買い戻したアメリカ人です。バブル経済が人生にそう何度も起こらないビジネスチャンスであるなら、立派な施設が二束三文で手に入るバブル崩壊も、株式相場の格言にある「人の行く裏に道あり花の山」なのかもしれません。
都市よりも自然
存続の危機にあった米シェアオフィス大手WeWorkが、自力再建を断念し経営破綻しました。コロナ禍以降のオフィス需要低迷に加え、足元の金利高で資金繰りが悪化したと言います。負債総額は最大で7.5兆円に達し、5割弱の株式を持つソフトバンク・ビジョン・ファンドへの影響は避けられないでしょう。IT活用により、オフィス空間のあり方を変えると期待された不動産テックの旗手でさえ、会員の解約が増えるほどの市場環境の変化が進行しているのかもしれません。月曜日と金曜日には在宅で働く人が増え、オフィス街から人影が消えたロンドンのような都市もある一方で、対面勤務の方が生産性は高まるとして、オフィスに回帰する動きもあります。コロナ禍が変えてしまった働く習慣は、人々の関心を都市よりもむしろ自然に向けるほどドラスティックなもののような気がします。
生きている実感
安芸高田市の石丸市長の動画を見始めると、YouTubeは刺激的なサムネイルを次々に表示し、縁もゆかりもない小さな市議会の中継まで見てしまいます。政治をエンターテインメント化することで議会に人々の耳目を集め、意識改革につなげるという市長の術中にはまった形です。あえて炎上させるのは、世論が盛り上がる臨界点を理解しているからでしょう。稚拙な議論を繰り返す最大会派議員を完膚なきまでに叩き潰し、返す刀でマスメディアに切りかかるあたりは、退屈な議会論戦に慣れていた聴衆から喝さいを浴びます。しかし、最も感銘を受けたのは、トライアスロン競技を始めた理由です。ニューヨークの初代アナリスト駐在として米大陸9か国を担当する過酷な仕事のあと日本に戻ると、生きている実感がなく死にたくなったと言います。産業医が勧めたのは適度な運動でしたが、生きている実感を取り戻すには過度な運動が必要だったのでしょう。
政治家版半沢直樹
地方政治の台風の目は、人口2万5千人の安芸高田市でしょう。三菱UFJ銀行でアナリストとしてニューヨーク駐在などを経て、政治経験ゼロのまま37歳で市長となり、議会最大会派のみならず中国新聞との対決も注目されます。YouTubeは軒並み数百万回再生され、なかには一千万を超えるものもあります。元陸上部の長距離選手で、今もトライアスロン競技に出るアスリート市長は、汚職により市長が辞職し、副市長が立候補を表明するも他に立候補者がいないことを夜のニュースで知り、翌朝には会社に退職を伝える電光石火の意思決定です。驚くのはこの時点で投票日まで1か月にも関わらず、大差をつけて圧勝したことです。地方政治やマスメディアの既得権益に切り込む質疑の痛快さは、政治家版半沢直樹です。二元代表制の理念を忘れ保身に走る議員は、この自治体に限らないでしょう。9月にはふるさと納税が昨年の10倍に達するなど、熱血市長の真剣勝負から目が離せません。
路上の投げ銭
5月に開業したサザコーヒー東京農大店に行きました。コーヒー栽培から販売までを一貫して行う企業の出店を心待ちにした人も多いと思いますが、個人的にはわざわざ行くことはなさそうです。事務所仕様の内装、紙コップ、ハイカウンター席に電源もない素っ気ない店舗は、ブラインドテストをするには最適です。トップバリスタを揃える有名なコーヒー店であることを知らずに飲んだ人が、どれだけ支持するのかは疑問に感じます。少なくとも朝自宅で飲んだカルディで買った豆のドリップコーヒーに対して、520円の支払いを正当化するほどの差があるとも思えず、トップバイオリニストが路上で投げ銭をもらったときと同じ結果になるような気がします。以前行った老舗コーヒー店は美味しかったのですが、なぜか喫煙を許していて以後行くことがないように、専門家が飲めば違いは歴然としても、舌が全てではないはずです。
必然がなければ遊べない
昨日は打ち合わせと草刈りで白河に行きました。設計速度80km/hの新4号国道なら白河までは4時間弱で、無理なく日帰りができます。草刈りは実益を伴う趣味で、最近は車に草刈機とチェーンソーを積んでいます。運転は好きですから、一般道で500kmを日帰りしても苦にはなりませんが、他方で無目的にドライブをすることはありません。打ち合わせや視察ついでの小旅行が好きな反面、レジャーのために、ましてや人出の多い三連休に出かけることもありません。単に出不精なだけとも言えますが、正当化する言い訳や必然がなければ遊んでも楽しくない気がします。外食も同じで、あの店のあれを食べたいという欲求は弱く、打ち合わせや視察以外で食事に行くこともほとんどありません。趣味の山歩きも、身体を鍛える必然があるから行くのでしょう。生涯現役が望ましいと考えるのは、そこに生きる必然を見出したいからかもしれません。