組織を殺すエリート

良くも悪くも盛り場に人が溢れ通勤電車にもかつての日常が戻りつつあります。原発事故の後、多くの会社が元の勤務形態に戻したのに対して、今回は原則出社の会社と原則在宅の会社に分かれることが違いだと思います。非効率が露見したオフィスに戻す動きは変革を嫌う人間の本能だと思います。他方で職場環境のみならず、就業形態や企業そのものの意義まで見直し変革に動く企業があります。複業や在宅勤務といった働き方の自由度は今後優秀人材に選ばれる基準になると思います。一括採用、年功序列、終身雇用などの閉鎖的雇用慣行が日本企業を戦後復興させた反面、肩書だけで仕事ができてしまい組織内でしかキャリアが活かせない終身雇用特化型エリートを輩出したことは事実でしょう。あらゆる組織をだめにするのは既得権に固執する終身雇用特化型エリートの存在だと思います。やがて組織は本来の目的よりも組織内の心地よさが優先されるようになり、仕事をするふりがうまい人間や忖度に長けた人間が出世し数代かけて組織を死に至らすのだと思います。

日本こそ屋台経済

中国の屋台経済を李克強首相が称賛したことにより複数の地方政府が直ちに規制を緩和し雇用確保の即効薬として注目されます。四川省では場所を提供し10万人の就業問題を解決したとされ、5,000万人の就業機会が生まれるとの試算もあります。アリババは仕入れ商品の後払いや補助金の支援サービスを、テンセントは電子決済を、バイドゥは消費者が屋台の場所を簡単に調べられる地図アプリを開発し、五菱汽車が開発した移動販売の専用車は、6月の4日間に3ヶ月分を販売したとされる手際の良さです。衛生問題や信用問題、美観に懸念の声がある一方、賃料負担がなく参入が容易で撤退コストもないことから競争により経済が活性化する可能性があります。商品を作るところをWEB中継して客を呼び込むマーケティング手法も生まれ、お好み焼きでサラリーマンの6倍稼ぐ露天商もあります。6億人とされる低所得者の生活手段にもなり、アリババのジャック・マーやファーウェイの任正非も物品販売からキャリアを始めています。李克強が掲げる全民創業(一人ひとりが創業者であれ)の精神は、自助努力が希薄で一向にやり方を変えず久しくイノベーションが生まれない日本にこそ必要でしょう。

15分が待てない人のDCF健康法

身体に悪そうな食べ物など不健康な誘惑があるときDCF(割引現在価値)を思い出します。プロジェクト収支を計算したことのある人にとってDCFはおなじみの概念です。最大の資産である自分の身体を将来毀損する影響を割り引いて今の誘惑を判断する必要があると思います。ガンや心筋梗塞が脅威なのではなく、間違った生活習慣こそが元凶であり、分かりきった結論なのに飽食社会にとってその現実は不都合です。マシュマロ実験として知られるスタンフォードの研究は有名です。就学前の子供に対し、マシュマロを今一つもらうか15分後に2つもらうか選択させ、誘惑に耐え15分待てた子供は将来、テストの成績が高く、BMIが低く、離婚や薬物中毒のリスクも下がるというものです。これは反応抑制と呼ばれる認知プロセスで、衝動を意図的に抑制する力が子供の将来を決めます。現代の大人はその15分が待てずに、悲惨な老後と引き換えに目の前の刹那的な喜びを優先しているように見えます。

やる気スィッチは仕事を詰め込むこと

コロナショックで普及したリモートワークですが、通勤がなくなり時間が有効活用できることが評価される反面、生産性や仕事の質に関しては否定的な意見が多く聞かれます。執務環境を確保できないことが理由の一つに挙げられますが、生産性が上がらない本当の理由はやる気が出ないことだと思います。自宅でくつろいでしまえば副交感神経が優位になり、なかなか活動モードに入ることができません。ビジネスの現場には「忙しい人に仕事が集まる」という経験則があります。仕事が早いから皆がその人に仕事を頼むのではなく、仕事が集中するから仕事が早いのだと思います。仕事が集中すれば締め切りが頻繁にやって来て、デッドラインが迫ることでドーパミンが分泌され俄然やる気になります。どうでも良い用事でスケジュールを埋めていた人ほど、オフィスを離れるとやるべき仕事がなく活動モードに入ることができません。やる気が出ない理由は疲労ではなく、むしろ暇過ぎることでしょう。結局のところやる気スィッチを入れるにはドーパミンが出るまで仕事を詰め込むしかないと思います。

自然との同調こそ人生の豊かさ

九州の豪雨災害を考えると雨が好きなどと言うのは不謹慎ですが、雨雫が新緑を光らせるこの季節に雨音を聞きながら静かに読書をすると何とも心が満たされます。一般に雨は嫌われものです。雨の日は気圧の影響で自律神経が乱れ気分が憂鬱になり、仕事がはかどらず人間関係がうまくいかなくなり、交通事故も多くなります。全米一雨が多いとされるシアトルを本拠地とするマイクロソフトの企業カルチャーは、雨天が続き会社で仕事をするしかないことから醸成されたと言われ、スターバックスがこの街から生まれたのは雨の日にくつろげる場所が必要だったからとされます。一方で、長年投獄されていた世界一貧しい大統領のホセ・ムヒカが生きる幸せを感じたのは、刑務所を出て雨の中を散歩したときにしずくが顔を伝わって口に入り舌に触れた瞬間だと言います。自然の中にはどこを見ても充実した人生の証があり、その豊かさを認めると眠っている自身の豊かさが目覚めます。人は自然と同調したときに最も身体が整い、何を所有しなくても豊かさを感じることができると思います。

仕事のためにはサウナ

昨日は「医者が教えるサウナの教科書」を読みました。すべての健康法の中でサウナほど効率的かつ瞬間的に脳と体を整える効果があるものはないと著者は主張します。サウナの効用を以前から実感していましたがそのメカニズムを考えたことはありませんでした。サウナ、水風呂、外気浴をワンセットにして体内に目まぐるしい変化を起こし、とくに水風呂から外気浴に速やかに移動することがポイントだそうです。サウナと水風呂の熱さと冷たさは体が危機的な状況にあることを知らせ血中にアドレナリンが分泌され、同時に外気浴により危機を脱したことで副交感神経が活性化する多幸感で脳疲労が取れ体が軽くなると言います。このリセット感がいわゆる「整う」という状態らしく、脳のDMNによるエネルギー消費が低下するそうです。真冬の那須湯本温泉の高温浴と体を冷やすことを繰り返す入浴法の多幸感もおそらくメカニズムは同じだと思います。自分の内側に集中し野生が目覚める感覚は自然のなかの運動と同じで、仕事のパフォーマンスを向上させるためにもこうした健康法は活用されていくと思います。

健康習慣より健康週間

もう何年も人間ドックには行きませんが、年に一、二度体をリセットする健康週間を設けています。一週間のうち2日程度は断食をして、カフェイン、添加物、合成調味料、砂糖は摂らず、糖質も制限し水分はジンジャーティーと豆乳、食事は野菜と植物性たんぱく質を中心に最小限にしてなるべく運動をします。健康習慣を根付かせるのは大変ですが短期間生活を変えるだけの健康週間は誰でも取り組みやすいと思います。体調の悪いときに始めれば断食のハードルは下がります。1週間で余計な脂肪が燃え始め体重は3,4kg落ち、目に見えて肌ツヤが良くなり、胃腸の調子が改善します。1泊数万円のスパ施設に1週間程度行くより、自宅に居ながらお金もかからず同等以上の効果があると思います。一番の変化は嗜好が変わることでコーヒーや甘いものなど日頃から必需品だと思っていたものを欲しくなくなり、これが本来の人体の姿だと思います。重要なことは自分の内面と向き合うことで、この一週間が終わりコーヒーを飲みたければ飲み、甘いものが食べたければ食べますが、自分の体と対話をすることの重要さを思い出させてくれます。

リスクを強制される時代

早くも2020年の前半が終わり、これほどの大事件が世界規模で進行しながら茫然自失で何とも印象の薄い上半期でした。オリンピックへの熱気が霧散したことなど遠い昔の出来事のようでこの半年間目立ったトピックスもなく記憶さえ曖昧です。あらゆる不要不急を止める世界規模の社会実験により、様々な場面で不都合な真実が露見したことは確かだと思います。不要な業務と不要な人が顕在化し、本当は会社など行く必要がなく、オフィスも不要で、そもそも東京にいる理由さえなくなり、不要不急だらけの組織がその存在意義と正当性を失っていく可能性があります。120年前に設計された今日の組織構造はあと25年ももたないと、生前のドラッカーが話していたこととも符号します。一方で仕事が場所や時間に拘束されないと人生は途端に豊かになります。本来の組織は多分野の専門知識を共通の目標に向けて動員するための人の集合体ですが、今日の企業組織の実態はあまりにかけ離れています。終身雇用と引き換えに手放した自由を取り戻すと同時に、個々人がリスクを取ることを強制される時代が始まっているのかもしれません。

ご都合主義の健康オタク

断食をすると話すと健康原理主義者や健康オタクだと思われますが実態は程遠いものです。おぞましいほどの血糖値スパイクが起こるスィーツやジャンクフードの暴飲暴食はしばしばですがSNSは不都合な側面を隠蔽して私生活を偽装できます。人体はオイル交換さえすれば普通に3、40万キロ走る現代の自動車と同じ様に頑丈にできていて、メンテナンスさえ行えば簡単には壊れません。問題なのは現代の飽食社会は警告ランプがいくつも点灯しているのにメンテナンスをせずにレッドゾーンで車を暴走させ続けるような生活をしていることです。健康を習慣化するポイントは無理なく続けられる規律のユルさだと思います。間欠的断食と運動習慣は何を食べても良いという免罪符ですから一切の我慢が要りません。ライザップで劇的に痩せた有名人のリバウンドが話題になりますが、そもそもダイエットに人の手を借りる段階で無理があります。運動とたまの断食さえすれば日頃の不健康な生活をゼロ・リセットできるという楽観的なご都合主義こそが健康的な生活を継続できる秘訣だと思います。

虚構の反日

今更ですが話題の書『反日種族主義 日韓危機の根源』(文藝春秋)を読みました。左派メディアの洗脳から解けた昨今の日本人にとって目新しい内容ではありませんが、反日のための数々の捏造を学者の視点で分析し、日本の統治に対して国際法や国際関係の慣例から冷静な立場を取ろうとする良心が文面から伺えます。自国民への痛烈な批判が韓国内から出てきたこと、ソウル大学の教授だった著者自ら「大学は嘘の製造工場」と言ってしまうのは刺激的です。嘘をつくことに羞恥心がない社会では嘘による利益が大きいため嘘は集団の文化として広がり政治と司法を支配するに至った、との指摘には韓国を先進社会へと進歩させたい著者の愛国心を感じます。「日本の植民地時代は悪いことばかりでなかった」と話したお年寄りを殴り殺す国ですから、決死の覚悟でこの本を出さなくてはならないほど今の韓国は病んでいるのでしょう。本書が出版され、このジャンルとしては異例のベストセラーとなったところに韓国に残る良心を感じます。真の愛国者が誰なのかを考える一石を投じることを期待したいと思います。

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