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感情の解放をもたらす夕暮れ


昨日は白河、南会津、檜枝岐に来ました。人が自然のなかで暮らすべきと思うのは、そこが本来の居場所だと直感が告げるからです。11月も半ばを過ぎ、月末には日没時刻が一年で最も早い時期を迎えます。都会の夕暮れ時は人工的な光と騒音で満たされ、その刺激がわれわれの注意を散漫にさせます。一方、自然の中では人工的な光や騒音はなく、静寂が訪れます。空の色は刻々と変化し、そのグラデーションを背景に山々のシルエットが鮮明に浮かび上がります。この壮大な自然の移ろいは心を落ち着かせ、内省的にさせ、自然への畏敬の念や自らのはかなさで感傷的になります。晩秋から初冬を迎える今、静かに、ゆっくりと闇が訪れる自然の懐での夕暮れは、心を落ち着かせ、ストレスホルモンの分泌を抑え、感情の解放をもたらす気がします。

MM思想の最終形


N-VANの代車でN-BOXを借りました。今時の軽自動車のリアシートが広いことは知られますが、実際に乗り込むとそのスペースユーティリティの高さは驚異的です。その感動は初代レンジローバーのロングホイールベースバージョンであるヴァンデンプラを見たときに匹敵します。世界最小の軽自動車規格は、いまや十分以上に贅沢な空間を作るための障害にはなりません。MM思想(マンマキシマム・メカニズムミニマル)を最初に提唱したのは初代ミニだと思いますが、その車体は4人の大人が乗れるとは思えないほどコンパクトでした。ホンダの設計哲学にもMM思想が引き継がれ、その頂点は今の軽自動車よりも小さい全長3,380mmの初代シティでしょう。登山口や駐車場に停めるとき、一見満車に見えてもN-VAN一台が滑り込めるスペースが空いていることが少なくありません。小さい車は運転が容易であり、N-BOXはこれ以上を望む理由のないMM思想の最終形と言えそうです。

わずかな違いが大違い


Amazonは来年北米で導入を目指すAmazonデリバリー・グラスを発表しました。配達する荷物や配達先までのナビゲーション、完了写真の撮影を行える眼鏡型デバイスで、両手を自由に使えて配達時の生産性を高めます。昨年、日本でも導入のための調査をしていますので、物流界に影響を与えるかもしれません。先日家電を届けてもらう際、佐川急便は到着日の案内をスマホに送るのですが、名前と郵便番号を入力させます。極度のスマホアレルギーがあるので、後で入力しようと思っているうちに忘れ、家に戻ると案の定不在通知が入っています。ヤマトも同様に配達予定をスマホに送りますが、一度置き配指定をしておけば不在時でも手間いらずです。一流企業はユーザーインターフェースにこだわり、わずかな違いがユーザーと配達する人の時間を奪い、もたらす結果は大違いだということを知っていると思います。

静脈産業こそ市場原理に


昨日は不燃ごみ回収の日で、プリンターを出しました。正規の自治体回収では、有料かつ回収に時間のかかる粗大ごみに分類されるサイズですが、金属や希少金属が含まれる電化製品の場合、自治体による回収時刻の前に業者が回収をしていきます。5時前にゴミ集積所に出して、5時過ぎにラブラドールと散歩に行く時にはすでに無くなっていました。ある意味非常に便利であり、これまでに出した電化製品やOA機器は例外なく30分以内に回収されます。散歩中に土浦や春日部など、自宅からは4、50km圏のナンバーの軽トラックを見かけますが、それでも採算が合うのであれば、自治体回収の在り方はいかにも不合理です。週末にはビンと缶を回収するのですが、前日にかごを配るなど手間がかかります。チリ紙交換も絶滅しましたが、リサイクルなどの静脈産業こそ市場原理に任せた方が良い気がします。

サウナの6次産業化


サウナ施設を営業する上での悩みは水道光熱費の高さですが、薪の調達もその一つです。かつて旅館を経営していた頃は、割られた薪が軽トラック5台分を1万円で買えましたが、今は異常な高値となり、バルク買いしてもホームセンターなどで売られる薪と大差ない値段です。どこに行っても薪を買えないか聞きますが、バイオマス発電などの影響もあり、市場価格が高騰していると言います。また原発事故の影響を受けた地域の木を避ける動きもあります。一昨日行った那須の業者も、1立米8,800円から24,200円まで5段階の価格があり、写真は一番安い薪ですが、以前旅館で仕入れた値段の5倍以上です。他方で人の手の入らなくなった山林は各地にあり、薪割り機を購入して自家製薪を調達することも現実的です。燃料価格の高騰を逆手にとり、サウナと山の管理という6次産業化の可能性があるのかもしれません。

オフシーズンの魅力


初冬に入り嬉しいのは、オフシーズンの宿泊施設が安くなることです。かつて営業していた旅館に近い白河高原カントリークラブは、夜通し入れる温泉と朝食がついて6,000円と申し訳ない価格になります。現在は東京建物グループが所有するコースの一つですが、元々は東北の軽井沢を掲げて、スキー場、スケート場などとともに開発されたものです。国内最多の100コース余を設計した富澤誠造をして、会心作と言わしめた、関東周辺には見られない柏の木の自然美が美しいコースです。巨大な合掌造りの茅葺屋根を持つクラブハウスには立派な暖炉があり、自分が生まれた年の開業時の写真が飾られます。温泉は旅館と同じく甲子温泉から引湯されるもので、湯温が低く長時間入れ、出た後はしばらく汗が引きません。唯一問題があるなら、朝食に出されるクロワッサンやパンオショコラなどが美味しくて食べ過ぎることでしょう。

正直というクオリティ


昨日はかつて旅館のあった西郷村に泊まりました。旅館から一番近かったドラッグストアに久しぶりに行くと、競合する大型店がより便利な立地に出店してしまい、当時ほどの客入りはなく、店内にはどこか寂しさが漂います。大袋に入ったみかんを買ったのですが、レジの女性は果汁の出たみかんが一つあるのでお取替えしますと言います。別に腐っているわけでもなく、見過ごしたからといって咎められるような状態ではありません。それでもあえて交換という面倒なことを自分ならするだろうか、と考えると複雑な気持ちになります。競合するドラッグストアは生鮮食品を充実させ、安売りを武器にしながら、いまや一般の食品スーパーと変わらない品ぞろえで、この店にとっての将来には暗雲が立ち込めています。それでも正直な商売を貫こうとするその姿勢に頭が下がります。

FCマニアによる究極の仕組化


昨今の飲食FCで話題を集めたのは鰻の成瀬だと思います。目的食のウナギを、吉野家や松屋と高級店の中間の価格帯で提供するビジネスモデルは、高級食パンや一過性のブームに終わった多くのFC飲食とは違い、順調に店舗数を伸ばしてきました。中国で加工されたウナギを、二等立地以下の小箱の居ぬき店舗で提供し、原価率が高い反面、投資回収の早いビジネスモデルです。自宅の近所の下北沢店もビルの2階にあり、そのビルの外観は傾いているように見えます。急展開を達成した結果、昨今では赤字店舗も目立つようになり、評価は賛否両論ですが、おそうじ本舗出身のチームを中心に外注企業との分業により、社員を雇用せず、展開スピードを上げる戦略は異色です。社長は飲食業経験もなく、ウナギにも、スチームコンベクションオーブンにも触ったことがないと豪語し、FCマニアによる究極の仕組化の将来が注目されます。

お金を使わない贅沢


昨日は山梨100名山の太刀岡山(1,322m)、黒富士(1,633m)、曲岳(1,642.8m)に登りました。急峻なトレイルに、ラブラドールは途中で車に引き返しました。太刀岡山はロッククライミングのメッカとして知られますが、歩く人はわずかで落ち葉の降り積もった極上のトレイルを進む初冬の風情に幸せを感じます。家に戻り温かい湯舟に冷え切った体を沈めたときの快感も最高なら、薪ストーブで暖まり始めた部屋で食べる鍋も、妻の実家でもらった柿も何もかもが美味しく、これこそがアフォーダブルラグジュアリだと思います。手の届く贅沢が最高の幸せなのは、それが日常生活に近いがゆえに色あせないからだと思います。産業界が都合よく書き換えた贅沢の体系に毒された消費者は、お金を使うことでしか贅沢や幸せを感じなくなってしまったのかもしれません。

民宿の時代


先日南会津の田代山(1,926m)に登った前日は、この山の開山者の子孫が営む民宿に泊まりました。単一の台地状湿原という世界的にも珍しい山頂に、400種類の高山植物が咲く「山上の尾瀬」は、かつて魔物が棲む山とされ恐れられてきたと言います。明治45年に山頂に弘法大師堂を建立したのはこの家の6代目で、現在の宿の主人は10代目になります。僻地では珍しいことですが、12代目にあたる孫が民宿を引き継ぐと言っているのは、後継者不足に悩む業界にとって明るい話題です。築140年の古民家を使った民宿で郷土料理を味わう体験は、本当の旅を求める欧米インバウンド客にも受けると思います。昨今カプセルホテルで欧米人を見かけるのは、非日常とやらに毒されない、リアルな日本を見たいからのような気がします。その点で、ホストの日常生活が見える民宿の時代が、これから始まるのかもしれません。

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