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価値基準を変える別の生き方

粗大ゴミと言えば定年退職後の男性と相場が決まっています。コミュニティに溶け込み居場所のある女性と違い組織を去った男に安住の地はありません。パートナーが昭和の価値観に染まった良妻賢母でもない限り待つのは無為で寂しい老後です。長過ぎるリタイア後に適応する方法は第二の人生と言う別の人生をやり直すことでしょう。第一の人生で成功した人ほど価値基準を変えることに苦労します。第一の人生の価値基準は金を稼ぐことであり、人より優位に立ち、贅沢な暮らしをすることですが、第二の人生は逆に、金より社会貢献、人に教えを請い、質素に暮らすことだと思います。その理由は更年期を境に生物としての体が変わり、瞬発型の解糖系エネルギー産生から持久型のミトコンドリア系になるからで、50歳前後で体調を崩す人が多いことも同じ理由です。見苦しいのは天下りのモラトリアムを繰り返し第一の人生を強引に続けようとする態度で、池袋で車を暴走させ悲惨な死亡事故を起こしながら、自分は目視の上ブレーキを踏んだとメーカーに責任を押し付けた上級国民の老人などはこのタイプでしょう。

人生は二つある

国の将来に暗い影を落とすのは高齢者問題です。一方で明るい話題は、昨今の脳科学やエネルギー産生に関する研究が老化という思い込みの嘘を除々に明らかにしていることです。第二の人生という言葉を聞きますが、生物学的にもこの呼び名は正しいと思います。生物は生殖を終えると死にますが現代の人間は例外的に長生きしそれを老後と呼びます。細胞分裂により成長し二十歳前後を頂点に後は一方的に衰えていくという従来常識が見落としているのは、更年期を境に体のメカニズムが変わることです。人生の前半と後半は生物学的には別物と考えるべきで、体が一方的に衰えるという老化思想こそが高齢問題の元凶です。100m走のタイムが落ちても、50歳を過ぎて始めたトレイルランニングなら体力低下を感じずに済み、100マイルレースのUTMBで59歳のマルコ・オムロが二年連続優勝したことはその左証でしょう。体脂肪の燃焼サイクルを極限まで研ぎすますなら体は老いず、心の老いも止めることができるのでしょう。間違ってもシルバーシートなどに座らず、日を空けず運動を続け筋肉とミトコンドリアを活性化することでQOLは飛躍的に改善するはずです。

現代の幸せ基準

娘が先日ラブラドールとカフェに行き犬用のランチを食べさせたところひどい下痢が数日続き動物病院で診察を受けました。何が悪かったのか分かりませんが、写真を見ると人間の食べ物に似せた餌でした。1.6兆円とされるペット関連市場を潤わすのは飼い主の愛情ですが、それらは歪んでいるのかもしれません。以前の飼い犬はそれほど長生きではありませんでした。今や20歳前後まで普通に生きられるのは最適化されたドッグフードの貢献だと思います。人間と同じ食べ物を与えることが犬の幸せだと考える気持ちは分かりますが、人間同様に生活習慣病を患うケースも増えています。動物を生きた道具として家畜化する歴史は9,000年前に始まりますが、犬だけは別格で3万6,000年前の埋葬された化石が発見されています。先史時代の狩猟集団は猟犬を従えていたと考えられ狩猟に大躍進が起き生産性は飛躍的に向上したとされます。犬は、もはやわれわれの体の一部のような存在ですが、人の幸せと犬の幸せは異なり、同様に先史時代から引き継ぐわれわれの肉体も、物欲まみれの現代の幸せ基準とは相容れないと思います。

夜逃げを載せないSNS

コロナ禍の生活は、リモートワークやGoToの方針変更に右往左往する大人たちではなく、若者の意識と行動をよりセンシティブに変えているようです。希望する大学に入りながら休学する学生も少なくないと聞きます。共同体に加わることに価値を置く日本の社会では、大学や企業は実体が存在しなければ意義を失うのかもしれません。去年まで娘が通っていた高校でも、リモート授業の増えた大学への進学に疑問を感じる生徒が目立つと言います。自分の人生を誰かに預ける忖度文化が限界を見せ始め、東京からの転出人口が超過に転じても、行動を変える人は少数です。一方、昨年まで就職ランキング1位の全日空や、タブー視される2021年のオリンピックやインターネット広告の影響で経営状況が注視される広告界のガリバー電通、盤石に見えたJRの経営でさえ安全圏とは言えません。ムラ意識に支配される日本人は他人の様子が気になりますが、マスメディアの偏向報道では社会の今を知ることはできません。自己顕示メディアでしかないSNSに夜逃げした話を載せる人もいませんので、雑音を消してひと目を気にせず生きることが平穏でいられる秘訣でしょう。

歴史の転換点

多くの日本人が知らないうちに米大統領選挙を軸に世界の歴史が動いているようです。ペンタゴンがCIAとの決別を公式に認め、全米50州で唯一歴史的に独立した国家であったテキサス率いる21州と民主党陣営22州の対立が鮮明化しました。人口と面積が全米2位で強い経済力を誇るかつてのテキサス共和国は、違憲状態となれば連邦政府から独立することを条件に合衆国に加わった経緯があります。われわれは今、歴史の転換点にいると思います。一方で大統領選挙二百数十年の歴史を紐解くとその底流にある流れは英国資本からの独立であり、中央銀行を擁するエスタブリッシュメント対反エスタブリッシュメントの戦いでした。その流れはわれわれが生きる現代にまで続きます。法廷闘争の限界は、それが正義を問うものではなく、法律への適合を問う点だと思います。戦後作られた言論空間の異常性に気づくなら見える世界が変わり、12月18日と来年1月6日以降に起こる異常な事態に備えることもできるのでしょう。

2つの食の貧困

ジョンズ・ホプキンズ大学の集計によるとコロナ感染は世界で7千万人を超え死者は160万人と深刻さを増しているとされます。2021年も明るい見通しを立てられる状況になく今後数年に渡り暗い影を落とし、多くの人の人生と社会構造を変えていくことでしょう。消え行くBEACH産業(B予約・仲介、Eエンタメ・イベント、Aエアライン、Cカジノ・クルーズ、Hホテル)や飲食を始めとする三密産業で働く人の数は膨大で経済的な打撃はメンタルを直撃します。一方で未曾有の危機に直面すると普通の生活に喜びを確認します。平時なら大量に資源消費した者が幸せになるとの錯覚に陥りますが、過剰消費が体に悪いのは、人体の本質が循環するエコシステムだからです。「新しい生活様式」の実践は健康的な生き方を確立するきっかけにもなると思います。食の貧困とは経済力の低さが安価で手に入る糖質過多の食生活に傾くことを指しますが、もう一つの貧困は経済力に関わらず欲の赴くままに野放図に食べる一見豊かな食生活でしょう。セネカが言うように何も持たない人が貧しいのではなく、より多くを渇望する者が貧しいのでしょう。

最も過酷な業界

事業に読み違いは付き物です。大半の理由は十分調べることなく意思決定をするからですが、なかには全く調べずに失敗したと思しきケースもあります。都市型スーパーセンターという独自の店舗運営をするスーパーバリューの世田谷松原店が近所にあります。開業後すぐに行きましたが買いたいものがなく手ぶらで帰り、昨日も様子を見に再び訪れたのですが何も買いませんでした。開店して10分ほどが過ぎても広い店内に客はお年寄り一人だけです。スーパーバリューの名誉のために書けば魅力がないわけではありませんが、問題は食品スーパーとしてはあり得ないほど悲劇的な立地です。南側を京王線の悪名高き開かずの踏切が遮断し、北側は8車線の甲州街道が住宅地と分断します。半径1km圏内には床面積当り売上日本一のオオゼキ本店や下高井戸の市場、明大前の格安スーパーを始めスーパー各社のひしめく激戦地の住人は、駅からも遠く心理的障壁の高いこの店に行く理由などありません。一見地味な食品スーパーは毎日使う消費者のシビアな本音にさらされる最も過酷な業界だと思います。

自らを変容させる内省の機会

GoToで潤ったのは比較的高価格帯の宿泊施設だとされます。10年ほど前、まだ東京オリンピックが決まる前のホテル業界は景気が悪く、高級ホテルが今よりはるかに安く泊まれる時代でした。GoToで実質半額ほどの価格なら人々が高級施設に泊まる気になるのも当然です。他方、無駄な脂肪がこの10年で20kg分落ち、本当の空腹を待つためなら一日一食の生活が好ましいと思える心境変化から、高級施設が持つ虚飾化、虚栄化が鼻につき始め本音で楽しめなくなりました。長寿遺伝子やテロメアが注目を集め始めたのもこの10年ほどで、従来考えられていた以上の運動量が健康維持には必要とされるようになり、今は空腹のまま修験者のように山中を長距離移動した方が意識の上でも快適です。そんな風変わりな嗜好を持つ人は市場のごくわずかしか占めないと思う一方で、FB友達にはそれをはるかに凌駕する変態が少なくありません。旅の本質を考えると、決してそれは他人軸の外的手段で欲を満たすことではなく、トラベルTravelの語源であるフランス語のTravailが苦しみを意味するように、苦労を伴い世俗から自分を切り離し、自らを高め変容させる内省の機会なのだと思います。

世界で最も危険な男

ドナルド・トランプの姪がトランプ家の暗部を暴いた「世界で最も危険な男」を読みました。この本が良心的なのは事実に基づき書かれていることです。しかしトランプ支持者も知る素行不良で仕事熱心な姿以上の目新しさはありません。ドナルドの行いには下品、低俗、凶暴、悪名高いという枕詞が付けられ、叔父とその父への敵意を隠そうとしません。著者の父は後継者と目されながら強烈過ぎる祖父との折り合いが悪くトランプマネジメント社を辞め、TWAに入社後アルコール依存症から10ヶ月でクビになり、再び父の会社に復帰します。しかし年の離れた弟のドナルドがその後継者となったことに失望し再度会社を離れ不遇のうちに離婚し心臓病で亡くなります。一方で著者はトランプ家の大きな財産を受け継ぎ不遇ではありません。本書は全てが解釈で成り立っており、その結論はドナルドが成し遂げた功績は何一つないと言うことです。父の痛ましい死の原因が全てドナルドとその父にあると信じる故に著者は心的外傷を専門にする研究者になったのでしょう。彼女が成し遂げたドナルドへの復讐は、その名声を利用して印税を稼ぐことだったのでしょう。

どうでも良い微細な差異

残すところ今年も3週間となり、2020年という不思議な響きの庚子年の運命的なめぐり合わせを考えます。コロナ禍における好ましい生活の変化は東京を離れ長野県などでリモートワークをする時間と山に入る機会が増えたことです。体重を小学校以来となる55kgまで絞り、標高2,000m超の雪の付き始めた早朝のトレイルを走ると心も軽くなります。大事件にでも接しない限り、人は人生の優先順位に思い至りません。心を鎮めてくれる静寂な森と一日一食の温かい食事、清潔な寝床、欲を言えばたまに温泉に入るなら、それ以上の欲望は人生を厄介にする重荷だと思います。自然の懐で過ごす時間は、際限のない都会的な贅沢から距離を置き刹那的な現在快楽型の満足を追い続ける必要が無くなります。日本人にとってのハレの場は農閑期の湯治であり、せいぜいお伊勢参りであって、日々美味しいものを食べ尽くすことや、世界中を旅行する必要はないと思います。経済的な豊かさが毎日をハレにしないと気が済まない人たちを増やし、ハレの中のどうでも良い微細な差異を際限なく作り出すこだわりが無用な執着と不健康を生むのでしょう。

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