Airbnbの2021年7月〜9月期決算は売上高が前年比67%増の22.4億ドル、営業利益は8.5億ドルで、ともに過去最高を記録しました。予約件数、平均単価とも向上し、パンデミックからの需要回復以外の大きな変化が世界的に起こっている兆候かもしれません。自宅で働くことは普通になり、人と会うことは特別な意味に変わりました。柔軟な働き方が広がると旅行頻度、宿泊日数が増加する余地が生まれ、解決不可能に思えた特定の休日に需要が集中する問題はあっけなく解消します。今や終身旅行者は現実的な生き方であり、この流れが後戻りしない理由はベンチャー企業のみならず上場企業までもがオフィスを処分し始めたからです。都市がいきなり衰退することはないでしょうが、オフィスの意味と住宅の意味を再定義する機会になったことは確かです。空き家は全国的に拡大しますが、一方で自宅の近所には恐れを知らない賃貸アパートが需要を無視して次々と建っています。情報格差が経済格差だけではなく、命にも関わることが今の時代の恐ろしさだと思います。
食事よりも太陽
今の季節は気持ちのよい晴天が続きます。朝の空気を吸い込み太陽が昇ることに感謝する気持ちが持てるように、生きがいは些細な事に宿るものでしょう。日常のあらゆる場面に豊かさを認識できることが幸せを感じる秘訣だと思います。災害が起きても略奪が起きない日本を世界は称賛しますが、古くからお天道様が見ていることを日本人は意識してきました。生物は太陽の恵みなしに生きることができませんが、他方で紫外線は悪者にされてきました。白人に比べて紫外線に強い日本人は、むしろ紫外線を浴びないことが健康を損なうと思います。医学誌のネイチャーでは紫外線による血中のビタミンD濃度を増やすことがガンの死亡率を半減させる効果があり、過度の紫外線対策を警告します。毎日15分から30分太陽にあたるだけで1日分のビタミンDが合成され、カルシウムの吸収率を高め骨の新陳代謝が活発になります。太陽光を浴びるとセロトニンが分泌され、15時間後には睡眠を促すメラトニンが分泌し、エネルギーを生み出すミトコンドリアが活性化されます。早起きして太陽光を浴びるわずかな努力で生活の好循環が得られることは、食事を摂ることよりも大切だと思います。
規則正しい生活で体を休養させる
UTMBを3度制したトレイルランニング界のスーパースター、グザビエ・テベナールのサステイナブルな暮らしが注目されます。プロパガンダに過ぎない環境少女とは異なり、車を使わず自らの足か自転車で移動する究極的な生活です。スポンサー契約を結ぶスポーツブランドOnの研究開発チームとのミーティングは、その本社があるチューリッヒまで国境を超え3日かけて240kmを走り、今後は飛行機を使うことを避け優勝した日本のUTMFにも来ないようです。プロモーション戦略の一環と見ることもできますが、野菜と果物は自宅の裏庭で育て、家は持続可能な材料とエネルギーを使う自給自足のライフスタイルです。2019年に来日したときはスーパーで味噌、しょうゆ、豆腐、タコ、豆乳、納豆、もずく、昆布、佃煮など低糖質、グルテンフリーの食材を買い日本食に近い食生活だったと伝えられます。勧められたほうとう屋には行かず、十割蕎麦の店を探す徹底ぶりはトップアスリートの証でしょう。体を酷使する人ほど規則正しい生活で体を休養させることを最優先しますが、体をほとんど動かさない現代人は目先の欲と不規則な生活に陥るのでしょう。
移動のために食べる
冬が目前の今頃は渡り鳥の季節です。越冬のためにシベリアからやって来るコハクチョウやツルと、日本で繁殖して南半球に戻るツバメやオオルリなどです。渡り鳥に興味が尽きないのはその驚異的な身体能力と省エネ設計で、世界最小のツルとされるアネハヅルは氷点下30度のヒマラヤ上空8千mを飛び、アジアに生息するインドガンは、追い風や上昇気流の助けをほとんど使わず自らの筋力だけでヒマラヤを一気に飛び越えると言います。とくに興味深いのが昨年9月にオオソリハシシギの群れが、アラスカからニュージーランドまでGPS上の飛行距離1万2,854kmを11日間ノンストップ、不眠不休で飛行したことです。しかもオスの体重は200から400グラムしかありません。これほどの超長距離を飛べるメカニズムの解明はこれからですが、渡り前に倍ほどの体重に太り、飛行中のエネルギー消費が毎時標準体重の0.41%と少ないことが分かっています。渡り鳥の飛翔筋はミトコンドリアが多いことで知られますが、脂肪を溜め込む人間も本来は無補給でかなりの距離を移動できるはずで冒険心を掻き立てられます。移動のため、すなわち生きるために食べることを渡り鳥は思い出させてくれます。
常に最適な選択
立冬を過ぎ喪中のはがきが届く季節になると年の瀬の雰囲気が漂い始めます。一年を振り返るには気が早いのですが、個人的イベントは北アルプス縦走に行ったぐらいであまり代わり映えのしない一年でした。世の中は管理型社会に向かう重苦しい年でしたが、今が最高で今日が人生で一番幸せと思えることが理想でしょう。外部環境をどう受け止めるかは解釈次第であり、苦しいときも楽しいときもどちらも幸せに感じる秘訣は、小さな幸せが大きな喜びをもたらす心がけだと思います。多くの人には受け入れ難いと思いますが、食べないときにも幸せを感じます。たとえば全員に食べ物が配られたのに自分だけなかったとしたら普通は失望しますが、食べられないことも、美味しく食べることと同様に幸せです。つまり、運命に翻弄されることなく解釈次第で常に最適な選択をすることができます。トレイルランニングのレースにしばらく出ることは無くなりましたが、長距離走は体が辛く状況が悪くなるほど集中力はむしろ高まりベーターエンドルフィンの分泌もあって楽しくなります。人生は苦境を乗り越え学ぶことに意義があるのかもしれません。
野生が持っていた美しい精神性
週末は会社の決算を終えました。クレジットカードに支払いを集めデータを読み込めるようになると以前のように領収書の整理をする必要はありません。一年に一度とは言え、作業を効率化するとかつては費やしていた半日程度の時間を生み出すことができます。誰もが長寿を求めながらその生み出された時間で何をしたいかはあまり問題にされません。成長につながらない同じ毎日を惰性で繰り返すことは、考えることなく管理型社会の虜となり言われるままに消費をすることと同じでしょう。常に答がある学校教育において学ぶ意味に異議を唱えることは許されず、社会人になれば稼ぐことのそれ以上の意味を考える人はいません。自らの人生を主体的に生きるのではなく生かされているのは、社会の仕組みが常に答を与えることで思考を止めるように作られているからでしょう。本来野生が持っていたはずの美しい精神性は失われ、人間だけが享受できる快楽と損得に支配された堕落は人から尊厳を奪い、意識の集合体である神に近づく道を放棄させます。毎日のなかに瞑想をするような静かな時間を持つことが正気を取り戻す唯一の方法だと思います。
豊かなゆるい生活
週末は妻の友人夫妻と八ヶ岳に登りました。自然の元に来て波長の合う人と食事をして会話をしながら火を囲むといった休日はひとつの理想形に思えます。人は考え方やライフスタイルが似た人と付き合う傾向があり、自分の考えをより深めることになります。地方都市の近郊に住む友人は都心の会社に勤めリモートワークをしますが、半自給自足、地産地消の生活を志向します。お金を払うのではなく自分で体を動かすことは、食を人任せにしない健康的な暮らし方でしょう。アメリカでは1950年代以降一人当たりの所得が数倍になる反面、憂鬱感を覚える人は10倍に達するとされます。日本でも潜在鬱を含めると1,000万人以上、国民の10人に一人は鬱症状を抱えることになり、物質的に生活が豊かになることと幸福感に相関はなさそうです。豊かになるに従い、人は自由気ままで自分を甘やかす安楽なゆるい生活に陥り、運動不足による副交感神経優位の環境が自律神経を乱します。豊かな暮らしを金で買うために人は稼ごうとしますが、商業主義は決して顧客を満たすことはせず、中毒患者にして生涯顧客価値を高めるだけでしょう。
正常こそが狂気
食事を減らしていくと、食べるほどお腹がすき、稼ぐほどお金が欲しくなり、満たされようとするほど満たされない不都合な真理に気づきます。執着による負のスパイラルが永遠に自分を欺くことに眠れる羊は気づきません。それは今日の社会が便利になり、生活が快適になり、命を守ることができるのもひとえに人間の欲望と執着のおかげだからです。欲望を開放することこそが人類の明るい未来を開くとの信念は人類最大の宗教であり、天使の存在を否定できないゆえに、それが悪魔に豹変することも否定されるのでしょう。真実を明らかにしようとする行為は文明社会の共犯者である現代人の存在否定につながります。この矛盾が起こる理由は人間が利己的欲望を満たそうとするスタンドアローンの脳と、より大きなクラウドとも言える意識の二重支配を受けるからでしょう。食事を減らすことのメリットはたくさんがありますが、最も重要なことは頭がクリアに覚醒することで深い場所にある意識につながることです。食事を抜くだけでこの世の全てが有り難く思え、同時に正常こそが狂気だと気づくとき初めて至福に出会えると思います。
美食の誘惑
月曜日は夕食を食べようとしていたときに連絡をもらい父が運ばれた病院に行き、そのまま日付が変わるまで待っていたので食事を食べ損ないました。せっかくの機会なのでそのままもう一日食事を抜き、昨日は日本工学院に出講する日で、外出する日も一日一食です。数日の断食や一日一食の日を増やすと体調が良くなることを実感します。人と話していると公言せずとも一日一食の人が増えたことを実感します。三食を二食にすると身体が軽くなり、二食を一食にするとさらに軽くなり、数日の断食をすると毒素が抜けるのか皮膚の色艶も良くなります。比例して睡眠時間も減り、食べ過ぎてしまった日はいつもより睡眠時間が延びます。ファスティングはメスの要らない手術とも言われ、驚くべき健康効果が確認さています。人類史の大半が飢餓期であったことから、その性質を受け継いだ現代人も、人体を危機的状況に置くほど長寿遺伝子が活性化し、ミトコンドリアが強化され生命力を増します。食べないだけで健康になり、ガン、心筋梗塞や脳血管疾患、糖尿病など大半の現代病に効果があるという有り難い特性が過小評価されるのは、圧倒的な支持を受ける美食の誘惑があまりにも身近にあるからでしょう。
都市はプラスマイナスゼロ?
一昨日は父が心筋梗塞で救急搬送され病院に行きました。カテーテル治療が始まったのは21時過ぎで日が変わる頃には無事に終わり容態は比較的安定しています。自身は健康診断も受けない主義で病院に行くことはほとんどありませんが、救急救命は現代医学の恩恵を最も享受するものだと思います。何より真夜中の処置がなければおそらく助からなかったはずで、受け入れてくれる救急病院にアクセスできることは都市に住むことの最大のメリットでしょう。人命を守るために多くの人が日中と同じように働く深夜の大病院にいると、われわれは多くの人の力に支えられて生かされていることを実感します。普段は批判されがちな立派な道路も人命を救うことがあります。地方に住む親戚が農作業中に怪我をしたときは、事故の直前に完成した橋がなければフェリーを使うしかなく助からなかったと言います。他方で都市的な暮らしが華美な食生活を奨励し、便利さゆえの運動不足が人を病気にすることも事実であり、都市での生活はプラスマイナスゼロなのかもしれません。