昨夜は苗場山の5合目にある赤湯温泉に泊まりました。徒歩でしかアクセスできない秘湯は、途中みぞれから激しい雨に変わるあいにくの天気でしたが、むしろ山の出湯らしい風情があります。2時間ほど歩いて宿に到着し、川沿いの露天風呂につかると絶妙な温かさに極楽や天国という言葉しか思いつきません。自分で荷物を背負い、粗末な山小屋に泊まり、野性味あふれる河原の露天風呂に夜はヘッドライトの明かりを頼りにつかる圧倒的なリアリティーは優雅さとは無縁ですがプライスレスです。高級な宿が提供しえないものは、自らの体を使う身体感覚と誰かがお膳立てしたわけではないありのままの現実でしょう。飲水は川でくみ、シーツやタオルも持参しますが簡素な部屋は快適で、雨の日のテントに比べればまさに天国です。多くの旅館は大概期待値と満足は大きく変わりませんが、民宿の魅力は期待値を超える料理にしばしばお目にかかることです。人力以外の輸送手段を持たない山小屋なら、料理はいつでも期待値を超えます。
心の中のサイレントインベージョン
冬への気候変化が年々急激に思え、寝床から出たくない季節になりました。布団の温もりが究極の快楽に思えます。しかし快楽の誘惑と生命力はいつもトレードオフの関係にあり、動かないでいると身体は弱り、一方で冬は不便な季節ではなく寒さに身を晒せばミトコンドリアは強化されます。星のや軽井沢ではウェルネスプログラム「森林養生」を数年前から提供し、宿泊料以外に一人181,500円(2泊3日)の料金が必要です。メディアが絶賛するこれらのプログラムはリラクゼーションが中心で、副交感神経優位に偏り自律神経のバランスを崩しそうです。生粋のスポーツマンである星野社長自身は間違ってもこんな週末を送ることはないでしょうが、世間が欲しがりそうな高付加価値商品を生み出すことにかけて星野リゾートの右に出る企業はありません。かつてテレビドラマの全盛期にはキラキラした世界への憧れが人生のあらゆる側面を支配してきました。やがて豊かになったこれらの世代は、今度は終わりのない自己改善のために、セレブお墨付きのプログラムを試すようになります。そして心の中に入り込んだサイレントインベージョンに生涯気づくことはないのでしょう。
言われるままに働きお金を使う
幅広い分野で価格上昇傾向が続きコロナショック後の経済回復に水を差すことが懸念されます。資源価格の高騰は身近な問題で、行動範囲で最安のガソリンスタンドに昨日行くと値上げをしていました。ディーゼルで燃料タンクは35Lしか入りませんので支払い額は3,500円程度ですが、少し前なら3,000円ほどですから値上げを実感します。しかし今より燃料が安い時代に乗っていた以前の車は毎度ガソリンスタンドで1万円も払っていたことを考えれば使うお金は半減しています。以前はスーパーでの食料品の買い物も1万円払うことは珍しくありませんでしたが、食べる回数が1、2回に減ると食費も半減します。経済発展に貢献すべきなのでしょうが、ガソリンを撒き散らして、身体を壊すほど食べることで成立してきた経済に価値を感じません。多くの人生はお金と時間のトレードオフの上に成立し、お金のために働きますが、そのために仕事が本当は自身の生き様であることを忘れます。言われるままに働き、言われるままにお金を使う人生は、自分の価値感からは離れていくと感じます。
旅の本質
ライブカメラの普及により阿蘇山噴火の緊迫感がほぼリアルタイムで全国に伝えられます。普賢岳や御嶽山の記憶が新しいだけに、駐車場から車が一気にいなくなる様子からは現場の切迫感が分かります。よく訪れていた阿蘇は、度重なる水害や地震など数々の災害から立ち直ったところにコロナ禍が襲い、追い打ちをかけるように噴火が伝えられ風評被害が心配です。日本は災害から逃れることができない宿命にありますが、一方で温泉を始め世界最大規模を誇る阿蘇カルデラはジオパークに指定され、地球の営みをダイレクトに感じることができる独特の場所です。日本各地はそれぞれに魅力を持ちますが、一方で既存の旅行提案は気分転換を超えるものではないと思います。その土地ならではの景色や豪華な客室、美味しい料理といった商品に時間とお金を使って出かけるモチベーションがわきません。足りないものは旅のリアリティ、すなわち身体感覚の欠如だと思います。自分の周囲は自然のなかを走る自虐的なアスリートが多く「変態」と呼ばれることを歓迎する特殊な集団ですが、長距離レースにのめり込みそれを旅と表現することに、本質が隠されていると思います。
労働マルチの詐欺師にも劣る?
コンビニに行く機会はマルチメディア端末を利用する時ぐらいですが、家から少し離れたセブンイレブンに行くのは店頭で野菜を売るマルシェに行くためです。売られているのは新鮮さを欠いた見切り品らしく、妻には安物買いの銭失いと言われますが魅力的です。もちろんそれは価格なのですが、品質が保証されているスーパーとは違い目利き力が試されます。通常のマルシェは新鮮さを売りにしますが、賞味期限に過剰反応すれば食品ロス問題が生じます。流通からはじかれた野菜であっても品質に問題が無さそうなものも含まれ、ロンドンやアムステルダムでは仕入れの8割以上を廃棄野菜に切り替えた高級レストランが成立しています。バナナは熟れ過ぎぐらいの方がむしろ糖度が高くビタミンB6、トリプトファン、リン脂質などにより免疫力向上とダイエット効果が期待できます。廃棄食材と言えば若者のやりがいを搾取するフルーツの路上販売がたまに我が家にも来ます。独立という夢で若者を錯覚させる完全歩合制委託業務の労働マルチ詐欺師の方が、多くの経営者よりモチベーションの重要性を理解していることには複雑な気持ちになります。
冬こそアウトドア
気温が急激に下がり、美しい青空と爽やかな澄んだ空気が気持ちの良い季節になりました。各地の山岳地域で降雪が始まると、紅葉より楽しみなスノートレイルの季節の到来に心が踊ります。新緑も夏山も捨てがたいのですが、全身が喜ぶ冬のスノートレイルをおいて、身も心も幸せになれる季節はないと思います。動物が眠りにつく真冬ですが、年中食べ続ける現代人は冬こそ身体を動かすべきでしょう。基礎代謝量の季節変動は10月を最低に1、2月に上昇します。外気温が低いために内臓や筋肉などの組織を寒さから守り機能を維持するには、より多くのエネルギーを必要とし、基礎代謝が上がります。冬は汗をかきにくいので、運動が楽にできる季節でもあります。新雪を踏むスノートレイルランニングは気分が良いだけではなく、怪我のリスクが少なく、ウォーキングなど一定のリズムで行う有酸素運動は、セロトニン、エンドルフィンの分泌を促し、冷え性、冬季うつの予防と解消にもなります。冬こそ幸せな気持ちになれるアウトドアで過ごすべきだと思います。
お金をかけずに若返る!
医学は常に仮説の上に成り立ち、それが真理であることが臨床研究によって検証されるまでには長い時間が必要です。誰もが信じる医学常識にもフェイクが含まれ、今も流布され続けています。現代医学がある程度安全とみなされるのは、多くの先人の貢献と犠牲があったからであり、同時にわれわれも未来の子孫のための犠牲となる存在です。製薬会社の研究費が支配する医学界で薬害が無くなることはなく、他方で効果の怪しい健康食品も一大ビジネスを形成します。身体の衰えを感じ始めた人にとってアンチエイジングは最大の関心事で、いくら払っても良いと考える人もいます。しかし、効果が認められるアンチエイジング法はお金のかからないものばかりです。自然のなかで日光浴をしてアーシングする、運動をする、断食をする、瞑想をするなどはどれにもお金がかかりませんし、サウナに入って汗を流す程度ならかかる金額も知れています。産業が知られたくない真実は、お金をかけずに若返る確かな方法がいくらでもあることでしょう。
肉体は意識に従う
週末は妻が立山登山に行き、家人のいない日は断食の機会になります。食通の人にとって、せっかくの食事の機会を自ら手放すなど正気の沙汰とは思えないでしょうが、仕事の日や旅行などの外出時、一人で家にいるときは断食に適します。現代人は本能的に過食をしますから意図的に食事を減らし帳尻を合わせる必要があると思います。過食と断食を不規則に繰り返す事は一見体に悪そうですが、人類は長い間そういう食べ方をしてきたはずです。獲物にありつける幸運な日と、何も獲れない日を数十万年繰り返してきたのでしょう。何も食べずに過ごす週末が忍耐とは無縁の豊かなひとときなのは、使える時間がたっぷりあるからです。食事のかわりにジンジャーティーを飲んでお風呂につかり汗を流す時間は贅沢です。妻から送られてきた食事の写真を見ると空腹が一気に蘇りますが、それが幻想であることを脳にしつけてしまえばすぐに収まります。未だに世界では餓死がある反面、先進国を中心になるべく食べない健康志向のライフスタイルが広がる現象は矛盾に思えます。ほとんど食べない人が普通に生活できるのは、食べないことを意識が肯定するなら肉体はそれに従うからでしょう。
冷蔵庫が体型を決める?
糖質制限で20kg体重を落としてから直近3年でさらに4kg減量しました。20kg減量した結果、運動をしていた学生時代の体重に戻りそれ以上減らす必要はなかったのですが、気がつけば自然と体重が落ちて58kgがデフォルトになりました。その間の変化で思い当たることは冷蔵庫を小さくしたことです。ダイエットの敵は手の届く場所に置かれた食べ物ですが、それがストックされる可能性が高いのは冷蔵庫です。収納スペースに余裕があれば、安いからと余計に買い込まれた食品はそのまま胃袋に流し込まれます。時々風呂上がりにアイスクリームが無性に食べたくなることがありますが、仮に冷凍庫にストックがあれば躊躇なく食べるはずです。普段は理性的な人であっても、食べた後の後悔が食欲の先に立つことはないでしょう。人間は環境に適応する生き物ですから、冷蔵庫の大きさに合わせて食べ、それが体型を決めていると思います。妻の料理を見ていると玉ねぎ半分とか、4分の1という使い方をしますが、自分の場合は玉ねぎの最小単位は1個でした。ストック量が少なければ食材を大切に使うようになり、日々の積み重ねが自分の体型を形作るのでしょう。
守りに入ったときから衰退が始まる
年を重ねると感動する機会が減りますが、同様に緊張する機会も減ります。上意下達の企業組織にいる時なら多少は緊張する機会もありますが、組織を離れた今はほぼ皆無です。ご多分にもれず昔は人前で話すことが苦手で、頭のなかが真っ白になる経験をしましたが、コンサルティング会社でプレゼンの機会が増えると人前で話すことはむしろ得意種目になり、昨日のような日本工学院の授業など不測の事態が起きても緊張することはありません。一方で緊張感がなくなると何事にも惰性的になり生命力を失います。現代病の7、8割の原因は過度な緊張状態が続き交感神経が優位になり過ぎることですが、人間は緊張と弛緩の間を常に揺れ動いてバランスを取ります。緊張と同時にリラックスする余裕を合わせ持つとき、緊迫する場面であっても冷静に状況と同化できると思います。最近緊張した経験と言えば、南アルプスの数百メートルの切り立った、つかまる草もない崩壊地を這うようにして通過したときぐらいで、中年を迎えてからエクストリームスポーツにハマる人が多いのもうなずける気がします。人生は、緊張を伴う挑戦を避け守りに入ったときから衰退が始まるのでしょう。