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言語を超えた概念空間

「Age of Samurai: Battle for Japan」というNetflixのドキュメンタリーを見ました。この作品は、織田信長の出現から徳川家康が権力を掌握するまでの60年に及ぶ戦国時代を描いています。歴史学者による解説が入っており、フィクションが含まれる大河ドラマとは異なり、安心して視ることができます。ただし、欧米から見た東洋世界への憧れがあるのか、時代考証に疑問のあるシーンや、日本人監督なら選ばないような俳優のキャスティング、過激な戦闘シーンなど、親しんできた歴史ドラマとは異なる雰囲気が漂っています。身近な歴史でありながら、外国人の視点に立つコンテンツは新鮮であり、旅行商品の開発にも役立ちます。インバウンド需要が拡大するにつれて、言語を超えた概念空間にアクセスできる商品性が以前よりも重要になると考えられます。日本固有の文化や伝統、美術品、建築物などの魅力を感じてもらうためには、海外発の映像表現は参考になります。

危険で美しい空港

ネパールを旅行している妻から、ルクラのテンジン・ヒラリー空港の着陸動画が送られてきました。エベレスト山域で唯一の空港は、標高2,860mの高地に位置しており、低い大気密度から天候が変わりやすく、世界一危険な空港として知られています。ヒマラヤ山脈の谷間に作られた滑走路は457mと短く、田舎の二級国道のようにしか見えません。さらに、南側の渓谷は谷まで700m切り立ち、北側は11.7%の上り勾配が付き、着陸復行ができない悪条件がそろっています。このため、短距離離着陸機のデ・ハビランド・カナダ DHC-6やドルニエ 228などしかアクセスできず、過去には数々の墜落事故を起こした、命がけの空港と言えます。しかし、その滑走路から望むヒマラヤの山々の美しさに惹きつけられます。まるで世界の果てにあるかのような危険で美しい空港の圧巻の着陸シーンを見ると、好奇心と冒険心がかき立てられます。

160歳の大統領選

80歳のバイデン大統領が来年の選挙への出馬を表明しました。アフガニスタン撤退の混乱、ロシア・ウクライナ問題やイスラエル・パレスチナ紛争の放置など、バイデン政権は戦争を欲しているようにも見えます。しかし、高齢社会の暗いイメージ払拭するためにも、ライバルのトランプとともに二人で160歳の大統領選を戦ってほしい気もします。世間には過去の成功体験に固執し、状況に対応できない老害批判が聞かれます。老害と経験豊富な賢人の違いは、他人の意見を真摯な態度で聞けるかどうかで、自説を曲げず他者を攻撃する人は老害もしくはその予備軍でしょう。世界一過酷な職業を80歳が普通にこなす時代の到来は、高齢社会の先頭を走る日本にとっての希望になります。鳥羽市では88歳の海女さんが現役で活躍すると言われています。以前なら70代でも驚かれましたが、近いうちに90代現役時代がやってくるのでしょう。

1980年代を取り戻せ

トヨタ自動車が発表した2022年度の世界生産・販売実績は、ともに過去最高を更新しました。半導体を多用する高級車の生産が盛んな国内は低水準ながら、北米やアジアなどでの生産が回復したようです。先日来日したOpenAI社のアルトマンCEOは、以前からトヨタの開発チームと接触しており、人工知能や機械学習、ロボット工学、物理シミュレーションなどの分野での協力が注目されます。メイドインジャパンの代名詞トヨタと、世界最先端のAI開発企業が協力を深めるなら、自動運転技術やモビリティサービス、ロボット技術、省エネルギー技術の発展などにより、日本企業が世界的な競争力を誇った1980年代を取り戻せるかもしれません。AIはフェイクニュースの拡散など多くの課題を持ち、イタリア、ドイツ、フランス、アイルランドなどがChatGPTへのアクセス禁止を検討していますが、それでも日本は今こそリスクを取るべきでしょう。

頭脳労働は娯楽に変わる?

ChatGPTが人類の進化にとって、福音をもたらすのか悲劇をもたらすのか分かりませんが、もはやその流れに逆らう選択肢はなさそうです。記憶試験を無意味化し、学校や資格制度のあり方が変わることは間違いなく、それもかなり短期間で劇的にその未来が来るはずです。要約や論点整理、アイデア出しなど、どんな無茶振りにも分からないと言わず、時々知ったかぶりで嘘の情報をそれらしく回答するあたりは人間らしさを感じます。2045年どころかシンギュラリティはすでに起きていて、おそらく近いうちに健康相談などのQ&AやFAQは実用レベルに達するでしょう。専門的な知的労働やクリエイティブな仕事は生き残ると淡い期待を持ちましたが、事実は逆で付加価値の高い仕事から順に破壊されそうです。未来における頭脳労働は、狩猟や農耕において命を保つ行為だった運動が今ではレジャーになったように、娯楽の一部に変わるのかもしれません。

日本が一番

バケーションシーズンが近づき、以前なら海外の目的地が気になりました。健康に関心の薄かった頃は専ら海外で受ける刺激を優先しましたが、今は密閉空間で長時間過ごす飛行機の感染リスク、時差や環境変化により体調を崩すリスクを考えます。動画の普及により、海外まで行かなくても想像がつくのは歳を重ねたメリットでしょう。安全できれいな水が飲め、何より身体に合った新鮮な食材と安い物価、東西南北に広がる国土の多様な自然と文化を考えると、移動で受けるストレスと費用は割に合わないと感じます。高い物価と不便な食生活の英国から早く日本に帰りたいと言っていた娘も、悩まされていた便秘が日本に帰った途端に治ったと言います。少子高齢化による社会保障、地震のリスクなど、無理にあげれば不安はいくらでもありますが、日常生活の豊かさこそが幸せであるなら、あえて日本を離れる理由は思い浮かびません。

できないことが才能

トレラン界の一大イベントUTMFが終わりました。100マイルのウルトラディスタンスに挑むFB友達の気力にエネルギーをもらいますが、腰痛と再発リスクを言い訳にトレイルレースから遠ざかるわが身を不甲斐なく感じます。ゴール映像を見ると、あのフィニッシュゲートをくぐりたいという思いが起こるのは、そこに立つことでしか得られない自己超越を感じたいからでしょう。年齢を理由に何かを諦めたくないという可能性を信じる自分と、身体を壊してまで執着すべきではないという常識人の自分がいます。年齢を重ねるとフィジカル面であきらめることが増えるのは一般的かもしれません。「できないことが才能」と言った人がいますが、才能に恵まれた人に注意欠如(ADHD)が多いように、できないことで注意が特定の対象に集中し、才能を開花させることもあります。人生において、やりたいことが途中で変わるのも悪くないのでしょう。

少食こそが全てを癒す

ニュース映像でウォーレン・バフェットを見かけるたびに不思議に思うのが、極端な偏食家である彼が、92歳の今も世界三大投資家として元気に活動していることです。甘いチェリーコークが好物で食事の多くがマクドナルド、朝食がわりにオレオを食べるという食生活を聞けば、「常人ならとっくに死んでいる」と医者が言うのも無理ありません。不健康な食事を摂取しながら心臓病が少ないフレンチパラドックスの理由は諸説ありますが、バフェットパラドックスの理由は、彼が持つ特殊な遺伝子に加え、小食であることだと思います。人間は食べなければ死ぬと考えますが、一方で少食の健康効果を支持する研究や主張が主流です。少食こそが全てを癒す、という健康法則をバフェットは体現し、同時にそれはパフォーマンスを追求する彼自身の生き方であるようにも見えます。

リスクを過少評価した宿泊業界

昨日は宿泊ビジネスと外国人就労について話をしました。専門分野ではないので、話題の多くは海外と日本のホテルや旅館市場に関する文化的背景の違いです。日本が世界的に見て異質・独自の文化・社会・経済システムを持つという「日本特殊論」が顕著に表れる産業分野の一つが宿泊業だと思います。この違いは、日本における産業発展の時期と時代背景により生じ、加えて日本人固有の気質にあると考えます。日本企業の戦略を研究するドイツの経営学者ウリケ・シェーデの著書、「再興THE KAISHA」が指摘するタイト・ルーズ理論によると、日本は正しい方法が大切にされるタイトな文化であり、これはシリコンバレーのような予測不能なことに寛容なルーズな文化とトレードオフの関係にあります。この20年ほど、宿泊業界が度重なる環境変化に翻弄された理由は、正しい振る舞いに拘泥され、将来リスクを過少評価したことにある気がします。

年配者ほどオタ活が必要

娘が帰国して消費行動を間近にすると、K-POPアイドルへの傾斜に驚かされます。自分も最近に至るまで散々浪費をしてきたので文句も言えませんが、「オタ活」、「推し活」と言われる、若い世代の意識に触れる機会になります。海外のライブ・イベントにまで遠征し、夕方のコンサートに朝から出かけるバイタリティの源は、会場の一体感やそこでつながるコミュニティへの帰属意識なのでしょう。ジャニーズの衰退が著しい日本に対して、高度なプロダクションによる音楽性、アーティストのダンスや歌唱力、ファッションなど多岐にわたる分野で高いクオリティを誇るK-POPは、自身のアイデンティティを形成し、自己肯定感を高めることにつながるのかもしれません。人は年齢を重ねるにつれ、身体的な衰えが進むことが一般的ですが、生命力を維持し続けることは可能だと思います。むしろ若者の特権ではなく、年配者ほどオタ活が必要なのかもしれません。

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