新潟県長岡市では最高気温が39度を観測しました。終わりの見えない記録的な猛暑が続く都会に暮らしていると、過ぎ行く夏の終わりを惜しむような気持ちにはなりません。山では枯れる木々が目立ち、生態系の変化が進んでいるようにも見えます。南欧などの地域でも、猛暑と干ばつにより食糧価格の上昇が懸念されます。人類が地球上を移動することによって、快適な環境を手に入れて来た歴史を考えると、都市集中化の歯車は逆回転を始めるかもしれません。シェアリングエコノミーとリモートワークの発達により、固定資産に拘束されない生き方を選択できるようになりました。健康のことを考えるなら、この時期に避暑地へ移動する生活は合理的であり、仕事の生産性も高まるはずです。暑さを和らげてくれる森林など、自然の豊かな場所に別荘を確保することは、都市生活者の必需品になると思います。
お知らせ
アマチュアスポーツ最後の砦
第二回大会以来、世紀を超えた慶應の優勝は、芸能界やスポーツ界を巻き込んだ社会現象となりました。決勝戦のチケットが転売サイトで30倍以上の値をつけたとされ、圧倒的な応援と言い、慶應関係者の結束力を見せつけられます。一方で判官贔屓の心情としては、仙台育英を応援したくなります。平日に4万人以上を動員でき、人々を結束させるコンテンツはスポーツしかありません。大一番にもかかわらず双方のチームには笑顔が見られ、気負いなく楽しんでいるような明るい表情が印象的です。不正や薬物汚染など、大学スポーツでフェアプレイの精神が失われた今、アマチュアスポーツ最後の砦が、甲子園なのかもしれません。産業化されたスポーツにおいては、アスリートのパフォーマンスよりも世間の注目や評判が重要だと考えられますが、スポーツの本質はアマチュア精神であるべきだと思います。
外食産業の被害の深さ
家族の誕生日を祝うことも、外食習慣もないのですが、珍しく妻の誕生日に高尾山の麓にあるうかい鳥山に行きました。外食に気が進まない理由は、せっかくの食事の機会を、落ち着いて過ごしたいからです。たとえ個室だとしても、店から自宅に帰る面倒や健康リスクを考えると価値を見出すことができません。他方で外食の機会が少ないために、たまに出かけると気晴らしになり刺激を受けます。2019年の台風によって被害を受けた川沿いの個室は新築され、窓の木枠に年季が入るのはおそらく以前の建物から流用しているからでしょう。うかい鳥山の2023年3月期の来客数は2019年の65%、客単価は121%、売上は78%と会合が減ったように見えます。コロナ禍により2020年の外食産業は2019年の半分に落ち、2021年は4割まで縮小したとされますが、業界のリーダーと言える㈱うかいをもってしても8割にしか戻せないことに、外食産業の被害の深さを感じます。
冒険の要素を持つ旅の足
ホンダ初の一般向けの電動二輪車EM1 e:が今週発売されます。4年以上乗ると内燃機関のスクーターよりランニングコストが安くなると試算され、ガソリンスタンドに寄る必要もオイル交換などのメンテナンスが必要ない手軽さと、早朝の配達における静粛性が評価されそうです。車体挙動が自動車より敏感で、直感的に操るバイクの楽しさを知っていても、バイクに戻りたいと思わないのは、軽油1Lで20km走るフィアットの経済性と、長距離を走る際の実用性では自動車に到底かなわないからです。それでもバイクに乗りたいと思ったのは、秋田県の玉川温泉で東京ナンバーのハンターカブを見たときです。日本は広いようで、一般道を使ってもだいたいの場所に一日で着いてしまいます。その点で125cc以下の原付は、唯一冒険の要素を持つ旅の足にしたくなる交通手段に思えるからです。
盛者必衰という無常
世界経済の牽引役だった中国が失速を始め、ハイレバレッジ経営の民間デベロッパーに留まらず、信託大手の破綻が次々と表面化し、いつか来るべき負の連鎖がとうとう始まった印象です。ルールを好き勝手に変える、国家資本主義の強権を持ってしても、急速に悪化するキャッシュには逆らえないのでしょう。その点で楽天の社債償還の行く末も、すでに起こった未来と言えるかもしれません。メディアや政治への強い影響力も、盛者必衰という人生の無常から逃れることはできません。影の総理と言われ権勢を誇ってきた有力政治家に対する週刊誌報道も、権門の末路に見えます。人間とは無常を忘れ、常に成功を求める愚かな生き物なのかもしれません。成功という頂点を求めたときから、われわれの失敗は約束されます。求めるべきものは成功ではなく、人としての成長なのでしょう。
暮らしと結びついた自然
昨日は白河の古民家の草刈りに行きました。背丈ほどに伸びたセイタカアワダチソウを刈るのに1時間以上かかりましたが、草刈りには、薪割にも似た一種の爽快感があります。2サイクルエンジンの排ガスを吸いながらの以前の作業を、楽しいとは思いませんでしたが、バッテリー式ならエンターテインメントになります。振動も騒音も小さいために早朝から作業ができます。肉体労働にはスポーツに通ずる爽快さがありますが、草刈りのように結果が見える作業は自己肯定感まで高めてくれます。日本人は人の手が入った里山に親しんできましたが、自然淘汰に任せるのではなく、人の暮らしと結びついた自然の在り方こそ、日本の景観の美しさを生み出していると思います。美しい水田の光景も、草刈りなしには生まれません。操作性もメンテナンスもはるかに楽になった草刈り機1台があるだけで、より深く自然と関わることができそうです。
無限の可能性
日本のトレイルランニングを世界に知らしめたTJARの裏レースとも言うべき、第一回のSTSが終わりました。石川県白山市の美川臨海公園から、小田原市荒久の灯台までは本家を凌ぐ455kmあり、白山、御岳山、富士山の3大霊山を含む木曾駒ケ岳、仙丈ケ岳、甲斐駒ヶ岳を超える累積標高22,000mは、もはや草レースなどと呼べない壮大さです。TJARが4人の参加者1人の完走者から始まったのに対して、今回の完走者3名はいずれもTJAR完走者です。自分の足で8日以内にゴールする以外に細かなルールがないのは、間違っても歴戦の強者しかエントリーしないからでしょう。灼熱のこの時期に、気の遠くなるほど長い炎天下のロードを走るなど狂気の沙汰ですが、エクストリームスポーツの世界では、前例がないほど短期間に人間のパフォーマンスが大幅に向上しています。自分の可能性を封じていたメンタルブロックが解けることで、人体は無限の可能性を手にするのでしょう。
何もしないことが最良
ジャカルタとシンガポールから戻った娘は、東京の方が暑いと言います。もはや東京はアジアで最も暑い都市のひとつです。夏バテ対策の定番は栄養価の高いものを食べることですが、日本人の基礎代謝量は冬に比べて夏場は8%ほど下がります。夏バテ防止にしっかり食べれば、不健康になります。食べなければ体は細胞レベルから浄化され、老廃物や毒素が排出されますが、人は健康になるために余計なことをしたがります。風邪をひいたときは何も食べずに静養するだけで治りますが、人は無駄に医療費を使います。食べないことによって体は、最大限にその治癒力を発揮しますが、多くの人はこの有難いメカニズムを使いません。人は必要を超えてお金を使い、多くの場合何もしない方が良い結果を招きます。無駄に化粧をし、無駄に落とし、無駄に保湿し皮膚を傷つけます。病院がないと健康になるという事例も、おそらく一般法則でしょう。
合理的な車
不正請求事件により金融筋からも業界からもノーを突き付けられ、事業継続が困難なビッグモーターですが、それで思い出すのが、すぐに部品を交換させようとするメーカーの姿勢です。車体と同じ色に塗られたバンパーなどは少しこすった程度でも傷になり、みすぼらしく変形し復元しません。その点でフィアットのバンパーはなぜかよくできていて、後続車にかなり激しく追突されてもそれほど傷が目立たず修理する気になりません。他人の車をバンパーで押して駐車場所を確保するような国柄もあるのでしょうが、不思議と鷹揚な気持ちでいられます。バンパーは衝撃吸収が本来の機能ですから、かする度に交換をさせるようなメーカーの姿勢には疑問を感じます。2013年に発表されたシトロエン C4カクタスは、ボディーの周囲をエアクッションで守っており、修理代を節約できます。機能性だけではなく、デザイン性も兼ね備えた合理的な車に魅力を感じます。
成功によって復讐される
玉音放送により終戦記念日とされる8月15日ですが、戦争末期に市民の悲惨な死が集中することを考えると、なぜもっと早く講和を結ばなかったのかと思います。戦争を始めるよりも終えることの方がはるかに難しいことはウクライナ戦争でも感じます。平和をもたらす方がはるかに価値は高いのに、その苦労は正当に評価されません。企業でも新規事業を始めるよりも撤退することの方がはるかに難しく、戦略的に行うべきですが、人は撤退に慣れていません。その点は人生も同じかもしれません。なるべく生活をシンプルにして本質を追求することこそ、人生後半の正しい生き方だと思いますが、成功者ほど物質や地位への未練が強く、心情的にそこから離れられることができません。そうした執着は将来への不安や不満となり、皮肉なもので、人生とは成功によって復讐されるものかもしれません。