自分の人生を生きる分岐点

昨日は、下北沢で「ライフ・イズ・クライミング!」を見ました。視力を失ったクライマーの小林幸一郎氏が、パラクライミング世界選手権4連覇を果たしたあと、長年のパートナーであるサイトガイドと、アメリカ・ユタ州のクライマーの聖地にある、フィッシャー・タワーズを登るドキュメンタリー映画です。地表から150mの砂岩の最突端にあり、見ているだけで恐ろしい尖塔のコルクスクリュータワーの上に氏が立ち上がる瞬間の360度映像の神々しさは、映画館で見る価値があります。視覚のない氏が風によって高さを感じ、クライミングパートナーの地声によってルートを見つけるように、波動によって見えない世界を見ているのだと思います。全盲のクライマーとして初めて世界7大陸の最高峰を制した、エリック・ヴァイエンマイヤーとの出会いにより生きる意味を見つけたように、挑むか挑まないかが自分の人生を生きる分岐点なのでしょう。

価値ある自然の恵み

なるべく菓子を食べずに、代わりに焼き芋を食べる機会が増えました。種子島産の安納芋とともにさつま芋御三家とされる、紅はるかやシルクスイートが手頃な値段で買えるときに、オーブンで焼いて熱を冷ますと抜群の糖度になります。甘すぎる菓子を食べると、不健康な砂糖の摂り過ぎに罪悪感を覚えますが、果物や野菜の甘さなら罪悪感は薄れ、むしろ健康効果を期待できます。さつま芋は食物繊維が豊富で、グリセミック指数が低いために血糖値はそれほど上昇せず、カルシウム、ビタミンC、E、カロテノイドが豊富な健康食です。洗って水分を拭き取り焼くだけの手軽さで、しっとりとした食感のデザートが仕上がります。スーパーなどで安く売られる黒バナナといい、価値ある自然の恵みが安く簡単に手に入ることを考えると、身体に悪いデザートにお金を払う意味を見出せなくなります。

執着が減り愛着が増える

以前はカフェイン中毒気味でしたが、睡眠を改善する目的でコーヒーや紅茶を止めてから、これらの嗜好品への興味が薄れました。代わりにレモングラスやカモマイルのお茶を飲みますが、以来コーヒーを飲みたいと思ったことはなく、これほど短期間に味覚や嗜好が変わることは意外です。それに伴い豆乳を買うことも無くなりましたが、減らすことは自分の本音に近づく道に見えます。揚げ物、肉、コーヒーや食パンを控えていますが、何かを捨てることは通常苦痛を伴います。しかし実態はその逆で、執着が減る反面、愛着が増えると思います。今のところコーヒーを飲みたいという感情を起きませんが、同様に控えている食パンが時々食べたくなる時には逆らいません。重要なのは無思考の習慣ではなく、自分の正直な気持ちであり、その結果ありふれた日常の食べ物は、特別のハレの食べ物に変わると思います。

全てを手に入れ全てを失う

影の総理と言われ、政権中枢へ順調に登って来た木原誠二官房副長官の妻が、前夫の不審死事件の重要参考人として聴取を受けていたと、昨日発売の週刊文春が伝えます。将来の総理候補の妻が殺人に関与するなら国家の一大事です。不自然な捜査の幕引きが有力政治家への忖度なのか、本人が影響力を使って妻をかばったのか、いずれにしても事実なら法治国家を揺るがす事態です。財務官僚出身の首相最側近という絵に描いたエリートの転落は、岸田政権最大の危機と言えます。異世界に住む二人が夜の銀座で出会い、17年前の不審死事件が暴かれる奇異さは、サスペンス劇場顔負けの展開です。反社との写真が流出する三木谷氏といい、功成り名を遂げる人は、危ない世界に吸い寄せられるものかもしれません。その楽天のモバイル事業は先行きが見えず、全てを手に入れ全てを失う定めから、人は逃れることができないのでしょう。

食を節するほど人生は富む

今日の日没時間は一年で一番遅く明日からは逆転し冬に向かいます。今年の前半を振り返ると、早くも感じ、他方で三大ニュースぐらいは選べる程度の変化のあった半年でした。人生は有限ですからもっと焦るべきでしょうが、先を急がず日々のことを粛々と進めて行けば良いと思います。人生で何かを成し遂げねばならないと以前は考えましたが、幸せは常に自分の内側にある問題で、人の成功をうらやむ必要もありません。最も確実に幸せを手に入れる方法は、自分の体を健康に保つことです。美食を追求すると、その先には肥満や生活習慣病が待ち受けており、食事に執着しない人生も同様に幸福だと思います。飢えこそが生命力をかきたてる最大の因子と考えるなら、食を節するほど人生は富みます。人生の後半は何かを手に入れるより、身の回りの雑音を消し、執着を手放すことの方が重要かもしれません。

未来の兆しを感じる都市空間

先週末は、12年の活動を終えた産官学民の共創による街づくりの実験場である、二子玉川のCatalyst BAのファイナルイベントに行きました。まだコワーキングという言葉が使われない2011年4月に始まった先進的な取り組みは、所期の目的を達成したと言えます。都心と郊外の中間に新しいスタイルのコミュニティが生まれ、それが次の都市のモデルに展開される実験場として、二子玉川以上にふさわしい場所はありません。新しい価値を生み出す化学反応のために、人々がリアルに出会う、外に開かれた場の価値は高まっていくはずです。都心と郊外の中間にあるエッジシティがエッジであり続けるためには、閉じられたオフィスとは異なる、個人が素の表情で振る舞える創発・共創スペースが必要です。エッジという感度を失った企業が衰退するように、予定調和の同質感を超えた辺境と異端から、未来の兆しを感じる都市空間が生まれるのでしょう。

語らぬ生き証人

日曜日に松姫峠付近の山中で見かけたボンネットトラックが気になって調べると、第二次世界大戦中のアメリカの軍用トラックのようでした。これほど身近な場所に戦跡とも呼べそうな車両の残骸があるのは驚きです。もちろん米軍の払い下げ品で、荷台には駿河製紙株式会社山梨出張所の文字が読めます。おそらく、アメリカ軍に1941年から配備されたGMC社のCCKW353(ロングホイールベース、ウィンチ装備型)で、重量4.8t、全長6.86m、全幅2.24m、最高速度72 km/h、480 kmの行動距離があったようです。積載量2.5tの6輪駆動軍用トラックは、M2重機関銃を装備可能とされます。第二次世界大戦中にアメリカが生産した2.5tトラック81万両のうち、56万両以上がこのGMC CCKWシリーズで、ジープとして知られるウィリスMBの36万台を超えます。この車がどのような歴史を経て、奥多摩の山中にたどり着いたのか分かりませんが、この語らぬ生き証人に近いうちに会いに行きたいと思います。

気の重い日の特効薬

頭の痛い問題が起こり、昨日は気晴らしのために奥多摩の森に行きました。道の駅こすげから、樹齢数百年の巨樹大トチの木(幹周7.25m、樹高25m)や美しいブナ林を見ながら鶴寝山(1,368m)、奈良倉山(1,348m)まで往復すると、累積標高1,190m、往復17.2km、3時間半ほどの道のりです。木漏れ日の差し込む美しい森を抜けるトレイルですれ違ったのは一人だけで、晴れた割に気温は上がらず、絶好のトレラン日和です。トレーニングパートナーのラブラドールも一緒ですが、悩みを抱えた状態で無暗に走るとろくなことがありません。松姫峠から奈良倉山の登山道に入ると、米軍の払い下げ品なのか左ハンドルのボンネットトラックが打ち捨てられています。昼前には帰宅できるスピードハイクが、気の重い日の特効薬に最適なのは、それが現実逃避ではなく活力を注入してくれるからでしょう。こんな森が身近にある生活なら、悩みはなくなりそうです。

食べ物に気を使う必要はない

WHOが人工甘味料アスパルテームの発がん性を、7月14日に公表すると報道されます。1日の摂取量の範囲内であれば安全との見解が従来示されてきましたが、トランス脂肪酸同様に摂らないに越したことはありません。アスパルテーム非使用のガムを買うと倍ほどの値段になり、一番良いのは止めることですが、心配をし始めると現代社会では生活できなくなります。赤身肉も酒もスマホも太陽光すら発がん性がありますし、大半の野菜も農薬にまみれ空気も汚染されていますから、そのリスクから逃れることは不可能です。幸いなことに飢餓を生き残った人類は、命をつなぐために何を食べても解毒できる機能を備えています。その機能を最大化するのが、究極の解毒装置と言えるオートファジーであり、断食と有酸素運動を定期的に行うのであれば、食べ物にそれほど気を使う必要はないのかもしれません。

正しく食べる

ウクライナ戦争の舞台はロシア国内に移った様相を呈しています。戦争の英雄とも言えるワグネルが、モスクワ200km地点まで攻め上ったことは、クレムリンへのドローン攻撃に続くプーチン政権の失点です。間違いないのは、ロシア経済を疲弊させるウクライナ戦争が、誤った情報によって始められたことです。長い独裁政権の末路が国を巻き添えにした自滅に向かうのは、独裁者が聞きたい情報しか上がらなくなるからです。しかし、聞きたい情報しか聞かないのはわれわれも同じで、その典型は食欲だと思います。大脳新皮質が作り上げた幻想に過ぎない空腹感に騙され、あるいは間違いと知りながらわれわれは日々過食を許します。その結果、多くの現代人は生活習慣病という自滅に向かいます。何世紀にも渡り人々に幻想を与えてきた物質主義の思考から覚醒する以外に、正しく食べる判断はできないのかもしれません。

Translate »