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予定不調和の人生

昨日は最初に入った会社の同期会がありました。ハロウィンが近い渋谷の街は厳戒態勢ですが、そもそも夜の渋谷に来ること自体、思い出せないぐらい久しぶりです。退職をしてから四半世紀が過ぎますが、自分のように無計画に生きて来た人間とは違い、大半はそのまま会社に残り、今も現役で活躍し、半分近い人は二次会から参加します。何を血迷ったかあの時転職をしていなければ、どんな人生を送っていたかは想像がついてもイメージできません。過労から2週間入院することも、糖質制限で25kg体重が落ちることも、50を過ぎてから運動を始めることもなかったはずで、ましてや旅館を買うことも、古民家を買ってサウナを始めることもなかったことでしょう。一つしか人生を生きられない以上、今来た道がベストだと信じるしかありませんので、予定不調和の人生こそが自分らしいと思うようにします。

兆候と過信は同時にやってくる

1955年5月29日に起きた白河高校山岳部の遭難事故を扱った小説「疲労凍死」を読みました。今月のはじめには、同じ山域の栃木県側にある朝日岳で、4人が低体温症で死亡する山岳事故が起きました。福島県と栃木県にまたがる裏那須と呼ばれるルートを、旅館にいた頃はよく登り、地元の白河高校の生徒にとっては庭のような場所だと思います。東北の山は標高が低い割に気候が厳しく、多くの人が亡くなった坊主沼は例年にはないことですが、初夏にも関わらず凍っていたと言います。遭難の多くは道迷いによるものですが、残雪期はルートを見失いやすく、遭難現場のあたりで、気が付けば周囲を背丈ほどの藪に囲まれ、方向感覚を失ったことがあります。68年前の事故の20日前には、同じルートをたどっていた都立小松川高校の生徒と卒業生が遭難したばかりでしたが、兆候と過信は同時にやってくるものなのかもしれません。

走るからモチベーションが上がる?

人の仕事を観察すると、こちらまで清々しい気持ちになる時があります。代表例は毎朝のように見かけるゴミの清掃員で、例外なく走って収集をしています。モチベーションを計る指標の一つは作業スピードの速さで、同じ宅配便でもヤマト、佐川、JPは動作のスピードが違います。ゴミ収集はスポーツ選手がトレーニング代りに行っている場合があり、またチーム制のため、一定時間内に仕事を終えるのに走らざるを得ないのでしょうが、休みなく働く姿はアスリートです。カラスが荒らした集積場所を整え、違反ゴミにシールを貼るなどきめ細かな仕事は、高いモチベーションなしにはできません。モチベーションが高いから走るのか、走るからモチベーションが上がるのか分かりませんが、人はある程度追い詰められて仕事をした方が幸せな気がします。

人と自然の共生の象徴

最近の関心は古民家で、地方都市に行くと旧市街を歩きます。古い建築でもレプリカと呼ぶべきものや、きれいにし過ぎたものとは関係性が築きにくく何も訴えてきません。古民家の魅力は過去へといざなう土地の記憶が今も刻み込まれていることです。古民家に明確な定義はありませんが、主に大正時代以前の伝統工法で建てられた家を指す場合が多いようです。古民家は150万あると言われますが、今でも地方に行けばまだ目にする機会があります。一方で、木材がマシンカットされる以前の、明治期より古い民家は、地域の衰退とともにその姿を消しています。産業革命以前のように、土地の気候風土や採れる木材、地場の職人を通じて建てることは二度とできません。粗製乱造の現代住宅とは異なり、代々何百年にも渡り住み続けることができる古民家こそ、人と自然の共生の象徴に見えます。

買い出しの車旅

地方に車で出かける魅力は買い出しです。観光地や名所旧跡には行かず、一方でローカルスーパーや直売所、道の駅はなるべくのぞきます。持ち運びを気にせず、その土地の農産物や海産物を買えることは、大きな喜びでしょう。もうひとつのメリットは、グーグルマップで見つける二級、三級の埋もれた観光地や飲食店に立ち寄れることです。観光ガイドに載ることのない史跡や店舗は事前情報が乏しく、予定調和の観光とは異なり、その場で何かを感じる想定外の刺激が新鮮です。また、公共交通ではアクセスが困難な、眺望などが素晴らしい店に行けることも魅力の一つです。週末に行った松山なら、瀬戸内海を望む海沿いのカフェやレストランは、東京周辺にあれば人が殺到するでしょうが、店はガラガラで価格は良心的です。一方で人影の消えた旧市街の衰退を見ると、地方が豊かだった時代の建造物が消え去るのを待たず、有効に活用したいものです。

早寝早起きは夜型?

早寝早起きの朝型生活は健康の要ですが、度を過ぎれば夜型になります。早起きが進み、0時や1時に起きてしまうことが最近の悩みで、もはや夜型と言えます。寝つきが良く、悪いことに目覚めも良いために、そのまま起きてしまいます。ショートスリーパーになりたかった時期もありますが、健康第一の今は短眠をなるべく避けたいところです。時々役に立つこともあって、週末松山から東京に戻るときは深夜1時前に出発したため、上り線の渋滞を後目に東京の自宅には朝の9時過ぎに到着しました。夜中の高速道路は刺激的で、多くの区間が120km/h制限になった新東名での事故は増えていないようですが、ドイツ製高級車が200km/h近いスピードで疾走するのを見るとバブル景気の頃を彷彿とさせます。高級車が悪いわけではありませんが、物質的な豊かさに目を奪われると、他の車に気を配る余裕や思いやりがなくなり、心は貧しくなるのでしょう。

押しつぶされた伊豆半島

昨日は佐多岬半島に行きました。四国の最西端にある半島は、リアス式海岸で良港に恵まれ、その背後には急峻な山地が迫り、植生も含めて南伊豆あたりを思わせます。全長約50km、最大幅6.2km、最小幅800mというほとんど平地のない、日本一長く細い半島は風が強く、風力発電の巨大な風車が林立しています。みかんの生産量ではトップの座を和歌山県に譲った愛媛県ですが、柑橘類の合計では今も日本一の座を守り、急峻な山地の至る場所に作業用モノレールが設置されています。道の駅などで売られるみかんはおおよそ東京の半額で、詰め放題500円のみかんは、東京なら安い店でも1,000円以上はします。細いことと変わった名前以外に知名度が高くない佐多岬半島ですが、両側に海を望む独特の眺望や美しい海、海産物や柑橘類に加え、明治期の産業遺構が残るなど、一級観光地の資格は十分にあると思います。

車は小さいほど疲れない?

昨日は仕事で松山に来ました。急な予定で飛行機が取れず、10時間かけて800km以上を走りましたが、運転は好きですからそれほど疲れません。自動車の魅力は移動の自由を謳歌できることで、長距離であるほどむしろ喜びが増します。今のフィアットの前は、排気量が4倍以上ある大きな車に乗っていましたが、運転の疲労度と車の大きさや高級車であるか否かはあまり関係がないと思います。運転をしていることすら忘れるほど安楽な車は、かえって疲れる気がします。緊張感なくぼんやりしているときに、デフォルトモードネットワークにより脳がエネルギーを大量消費するように、集中している方が脳疲労は減ります。車が小さいほどリニアに刺激を受け、その緊張感で集中力が高まり、生きていることを実感します。人は、より身体感覚を伴う活動をすることで、センサーの感度を上げていると思います。

ビジネスモデルなき外食業界

最近になり近所の飲食店の撤退が目立ちます。あたかも呪われた土地かのように、数か月で撤退を繰り返す場所もあり、淘汰の激しい外食業界の厳しさを感じます。ヨーロッパの一部では飲食店の過当競争を避けるために、ライセンス制を採り行政がハードルを上げ、営業権が高額になる場所もあります。人件費や家賃がかからない家業であれば持ちこたえることができても、一般的な商売の難易度は高いはずです。そんななかでカレー店が潰れないことは良く知られています。確かに近所に2店あるカレー店はどちらも長寿です。食欲をそそるスパイスの香りで安定的に集客でき、食材原価が低く、ネパールなどの安い労働力を活用でき、特殊な調理器具を使わないために出店費用を抑えることができます。もしかしたら外食業界には、カレー店に見られるようなビジネスモデルの概念が希薄なのかもしれません。

不言実行内閣

かつてビートたけしが時の小渕首相を「海の家のラーメン」すなわち、不味いと思って入ったら意外に美味しかったと評しました。増税派と目され受けが悪かった岸田首相ですが、20日に召集される臨時国会の所信表明演説で、ウーバー型のライドシェア導入の検討を表明することは国民に歓迎されそうです。岸田首相には期待をしていませんでしたが、国防や経済安全保障など大切な政治課題を着実に進め、強力なロビー活動により一種のタブーであるライドシェア問題に切り込む今回の意思決定は評価できます。名首相と呼ばれるかどうかは後世の判断に委ねられますが、その資格はあるかもしれません。何でも検討する「けんとうし」と揶揄もされましたが、黙ってなすべきことを実行する不言実行内閣とも言えそうです。岸田首相から学べる点は、人の意見を真摯に受け止め、なるべく敵を作らないことでしょう。

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