訪日客のウィンタースポーツ熱で追い風を受ける日本のスノーリゾートですが、深刻な雪不足によりスキー場の倒産が過去10年で最多になると報道されます。3月に入っても寒い気温が続く一方で、雪不足を背景に経営難に陥るスキー場が増加しているようです。全国約300カ所のスキー場のうち、過半数が3月中までの営業を予定していましたが、2月までに営業を終了したり、ゲレンデの一部をクローズする対応が目立ちます。日照時間が短くビタミンD合成が不十分な冬場の日光浴として、ウィンタースポーツは最適ですが、降雪機などへの追加投資ができないスキー場にとって、営業継続は困難でしょう。世界の北半球においても雪の降るエリアは縮小しており、今まで脚光を浴びる機会の少なかった日本の東北以北のエリアなどが、世界に飛躍するチャンスが訪れているのかもしれません。
花粉症になれて幸せ
花粉症の症状が本格化してきました。1963年に始まったとされる花粉症の有病率は年を追うごとに増加し、2019年には49.2%に達しもはや国民病と言えます。花粉症は人体の免疫が作り出す糖タンパク質IgEが、抗原となるスギ花粉などを攻撃することにより生じます。戦後になって回虫の感染率が下がり、寄生虫排除に使われていて余剰となったIgEが、代わりに攻撃を始めたのが花粉とされます。われわれを苦しめていると思っていた花粉症ですが、東京大学の研究グループによると、全疾患の死亡リスクが43%低下することが報告されています。さらにガンの死亡リスクに至っては52%も低いとされます。花粉症に限らずアレルギー疾患を持つ人の20年後の脳腫瘍になるリスクが半減するという研究もあります。免疫の過剰反応であるアレルギーは厄介な自己免疫疾患ではなく、免疫亢進によりガンなどを防いでいる可能性が指摘され、今は花粉症になれて幸せだと思えます。
撤退の機会
2017年に栃木県那須町で起きた高校山岳部員7人と教員1人が亡くなった雪崩事故の論告求刑公判で、教諭ら3人に禁錮4年が求刑され結審しました。7年前の出来事ですが、季節はずれの大雪が降ったこの日のことはよく覚えています。3月に大雪が降ることは地元では知られていますが、前日からの降り方は異常でした。事故当日の朝、ラブラドールと散歩に行きましたが、事故の起こる3時間前の午前5時半過ぎに旅館の前で撮った写真を見ると、前日の同じ場所の写真との積雪量の違いが明らかです。氷点下1度の無風で寒くは感じなかったために、雪上歩行訓練をしたくなる気持ちも分かります。しかし事故現場となったのは、新甲子温泉から車で20分ほどの場所にあった、山頂直下の自然環境の厳しいスキー場上部の急斜面です。降雪量の異常さは誰もが感じたはずで、撤退の機会を逃したことが悔やまれます。
目先の金に欲を出さず
円安を背景に追い風を受ける観光業ですが、急回復するインバウンド市場の復活は、喜んでばかりもいられません。長引いたデフレによる安売りの国のイメージが定着することや、将来性のある観光施設が外資に買われるリスクもあります。一方で、先月開業した豊洲市場の複合施設「千客万来」は、外国人観光客に人気ですが、施設内の飲食店のうに丼は1万8,000円と高額で、「インバウン丼」や「ボッタクリ丼」とも呼ばれ話題です。220グラムで9万6,800円の神戸牛ステーキにしても、消費者が納得すれば適正価格なのでしょうが、加熱するブームはバブル期を思い出します。宿泊や飲食サービス業の現場は相変わらず人手不足で、サービスレベルが維持できずに信用を失墜させる可能性があります。オーバーツーリズム問題も表面化し、日本をがっかりした旅行地にしないためには、目先の金に欲を出さずに価値の提供を見据える必要があると思います。
最も柔軟な役所は税務署
昨日は両親を含む3人分の確定申告を提出しました。どこの税務署も昭和の事務所然とした陰気な雰囲気が漂うのは、納税者に節約をアピールするためかもしれません。確定申告は慣れの問題で、たいした負担にはなりませんが、税金を納めるのに作業をさせられたと憤る人もいます。しかし実態は逆で、自己申告をさせてもらえる有難い制度だと思います。旅館をしていると、消防署や建築指導課などの役所との関係がありますが、どこもお役所仕事といった堅苦しさはなく、地域による違いはあるにせよ比較的柔軟な印象を持っています。しかし、最も柔軟な役所は現代の経済警察と恐れられる税務署かもしれません。国民全体を相手に納税をしてもらうためには、ファジーな部分を残しておかないと税の徴収コストがかさんでしまいます。今月末には会社の決算も控えていますが、1年に一度お金の使い方を振り返る良い機会だと感じます。
面従腹背的な器用さ
巷では老後2,000万円問題が再燃しているようです。この問題がしばしば浮上するのは、金融商品を売るためのキャンペーンだからでしょう。高齢社会における課題の多くは、老後という発想にあると思います。老後発想が出てくる理由は、定年退職による長い無収入期間が続くからです。定年退職を卒業などと美化したところで、実態は年齢を理由とした強制解雇です。収入ばかりではなく、仕事により曖昧にされてきた生きがいまで失うことで、描いていたような悠々自適の生活とは程遠い、社会からの疎外感を受ける人もいます。人生にはお金も時間も必要ですが、同様に生きがいが必須です。貯金より貯筋といったところで、いきなり運動を始めるハードルは高いですし、生きがいを探すことはさらに困難です。リンダ・グラットンのいうライフ・シフトを実現するには、組織を利用して自己実現をする、面従腹背的な器用さが求められるのかもしれません。
病も景気も気分次第
日経平均先物が4万円を超え、34年間に及ぶデフレ悲観論からの脱却が本格化したようです。民主党政権時代の7,000円台からは隔世の感があります。量的緩和による円安政策、コロナ禍や米国主導の輸出規制による半導体設備投資の国内回帰、EVへの熱狂の衰退に伴う日本のお家芸であるエンジンやハイブリッドによる自動車の復権、欧米客を中心としたインバウンドの回復など明るい兆しには事欠きません。景気が良いから気分が良くなるのか、その逆なのかは分かりませんが、病も景気も気分次第であることは確かでしょう。お金への執着が健康や幸福を妨げることは事実ですが、その反面、景気が良くなり消費への余力が生まれることが幸福感を高めることも確かでしょう。清貧の思想も、お金への執着も、中庸と言えるバランスを保つ限り、受け入れるべきものだと思います。
意思と体の主体性
母の入居する高齢者施設に行く頻度が増えました。いつも食事をしていた父がいなくなり、寂しさを埋める慰めになればと思います。偉そうなことは言えませんが、施設を訪れる他の家族を見たことがありません。なるべく他の入居者に目立たないように訪問しますが、尋ねて来る家族もいない人の気持ちを考えると複雑です。一方で、高齢者施設に行きたくない理由も分かります。構ってもらおうと食器をたたき続けたり、うめき声をあげたり、そこにいるだけでこちらの生気まで奪われる気がします。入居者の平均年齢が92歳ながら、介護度がそれほど高くない施設でもそう感じますから、社会から見放された場所に見えたとしても不思議ではありません。健康に注意をしていると言うと、そんなことをしてまで長生きをしたくない、と強弁する人もいますが、最後まで自分の意思と体の主体性を奪われたくないだけです。
戻るべき場所に人を戻す
4年に一度29日がやってくると暦について考えます。身近なところでは二十四節気があり、四季という地球のリズムを反映する時間の計測法と言えます。一方で人間のバイオリズムは、月の満ち欠けという自然のリズムに合わせることで、生物的な機能と有機的につながると思います。われわれは天気や気温、気圧には注意を払いますが、1年に13回巡ってくる満月など、月の運行に合わせた生活は一般には浸透していません。子供の頃はどの家庭でもお月見の習慣がありましたが、今は空を見上げる余裕すらありません。先祖から受け継がれた知恵や習慣は、時代に合わないしきたりとして寂れて行きましたが、それらは古めかしいどころか、最先端のさらに先を行く健康に生きるための知恵だと思います。世界では都心のオフィスから人々が去る傾向も見られますが、命を脅かす災難は、戻るべき場所に人を戻すのかもしれません。
花粉症も悪くない
花粉症の季節が到来しました。まだ一日に数度くしゃみが出る程度ですが、3月に入ると生活に支障をきたすようになります。一年で一番美しい春が最も憂鬱な季節になったのは、記憶にないぐらい昔です。特効薬を勧めてくれる人もいますが、薬の影響は全身に及びますので自然療法で対処します。花粉の季節の前に口呼吸をすることで免疫を抑制する免疫寛容や、屋外で日光を浴びることでビタミンDを合成する、日常的な鼻うがい、乳製品を控えるなどです。最も効果的なのは避粉地への転地療法で、旅行の口実ができることはむしろ好都合です。花粉症の有病率は2001年の12%から2010年には47%まで増加したとの研究もあり、同病相哀れむによる強い共感形成ができる人が増えることは、花粉症のメリットかもしれません。花粉症の対処法はコロナウィルスの重症化予防と同じともされ、花粉症も悪くない気がしてきました。