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至福から遠ざかるサウナ

現在のサウナブームは、1964年の東京オリンピックにフィンランドチームが持ち込んだサウナを発祥とする第一次ブーム、スーパー銭湯ブームに次ぐサードウェイブとされます。しかし、昨今のブームの加熱ぶりに違和感を感じていたのですが、南会津で2日間テントサウナをしてその理由が分かりました。高温になることで人気のMORZHではなく、せいぜい65℃のサヴォッタ製のテントサウナに入ると、サウナは主役ではなくなります。サウナストーンで調理をするなど、自然と一体化したピクニックの一部となることがとても新鮮でした。高温サウナを有難がり、我慢を強いる背景にはトトノイ(調い)偏重思考があると思います。高温サウナは危険を伴い、過去には火傷による死亡事故もありますが、極端にトトノイを求めた結果、体のセンサーが鈍感になり、水風呂の冷たさを競うなど刺激が先鋭化し、至福からは遠ざかっている気がします。

自然を楽しむ原点

南会津でサヴォッタのテントサウナをしました。ロシア製のMORZHが簡単に100℃超に達するのに対し、75℃以下での使用を前提にします。断熱材がなく足元から冷えた空気が入り、今の季節でさえ75℃に到達させるには薪をふんだんに燃やす必要があります。しかし60℃を超える頃には湿度60%でも汗が吹き出し、昨今の熱さ至上主義の風潮などどうでもよくなります。鳥の鳴き声、川のせせらぎ、薪のはじける音を聞きながら木々の緑を眺めると、スペックにこだわるよりもその原点に戻るべきだと思います。フィンランドのサウナ、スウェーデンのバストゥ、ロシアのバーニャは似て非なるものですが、その成り立ちは冷えた体を温めることだと思います。極端な高温や極寒の水風呂が賞賛される日本のサウナブームは長続きしない気がします。我慢不要の60℃のサウナで汗を流し、体感15℃の川につかり青空を眺めると、サウナは自然を楽しむ原点に戻るべきだと感じます。

内面の感度を高める

麻薬系の車で友人が南会津に来てくれました。最初の車を買うときの候補の一台であり、乗るのは数十年ぶりです。スズキの660ccエンジンが搭載されたときは驚きましたが、3気筒ターボのK6A型エンジンは85psを絞り出し、極限の軽量ボディを加速させるのに十分です。倍の重さのN-VANでさえ660ccエンジンで過不足ないのに、その1.6倍の馬力を得ればスポーツカーを名乗る資格は十分です。年を取ったら回春剤としてスポーツカーが必要だと昔は思いましたが、今は自分をそぎ落としていくべきと心境が変わり、余剰資金があれば事業に回すので自分の車として買うことはないと思います。車に限らず大半の商品は、麻薬系の常習性で人を虜にします。外食ばかりしていると濃い味付けでないと満足できなくなるように、さらなる刺激を欲するようになります。良い人生とは外部からの刺激を強めることではなく、内面の感度を高めることのような気がします。

園芸が生産性を高める

森林浴に代表される自然との関わりが、身体的、心理的な癒しをもたらすことは広く知られます。木々の緑が見える病室と無機的な景色の部屋では、前者が病後の回復が有意に早いことも指摘されます。自然の力をさらに高める方法は、庭仕事などの身体活動や食事療法を加えることだと思います。金曜日に行った南会津の土地は農地ですが、森には栗の巨木や柿の木、ミョウガやタラ、山椒の木々が自生し、さながら食べられる庭(Edible garden)です。園芸は、紀元前2000年のメソポタミアにおいて人間の五感を癒し、園芸療法が注目されるはるか昔から休息、回復、療養の場として人々の健康を守ってきたと考えられます。様々な現代病が急激に増加した原因は、自然の恩恵から遠ざかる都市生活に起因していると思います。リモートワークが生産性を劇的に高めるとすれば、それは自然の元で過ごす時間を増やすことで健康状態が回復するからでしょう。

最も美しい庭

草刈りが趣味になったのは、エンジン式から電動草刈り機に変えてからです。排ガス臭が無くなり、騒音も無視できる程度に低減されると、草刈り本来の楽しさを享受できます。草刈り機は特殊な環境を除き電動化すべきだと思います。草刈りはガーデニングの一種で、日光を浴び、多くの場所で森林浴を楽しめ、先日行った南会津のような傾斜地では草刈り機を持ち上げる必要があり全身運動になります。草刈りが心身の健康に良い影響を与える素晴らしい趣味と言えるのは、ジャングル状態だった敷地が徐々に整い庭に変わっていく、一種の達成感があるからでしょう。最も美しい庭とは、植物が人間の干渉を受けずに、その土地にふさわしい種が繁殖し生き続ける、自生による自然環境だと思います。人為的に何も加えず、人間が最小限の介入により日当たりや風通しを改善するだけで、周囲の環境に溶け込む美しい庭になる気がします。

そのうち行けばいいか

尾瀬御池ロッジに泊まりました。尾瀬への関東側からの玄関口は群馬県片品村で、そこが唯一のルートと誤解している人もいますが、福島県檜枝岐村からのアクセスはハイカーが少なく快適です。尾瀬の福島側の入り口に位置する尾瀬御池ロッジは、軽い朝食がついて一人の宿泊で7,500円とリーズナブルな価格設定です。湿原とブナ林に囲まれたこの施設は、山小屋と呼ぶ水準をはるかに超え、オペレーターを変えれば上高地帝国ホテルと並ぶ屈指の山岳リゾートにできそうです。東北地方以北で最高峰の燧ヶ岳(ひうちがたけ2,356m)の登山口まで車で直接行ける唯一のルートであることも魅力で、草刈り作業が残っていたので登りませんでしたが、3、4時間で往復できる近さです。福島県に行く頻度が増え、いつでも行けると思うと不思議なもので、そのうち行けばいいかと欲望が小さくなります。

究極の機能性

昨日は南会津で草刈りをして、その合間に先日買ったサヴォッタ(Finn-Savotta)社のテントサウナを試してみました。YouTube動画が買ってはいけないテントサウナの上位に入れるブランドだけに、一人で組み立てるのは骨が折れます。付属のビニールロープはほぼ応急用で、倒れる危険性があるので火をつけるのは止めました。いかにも軍用といった趣の無骨なテントは森のなかの風景に溶け込みます。一人で簡単に組み立てられる一般のテントとは異なり、ひとつひとつの作業を確実にやり、まともなテントロープと自在金具などのアジャスターがないときれいに立てることができません。サヴォッタを買ってはいけない理由は、テント生地に断熱材が入らず、設置が面倒だからですが、これらの欠点が放置されるのは、軍用品メーカーが考える究極の機能性が、戦場で直せるシンプルな構造だからだと思います。

世界のN-VAN

N-VANは趣味性の強い車で、商用軽バンでありながら愛好者によるFacebookグループが存在します。国内で最大のものは参加者が1,000人ほどですが、輸出や海外生産をしていないにもかかわらず、シンガポールのグループは5,000人です。投稿の複数は日本語の警告表示の意味を聞く質問ですから、日本仕様を並行輸出したものと思われ、今や世界的な知名度があるようです。日本ではごく普通に見かける商用車の軽は、ガラパゴス規格でありながら、実は世界を目指せるポテンシャルを秘めているのかもしれません。核家族化が進むと大型のSUVより、アウトドアギアを大量に運べ、かつ維持費の安い軽商用車こそが多用途に使える選択だと思います。大量の荷物とともに移動する便利な道具であるN-VANによって広がるカーライフを、世界が受け入れるのかもしれません。

デザインの判断基準

フィンランドの軍用品メーカー、サヴォッタ(Finn-Savotta)社のテントサウナを買いました。誰もが知るブランドはロシア製のMORZHで、簡単に設営でき、3層構造のテントは150℃にも達する驚異的な性能です。一方サヴォッタは、YouTube動画の買ってはいけないテントサウナブランドの常連で、一人での設営は困難です。50年以上にわたりフィンランドやエストニアの軍隊で使われるメーカーだけに、断熱性より耐久性が重視され、サウナ室内は75度以下の温度を推奨します。それでもサヴォッタを買ったのは、ミリタリーオタクだからではなく、質実剛健なサウナストーブのデザインが、大自然のなかで使うのにふさわしいと感じたからです。大半がステンレス製に対して鉄製のため、錆びると良い風合いになりそうです。デザインの良し悪しは人によって判断基準が異なりますが、最高のトトノイをもたらすテントサウナに求められるのは、自然との調和だと思います。

暇つぶしの代償

卒業式を控えた娘が、バルセロナ、ニース、モナコを旅行しています。陽光の降り注ぐ美しい風景を見ていると羨ましくもあります。他方で行きたいという気が起きないのは、セミリタイアに片足を突っ込んでいるからかもしれません。リタイア後の趣味として旅行は人気ですが、仕事の忙しい社会人や学生なら現実逃避をしたくなる気持ちも分かります。しかし移動のわずらわしさや健康リスク、治安や旅費を考えると、暇つぶしの代償としては見合わない気がします。ガウディ建築のファンとしては、バルセロナは外せない訪問地だと思っていましたが、現地で撮られた写真を見ていると、行ったところで人生が変わることもなさそうです。無理して海外に行くとすれば、刹那的に消えていく一時の感情ではなく、人生を変えてくれるぐらいのインパクトが必要です。そう考えると消去法で残るのはヒマラヤトレッキングぐらいかなと感じます。

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