昨日は北八ヶ岳の北横岳に登りました。氷点下9.5度の登山口の駐車場は、ロープウェイの営業が始まる1時間半前から車で埋まります。ロープウェイの山頂駅までは60分で歩けますので、列に並ぶ気持ちが分かりません。人のいない山頂からは遠く白馬連峰の先まで見渡すことができる快晴です。最高のトレッキングだったのはここまでで、下山を始めるとすし詰めのロープウェイが送り込んできた大量のハイカーによって登山道は渋滞し、蟻の行列を待つ羽目になります。大半の人が待っていても礼も言わないところまでは許せても、狭いトレイルなのに、「どけ」とばかりに体当たりをしてくる無礼者もいて、それまでの幸せな気持ちなど吹き飛びます。晴天の三連休ですから文句も言えないのでしょうが、日本のレジャーが貧しいのは、連休などの特定のシーズンに大量に客をさばく供給者論理の効率性を追求して来たからでしょう。
どこでもドアの魅力
週末は長野県に来て、10年乗ったフィアットは20万kmを走りました。人生の三大出費は住宅、自動車、保険とされますが、自分の場合は自動車が最大の支出です。これまでに買った7台のクルマのなかで2番目に安い大衆車にもかかわらず、この間ノートラブルで自分史上最長距離を走破しました。昨今のエンジンは昔のように10万kmでオーバーホールする必要もなく、タクシー車両は40万kmぐらい走りますから当面現役です。買い換えたいと思ったことも乗り換えたい車もなく、仮に買い換えるとしても、信頼性の高い最も大量に生産される大衆車を買うと思います。産業革命により作られた自動車は、移動の利便性を革命的に高め、私たちが生きていくうえで消費せざるをえないエネルギーの総量を減らし、肥満の原因にもなりました。それでも人力移動では到達できない離れた場所に連れて行ってくれる、どこでもドアの魅力から離れることはできません。
キャンプブームの終焉
先週発表されたスノーピークの2023年12月期決算は、売上高が前期比16%減の257億円、純利益は99.9%減の100万円となりました。企業業績に一喜一憂すべきではありませんが、17期連続で増収を続けてきた業界の雄となれば話は別です。1,000億円を超えていた時価総額は430億円まで下がり、MBOによる上場廃止が取り沙汰されます。高価格帯のキャンプ用品と熱烈なファンコミュニティーで独自のブランドを築いてきた企業の盲点は、コロナ禍のキャンプブームによる特需を過信したことでしょう。他人の目を気にするあまり、消費行動にも影響を受けやすい日本人の一過性のブームだったのかもしれません。近年のキャンプギア事業以外の多角化の弊害との指摘もありますが、成長のための自己変革にはそれまでの基軸から離れることも必要ですから悩ましい選択です。上場から10年目の大転換により、長期的なビジョンの実現に軸足を移してもらいたいものです。
農家のジムニー
最近気になる車はスズキの軽トラック、スーパーキャリイの特別仕様車です。田舎暮らしをする上で軽トラックは最も頼りになる道具の一つですが、これまではデザイン性を期待することはできませんでした。昨年末に追加されたXリミテッドは、部品をブラック仕上げに変更した特別仕様車ですが、精悍な印象を与えます。軽トラックの魅力は価格だけではなく、悪路での高い走破性やリセールバリューの高さ、どこにでも入り込める小回りの良さだと思います。以前旅館で所有していた軽トラックは、阿武隈源流沿いに捨てられたゴミを回収するために、普通のクルマでは入れない遊歩道に入り込むことができました。商用軽バンの概念を変えたホンダのN-VANが、初代シティの持っていた楽しさを継承する後継者なら、Xリミテッドは農家のジムニーと言えそうなファッション性を兼ね備えた相棒になりそうです。
鍛えれば応えてくれる
昨日は初夏のような陽気で、春の訪れを感じる間もなく季節が移り、日本は暑いか寒いかの二季の国になったように見えます。日本の風景が最も華やいで見える春と秋は足早に過ぎ去り、寒暖が繰り返される三寒四温が年々極端になる気もします。果物のなかには、寒暖の差が大きい高地栽培などで澱粉質が蓄えられて甘くなるものもありますが、人の場合は急激な温度変化が健康リスクを高めます。日本の急激な気温の変化が心臓などに過度な負担をかけることから、温暖な地域に移住する高齢者もいます。しかし、人間の身体は本来寒暖差に対応する機能を持っており、体温調整機能を取り戻すにはなるべく冷房暖房を使わない生活を心がけるべきだと思います。冬の風呂場で起こるヒートショックが深刻な問題である反面、温度差が90度にも及ぶサウナの水風呂でこうした問題が少ないことは、身体は鍛えれば応えてくれるからかもしれません。
身体化された機械
愛用するシンクパッドの液晶パネルが壊れ、買い替えました。IBM時代のX20以降四半世紀にわたり、仕事でもプライベートでも体の一部となってしまったシンクパッドを手放すことができません。それ以前に使っていたマックブックに戻すことを何度か試みたのですが、身体化された洗脳とは恐ろしいもので、その後に買った何台かのマックブックは娘の持ち物になっています。中国企業となった今でも、コンサル業界を中心にシンクパッドの熱狂的なファンは少数ながら生息しています。キーボードとトラックポイントによって身体化された機械のおかげで、今でもスマホはほとんど使えません。こだわっているわけではなく、大半の機能をショートカットで動かしていた外資系企業時代の習慣で、OSが変わり当時のショートカットのほとんど使えなくなった今でも、これ以外は使えないと体が信じ込んでしまっているようです。
並ぶことに意味がある
週末の青山に行きました。ズーム会議の普及により、徒歩圏の下北沢より都心に行くことはまれになりました。たまに行くと都心は刺激的で、表参道は人で溢れかえり、かといってインバウンドに占拠されているわけでもなく、株価同様に景気の順調な回復を感じます。マリトッツォで有名な福岡発祥のベーカリー「アマムダコタン」が展開するドーナツ店の「I’m donut ? (アイムドーナツ?)」も相変わらずの行列で、その長さはもはや絶望的なほどです。たかがドーナッツ、されどドーナッツですが、食べれば一瞬で胃袋におさまるものに、そこまでの情熱を傾ける気持ちは今後とも起きなさそうです。ドーナッツを買うことではなく、列に並ぶことに何らかの意味があるのかとも考えてしまいます。空腹こそが最高のごちそうだと思っているので、食べ物にそこまでこだわる必要はない、という考え方はやはり異端なのでしょう。
食文化の担い手
昨年ヒマラヤに行ってから雪山にのめり込む妻は、この時期の週末は家にいません。普段の料理は妻任せなので、自炊の定番は手間のかからない鍋になります。鍋は日が経つに従い熟成して味が深みを増しますが、毎日具材を追加して、味噌やカレー粉などで味付けを変えれば飽きることもありません。この季節の鍋は、体だけではなく心まで温めてくれる豊かな食事だと思います。健康的で美味しく、自宅なら落ち着いた雰囲気で食事ができます。満たされてしまうとそれ以上の欲求が起こらないので、外食のお世話になる頻度はわずかです。美味しいものを食べることが人生の喜びであるところまでは同意するのですが、家庭での食生活が豊かになるなら、外食への依存はおのずと低下していくのかもしれません。人々は一度インストールされた消費習慣には従順に従いますが、素晴らしい食文化の担い手は、第一義的には家庭のような気がします。
答え合わせをしない日本人
最近になっても身の回りでコロナ感染の声を聞きます。昨年5類感染症に移行してからは騒ぐこともなくなり、従来の土着ウィルスと同様に、たいした症状がなければ医者も普通に働いて良いと言うようです。未知のウィルスという不安が人々を恐怖に陥れ、むしろ風評被害の方が大きかった印象すらあります。マスメディアが重用する御用学者の言説と、政治家のパフォーマンスに扇動された国民のヒステリックな行動が、二次被害を広げたと思います。最近になってコロナ関連の本を読み返しますが、コロナの混乱がピークに達していた2020年の中盤頃に出版された本を読むと、誰が本当のことを言っていたのかを検証することができます。科学情報を冷静に解明すれば、歴史の証明に耐える真実を見抜くことができます。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ことは日本人の特徴かもしれませんが、簡単にできる答え合わせをしない日本人は、何度も騙されることになるのでしょう。
セルフレジの勝算
ガソリンのセルフスタンドが普及したように、スーパーのセルフレジも急速に浸透しています。ミニスーパーのように、品出しをしている店員さんを呼ぶのが申し訳ないときは利用しますが、レジに人がいるときは有人レジを使うのは苦手意識があるからです。近所の西友は有人レジを閉めていることが多くセルフレジを使うのですが、バーコードのついていないアボガドが野菜の一覧ではなく果物に入っているなど使いにくさも残ります。学術的には正しくても、フルーツとしてアボカドを食べる人は少ないはずです。今でもトラウマになっているのがイオンのセルフレジで、最初にショッピングバックをフックに掛けることを要求してくるのですが、普段はザックを使うので、有人レジに行きます。セルフスタンドとの違いは万引きの増加懸念ですが、無人レジは正直者が多い日本だから成立するシステムなのかもしれません。