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車中泊は高級ホテル以上


最近のマイブームは車中泊です。車中泊は窮屈で我慢のイメージがありますが、N-VANの車内はほぼフルフラットになり、自宅の寝具がそのまま使えます。車中泊の定番は道の駅ですが、私の場合は山登り前泊の登山口なので、まず人が来ることはなく、騒音や明かりとも無縁です。翌朝4時前にはハイカーの車がやって来ることもありますが、前日は日没とともに就寝しているので問題ありません。もともと眠りは浅いので、車中泊の方がむしろ自宅よりよく眠れ、寝覚めも爽快です。人工の光にほとんど頼らず、自然のリズムで生活をするからだと思います。日没や日の出前後の時刻、刻々と山と空が表情を変えていくのを間近に見るのが好きです。とくに印象的なのは雨の日で、屋根をたたく雨音を聞きながら眠りに落ちる贅沢は格別です。自然の音だけの世界と、リアハッチ越しに寝ながら星空を眺めて眠る体験は、高級ホテルでも実現できません。

小さな顧客体験


昨日は住宅設備機器のショールームに行きました。最初に行ったのがミラタップで予約をして行きました。受付のスタッフは客と話し込んでおり、待ちそうなので中に入って見ていました。数分してやって来ると「お客様お名前は?」と言うので名前を告げると少し不機嫌そうに「下の名前は?」と言います。その時間帯に来る客はせいぜい2、3組なのにそのリストさえ把握していないような仕事に人を張り付ける必要はないと思います。次に行ったのはLIXILで、受付の端末に名前や属性、連絡先、何を見に来たかなどを入力します。問題は端末の感度が悪くスムーズに入力できないことです。そして目の前で入力したデータを見ながら、スタッフが「お名前は?」と改めて聞くのも間が抜けています。企業はこうした顧客接点での体験に対してあまりに無頓着だと思います。小さなことですが、細かな積み重ねが企業全体のイメージを形成するはずです。

一物一価時代の価格差


パンクしたN-VANのスタッドレスタイヤをホンダのディーラーで交換しました。ブリヂストンの商用車用スタッドレスW300は、乗用車用のBLIZZAKに比べて安価です。凍結路面性能に違いがありますが、東京を中心に生活していて、氷雪路を毎日走るわけではないので、以前使っていたBLIZZAKとの性能差を感じる機会はありません。10か月で2.4万km走りましたが、摩耗・耐久性は商用車用の方が高い気がします。他方で、安さが際立つというのは買う店次第です。ホンダのディーラーに支払ったスタッドレス4本で46,300円は、例年買っている栃木県の中古車ディーラーに昨年払った24,800円の1.9倍です。しかもホンダディーラーの価格は9月末までの限定価格(多分昨年モデル)です。ホンダの名誉のために書けばカー用品大手で買ってもこの値段です。一物一価の時代にこの価格差は不可解で、栃木県までの交通費と割り切るにも高い気がします。

登山のセーフティーネット


日曜日は西岳、編笠山に行きました。山に行くときに見る「てんきとくらす」は終日Aをつけていますが、下界では軽く雨が降ったためか登る人はわずかです。下山してきた人にテント場にはわずか4張しかなかったと聞き普段は混むので避けている権現岳にも寄ることにしました。曇天ですが時折青空も見える天気で登山には適します。途中で会った山岳医療パトロールの人に聞くと、昨夜の青年小屋は30人のキャンセルがあり、泊まっていたのはこの2名を含む3人だけだったと言います。せっかくの山行だから晴天で山頂からの眺望を楽しみたい気持ちもわかりますが、小屋が用意していた生鮮を含む食材のことを考えると心が痛みます。多くのハイカーは山頂からの眺望が期待できないからと、簡単にキャンセルをしますが、それは山小屋という登山のセーフティーネットを壊す行為だと思います。

天気が変えられないなら


秋の長雨でこの時期は山に行く機会が限られます。これを過ぎると秋晴れの行楽シーズンがやってきますが、人のいない山が好きなので、夏と秋の行楽シーズンの狭間に山に行くことは重要です。そこで活用するのが「てんきとくらす」です。山の天気を3時間ごとにABCの三段階で評価します。重要なのはBの定義が「風または雨が強く、やや登山に適していません」という点です。つまりAは晴天を意味せず、雨や風が強くなければAになる場合があります。降水確率を判断基準にせず、雨が降る日も登山適日と考えるなら登山可能日を増やすことができます。天気という環境を変えるのが無理なら、登る基準を変えるという発想は目から鱗です。晴天だけを登山日と考えれば、秋の山は混雑する日にしか行けなくなります。一方、雨や風が強くなければよいと要求水準を下げる割り切りは、人の少ない山を歩くためには必要でしょう。

熊鈴論争


コロナ禍のマスクと似て、山道で熊鈴を鳴らす人が幾分減った気がします。明確な傾向があって、ハイカーの過半数は熊鈴を付けますが、トレイルランナーやスピードハイカーで使用する人は少数です。なかにはご丁寧に熊鈴を二連でつける人もいて、御嶽山で二羽の雷鳥を観察していた時、近づいて来たハイカーが鳴らした熊鈴に驚き飛び去ってしまいました。熊スプレーの有効性に関しては米国などにエビデンスがありますが、熊鈴についてはありません。その熊スプレーもどのような状況での実験なのかによりますし、粗悪品も多く、また人前で噴射するなどのトラブルを考えると持ち歩きたくありません。それよりも大切なのはあたりを観察しながら静かに歩き、万が一の遭遇の際に冷静に行動することだと思います。熊鈴を鳴らしている人のなかには、こちらが背後を歩いても全く気付かない人も多く、過度な熊鈴依存はむしろ危険度を高める気がします。

手を汚す経験


30年ぶりのパンクでタイヤ交換をしました。その間、年平均2万kmほど走っていますので珍しいことです。前回はタイヤがバーストして、真冬の夜、中央高速の路肩で交換しました。厳密に言うとその後も一度北海道でパンクをしていて、幸い泊まっていたホテルの目の前がガソリンスタンドで、そこで直してもらい予約していたフェリーに間に合いました。昨日も山から下山して、打ち合わせに行こうとした矢先のパンクでした。もはやパンクは想定外の出来事で、まずスペアタイヤを探す必要があります。リアの床の内装材をはがしてみたものの、荷室の容量を稼ぎたい商用車がそんなところにタイヤを入れるはずもなく、説明書を読みリアバンパーをはずして車体に吊ってあるものを引き出します。昔は誰でもタイヤ交換や軽整備、金属チェーンの取り付けができましたが、今の優秀で便利な自動車では、生涯手を汚す経験なく過ごす人が大半でしょう。

粋と野暮の境界


塩尻の市街地から近い、朝日そばふじもりに行きました。築100数十年の養蚕農家を改修して、13年前に開業した蕎麦店は、木組みと土壁という昔ながらの工法で10か月かけて再生したものです。設えの細部に至るまで空間が繊細に作られていて破綻がなく、接客にも客をもてなそうという気持ちが表れています。唯一残念だったのは店中に響くような音を出してそばをすする客の存在です。静かにそばを味わうために、こだわって生み出した世界観と空間価値を、無粋に壊しています。蕎麦をすすって香りを楽しむ行為に、日本の食文化は寛容です。しかしどんなに音を立ててもよいという免罪符ではなく、店の雰囲気を破壊するのは野暮というものでしょう。私の観察ではこの手の客は中高年男性が圧倒的に多く、断片的な作法の知識で、大きな音を出せば粋と勘違いをし、その場に合わせて振る舞うという、もっと大切な作法を理解していないのだと思います。

昭和系の生き残り


日本海が目前の雨飾山に登ったついでに、富山郊外にあるサウナの名店スパ・アルプスに行きました。地方都市の郊外で3時間1,600円は微妙な価格帯です。駐車場がほぼ満車なのは競合施設が少ないからでしょう。96℃強の昭和ストロング系サウナは可も不可もなく、水風呂がウリのようですが、最近は水風呂をあまり使いません。水風呂で強制冷却しない方が心地よく、肌もしっとりする気がするからです。館内着とタオルが自由に使えて、サウナ室のマットも適切に交換されますが、施設は全般に古く再訪はなさそうです。温浴施設が比較的充実する松本でサウナが人気の林檎の湯屋が、900円で一日居られることを考えると、どうしても館内着がほしいという人以外にとって割高な気がします。サウナ業界は北欧系サウナ専業、昭和系サウナ専業、スーパー銭湯に大別できますが、地方の名店に多い昭和系への支持がこれからも続くのか注目されます。

市場の見る目は確か


雨飾山に登る前に小谷村で二軒の古民家を見ました。日本有数の豪雪地帯では雪に閉ざされる冬が長く、外部の機能や働く設備を家に取り込む必要から古民家は巨大です。一軒は小谷村が1億2,600万円をかけてレストランへ改修し、有名シェフと指定管理契約を結んだ施設で、開業直前のスキャンダルもあって2年で撤退し、今は地元企業が蕎麦などを出しています。投資額の割に、ただ広いホールは間延びし、古い家のリアリティが感じられずレプリカに見えます。晴れた土曜の昼時に、客は私の他に1人だけでした。もう一軒はさらに山深い場所にあり、クリエイターとライターの夫婦が暮らしながら営むカフェです。大きさは変わりませんが、投資額は数分の一でしょう。こちらは芸が細かく、都会的でありながら雪国の暮らしに想像を巡らせる真実味があります。昼時をかなり過ぎても客足は止まらず、市場の見る目は確かだと思います。

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